家を午前4時前に出たのだが、矢木沢ダム天端部西側の駐車場に着いた頃には6時半を過ぎていた。平日の早朝といっても駐車場にはすでにボートやカヌーを牽引した車両が数台停まっている。去年と同じ賑わいだ。雪融け水を集めた奥利根湖の貯水率はほぼ満杯状態。北側に深い緑の湖面が広がっている。気温は12℃。天候は曇り。天気予報では、関東地方の山間部は午後からにわか雨があると出ていた。今日はなるべく早く登って下山しなければならない。
出発の準備をしていると、ボートを牽引した乗用車やカヌーを積んだワンボックス車が駐車場に入ってきた。奥利根湖の水上レジャーは相変わらず盛況だ。平日はほとんどが釣り客らしい。西側の発着場では小型ボートが湖面に下ろされ、次々に沖へ乗り出して行く。
今年は暖冬だったせいか、樹木の葉は鬱蒼と生い茂っていた。去年は6月の下旬に登ったのだが、ダムサイト付近の樹木はまだ若葉程度で明るい樹林帯だった。今年は駐車場から薄暗い木陰の斜面を登ることとなる。
落ち葉が積もった急斜面を登ると、すぐに上部にUHFアンテナが何基も設置された建物に着く。横田氏によると、テレビの受信施設らしい。
小屋の西側からは雑木類の枝を掻き分けながら登る。そのうちに針葉樹のアスナロも混じってきて非常に手強い。それから尾根筋には倒木も多い。
倒木のあるコブ地点を越えて行くと、灌木類のシャクナゲも見えるようになる。そしてちょっと開けた岩のある地点に着く。横田氏がいうところ「露岩の台地」らしい。
そこから少し登ると、平坦な尾根地点に出る。1009m峰の東端部らしい。展望はないが、そこでも一息つく。この付近はブナやキタゴヨウやアスナロなどの大木が多い。伐採が入っていないのかもしれない。
一時的に広葉樹の雑木類が多いところを登って行くと、周囲から小鳥の啼き声が一斉に聞こえてきた。繁殖期の囀りだ。そのうちにまたアスナロの多い薄暗い樹林帯となる。それから尾根の傾斜も増してくる。体力が衰えたねくらハイカーは急激にペースが落ちる。そこからはいつものように休み休み登る。
そこから地形図通り西へ下り気味に進み。再び雑木とアスナロの密ヤブ帯の尾根を登るようになる。
そのうちに本格的なブナの樹林帯となってきた。このブナ林の広尾根はどこを登って行けばいいのか見当がつかない。昔の登山道か作業道かは不明だが、尾根の斜面には何か溝状のものがある。
クマザサなども茂るブナ林の広尾根を適当に北西から西へ方向を変えて登る。ブナの大木を眺めながら尾根沿いを登って行くと、そのうちに南西方向へ進むようになった。自分では西へ登ったつもりなのだが、いつの間にか方向が変わっていた。
腰丈ほどの笹が生えた雑木林の広尾根を南西へ登って行くと、傾斜もやや緩くなり、やがてブナに混じって針葉樹のクロベ(ネズコ)の大木が茂るピーク地点に着く。地形図の等高線で1250m圏の山頂だ。
気温は14℃。相変わらずの曇天。周りの樹林帯からウグイスやツツドリなどの啼き声がひっきりなしに聞こえてくる。しかし日陰になっているせいか、何とも落ち着かない。
この1250mピークから尾根ルートは右(西)へ折れる。休憩後、笹ヤブの中の枯木や倒木を乗り越えて西側に下ると、人工的に削られたような赤土の斜面が見えた。この段差状になった斜面の下がちょっと開けたような小鞍部となっていて、そこから北北東の方向に小沢岳あたりを眺めることができた。
鞍部から西側は一時的に背丈以上の笹ヤブとなる。ここは手で掻き分けながら進む。先人の目印は付いていない。残雪期なら、このあたりから見通しが利く雪面の尾根歩きとなるのだろうが、無雪期はここからがきつい密ヤブ帯の登りになる。
見通しがまったく利かないヤブの斜面をやや北西寄りに登ると、そのうちクロベなどの針葉樹にシャクナゲが混じる密ヤブ帯となってきた。1320mピークの山頂部東側らしい。
途中で何度も休みながら西へトロトロ進む。
