矢木沢ダムから家ノ串



 ねくらハイカーは昨年6月に横田昭二氏の『群馬300山』やネットの記録等を参考にして、利根川最上流にある矢木沢ダムから家ノ串(いえのぐし)*に登った。ヤブ漕ぎをしてどうにか山頂に立つことができたのだが、帰りのヤブ尾根でカメラを失くしてしまい記録をまとめることができなかった。

 そこで今年は5月の残雪期にもう一度登ってみようかと考えていた。しかし己れの怠惰な性格ゆえ、家でゴロゴロ過ごして、その時機を逸してしまった。とはいえ家ノ串は無雪期でも日帰り可能だ。そこで今年も6月初め頃、利根郡みなかみ町にある矢木沢ダムへ出かけてみた。

[*「家ノ串」というと、利根沼田地方では上州武尊山の2103m峰が有名だが、ここは奥利根の矢木沢ダムから西へ延びる尾根上にある標高1534.3mの三角点ピーク。串(ぐし)とは屋根の棟(ぐし)のことで、山名はその形状から来ているとのこと。]
矢木沢ダム駐車場付近から北方向、奥にイラサワ山〜幽の沢山〜1594P  家を午前4時前に出たのだが、矢木沢ダム天端部西側の駐車場に着いた頃には6時半を過ぎていた。平日の早朝といっても駐車場にはすでにボートやカヌーを牽引した車両が数台停まっている。去年と同じ賑わいだ。雪融け水を集めた奥利根湖の貯水率はほぼ満杯状態。北側に深い緑の湖面が広がっている。気温は12℃。天候は曇り。天気予報では、関東地方の山間部は午後からにわか雨があると出ていた。今日はなるべく早く登って下山しなければならない。

 駐車場付近からは北方向に残雪の山並みがわずかながら見えている。多分、正面にある残雪の平頂が幽の沢山で、左がイラサワ山、右が1594.2m三角点峰*だろう。イラサワ山の後ろにちょこんと顔を出している残雪のピークが上越国境に聳える小沢岳らしい。

[*この三角点峰は沢の名前から「カワゴ沢山」・「西ゼンの頭」・「西千ヶ倉山」などと呼ばれている。]

駐車場西側にある登り口  出発の準備をしていると、ボートを牽引した乗用車やカヌーを積んだワンボックス車が駐車場に入ってきた。奥利根湖の水上レジャーは相変わらず盛況だ。平日はほとんどが釣り客らしい。西側の発着場では小型ボートが湖面に下ろされ、次々に沖へ乗り出して行く。

 ヤブ山ハイカーも準備を整え、西側のコンクリートの擁壁に設置された梯子を登って上の雑木林の斜面に取り付く。

トラロープあり 右下に駐車場  今年は暖冬だったせいか、樹木の葉は鬱蒼と生い茂っていた。去年は6月の下旬に登ったのだが、ダムサイト付近の樹木はまだ若葉程度で明るい樹林帯だった。今年は駐車場から薄暗い木陰の斜面を登ることとなる。

 まずはトラロープなどが張られた尾根筋を北西寄りに登る。右下には駐車場が見える。

アンテナ小屋  落ち葉が積もった急斜面を登ると、すぐに上部にUHFアンテナが何基も設置された建物に着く。横田氏によると、テレビの受信施設らしい。

 ここから上は道跡のない猛烈なヤブ尾根となるので、ここでひと呼吸整えてヤブ漕ぎの準備をする。

雑木の密ヤブ帯  小屋の西側からは雑木類の枝を掻き分けながら登る。そのうちに針葉樹のアスナロも混じってきて非常に手強い。それから尾根筋には倒木も多い。

 去年登ったときには、本当にこんなところを登る人がいるのだろうかと疑ったが、実際に尾根沿いの樹木に先人たちが付けた白や黄色や緑色のビニール紐の目印があった。

 今年もその先人の目印が確認できる。去年のねくらハイカーの目印もある。残雪期と思われるが、少ないながらもここを登る人がいるようだ。

「露岩の台地」付近(?)  倒木のあるコブ地点を越えて行くと、灌木類のシャクナゲも見えるようになる。そしてちょっと開けた岩のある地点に着く。横田氏がいうところ「露岩の台地」らしい。

