ソリッドモデルの製作で老後の生きがい
DOUGLAS DC−6B の製作

50年近く前にその頃最後に作ったのがDC-6Bで、下の写真がそれです(1/100)。幸いにも偶然まだ現存してました。左の水平尾翼はもがれて紛失、プロペラは変形、色はくすんで見る影もありませんが自分にとっては貴重な思い出の作品です。そこで壊れたところは補修をして、色を塗り直してみようかと思いましたが、いっその事新しく作り直して、これはこれでこのまま保管しておいたほうが良いと気づき、この度の製作となりました。縮尺は1/72とし、17年の10月に着手し,18年3月に完成しました。


約50年前の昭和32年に作った100分の1です

先ずは資料集めです。例によってDC-6Bのプラモデルをネットで探し購入。塗装図面を拡大して概略の図面を取得します(右上)。左の4面図はTSMCの会員の方からお借りしたDC-7Cのものですが6Bとは姉妹機ですので、細部について物凄く参考になります。右下のイラストはこれも会員の方から提供していただいた細密イラストです。窓の配置、塗装デザインなど朱玉の資料です。TSMCの会員になった事の恩恵がここで物凄く現れています。その他HPで検索しましたら12万件ほどのヒットがあり2日掛かりで約100枚ほどの参考写真を収集しました。このあたり現代の情報社会の有り難さが身に沁みます。
機体の基本部分は出来ました。ここまでは殆ど野外での大工仕事です。丸ノコ、卓上ノコ、鉋、サンダー、ノミ、小刀、彫刻刀など日曜大工の道具を総動員でこなします。ここまでは騒音、木屑、おが屑、鉋屑が大変でとても部屋の中では出来ません。手法は過去のMD-11,A300と変わりませんが、機体の根幹を決めるところで、ここで0.5ミリでも狂うと後々色々な矛盾や障害が生じますので慎重に進めます。この辺までは割合早く進みますが、これからの道のりが大変でも有り楽しみでもあるところです。
プロペラの製作です。2ミリのアルミ針金を寸法よりやや長めに切ってハンマーで叩出し(左図)鋏で切って基本の形を作ります.
ヤスリ、サンドペーパー、ミニルーターなどで根気よく荒削りの整形をします。本機の場合4発エンジンで3枚羽根ですので計12枚のペラが必要です。一つひとつの整形も大切ですが肝心なのは12枚全部が均等な形と仕上がりが揃うと言う事が一番重要でそこに神経を使います。仕上げも捻りもまだこれからです。
直径7ミリのアルミ棒を削って製作したスピンナーです。長さ19ミリで計4個、材料としては合計76ミリを使用した事になりますが、購入したアルミ棒は全長1000ミリで差し引き924ミリはすべて失敗作で屑となりました。
初めての金属加工の仕事は難関を極めまして色々試行錯誤の結果、漸く何とか形になりました。途中何度か諦めて木材に切り替えようかと思いましたが乗りかかった船で挑戦。まだ磨きが充分ではありませんが仕上がれば木地に銀塗装では得られない味が出るのではと思っています。
プラ板を2ミリ幅に切りそれに0.5ミリの針金を巻き、小さく切ってシリンダーのつもりです。
一個一個を正確な寸法に整形して、プラ板でリングを作りそれに貼り付けました。この機体のエンジンは星型2列18気筒ですので、見かけは9気筒です。なんとか9個を並べることが出来ました。ちなみに直径は14ミリです。
シリンダーを内部に接着しカウリングの先端にアルミの針金で作ったリングを貼り付け(手前)周囲をパテで埋めます(後ろ側)。これは先端の表情を決める為です。
パテを整形しスピンナーを仮付けしてみました。アルミのリングが功を奏して見事に表情が揃い、画数12画の「エンジン」というより、39画(?)の「発動機」と呼びたくなるような重々しさが出てきたようで自己満足です。
エンジン下部のオイルクーラーと上部のキャブレーターの空気取り入れ口の整形を進めておりますが、例によって不揃いに悪戦苦闘中です。
客席窓の掘り込みです。工程があちこち飛びますがエンジンナセルを作りたい為、それには主翼をある程度完成させねばならず、それには胴体も目途をつけておかなければならないので、胴体の細かいところを手がける事にしました。B-747,A300等従来は窓は描画ですませていますが、今回は1/72で胴体の大きさ(全長約450ミリ)に比べ窓が相対的に大きく、ペインテングやデカールでの処理では面白くないと思いちょっと凝る事にしました。
窓を同じ大きさ、形に彫る事に予想以上に苦労、菱形になったり台形になったり上下が平行でなかったりで、かなり正確に輪郭線を引き彫り進めましたが結局2度失敗しパテで埋めては彫りなおし、3度目で罫引き鉋の刃を利用して平行線を引くことで上手く行きました。
エンジンナセルの削りだし。
ジェットエンジンは多くの場合パイロンで吊るすだけですが、レシプロは主翼に固定されますのでそのパーツが必要です。如何に主翼の形状にフィットさせるかが難しいところですが、今回は上下を分割して整形しました。つまりエンジン全体はエンジン、ナセル上部、ナセル下部の三分割で完成させるわけです。50年前に作った時は1体で削りだし、えぐった穴に主翼を貫通させようとしたので物凄く苦労したことを思い出しました。
漸くモックアップがほぼ完成。
エンジン周りの整形が済めばいよいよ塗装作業に入ります。

