天狗岩から烏帽子岳往復



 2004年、5月の連休も終わり、行楽客の人出も少なくなり静かな山歩きができるだろうと期待して、新緑の山に出かけることにした。場所は手軽な西上州にする。以前、御荷鉾スーパー林道の通る南牧村の大仁田川上流のシボツ沢口から烏帽子岳(1182m)に登ったときに、南に位置する「マル」と呼ばれるピークから東の郡境尾根に踏跡があるのが確認できた。そして、近頃書店で立ち読みしていたら、ガイドブックに天狗岩から烏帽子岳へのコースが紹介されていた。やはり、相当歩かれているコースなのだろうと思い、天狗岩のハイキングコースから烏帽子岳を往復してみようと考えた。
天狗岩登山口  国道299号で上野村砥根平の先を右折して下仁田上野線に入る。少し走り、最近開通したらしい「塩の沢トンネル」の手前をまた右折して旧道に入る。新道開通により一般通行車が減り、天狗岩ハイクも落ち着いて楽しめそうだ。少し山道を走って、天狗岩登山口についた。

 以前は登山口わきの路肩に駐車していたのだが、今はすぐ先の沢沿いの地点に駐車場がある。平日なので空いていると思ったが、時間も午前8時40分すぎだったので先客の車があった。どうも、天狗岩は手軽なコースなので歩く人が多いのだろう。

駐車場の案内板  先客の方が出かけた後、近くの真新しい案内板を見てみる。案内板では天狗岩までのコースしか書かれていない。この案内板では烏帽子岳へのコースは奨励していないようだ。でも案内板の写真には、烏帽子岳方面の展望が写っていた。

 展望台からは烏帽子岳のほか、西上州の山々や妙義山も見えるそうだ。そして、ピンクのヤシオツツジは5月上旬まで楽しめるそうだ。すぐに出かける準備に取りかかることにする。

ヤマブキソウ  午前9時少し前に駐車場を出発し、すぐ下の登山口からタルノ沢沿いの道に入る。新緑の気持ちのよい道を行くと、斜面に黄色の鮮やかなヤマブキソウが咲いている。今日は春の野山に咲く山野草の花を沢山見てみたいものだ。

 少し行くと、小沢にサビた鉄板の橋が架かっている。水量も少ないのに何でこんなコンクリートの土台をもった橋が架かっているのか不思議な気がした。そこから沢沿いに若葉の明るい道を進んで行くと、先の方に小屋の建物が見えた。避難小屋らしい。

岩尾根への取り付き点 右側の崖  小屋はプレハブ建てで、雨露をしのぐための粗末なつくりだ。さて、天狗岩への登山道はこのままタルノ沢沿いについているのだが、小屋から右の沢筋に沿って新しい道ができている。面白そうなので右の沢沿いに進むことにする。

 新緑の木々の間を登って行くと、右側に屏風のような崖がそそり立っている。これまた面白そうな岩尾根だ。少し登るとその岩尾根へ行けそうな地点についた。興味をそそったので、道草をして岩尾根に登ってみようと思う。登山道を右に外れて、明るい尾根筋へ登って行く。歩きやすいので、すぐに尾根に出られた。そのまま雑木の生えた尾根を南の方へ進むと展望のよい岩場に出た。

地図上の天狗岩  その岩場からタルノ沢対岸に特徴的な形の岩峰が見える。そのとき、あれがいわゆる国土地理院の地図でいうところの「天狗岩」なのだろうかと思った。

 後で地図で確認したところ、シラケ山から南東にのびる支尾根に位置しているので、どうもあの岩峰が元祖「天狗岩」らしい。真偽はともかく地図に示された岩峰であることは確かだ。

 さて、その見晴らしのよい岩場で少し休憩してから元の取り付き点に戻ろうと下ることにする。登山道から尾根に登りついた地点に来てみると、そのまま下って行くのはつまらないという考えが浮かんだ。この尾根を西の方へトラバースして行けば再び天狗岩へ行く登山道に出合うだろうと思い、尾根をそのまま進むことにする。