 積雪期なら樹林の枝越しに奥利根湖が見えるのかもしれないが、今は葉が生い茂ってほとんど展望はない。一息ついて、雑木にアスナロが混じったヤブ尾根を西へ辿る。

1009P山頂付近  そこから少し登ると、平坦な尾根地点に出る。1009m峰の東端部らしい。展望はないが、そこでも一息つく。この付近はブナやキタゴヨウやアスナロなどの大木が多い。伐採が入っていないのかもしれない。

 そこから北西に進んで行くと日陰のピーク地点を通る。1009m標高点のようだ。樹木にはひっそりと黄色のビニール紐が付いていた。展望はないのでそのまま西へ進む。

 尾根筋を下って行くと、ヤブが消えて歩きやすい高木のアスナロ林となる。しかし登りにかかると、今度は足元に膝丈から腰丈ほどのアスナロの幼木が繁茂してきて再び歩きづらくなった。アスナロの下には倒木が多い。適当にルートを選びながら進む。

1113P山頂付近  一時的に広葉樹の雑木類が多いところを登って行くと、周囲から小鳥の啼き声が一斉に聞こえてきた。繁殖期の囀りだ。そのうちにまたアスナロの多い薄暗い樹林帯となる。それから尾根の傾斜も増してくる。体力が衰えたねくらハイカーは急激にペースが落ちる。そこからはいつものように休み休み登る。

 やがて日陰のコブ状地点に着く。1113mの標高点ピークらしい。去年自分が付けたテープの目印が見える。昨年は帰り際に見通しの利かない樹林帯で何度もルートミスを犯した。今回は自分のためにテープをペタペタ付けながら行く。現在位置が確認できるGPSを持っていない貧乏ハイカーはこれしか方法がない。

尾根沿いには大木もあり  そこから地形図通り西へ下り気味に進み。再び雑木とアスナロの密ヤブ帯の尾根を登るようになる。

 少し我慢して登って行くと、広葉樹主体の明るい尾根筋となってきた。このあたりには直径70cmほどの大木もある。昔の伐採時に伐り残されたものらしい。

 気持ちのいい新緑の雑木林となっているので、ここでも一息つく。天気は相変わらず曇り。このまま雨が降らないように祈るしかない。

ブナが多い雑木林の広尾根  そのうちに本格的なブナの樹林帯となってきた。このブナ林の広尾根はどこを登って行けばいいのか見当がつかない。昔の登山道か作業道かは不明だが、尾根の斜面には何か溝状のものがある。

 先人の目印も極端に少なくなった。先人たちがどこを登っているのかわからない。多分、このあたりから見通しの利く残雪面になったのだろう。目印を付ける必要がなくなったわけだ。

 ねくらハイカーは去年の帰りにこの付近で迷っている。念入りにテープを付けておく。

所々にブナの大木あり ムシカリ(オオカメノキ)  クマザサなども茂るブナ林の広尾根を適当に北西から西へ方向を変えて登る。ブナの大木を眺めながら尾根沿いを登って行くと、そのうちに南西方向へ進むようになった。自分では西へ登ったつもりなのだが、いつの間にか方向が変わっていた。

 明るい雑木林にはムシカリ(オオカメノキ)の白い花が所々に見える。そして遠方からツツドリの啼き声も聞こえてきた。標高は1200m付近らしいが、気分的には亜高山帯の森にいる感じがする。

1250P山頂部  腰丈ほどの笹が生えた雑木林の広尾根を南西へ登って行くと、傾斜もやや緩くなり、やがてブナに混じって針葉樹のクロベ(ネズコ)の大木が茂るピーク地点に着く。地形図の等高線で1250m圏の山頂だ。

