いつものように神流川沿いの国道299号を西走し、乙父トンネルを抜けて乙父沢川に架かる橋(乙父橋)付近から左下の村道に入り、乙父沢左岸を南へ向かう。道路沿いの樹木は茂っているが、まだ若葉の明るい樹林帯だ。このくらいだと、山腹の樹木は芽吹き程度で見通しは利きそうだ。
そこからさらに七ツ渕橋を渡って一部コンクリート舗装された右岸をノロノロ行くと、沢床と同じ高さでつくられたコンクリート橋があった。先人の記録によると、標高1000m付近の林道終点広場ということなので、橋を渡ったあたりに登り口があるようだ…。
この広場には右(西)の山側から小沢*が流れ込んでいた。先人の記録などから推測すると、多分この支流の沢沿いの尾根に諏訪山へのルートが通っているようだ…。
さっそく西側からくる沢筋へ進み、先人のテープが付いた左岸ヒノキ林付近から急傾斜の斜面に取り付く。最初は北西寄りに登る。スズタケなどが生えて少しヤブめいているが、ヒノキにはテープが付いているので安心して登ることができる。
ヒノキの植林地を直登して行くと、やがて雑木が混じる尾根となり、西方向へ登るようになる。
尾根沿いのスズタケのヤブには薄っすら踏み跡らしきものも確認できる。古い切り株などもあるので、この尾根筋を林業作業者が歩いているのかもしれない。それからシカの糞も多い。
そのうちに尾根沿いは樹木が密生してきてヤブめいてきた。ヒノキやアセビに混じってシャクナゲなども茂っている。
岩稜基部に微かに付けられた踏跡を辿って水平に進んで行くと、ルートは途中から左上の急斜面を登るようになる。この斜面は苔が生えているので何かじめじめして滑りやすい。
四つん這いになってどうにか岩稜の上に出る。その尾根地点*からは多少見通しが利いた。左上(南西)には諏訪山本峰あたりから東に延びる支尾根上にある無名ピークが見える。それから前方(西)には、さらに上部にある針葉樹のピーク**が聳えていた。
休憩後、明瞭な尾根筋を北西寄りに登る。樹木は依然としてヒノキやアセビが多く、日陰になっているところが多い。そのうちに傾斜もきつくなり、尾根筋は尖った岩稜になってきた。
落ち葉を踏みながら岩稜から左側に外れたところをトラバース気味にトロトロ登って行くと、傾斜も緩くなり、やがて樹木にテープの目印が付いた尾根地点に出る。
倒木がある少しヤブめいた尾根筋を進み、原生林っぽい日陰の小ピークを越えて下って行くと、何か曰く有りげな小鞍部に着く。そこは南側が開けていて、立木に蛍光ピンクのテープが付いていた。テープは林業関係者や土木関係者が使用するタイプのものだ。
そこからはピンクテープの目印が付いた尾根筋を進む。このあたりからは芽吹きが始まったばかりの広葉樹が多い斜面の登りとなる。
北西寄りに登って行くと、前方の樹間にちょっと目立った感じのピークが見えてきた。ヤツウチグラ*のようだ。
多少見通しのある雑木林の尾根筋をゆるゆる登って行くと、やがて明瞭な登山道が南北に走る尾根地点に着く。ここで一般登山道と合流となる。傍らの樹木には先人の紐やテープの目印が付いている。
ところで、この合流地点には「乙父・西沢」方面を示す標識*が樹木に付いてた。やはり、以前登ったときもこのあたりで西沢方面への見たような気がする。どうも、昔の記憶が曖昧で思い出せない。
ここは左(南)の諏訪山へ進んでも展望が得られないので、右(北)のヤツウチグラへ進む。登山道には「山」の刻印があるコンクリート杭がビシッと打たれている。
岩場はしっかり安定しているので、容易くヤツウチグラの山頂部に上がることができる。
北には小倉山への山尾根や御荷鉾スーパー林道が通っている山々、そして遠方の浅間方面まで見渡せる。
東には帳付山とそれに連なる上武国境付近の峰々が聳え、その遥か後方に両神山の山影がちょこんと確認できた*。
南東にはブドー沢の頭がある地味な感じの上武国境尾根が見える。今日はあの国境線に向かう予定なので、地形図などで山並みを確認してみる。