クロベとシャクナゲが多いヤブ尾根を遅々たる歩みで西側へ進んで行くと、前方(北西)の樹間に家ノ串の山頂部が見えるところに出た。
小休後、ヤブの斜面を下り、鞍部付近から再びクロベやキタゴヨウの針葉樹とシャクナゲなどの灌木類が茂る尾根に取り付く。このあたりからシャクナゲには花がついているものが多くなった。ねくらハイカーには花を観賞できるような余裕はない。
途中、右側の樹間に奥利根湖が見えた。湖面には微かな漣が立っている。耳を澄ますと湖上を走るボートのエンジン音が聞こえてきた。
暫くは倒木の多いヤブ尾根をコツコツ登る。尾根歩きに邪魔なシャクナゲは、今が花の見頃だ。花冠は清楚で美しいのだが、どうも愛でる気にはならない。
途中、小さな岩場があるヤブ尾根で小休止。そこから、南西には相変わらず布引尾根が見える。さらに南東には上州武尊山のなだらかな山並みも目に入る。
少し登ると、ヤブの中にコブシのような白い花が一輪咲いていた。よく見ると、タムシバだ。このあたりから上はタムシバの開花期になっているらしい。それから、雑木類の灌木の下にはイワカガミのような山野草も可愛い花をつけていた。
体力が衰えたヘタレハイカーは途中でまた一息つく。すると、たちまちハエが集まり出す。今日は曇天で湿気もある。気温は17℃ほど。ちょっと蒸している。
笹の多いヤブ尾根を登って行くと、そのうちに高木の樹木は少なくなってきた。傾斜もかなり増してくる。我慢して西方向に登りつづけると、やがて胸丈ほどの灌木帯の斜面となってきた。
そこは昨年三角点の標石を確認したところで、笹に自分が付けた目印があった。そこで、周囲の笹を脚で払うと、足元に三等三角点の標石が現れた。ここが家ノ串の山頂(1534m)*だ。
山頂とはいっても、この地点は灌木や笹の覆われたヤブ尾根で、無雪期は展望がよくない。南西に布引尾根や朝日岳の山並み、南東に武尊山方面が見える程度。それから、胸丈ほどの笹や灌木が密生しているので、落ち着いて休める場所はない。うるさいハエも集まってきた。
少し尾根筋を下り再びヤブを漕ぎながら登って行くと、右(北西)方向の樹間に荒々しい岩肌を持つ山稜のピークが見えてくる。刃物ヶ崎(はもんがさき)山だ。
そこから右側の広葉樹の低木林に沿って笹尾根を掻き分けながら進んで行くと、やがて小さな倒木と枯木のあるところに出る。足元には上辺に丸みを帯びた主三角点の標石が埋設されている。
こちらの山頂は膝丈から腰丈ほどの笹や雑木の灌木類が茂っているが、いくらか見晴らしがある。無雪期なので好展望とは行かないが、上越国境付近の残雪の山々を見渡すことができる。
一方、西から南西には遮るものがないので上越国境付近の山々が一望できる。檜倉山・大烏帽子山・ジャンクションピーク・朝日岳・笠ヶ岳*などが見える。
そして南東には上州武尊山のなだらかな山並みのシルエットが浮かび、東には、至仏山や尾瀬笠ヶ岳のゆったりとした稜線が横たわっている。さらに北東には燧岳や平ヶ岳の稜線も確認できる。
巻機山を確認してみようと山頂部のヤブ尾根を北西へ進んでみたが、巻機付近は樹木の枝に隠れてよく見えない。残雪期であれば360度に近い展望が楽しめるようだが、無雪期はこのくらいで満足するしかない。再び主三角点まで戻る。
昨年は帰り際に何回もルートミスをしたので、早めに下山した方がいい。天気も気になる。
ねくらハイカーはどうしても巻機方面を確認したいので、途中、左(北西)に刃物ヶ崎山が見えるあたりから笹ヤブの斜面を10mほど北側に下り、樹間越しに北西方向を眺めた。
巻機山を見ることができたので、あとはクマザサを漕いでヤブ尾根に這い上がり、家ノ串東峰(三角点ピーク)に進む。三角点で一息つき、すぐに矢木沢ダムの天端部へ向かって南東に下る。見た目にはダムまで簡単に下れそうなのだが、ルートミスの常習者にとってはこの下りが結構難しい。
途中、小さな岩場があるところで小休止。このあたりは風が当たらないので、急に毒虫が付き纏い出した。