 この山頂付近からは、南東方向の樹間になだらかな山影が目に入る。方向からすると、上州武尊山だ。それから、南西方向の樹間には残雪の稜線も見えた。昭文社の古い山と高原地図『谷川岳』(山岳巡礼倶楽部 執筆)を参照すると、上越国境の朝日岳付近らしい。

 横田氏によると、この山頂付近につぶれた作業小屋があるということだが、周囲に樹木が生い茂っていて確認することはできない。

1250P付近から南西方向、中央に朝日・烏帽子(1736P)・JP[ズーム画像]  気温は14℃。相変わらずの曇天。周りの樹林帯からウグイスやツツドリなどの啼き声がひっきりなしに聞こえてくる。しかし日陰になっているせいか、何とも落ち着かない。

 休みながら傍らの枯木に目をやると、シロアリを狙った爪痕があった。かなり新しい。やはり、黒いヤツも出没しているようだ。奥利根地方はツキノワグマの聖域となっている。生息数もかなり多いらしい。これは、ラジオをつけて音を出しながら休んでいた方がよさそうだ…。

 それから、ハエも集まり出した。刺してくるのでサシバエも混じっている。今日は防虫スプレーを持ってこなかった。これはちょっとマズイ。

1250P西側から西方向、手前に平坦な小鞍部あり 1250P西側鞍部付近から北方向、中段中央にイラサワ山、後方に小沢岳・幽の沢山  この1250mピークから尾根ルートは右(西)へ折れる。休憩後、笹ヤブの中の枯木や倒木を乗り越えて西側に下ると、人工的に削られたような赤土の斜面が見えた。この段差状になった斜面の下がちょっと開けたような小鞍部となっていて、そこから北北東の方向に小沢岳あたりを眺めることができた。

 ところで、この鞍部付近には古いワイヤーが放置されていた。昔の伐採作業に使われたものらしい。もしかすると、横田氏がいう作業小屋はこのあたりにあったのかもしれない…。

雑木類の密ヤブ帯  鞍部から西側は一時的に背丈以上の笹ヤブとなる。ここは手で掻き分けながら進む。先人の目印は付いていない。残雪期なら、このあたりから見通しが利く雪面の尾根歩きとなるのだろうが、無雪期はここからがきつい密ヤブ帯の登りになる。

 笹ヤブを抜けると今度は雑木類のヤブがつづく。尾根状の斜面には倒木が多い。無雪期はこのあたりも迷いやすいので、自分用にテープの目印を付けながら行く。

1320P南東面のヤブ  見通しがまったく利かないヤブの斜面をやや北西寄りに登ると、そのうちクロベなどの針葉樹にシャクナゲが混じる密ヤブ帯となってきた。1320mピークの山頂部東側らしい。

 ここからの平坦なヤブ尾根が非常に歩きにくい。前方へ進むのにシャクナゲのヤブを越えて行くしか方法がない。しかし、枝が脚に絡み付いて中々進めない。倒木も多く、これを乗り越えるのが結構きつい。

南西に布引尾根東側にある雨ヶ立山[ズーム画像]  途中で何度も休みながら西へトロトロ進む。

 ヤブを避けながら行くと、時折左方向の樹間に矢木沢対岸に聳える山尾根が見える。方向からすると、上越国境の大烏帽子山から南東へ延びる布引尾根だ。去年より残雪は少ない。

1320P山頂部のヤブ尾根 1320P西端部から家ノ串山頂部  クロベとシャクナゲが多いヤブ尾根を遅々たる歩みで西側へ進んで行くと、前方(北西)の樹間に家ノ串の山頂部が見えるところに出た。

 尾根ルートはここから少し下りになる。このあたりが1320mピークの西端部だ。ひとまず山頂付近を眺めながら一息入れる。ここから上もきついヤブ尾根がつづいているので、気は重い。

アズマシャクナゲ  小休後、ヤブの斜面を下り、鞍部付近から再びクロベやキタゴヨウの針葉樹とシャクナゲなどの灌木類が茂る尾根に取り付く。このあたりからシャクナゲには花がついているものが多くなった。ねくらハイカーには花を観賞できるような余裕はない。