 少し進むと、西から東へ通る作業道のような踏跡があった。この踏跡をこのまま東へ行けば地図の1213m峰に行くのだろうかと考えたが、とにかく今日は西の天狗岩方面に進むことにする。
オオギカズラ ニリンソウの群生地  すぐに登山道に突き当たるだろうと踏跡をそのまま辿ったが、いつの間にか踏跡は消えてしまった。やはり林業用の作業道だったようだ。しかしそこから下を眺めると、伐採された斜面いっぱいにニリンソウが咲いている。そのあたりに登山道が通っているようだ。

 そして、ここがニリンソウの群生地らしい。この群落を見るために避難小屋からの新しい道がつくられたようだ。仕方ないので、そのニリンソウの斜面を下り元の登山道に戻ることにした。ニリンソウの群落のそばには青紫色のしそ科の植物がきれいに咲いていた。後で調べてみると、葉形からオオギカズラであることがわかった。

樹間より天狗岩方面 東側から岩溝の道  また、そこから少し登って行くと、樹間から実際の「天狗岩」の山稜が見えた。よく見ると中央部あたりにクーロアールがあるようだ。

 そうして天狗岩の岩稜東側の基底部に辿りついてよく見ると、やはり先ほど見えた岩溝の部分に丸太の階段の道がつくられていた。やはりこの登山道は新しいようだ。

天狗岩頂上部  そして、その岩溝の道を登ったところが南北に伸びる天狗岩の岩稜の中間部分の地点だった。

 そこからちょっと北へ行ったところが天狗岩の頂上(1180m)で、石の祠がある。雑木であまり展望がないのでさらに北に進むと、鉄の橋を渡って手すりのある展望台に出る。

展望台から烏帽子岳方面  展望台からは西にシラケ山、そしてそれに連なる郡境尾根の先に烏帽子岳が見える。北に南牧村方面が見える。他の西上州の山々は春霞でよく確認できないが、北東の桧沢岳は確認できた。

 やはり、ヤシオツツジはもう終わってしまったようだ。半月前なら見ることができたかもしれない。ヤシオが見られないのは残念だ。

烏帽子岳・天狗岩分岐点  仕方ないので天狗岩の山頂から西側のコースへ下ることにする。明るいカラマツ林を南に下った地点に分岐の道標がある。烏帽子へはここから西に向かう。

 歩きやすい巻き道を西に進んで行くと、登山道はシラケ山の山腹を通っているようだ。

シラケ山から東方 シラケ山から西方  道標はないがこのまま通り過ぎてはいけないので、山腹の中間あたりで道を外れて右斜面を直登する。すぐに北東側が岩場のシラケ山頂上(1274m)に出た。山名板がついていないのが意外だった。

 ここからは360度の展望があり、このコースのナンバーワンのポイントだ。西上州の山々が見渡せるが、今日は遠くの山々は霞んでいる。残念だが、少し休憩して西の稜線に向かうことにする。

ミツバツツジ  再び山腹の登山道に戻り、西に進む。枝尾根を越えて郡境尾根を行くようになると、コースは岩場の道になってしまった。

この稜線には珍しい黄色のヒカゲツツジが見られるらしいが、やはりもう終わってしまったようだ。それでも、稜線上にはピンクのミツバツツジが咲いているところがあったので少しなぐさめられた。

 岩場の道にはキビしいところがあり、何とか灌木などをホールドして進むと、烏帽子のピークが近くに見えてきた。

「マル」  ようやく岩場の稜線をすぎると、穏やかな尾根歩きになる。ハイキング気分で歩いていくと、午前中に駐車場で見た先客の登山者が引き返してくるのに会った。どうも天狗岩から烏帽子岳往復は普通に歩かれているコースらしい。