仕方ないので、何とかテープの目印がある尾根地点まで戻り、そこから周りを見回しながら少し南東寄りにヤブ尾根を進んで行くと、倒木の先の日陰の樹林帯に小さなテープが見えた。尾根ルートは歩きづらい南東側にあった。
すると、どうにか1250mピーク西側の小鞍部に着いた。しかし、ヤレヤレこれでひと安心と思いきや、ここで雨粒が当たり出した。これはマズイ。一刻も早くダムサイトに下らないといけない。
そこで今下ってきた斜面を登り返して再び1250mピークの山頂に戻る。クロベの大木の下で一息つき、今度はコンパスを出して北東方向へ下ってみる。
しかして、雑木が茂る広尾根を北東へ下って行くと、薄暗い樹林帯で再びテープを見失った。そこでまたテープが確認できるところまで登り返す。ヘタレハイカーはこの登りでバテバテになってしまった。休憩しながら次のテープを探してみるが中々見つからない。
そこから南東方向へ下って行くと、広葉樹の雑木類から針葉樹のアスナロ主体のヤブ尾根になる。このあたりは雨粒がシトシト当たる薄暗い樹林帯となっていて、ヘタレハイカーはテープを確認しながら尾根筋を下るのが精一杯。
そのうちにアスナロ林の明瞭な尾根筋を下るようになる。雨も小降りになってきた。あとは尾根筋を進めばいいので、何とかなりそうだ…。ここでまた楽観的になる。
小屋からは道跡のある尾根筋を下る。間もなく左下に駐車場が見えた。アスファルト面が薄っすら濡れているので、ダム付近も雨が降ったようだ。帰宅した人も多いようで、ボートを牽引した車は少なく閑散としている。どうにか駐車場に戻れたということで、ここでねくらハイカーは大きく深呼吸をする。それから梯子を伝わって駐車場に降りた。| 日程 | 2009年6月3日 (水) |
| 天候 | 曇りのち雨(にわか雨) 稜線上西寄りの風 |
| 行程時刻 | 矢木沢ダム西側駐車場6:45→(西または北西へ)→アンテナ小屋6:48〜6:50→(途中、休憩8分)→1009P東端部7:21〜7:26→1009P付近7:27〜7:28→1113P付近7:52〜7:54→(途中、休憩5分)→(広尾根を南西へ)→1250P 8:35〜8:50→(西へ)→1250P西側小鞍部8:50〜8:52→(途中、休憩5分)→1320P東側付近9:15〜9:18→(途中、休憩5分)→1320P西側付近9:32〜9:37→(北西または西へ)→(途中、休憩3回計10分弱)→家ノ串東峰(三角点P)11:05〜11:10→(西へ)→家ノ串西峰(主三角点P)11:30〜12:15→(東へ戻り)→(途中、北面へ下りタイムロス3分)→家ノ串東峰(三角点P)12:36〜12:38→(東または南東へ)→(途中、休憩5分)→1320P西側付近13:35→(途中、休憩5分弱)→1320P東側付近 ?:?→(そのまま東へ下りルートミス、タイムロス10分ほど)→(西へ戻り)→1320P東側付近14:00(?)→(南東へ下り笹ヤブを東へ)→1250P西側小鞍部14:17〜14:20→1250P 14:21→(南東へ下りルートミス)→(北西へ戻る)→1250P 14:30〜14:31→(北東へ)→(そのまま北東へ下りルートミス、タイムロス&休憩計20分強)→(南西へ登り返し、途中から南東へ)→1113P付近15:18〜15:20→(東または南東へ)→(途中ルートミスあり、タイムロス5分強)→1009P付近16:15→1009P東端部16:17〜16:22→(途中ルートミスあり、タイムロス10分弱)→アンテナ小屋16:50〜16:53→駐車場16:57 |
| 備考 | ♦この記録は、横田昭二 著『私が登った群馬300山』(上毛新聞社刊)およびHP「群馬山岳移動通信」の記録等を拝見し、参考にさせていただきました。 ♦この記録では復路で何度もルートミスをしています。もしルートミスがなければ、行程時間は1時間くらい短縮可能です。 |
◇ T N H C ◇