 ヤブ尾根の巻けるところは右や左の斜面に避けながら進む。しかし、両側の斜面が密ヤブになっているところが多く、そこは尾根を直登するしかない。このあたりの尾根筋は何か原生林っぽく、伐採が入っていないように見える。古い倒木やクロベの根元付近には不気味な感じの空洞もある。黒いヤツが潜んでいてもおかしくないような雰囲気だ。それから、付近の笹ヤブには独特な獣臭がする。臆病者のヘタレハイカーは鈴を喧しく鳴らしながら進む。

左に布引尾根(雨立〜布引〜烏帽子〜大烏帽子) 右に奥利根湖  途中、右側の樹間に奥利根湖が見えた。湖面には微かな漣が立っている。耳を澄ますと湖上を走るボートのエンジン音が聞こえてきた。

 それから、左側の樹間には布引尾根の稜線を眺めることができる。

ムラサキヤシオ  暫くは倒木の多いヤブ尾根をコツコツ登る。尾根歩きに邪魔なシャクナゲは、今が花の見頃だ。花冠は清楚で美しいのだが、どうも愛でる気にはならない。

 そのうちに、尾根沿いには遅咲きのムラサキヤシオの花もチラホラ見えるようになった。ツツジの花もまことに見事だが、これまた観賞する余裕はない。

南東方向に上州武尊山  途中、小さな岩場があるヤブ尾根で小休止。そこから、南西には相変わらず布引尾根が見える。さらに南東には上州武尊山のなだらかな山並みも目に入る。

 ちょっと休んでいると、すぐにハエが集まってきた。じっとしていると刺されるので、またヤブ尾根をえっちらおっちら登り出す。

タムシバ  少し登ると、ヤブの中にコブシのような白い花が一輪咲いていた。よく見ると、タムシバだ。このあたりから上はタムシバの開花期になっているらしい。それから、雑木類の灌木の下にはイワカガミのような山野草も可愛い花をつけていた。

 さらにヤブを漕いで登って行くと、シャクナゲは少なくなり、笹や雑木類主体のヤブとなる。シャクナゲより笹や雑木の方が登りやすい。

笹と雑木類のヤブ尾根  体力が衰えたヘタレハイカーは途中でまた一息つく。すると、たちまちハエが集まり出す。今日は曇天で湿気もある。気温は17℃ほど。ちょっと蒸している。

 ハエの中にはヌカカのような毒虫も混じっているようで、2、3分ボケっとしていたら、額から耳にかけて数ヶ所刺されてしまった。掻くと痒さが増すのでここは我慢する。気休めに携帯してきた虫刺され用の軟膏を塗ってみたが、古いヤツなので薬効成分が抜けてしまったらしく、痒みが治まらない。

 仕方ないので、毒虫を手で追い払いながら再び歩き出す。

手前の肩状地点から家ノ串山頂部(三角点P・東峰)  笹の多いヤブ尾根を登って行くと、そのうちに高木の樹木は少なくなってきた。傾斜もかなり増してくる。我慢して西方向に登りつづけると、やがて胸丈ほどの灌木帯の斜面となってきた。

 そのあたりから後ろ(東)をふり返ると、奥利根湖や矢木沢ダムの天端部が見えた。日崎山の後方には至仏山の稜線も見えている。標高は1450mを越えたようだ。さらに密生した雑木類の枝や笹を掴んで身体を引き上げながら登りつづける。

 5分ほど密ヤブを漕ぐと、何か左側が切れ落ちたような肩状の尾根地点に出た。そこから上部を眺めると家ノ串の山頂部が間近に迫っていた。もう一息だ。

 その尾根筋を山頂に向かって進む。分速3mほどのピッチでヤブ尾根を登る。頂上が見えているので、何とか我慢できる。密ヤブを掻き分け、最後は獣道のような細い溝がある急斜面を笹を掴んで登ると、ようやく山頂部に出た。
家ノ串(東峰)三等三角点標石 家ノ串東峰付近から南西方向、ヤブ越しに上越国境のJP・大烏帽子  そこは昨年三角点の標石を確認したところで、笹に自分が付けた目印があった。そこで、周囲の笹を脚で払うと、足元に三等三角点の標石が現れた。ここが家ノ串の山頂(1534m)*だ。