 そこから少し行くと、「マル」と呼ばれるピーク(1200m)についた。立木に烏帽子岳方向を示す板が打ち付けられている。ここからは雑木で烏帽子岳は見えない。

 「マル」から鞍部に向かって下って行くと、途中で2人連れの登山者に会った。シボツ沢口から烏帽子に登って、これから天狗岩に向かうらしい。やはり、このコースは一般化しているのだなと感じた。

天狗〜岩峰〜シラケ〜郡境稜線〜マル 烏帽子岳山頂  そしてシボツ沢からの分岐をすぎて登り返すと烏帽子岳頂上(1182m)についた。ここからは「マル」と違って展望がよい。東にマルと郡境尾根の向こうにシラケ山とその北側の支尾根にある無名の岩峰、そして天狗岩の稜線が見える。

 北西に目をやれば、少し霞んでいるが三ツ岩山が見える。霞んでいなければ、荒船山から下仁田方面の山々まで見えるだろう。今日は春霞なので微かな山並みが見えるくらいだ。少し休んでから、天狗方面に戻ることにする。

 帰りは「マル」から東へ稜線を辿るが、途中岩尾根のコースに取り付くあたりで尾根南側に微かな踏跡が見つかり、そちらを行く。ヤブの道だが、キビしい岩尾根コースの巻き道としては歩きやすい。往路で苦労した岩稜をあっという間に通過してしまったようだ。

 しかし、この巻き道も雑木と笹が繁るあたりでまったく消えてしまった。仕方ないので、歩きやすいところを北の尾根に登り返して行く。すると、シラケ山から西へ向かうあたりの登山道に突き当たった。

 自分でもこんな簡単に烏帽子からシラケに来ることができたのには驚いた。この巻き道が整備されれば、天狗岩から烏帽子岳のコースはお手軽ハイクコースになると思う。
天狗の岩洞  それからまたシラケに登り、ベストポイントの眺望で休憩する。相変わらず春霞で遠くの山々はぼんやり見える程度だが、じゅうぶん展望を楽しめた。

 そしてまた登山道を東へ下り、天狗岩の分岐点を通過しタルノ沢方向に進むと、今度は天狗岩の付け根の部分に「天狗の岩洞」へ行く分岐がある。参考程度に見物してみても面白い。

ラショウモンカズラ 登山道沿いのニリンソウ  そこから少し下って行くと、登山道わきの斜面にニリンソウが咲いていた。この辺はニリンソウに適したところなのだろう。また、近くにはしそ科のラショウモンカズラの花も咲いていた。

 そこからまた沢沿いの歩きやすい道を辿り、午後3時すぎに駐車場に戻った。

 この天狗岩への道は山野草の花が楽しめるコースだと思う。よく探せば他の種類の花が見つかったはずだ。


日程2004年5月12日 (水)
天候曇り時々晴れ
行程時刻☆駐車場8:50→天狗岩登山口8:53→鉄の橋9:08→避難小屋9:25→(右の新道)→東の岩尾根への取り付き点9:35→東尾根見晴らしのよい岩場9:40→(戻り)→作業道出合9:45→(左・西方向)→(踏跡消え、下降)→ニリンソウの群落地9:55→天狗岩東側基底部10:12→天狗岩頂上10:15→展望台10:20→(天狗岩西側へ下降)→烏帽子岳・天狗岩分岐点10:30→シラケ山頂上10:45→(郡境尾根)→「マル」12:15→烏帽子岳頂上12:30
☆烏帽子岳12:40→「マル」12:55→郡境尾根岩稜へのコース手前 ?:? →(郡境尾根岩稜南側の巻き道)→(踏跡消え、北へ登り返し)→シラケ山から西に向かった尾根の登山道 ?:? →シラケ山頂上14:00→烏帽子・天狗分岐点14:15→「天狗の岩洞」分岐点14:20→駐車場15:05
備考※今回は途中道草したところが多く、行程時刻は正確な行程時間ではありません。あくまでも参考の時間です。

◇ T N H C ◇

TOPへ戻る