ねくらハイカーは以前からこの中ノ岐林道に興味があり、平ヶ岳にはすでに一度登っているのでわざわざ一泊してまで観光登山をする気もない。そこで、中ノ岐林道入口の雨池橋から徒歩で林道終点まで歩いて平ヶ岳へ登ってみようと、天気が良さそうな8月末のある日、夜中過ぎに家を出た。
橋を渡り、左側にある林道入口の遮断機ゲートのわきを抜け、川の左岸につくられた中ノ岐林道に入る。夜明け前であたりは暗く、ヘッドランプと懐中電灯で路面を照らしながら進む。
少し行くと二岐林道分岐の二岐橋の地点に来た。ここでライト類をザックに仕舞う。それから後ろの自転車の2人連れをやりすごそうと林道から左側にはずれて二岐橋の写真を撮ろうとしていると、例のツアー登山者を乗せたマイクロバスがライトを点けて走ってきた。そこで、この地点でバスもやりすごすことにした。
さらに少し行くとコンクリート舗装された沢の地点に来た。きれいなナメ滝の沢だ。ここが滝沢だ。沢登りに興味のない人でもこの沢の流れは美しいと思うに違いない。デジカメの写真は相変わらず明るさが不足してよく写らない。
左に中ノ岐川の清流のせせらぎの音を聞きながらぬかるみの多い林道を進むと、やがて欄干のある橋に着いた。灰ノ又沢橋だ。
そこから少し行くと路面はコンクリート舗装になった。やはりこの林道は部分的に舗装工事が行われているようだ。
そこからさらに行くと右側に水量の少ないナメのような沢が見える。橋のように名前が表示されていないので、何沢なのか確認できない。
そこから少し進むと工事作業の看板があり、林道の両側に木杭が打たれている。やはり林道の舗装工事が行われているようだ。看板を見ると、工期は今年の7月から12月まで行われることになっている。
そこからさらに林道が大きく左にカーブしているところへ行くと、右の斜面から特徴的な四角岩が見える沢にナメ滝が見えた。上カブレ沢の滝のようだ。また20m先の辺りにも両側が草付きのきれいなナメ滝の沢が見える。
さらに林道を進むと、右側に地味な感じの小さな滝つぼのある沢が見えた。これはハコジョウ沢のようだ。
それから他の土砂崩れ跡を過ぎて林道を進むと、やがて大きな橋に着いた。西ノ沢橋だ。下には幅のある西ノ沢が流れている。この西ノ沢を遡れば、奥利根の最奥部の大水上山から兎岳の尾根に出られる。誰かこの沢を遡行して稜線の尾根に立った人がいるかもしれない。
西ノ沢を過ぎると林道は砂地の締まった路面になり、ぬかるみがなくなり歩きやすくなる。林道からは正面の県境尾根に平ヶ岳の西に聳える無名2072m峰から剣ヶ倉山や滝が倉山までの山並みが見えた。
そこからアスファルト舗装部分の箇所を越えてしばらく行くと、朝日が東側から差し込んでいる広い砂地の地点にやって来た。土砂崩れの後、林道が整地されてこのような広場ができたのだろうか。東側対岸の青木沢から差し込む朝日に照らされて、この赤茶けた砂地の広場は印象的だ。
さらに砂地の斜面をカーブして行く林道を進むと、また橋に着いた。橋の名前を見ると「山毛欅沢橋」となっている。この沢は一般の地図には名前が載っていないが、橋の名前から「ブナ沢」というらしい。
そこからなおも崩れやすそうな茶色味を帯びた灰色の砂岩の斜面を右に見て進むと、林道の真下辺りに沢の流れる音が聞こえる地点に来た。林道の両側が深い灌木の茂みで沢が見えないが、この辺りが金山沢だろう。
そこから朝日を浴びながら一部アスファルト舗装の坂道を歩く。勾配がきついとアスファルト道の登りは疲れる。足にもいくらか効いてきた感じだ。まだ山登りが控えているので、脚力を温存し休み休み歩く。
この辺りの道端には比較的高木のダケカンバやシラカバ、そしてミズナラなどの広葉樹が目立つ。他にトリカブトやシソ科の植物の花々も見られる。そしてここでもフジバカマやアザミやガクアジサイの仲間がきれいに咲いていた。
坂道を少しバテ気味に登って行くと、ひょっこりマイクロバスが駐車している地点に出た。ここが中ノ岐林道終点で平ヶ岳の登山口だ。
林道終点の登山道入口付近から平ヶ岳沢の上部方面を見ると、谷の最奥部に特徴のない平ヶ岳の斜面の一部が望める。やはり平ヶ岳は近くにある2072m峰や剣ヶ倉山と大違いで、その特徴のない山容は上部に登ってみないと認識できない山だ。
登山道は笹と灌木林の中の道で、急登のコースだ。やはり雨降りの後のようで路面が濡れている。相当の数の登山者に歩かれているようで、赤土が露出している箇所が多い。濡れていると滑りやすいので注意が必要だ。
そこから少し登るとゴヨウマツの生えた見晴らしのきく地点に着いた。ここはツアー客が朝食の休憩をするところらしい。ここで雨池橋から出発した自転車の2人連れが休憩していた。3、40代の夫婦らしい2人連れだ。食事中らしいので、軽く挨拶をして少し上のところで休憩する。ねくらハイカーは林道歩行中に菓子類などの行動食を食べながら来たので、ここでは水を飲み一服する。