 去年は標石に苔が付いていたのだが、帰り際にねくらハイカーが払い落としておいた。今年はそのままきれいな状態で出てきた。

[*家ノ串東峰(三角点ピーク)]

山頂部のヤブ尾根を西へ  山頂とはいっても、この地点は灌木や笹の覆われたヤブ尾根で、無雪期は展望がよくない。南西に布引尾根や朝日岳の山並み、南東に武尊山方面が見える程度。それから、胸丈ほどの笹や灌木が密生しているので、落ち着いて休める場所はない。うるさいハエも集まってきた。

 家ノ串は西峰の方が眺めがいいので、山頂部の尾根筋をさらに西へ進む。このあたりは、右側の斜面(北面)が広葉樹の樹林帯となっている。背丈ほどの笹と灌木類が茂るヤブ尾根をいくらか南西寄りに進む。この尾根沿いにもムラサキヤシオやタムシバの花がチラホラ見える。昨年はここでウラジロヨウラクの釣り鐘形の花を見かけたのだが、今年はまだ咲いていない。

東峰下りから西峰山頂部、左後方に烏帽子および上越国境の笠・朝日・JP 尾根沿いから右側の樹間に刃物ヶ崎山、その後方に上越国境の柄沢〜米子頭  少し尾根筋を下り再びヤブを漕ぎながら登って行くと、右(北西)方向の樹間に荒々しい岩肌を持つ山稜のピークが見えてくる。刃物ヶ崎(はもんがさき)山だ。

 登山者はあの山へ登るために残雪期にこの尾根を辿るか、無雪期に矢木沢の支流を遡行するそうだ。軽装の日帰りハイカーは尾根歩きで家ノ串までが精一杯だ。

家ノ串西峰山頂付近、後方に柄沢山 家ノ串西峰に埋設された主三角点標石  そこから右側の広葉樹の低木林に沿って笹尾根を掻き分けながら進んで行くと、やがて小さな倒木と枯木のあるところに出る。足元には上辺に丸みを帯びた主三角点の標石が埋設されている。

 ここが等高線の標高で、1550mの家ノ串西峰の山頂だ。この標石も昨年は苔が付いていたのだが、ねくらハイカーが払い落としておいた。

北西方向、刃物ヶ崎山の後方に柄沢山および上越国境尾根[小ズーム画像] 西方向、檜倉山〜檜倉乗越[小ズーム画像]  こちらの山頂は膝丈から腰丈ほどの笹や雑木の灌木類が茂っているが、いくらか見晴らしがある。無雪期なので好展望とは行かないが、上越国境付近の残雪の山々を見渡すことができる。

 ここから北西へつづくヤブ尾根の突き当たりに尖った岩稜をもつ刃物ヶ崎山が聳え、その後方には残雪の斑模様が見事な上越国境の柄沢(からさわ)山があたりの山並みが連なっている。残念ながら、巻機山方面は樹木が邪魔してよく見えない。

南西方向、手前に布引〜烏帽子、右後方に笠・朝日・JP[小ズーム画像] 南西方向、JP〜大烏帽子〜1614m鞍部[小ズーム画像]  一方、西から南西には遮るものがないので上越国境付近の山々が一望できる。檜倉山・大烏帽子山・ジャンクションピーク・朝日岳・笠ヶ岳*などが見える。

 それから、烏帽子・布引山・雨ヶ立山(天ヶ立山)などの布引尾根の山々も相変わらず見えている。

[*奥利根藤原地区では「宝川笠ヶ岳」と呼ばれている。]

東方向、至仏山〜尾瀬笠ヶ岳[小ズーム画像]  そして南東には上州武尊山のなだらかな山並みのシルエットが浮かび、東には、至仏山や尾瀬笠ヶ岳のゆったりとした稜線が横たわっている。さらに北東には燧岳や平ヶ岳の稜線も確認できる。