南には三角点がある諏訪山本峰の山頂部が間近に見える。今日は北西の風が吹いているが、祠の東側は風が当たらない。気温は13℃になっていた。
祠の側には「三笠山山頂」の標識が置かれていた。現在はこの岩山を諏訪山に付随するヤツウチグラではなく、別個に「三笠山」と呼ぶ人が多いのかもしれない。
アカヤシオのピンクの花を眺めながら登山道を下る。登山道沿いの樹木には古い前橋営林局の境界見出標のプレートなども付いていた。やはり、この付近は国有林になっているらしい。
鞍部からは日陰になった尾根筋を右や左に搦みながら登る。このあたりでは西側から冷たい風が当たり、日陰の斜面ではまだ霜柱が融けずに残っていた。
そのうちに尾根の傾斜が緩くなると、右側に石の祠があった。諏訪山の山頂部に祀られたものらしい。
そこから南西方向に登って行くと、三等三角点の標石が埋設された諏訪山山頂に着く。
諏訪山は樹林に覆われているので、以前と同じ静かな山頂となっている。樹木が茂っている割には北西からの風が当たる。気温はたちまち5℃に下がった。
休憩後、標識地点から山頂部を南へ進む。山頂付近はヤブがないので歩きやすい。左前方の樹間には相変わらず帳付山が見える。
落ち葉がいくらか積もっている尾根筋を下って行くと、前方正面にこれから向かう県境尾根が確認できる。このまま尾根を進めば難なく県境に辿り着く感じだ。
見通しは利かないが、樹林越しに目を凝らすと、左(東)に先ほど鋭角に尖っていた帳付山がいくらか厚みを増した姿で見えた。帳付の左側にちょこんと尖った峰も確認できる。天丸山らしい。
このまま平坦な尾根を進むのかと思いきや、前方にヤセた岩稜が立ちはだかった。直登すれば面白そうな岩場だが、ここは無難に右(南西)側の基部を巻く。
このあたりの尾根にもシカの糞が多数落ちていた。それから、樹木には根元付近の樹皮が生々しく剥がれているものが多い。角研ぎではなさそうだ。西上州は雪がそれほど積もらないということだが、やはり冬場は食べられてしまうのかもしれない…。
歩きやすい尾根をさらに南東へ進み、途中からスズタケが生えた斜面を東に登り返すと、尾根状の小ピーク*に着く。そこで一息ついて北西方向をふり返ると、樹間越しに諏訪山方面が望めた。諏訪山からまだ40分ほどだが、ヤブも少なく下りが多かったので快調に進んだ。
そこから胸丈ほどのスズタケが疎らに生えた尾根筋を少し南寄りに進む。この付近は如何にも西上州のヤブ尾根といった風情がある。左の樹間に帳付山を眺めながらのんびりした気分で歩く。
これはマズイということで、ピーク付近まで引き返すと立木にビニール紐の目印が付いていた。しかしながら、その周囲に踏み跡はない。このまま尾根筋を進むと、南側の日向ブドー沢への下りになってしまう…。
微かな踏跡を下って行くと、やがて開けた感じの鞍部に着く。地形図を参照すると、このあたりが諏訪山・ブドー沢の頭間の最低鞍部*らしい。
そこから左下(北)に見える谷あいが乙父沢西沢だ。
シカの糞が目立つ笹地の斜面を登って行くと、途中のアカマツの幹に古いワイヤーが巻き付いていた。昔の伐採作業に使われたものらしい。
笹ヤブの中に残るシカの山盛りウンチを見ながら尾根を東寄りに登る。そのあたりから左後方をふり返ると、幾分遠くなった諏訪山が見えた。
そのうちにアセビが茂ったピーク地点を通る。ルートはそこから右へ折れてまた南東へ進むようになる。
そこから前方の県境尾根に向かってツガやアセビが多い尾根筋を進む。スズタケが茂ったところには明瞭な踏み跡が付いている。しかし、このあたりは倒木が多いので、それを避けて進むのが少し面倒だ。
これは、多分日向ブドー沢からの踏み跡らしい。昔の陸測図では、神流川本谷の葡萄沢出合付近から1658.1m三角点ピーク(ブドー沢の頭)に向かって沢沿いに破線道が描かれている*。現在通行できるかわからないが、葡萄沢上流の日向ブドー沢をつめて上がってくる昔の杣道のルートが残っているのかもしれない…。