昨年10月の資料集めからスタートして足掛け5ヶ月、なんとか順調に進んでいます。ジェット機と違いレシプロ機はエンジンの作業工程がジェットの数倍掛かる事が体験で判りました。完成予定はやはり3月になりそうです。
下塗りの完了。乗用車VOLVOの板金塗装に使うサフェッサーを筆塗りした後、360番から最高1000番の水ペーパーで磨き上げ最後に色乗りをよくするため、クレオスのMr.ベースホワイト1000を吹きました。見たところプラモデルの素組の感じです。ここで思い出したのは50年前に作った同機の下塗りのとき田舎の事でサフェッサーが手に入らず、本に書いてあったようにクリヤーラッカーに粉歯磨きを混ぜてそれを塗り下地作りをしたことです。
TOP写真のDC-6Bの下地はライオン歯磨きです。
プロペラが完成。
100%満足では有りませんが、程ほどで妥協する事にしました。何しろ羽根は4回ほど作り直しで延べ50枚ほど、スピンナーは30個ほど作った結果です。金属加工が如何に難しいか厭と言うほど味あわせてくれました。でも楽しかったです。
基本色の白と銀を吹き、機体を貫く赤と青の帯のためのマスキングを施す。あれほど注意して寸法取りして削ってきたのにも関わらず、操縦席の窓と客席窓、水平尾翼の位置の関係が旨く行かず矛盾を解決するためのレイアウトにまた悩みました。
赤と青の帯が入り日航機の雰囲気が出てまいりました。いよいよロゴとマーク入れを待つのみです。そして窓の仕上げと最後は艶出し作業となります。
ロゴとマークはデカールを自作します。今迄はプリントゴッコやタットーシールなどを使い苦労の割には仕上がりがいまいちだったのですが、ついにアルプスのMDプリンターを手に入れることが出来ました。関西の先輩から「ヤフーオークションで中古が安く手に入りますよ」とアドバイスを頂き早速挑戦したところMD-1000が1万円足らずで入手できました。今新品を買おうとすると6万円ほどかかるようです。有り難い世の中ですね。これさえあればどんなロゴでもマーク、模様でも怖いものなしといえそうです。
デカールの出来上がり。本機の場合は複雑な紋様などありませんので、ロゴはすべてエクセル上でワードアートを利用し、鶴丸マークは画用紙に条規やコンパスを使いレタリングしてスキャナーで読み込み使いました。
将来的にはグラフィックソフトを勉強してパソコン上で作画をしたいと思っています。
デカールを印刷するにはプリンターの取説にはその事は一切記述して有りませんので、ネットで探しましたら実に親切なご説明が沢山見つかりました。一部を本ページのリンク集でご紹介いたしましたので必要な方はご参考にしてください。
エンジンの冷却気排気口のフタの取り付け。この部分なんと呼ぶのでしょうか、ご存知の方教えてください。旧軍機にもよく見られますね。
WEBで集めた写真を見ると、ここは巡航中には常に塞がっているようですが、地上でのアイドリング中はパッと開いているようです。
しかし飛行中でも少し開いているのが少なからず見つかりましたので、これは面白いと思い本機ではそれを表現しました。
(このフタは「カウルフラップ」と云うのだそうです。早速に教えていただく事が出来ました。有難うございました。)
艶出しのため「クレオスMr.スーパークリアー光沢」を数回吹き3日ほど乾燥させて600,1000,1500,2000番の水ペーパーで研ぎ
出しをして、タミヤコンパウンド(細目)をクレオスのフィニッシングクロスを使い磨き上げたところ見事なツルピカになりました。
この後デカールを貼り、さすがプリントゴッコとは違いスッキリ、クッキリ鮮やかにレタリングできました。 
最後の仕上げは窓ガラスのはめ込みです。窓色に塗装したアルミ板を1枚1枚はめ込んで接着してゆきます。アルミ板は例によってビールの空き缶です。
胴体表面と窓の間に立体感が出てかなりリアルな感じになりました。但し少なからず並びが千鳥になりそれが面白くありませんがこれも妥協です。
空き缶といえば、終戦直後の物資が乏しかった頃、駄菓子屋で売っていたブリキ製のおもちゃが内側を見ると進駐軍の払い下げのビールなどの空き缶だった事を思い出します。
「ギブミー チョコレート」の世代なのです。
客席窓や操縦席窓の細工ですが、図のように先ず窓の大きさの穴を掘り、そのままでは深さや平面性を整える事は殆ど不可能ですので、そこで少量のパテを盛りサランラップを貼り付けて、押し型として透明の薄いプラスチック片に0.5ミリ厚の窓の大きさの厚紙を張りそれでパテを押さえます。パテが乾いたらサランラップを剥がしますと一定の深さの窪みと平面が出来ますので、その上にガラスを貼り付けました。パテの量は穴の底に充分行き渡る必要はありませんのでほんの少しにしておきます。例えは悪いですが鼻くそを丸めたぐらいです。
アンテナ、プロペラをつけて遂に完成!!足かけ6ヶ月 至福のときです。苦心の割にはうっかりミスや技量の稚劣さで思うように仕上がっていないところも多々有りますが、自分はこんなもんだと納得する事にしていますが、多少はまだ修正出来そうなところも有りやり直し等をじっくりするつもりです。

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