 北には依然として小沢岳あたりが素晴らしい。周囲の山々を従えて堂々と王座に君臨しているかのように見える。残念ながら、曇天ということで、ねくらハイカーの安物カメラではその優雅なる姿をありのまま収めることはできない。

北方向、1896P・永松岳・1681P・永松越路・三ツ石山・1720P(三番手山南西稜)[小ズーム画像] 北方向、三ツ石山・1720P・三番手山・1869P・小沢岳・1886P(小沢岳南稜)[小ズーム画像]  巻機山を確認してみようと山頂部のヤブ尾根を北西へ進んでみたが、巻機付近は樹木の枝に隠れてよく見えない。残雪期であれば360度に近い展望が楽しめるようだが、無雪期はこのくらいで満足するしかない。再び主三角点まで戻る。

 この山頂付近は西寄りの風が当たる。曇っているので気温もそれほど上がらない。18℃ほど。ハエも集まってきたが涼しい風が吹いているので刺される心配はない。暫し上越国境線の山々を眺めながら休憩する。

西峰山頂部からヤブ尾根を東へ  昨年は帰り際に何回もルートミスをしたので、早めに下山した方がいい。天気も気になる。

 休憩後、東へ戻る。笹と雑木類のヤブ尾根を下り気味に進む。

山頂部北面から北西方向、刃物ヶ崎山北東稜後方に1809P・米子頭〜巻機山の稜線[小ズーム画像]  ねくらハイカーはどうしても巻機方面を確認したいので、途中、左(北西)に刃物ヶ崎山が見えるあたりから笹ヤブの斜面を10mほど北側に下り、樹間越しに北西方向を眺めた。

 すると、上越国境の永松岳(1834.7m三角点峰)や三ツ石山あたりが見えた。そこで少し左側に転じると、刃物ヶ崎山北東稜の後方になだらかな残雪のピークがあった。巻機山だ。幾分地味な感じだが、ここでようやく巻機山が確認できた。

家ノ串東峰(三角点P)付近 下山ルートから東方向、矢木沢ダムの後方に日崎山及び至仏〜尾瀬笠の稜線  巻機山を見ることができたので、あとはクマザサを漕いでヤブ尾根に這い上がり、家ノ串東峰(三角点ピーク)に進む。三角点で一息つき、すぐに矢木沢ダムの天端部へ向かって南東に下る。見た目にはダムまで簡単に下れそうなのだが、ルートミスの常習者にとってはこの下りが結構難しい。

 尾根の肩状地点からはヤブの急斜面を笹を掴みながら下る。少し右側へ外れて下ってしまったので、途中で左側へトラバースすると、灌木のヤブの中に自分が付けた目印があった。この目印を追って往路を辿れば何とかなるだろう…。多少楽観的になる。

シャクナゲとクロベが密生する尾根ルート  途中、小さな岩場があるところで小休止。このあたりは風が当たらないので、急に毒虫が付き纏い出した。

 そこからシャクナゲの密ヤブ帯を下って何とか1320mピークの西端部まで進む。さらに山頂部の密ヤブを東へ辿る。ルートはテープで確認できるので、心強い。

 今年は何とかなるだろうということで、途中、倒木の上で少し休む。そこから1320mピークのヤブ尾根を東へ進んで行くと、いつの間にか歩きやすい雑木林の斜面を下るようになった。アレ、おかしいなと思いつつも東側へ2分ほど下ってみる。しかしながら、往路で付けたテープがひとつも見えない。

 これはルートミスだ。ねくらハイカーは昨年もこのあたりで迷っている。去年は1320mピークから5分ほど東側にズルズル下ってしまった。途中で気づいて西へ登り返したのだが、1320mピーク山頂部から1250mピークへのルートが中々見つからず、このあたりを右往左往して20分ほど彷徨った。

