まず1項目めですが、学校が子どもたちにとって安心・安全の場であり、しかも友だちと共感しながら楽しく学習したり、遊んだりできる場でなければならないということです。3月11日に起きた東日本大震災は、そのこと改めて明らかにしました。
しかし、兵庫県の現状は、阪神淡路大震災を経験しているにもかかわらず、いまだ耐震化工事が完了せず、教室へのエアコン設置も一部に限られるなど施設・設備面での遅れが指摘されています。
また、昨年の6月、国連・子どもの権利委員会は、日本の教育についての最終所見で「高度に競争主義的な学校環境が、いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺などの原因になっている」と指摘し「驚くべき数の子どもが情緒的幸福度の低さを訴えている」としています。そして、その原因のひとつとして「子どもと親、および子どもと教師との間の関係の貧困さ」を上げ、一人ひとりの子どもたちに親や教職員がゆっくりと向き合える環境づくりの大切さを示しています。
学校が子どもたちにとって安心・安全の場であり、友だちと共感しながら学び合える場となるため、兵庫県教育委員会が教育条件整備の責務を果たされるよう、次の三点を要請します。
一つ目は、子どもと教師の関係をより豊かにするためにも、今年から始まった国による35人学級を受け、県独自の35人学級の対象を小中学校全学年に拡大するとともに、早期に30人学級に踏み込むことです。
二つ目は、国連子ども権利委員会が指摘する「高度に競争主義的な学校環境」につながるだけでなく、子どもたちの通学を困難にし、「学ぶ権利」すら奪う高校学区拡大方針の撤回です。
三つ目は、子どもたちが親の経済力に左右されることなく安心して学べるよう昨年の高校授業料無償化に引き続き、給食費・教材費をはじめとした教育費無償化です。
次に2項目めです。子どもたちが安心して学びあえる学校教育を推進していく最も重要な役割を担っているのが現場の教職員です。
日本PTA全国協議会の「教育に関する保護者意識調査」によると、保護者から見た学校でのいじめや教育相談への対応や、指導体制への信頼などの項目では、いずれも「否定的に回答」は1割から2割台に対して、「肯定的に回答」した保護者は6割前後です。また、文科省の委託調査でも教員の「子どもに対する愛情や責任感」の項目では「とても充足している」の回答が、教育委員会は18%であるのに対して保護者は44%が「そう思う」と回答しています。これらの調査結果の背景には、子どもたちのためにと歯を食いしばって教職員ががんばっているという事実があります。その教職員が心身ともに健康で意欲をもって教育活動に打ち込める労働条件・教育条件確立のために次の三点を要請します。
一つ目は、教職員の長時間労働解消に向けた取り組みについてです。「教職員の勤務時間適正化対策プラン」や「学校業務実践事例普及推進事業」によって学校現場での意識変革はすすんできていますが、一方である地教委では、「自主研修」と称して時間外の研修を設定し、欠席者には理由書まで提出させることが行われています。これは、実質的な「適正化対策プラン」の趣旨を真っ向から否定するものだと考えます。「適正化プラン」の推進とともに、県教委が定めた数値目標に対する達成度などの実態調査を求めます。
二つ目は、「新行革プラン」による給与削減の撤回・見直しを行い、教職員の勤務実態と専門性を反映した「働き甲斐のある」給与水準に改善していただきたいということです。
三つ目は、定員内臨時教職員を削減するとともに、共に教育を支えあっている臨時教職員の「空白の一日」の解消など大幅な待遇改善をもとめます。
最後に3項目めです。教育活動は教職員それぞれがチームの一員として力を合わせることによって成り立ち、そこで働く教職員の共同性・同僚性の確保は教育の質に大きな影響を与えます。その共同性・同僚性をより充実させるために次の二点を要請します。
一つ目は、教職員間の協力・共同、同僚性を根本から分断する「教職員人事評価・育成システム」を中止し、最低でも本格実施はしないで頂きたいという事です。
二つ目です。わたしは今年2月ある臨時教職員の方から「ある組合の役員の方にその組合に入ると採用に有利なるといわれたのですが、本当ですか」と相談を受けました。昨年もこの場で「どの職員団体に加入しているかによって、本来任命権者に由来する権限にさえ『有利』『不利』が働くということがささやかれ、それを強く感じさせるものがある」と述べました。このような事例はあってはならないことで、兵庫県教育への信頼を突き崩すことになります。この点での県教委としての毅然たる対応を改めて求めたいと思います。
以上、子どもと教育を守り、働きやすい職場を作るために兵庫県教委の真摯な対応をお願いして申し入れとします。