そこからまた県境尾根に向かってスズタケが茂る急斜面を登る。左には帳付山や1609m峰(西沢ノ頭)あたりの針葉樹のピークが間近に見える。
このあたりは笹が疎らに生えたヤブ尾根となっているが、東方向には両神山方面の特徴的な山並みが確認できる。両神山・赤岩尾根の左側には相変わらず宗四郎山*(1510m峰)が尖っている。
そこから少しヤブめいた感じの県境尾根を南へ進む。尾根沿いには番号が入ったコンクリート杭が打たれている。
ねくらハイカーは2004年秋に南天山から県境尾根へ歩いた。そのときにこの山頂を訪れているのだが、今日は雰囲気がガラリと変わっていた。
この前は、ここの二等三角点の標石は苔むして古い感じのものだったが、今日は真っ白に輝いて新品のように見えた。刻字は旧字体なので、新しく埋設されたものではなさそうだ。
それにも増して山頂で驚いたことは、古い山名板の標識が立木に付いていたことだ。2004年のときは埼玉県が設置した看板くらいしかなく、山名は表示されていなかったが、今回はちゃんと付いている。それも新しいものではなく、滝谷山の山頂に付いていたものと同じタイプの古い標識だ。
この山頂は風が当たらないので暖かい。日差しがモロに当たるので、気温は18℃に上がっていた。
スズタケのヤブ尾根を先ほど登りついた地点(諏訪山分岐)まで戻る。そこから往路を諏訪山まで戻ってもいいのだが、今回は西沢あたりを下ってみようということで、県境をさらに北東へ進む。
緩い下りの尾根道を途中から北へ進むと、やがて1609m峰(西沢ノ頭)手前の鞍部に着く。このあたりが西沢からの県境取り付き点らしい。2004年には確かこの笹ヤブの中にピンクテープの目印があったのだが、今回はなかった。代わりにねくらハイカーが付けたテープがあった。
尾根付近の笹ヤブを20mほど下ると、笹も疎らになり歩きやすい斜面となる。傾斜は急だが問題なく下れる。沢の源頭部にあたるので、斜面は軟弱で少々じめじめしている。倒木類にはびっしり苔が生えていた。
そのうちに傾斜もいくらか緩くなると、谷筋の斜面には至るところに毒草のハシリドコロが生えていて、小さな花を咲かせていた。
ねくらハイカーは事前にネットで乙父沢西沢を歩いた記録がないか探してみた。しかし、そのような記録はなかった。西沢の杣道を歩いた記録としては、佐藤節氏の『漂泊の山旅』(新ハイキング社刊)に出ていた記録があるが、それも帳付山から支流の西沢左俣を下ったもので、その際、両側が屹立する岩壁に少々手間取ったらしい*。
倒木が多いところを過ぎて、落ち葉が積もった斜面を下って行くと、やがて沢床に細い水流が現れてきた。その細い流れの左岸に沿って進むと、そのうちに右と左から涸れ沢が合流するところに出る。そこは開けた扇状斜面となっていた。
そこから少し下ると、傍らの枯木に古い緑色のビニール紐が付いていた。やはり、ここを歩いている人もいるようだ。
沢沿いを下って行くと、いよいよ谷の両側が狭まってきて崖が現れてきた。下流側には2mほどの滝がかかっている。西上州の谷といえども甘くはない。滝の下は平坦な河原になっているようなので、ここは巻く必要はなさそうだ…。幸い、左岸には樹木が生えているので、補助ロープを使ってみる。
そこからは、両側が狭まった谷筋を右へ左へと適当に徒渉しながら下る。途中、左岸が笹と雑木類のなだらかな斜面となっていて、そこに獣道のような微かな踏み跡が通っていた。昔の杣道のルートかもしれない…。
2、3分ほど下ると、途中の岩場に何か赤いプラスチックの容器が落ちていた。何だろうと近寄って見ると、「蜜蜂ブドウ虫*」というラベルが付いている。釣り用の餌らしい。
少し休んで、再び2、3分岩伝いに下って行くと、今度は両側が切り立った崖となり、徒渉するのが非常に難しくなった。
まずはヒノキが生えた急斜面を東方向へ直登する。登りながら北側へトラバースできそうなところを探す。北側の斜面は凡人には横断不可能な岩壁となっている。