 そこで今回は帰り用の目印を小まめに付けてきたわけだが、今年もミスってしまった。こりゃー、ダメだ…。
1250P西側の笹ヤブ帯  仕方ないので、何とかテープの目印がある尾根地点まで戻り、そこから周りを見回しながら少し南東寄りにヤブ尾根を進んで行くと、倒木の先の日陰の樹林帯に小さなテープが見えた。尾根ルートは歩きづらい南東側にあった。

 そこからはコンパスを頼りに南東方向へ下る。雑木類のヤブ尾根を下り、途中から背丈以上の笹ヤブ帯を東へ漕いで行く。

1250P西側の小鞍部付近  すると、どうにか1250mピーク西側の小鞍部に着いた。しかし、ヤレヤレこれでひと安心と思いきや、ここで雨粒が当たり出した。これはマズイ。一刻も早くダムサイトに下らないといけない。

 一息つく間もなく1250mピーク山頂部の樹林帯へ上がり、そこから適当に東側に下る。30mほど歩きやすい雑木林の斜面を下ってみたが、午前中に付けたテープに目印が見えない。アレ、どうしたのだろう…?

 そこで雑木林の広尾根を左右に歩いてテープを探してみたが、どうしても見つからない。またもやルートミスだ。

1250P山頂付近  そこで今下ってきた斜面を登り返して再び1250mピークの山頂に戻る。クロベの大木の下で一息つき、今度はコンパスを出して北東方向へ下ってみる。

 5、6mほど下ると、傍らの雑木類の枝に自分が午前中に付けた目印があった。1250m峰からは北東へ下るべきところを、ねくらハイカーは方向を確かめもせずに東または南東方向へ下ってしまった。これはまったくお粗末なルートミスだ。

1250P北東側の広尾根、踏跡なし  しかして、雑木が茂る広尾根を北東へ下って行くと、薄暗い樹林帯で再びテープを見失った。そこでまたテープが確認できるところまで登り返す。ヘタレハイカーはこの登りでバテバテになってしまった。休憩しながら次のテープを探してみるが中々見つからない。

 仕方がないので、途中から左の溝状になった急斜面を下ってみる。すると、自分が付けたテープがあった。往路でこんなところを登ったのかと、自分ながら感心する。どうも、勝手に歩きやすいところを下るとミスってしまうようだ…。

 そこからは、小雨が葉陰を伝わって時折パラパラ落ちる樹林帯を必死になってテープ類を確かめながら下る。しかし、途中でまたもやテープが見えなくなった。ルートをミスったらしい…。仕方がない。上のテープ地点まで戻る。泣き面に蜂ということで、このあたりで雨が急に本降りとなってきた。ヨレヨレの濡れネズミ状態でヤブ尾根を下りたくない。急いでアスナロの木陰に入り、ねくらハイカー御用達の雨合羽を着ける。合羽は安物なので、少々蒸れる。

 そこから何とかテープがある地点まで戻り、再度テープに沿って慎重に下る。コンパスで確認すると、ルートは北東から南東へ進むようになった。注意散漫なる盆暗ハイカーはこの広尾根の樹林帯でルートが微妙に変わっていたのを忘れていた。やはり、見通しの利かない樹林帯のヤブ尾根では、現在位置が確認できるGPSがないと正しいルートを見つけることは難しい。

1113P西側のアスナロ林  そこから南東方向へ下って行くと、広葉樹の雑木類から針葉樹のアスナロ主体のヤブ尾根になる。このあたりは雨粒がシトシト当たる薄暗い樹林帯となっていて、ヘタレハイカーはテープを確認しながら尾根筋を下るのが精一杯。

 やがて、1113mピークの下りにさしかかる。去年はここから南東方向に下ってしまい、20分以上タイムロスした。そこで今回は、午前中に付けたテープで確かめてやや東寄りの方向に下る。

 しかして30mほど下ると、またしても目印を見失った。「ダメだ、こりゃー」ということで、1113mピーク付近まで引き返す。そこから再び目印に沿って下り、途中から左側の密ヤブの斜面に入ると、目印があった。このあたりでルートは一時的に歩きにくい密ヤブ帯を通っていた。