笹尾根を下って行くと、右下に沢筋が見えてきた。支流の沢らしい。こちらの沢も倒木や流木が多く、かなり荒れた感じだ。多分、この右(東)からくる沢が、佐藤氏らが下った西沢左俣*だろう。
そこから流木や岩が溜まったところを越えて西方向へ下り、再び西沢本流の出合地点に降りる。
ここでひとまず地形図を参照して、自分の位置を確認する。ここから下流側は両側が崖状の斜面となっていて、道が通っている気配はない。佐藤氏が歩いた頃と谷の姿が変わってしまったのかもしれない。仕方ないので、上流部と同じように、左右に徒渉を繰り返しながら沢沿いを下る。
そこから少し下ると、左岸に見事なナメ滝がかかっていた。佐藤氏によると、西沢本谷沿いの道には丸木橋もあったようなので、もしかするとこの滝の斜面に道があったのかもしれないと考え、途中から左岸の急斜面に取り付いてみた*。
そのうちにヒノキの流木が多いところを過ぎると、左岸が崖で右岸が崩落地になっているノド状の地点に出る。左岸はねくらハイカーには登れない。右岸はヒノキの植林地で地滑り進行中の崩落地となっている。高巻きできないことはないが、相当の労力が必要だ。
岩を伝わりながら下って行くと、右岸のヒノキ林の斜面に何やら白塗りのアングル看板が倒れていた。そこで2mほど斜面を攀じ登って、看板をジロジロ眺めると、高崎事業区の名称が書かれていた。昔の高崎営林署が設置したものらしい。
その看板付近から右岸の斜面に細い踏み跡が通っていた。作業道らしい。
そこから側面が間伐材の新型砂防堰*を越えて林道終点の広場に降りる。終点広場には東側から支流**が流れ込んでいた。
終点広場から沢床と同じ高さに造られたコンクリート橋を渡る。そこから乙父沢西沢左岸沿いの林道をトコトコ北へ歩いて朝の駐車地点に戻る。| 日程 | 2009年4月28日 (火) |
| 天候 | 晴れのち曇り 稜線上は北西の風 |
| 行程時刻 | 乙父林道西沢線白水沢出合付近広場(駐車地点)6:50→(白水沢左岸の植林地を直登)→(北西へ)→(西へ)→(岩稜基部を北西へ巻く)→(急斜面を南西へ)→岩稜上部の尾根地点7:22〜7:35→(西へ)→(岩稜部を南面に巻く)→(小ピークを越えて下る)→小鞍部(沢ルート合流地点?)7:58〜8:03→(北西へ)→(西へ)→ヤツウチグラ南側登山道合流地点(西沢方面分岐)8:24〜8:26→(北へ)→ヤツウチグラ(三笠山)8:31〜8:55→(南へ戻り)→西沢方面分岐9:00→(南へ)→諏訪山9:20〜9:34→(南へ)→(南東へ)→1474P 10:17〜10:22→(1474P南峰から南へ下りルートミス、タイムロス5分弱)→最低鞍部付近10:37〜10:42→(南東へ)→(途中から東へ)→1487P 10:56〜10:58→(南東へ)→1560P付近11:24〜11:25→小鞍部11:25〜11:30→(途中5分休憩)→ブドー沢の頭北側県境尾根付近(諏訪山方面分岐)11:47〜11:52→(県境を南へ)→ブドー沢の頭11:54〜12:20→(北へ戻り)→諏訪山方面分岐12:22〜12:25→(北東へ)→西沢方面下降地点(?)12:33〜12:37→(西へ下る)→(西沢源流部を北西へ)→(途中休憩5分強)→(途中から右岸を高巻く)→(尾根状斜面を下り西沢左俣の沢床に降りる)→(西へ)→西沢本谷合流地点(西沢左俣出合)13:45〜13:50→(北西へ)→(途中休憩5分強)→(北へ)→(途中から右岸の植林地作業道へ)→乙父林道西沢線終点広場(滝谷出合付近)14:20〜14:25→(林道を北へ)→駐車地点14:30 |
| 備考 | ♦この記録はブログ「サイクリング&ハイキング」の記録を拝見し参考にさせていただきました。今回のルートは白水沢左岸尾根を林道から直登しています。本来のルート(白水沢コース)は、現在砂防堰がつくられている白水沢を源流付近までつめて途中から左岸尾根に取り付いていたようです。 |
◇ T N H C ◇