1009P東端部付近  そのうちにアスナロ林の明瞭な尾根筋を下るようになる。雨も小降りになってきた。あとは尾根筋を進めばいいので、何とかなりそうだ…。ここでまた楽観的になる。

 そこから倒木の多いアスナロの幼木帯を進み、1009mピークの山頂付近を過ぎる。次の東側の平坦地で一息つく。上空も大分明るくなってきた。雨は止んだようだ。ルートミスの連続で一時はどうなるかと思ったが、ここまで来れば大丈夫。

 1009mピーク東端部からまたアスナロと雑木類の密ヤブ帯を東へ下る。盆暗ハイカーはここでも南側の枝尾根に下ってしまい、ちょっとミスった。何でもないところで迷うのが、ねくらハイカーの山歩きのクオリティ。これは致し方ない。それから何とかアンテナ小屋まで降りる。

矢木沢ダム駐車場へ  小屋からは道跡のある尾根筋を下る。間もなく左下に駐車場が見えた。アスファルト面が薄っすら濡れているので、ダム付近も雨が降ったようだ。帰宅した人も多いようで、ボートを牽引した車は少なく閑散としている。どうにか駐車場に戻れたということで、ここでねくらハイカーは大きく深呼吸をする。それから梯子を伝わって駐車場に降りた。

 今回も昨年同様数多くのルートミスをした。昨年は駐車場に降りたのが午後6時15分過ぎ。管理道路のゲートが締まるのが6時半ということで、慌てふためいて帰途についた。今年は午後5時前に駐車場に戻れたので、去年より少しマシだ。今回もお粗末な山歩きだったが、カメラを失くすことなく帰着できたのでヨシとする。


日程2009年6月3日 (水)
天候曇りのち雨(にわか雨) 稜線上西寄りの風
行程時刻矢木沢ダム西側駐車場6:45→(西または北西へ)→アンテナ小屋6:48〜6:50→(途中、休憩8分)→1009P東端部7:21〜7:26→1009P付近7:27〜7:28→1113P付近7:52〜7:54→(途中、休憩5分)→(広尾根を南西へ)→1250P 8:35〜8:50→(西へ)→1250P西側小鞍部8:50〜8:52→(途中、休憩5分)→1320P東側付近9:15〜9:18→(途中、休憩5分)→1320P西側付近9:32〜9:37→(北西または西へ)→(途中、休憩3回計10分弱)→家ノ串東峰(三角点P)11:05〜11:10→(西へ)→家ノ串西峰(主三角点P)11:30〜12:15→(東へ戻り)→(途中、北面へ下りタイムロス3分)→家ノ串東峰(三角点P)12:36〜12:38→(東または南東へ)→(途中、休憩5分)→1320P西側付近13:35→(途中、休憩5分弱)→1320P東側付近 ?:?→(そのまま東へ下りルートミス、タイムロス10分ほど)→(西へ戻り)→1320P東側付近14:00(?)→(南東へ下り笹ヤブを東へ)→1250P西側小鞍部14:17〜14:20→1250P 14:21→(南東へ下りルートミス)→(北西へ戻る)→1250P 14:30〜14:31→(北東へ)→(そのまま北東へ下りルートミス、タイムロス&休憩計20分強)→(南西へ登り返し、途中から南東へ)→1113P付近15:18〜15:20→(東または南東へ)→(途中ルートミスあり、タイムロス5分強)→1009P付近16:15→1009P東端部16:17〜16:22→(途中ルートミスあり、タイムロス10分弱)→アンテナ小屋16:50〜16:53→駐車場16:57
備考♦この記録は、横田昭二 著『私が登った群馬300山』(上毛新聞社刊)およびHP「群馬山岳移動通信」の記録等を拝見し、参考にさせていただきました。
♦この記録では復路で何度もルートミスをしています。もしルートミスがなければ、行程時間は1時間くらい短縮可能です。

◇ T N H C ◇

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