この辺りからゴヨウマツの他にもツガやシラビソやアスナロなどの針葉樹が目立つようになる。また広葉樹のシロブナの高木も多く生えていた。
そこからまたシダ類の繁る急登の道を休み休み登り始める。やはり長い林道歩きの後の急な登りなので、少々足にこたえる。でも、樹林の中の道は日陰が多いので気温が上がらず、暑さでバテることはない。
やがて尾根道の上部になると登りも緩やかになり、遠くの山並みも見渡せるようになってきた。特に平ヶ岳沢対岸の剣ヶ倉山から北西に向かう上越県境の稜線とそれに続く越後三山方面の山々、そして北の荒沢岳へ連なる山々がよく見える。
登山道はまもなく見通しのきく草地の湿原に出た。ようやく池ノ岳西尾根の山頂部に着いたようだ。そこからは南方に平ヶ岳のなだらかな稜線が見える。ウキウキした気分で朽ちかけた木道を歩いて行くとすぐに分岐の道標がある。
笹やシャクナゲ、ハイマツ、オオシラビソの低木のわきを抜けて進むと「玉子石」と呼ばれる奇岩の名所に着く。約20年ぶりの再会だ。
さて、再び木道を東に辿り池ノ岳方面へ向かう。湿原には微かに西風が吹いているので気持ちがいい。コバイケイソウの実やチングルマの羽毛状の実を見ながら湿原の斜面を下って行くと、集団の一行が木道を上がって来た。総勢20名位だろうか。どう見ても鷹ノ巣口から登って来て、玉子石へ向かうようには見えない。多分、中ノ岐林道口のツアー客だろう。時刻はまだ10時半過ぎだが、正午過ぎには駐車場の登山口に下りているようなので、予定通りの行程タイムらしい。
斜面にハクサンフウロが咲く登山道を下って行くと、右側に板張りの床面をもつキャンプサイトがあった。以前、平ヶ岳周辺はキャンプ禁止だったが今では許可されているようだ。やはり鷹ノ巣口の出発が遅いとどこかで露営せざるを得ないので、水場があるこの辺りが指定されたらしい。
そこからイタドリが繁るわきを通り平ヶ岳沢源流部を抜けて行くと、また分岐の道標がある地点に着いた。左が池ノ岳方面、右が平ヶ岳方面なので、迷わず右に進む。そして低木のツガやシラビソ林の中のえぐられた道を行くと、「ツガ廊下」という案内板が置いてある地点を通った。さらに進むと再び木道の道になる。木道を登って行くとワタスゲやチングルマの実が目立つ平ヶ岳山頂部の湿原に出た。
さらに木道を進むと平ヶ岳の三角点の分岐地点に着いた。三角点は木道の分岐から右(北側)に5、6歩行ったところのツガ林の中に設置されていた。
そこで木道をさらに西へ進むと、木道は終わりその先は立入禁止になる。しかし、踏跡は湿原の先に続いている。このまま引き返しても面白くないので、踏跡を西へ辿る。
そこからなおも西へ進むと複数の杭や道標が立つ地点に来た。道標には「平ヶ岳・白沢山西面自然環境保全地域」と書かれている。その地点から北西に続いている県境尾根への踏跡には砕かれた白御影石の砂利が撒かれている。湿原についた赤土の踏跡がこれ以上えぐられるのを防ぐため、試験的に撒かれているものらしい。
ここから見ると、県境尾根は剣ヶ倉山を過ぎると意外に低い稜線が大水上山方面へ続いている感じだ。
少し休んで御影石の砂利道を東へ戻る。平ヶ岳山頂部からは南西方向に赤倉岳がよく見えるが、その少し右に微かに奥利根湖の水面が見えた。やはり平ヶ岳は利根川源流の山のひとつだということが再認識できた。
三角点のある山頂部から少し下った地点に、木道をはずれて南側に下っている踏跡がある。そこで南に下って南東方向を見ると、平ヶ岳東斜面の谷が見えた。
そこからツガやシラビソ林の中の「ツガ廊下」を通り過ぎ、再び水場(キャンプサイト)への分岐地点に来た。
少し登ると、そばに姫ノ池の池塘がある池ノ岳の分岐地点に着いた。ここでそばの姫ノ池を見物し、さらに東方向に尾根を下れば鷹ノ巣口への下山コースになる。また、ここから西へ池ノ岳の尾根沿いを進めば、玉子石のあるピークに行く。
あたりはすっかり日陰になってしまった。雨は降らないだろうがそろそろ下山した方がいいようだ。南東に聳える燧岳も相変わらず薄いガスに覆われている。また、尾瀬方向には景鶴山方面の稜線がぼんやり見えるだけだ。
玉子石に向かう木道の途中に道標の地点がある。道標には中ノ岐林道の表示はないが、そこから右に古い木道へ曲がり、再び針葉樹の中の登山道へ入る。この登山道は平ヶ岳沢と池ノ沢の間の尾根につくられている。上部では池ノ沢近くの尾根沿いを通り、中腹から西寄りに平ヶ岳沢へ下って行く。
下るごとに日差しが戻ってきて登山道は明るい感じの道になった。尾根の中腹付近には、東北の山でよく目にするブナの樹皮の記念彫りが多く見られた。やはり1980年代のものが多いようだ。やがてゴヨウマツの休憩場に着いた。午前中はよく見られなかったが、ここから見る剣ヶ倉山の雄大な姿は圧巻だ。急斜面を流れ落ちる沢には中腹に3つの大きな雪渓が見られる。その流れは急峻な角度で平ヶ岳沢へ合流している。実に見事な眺めだ。また、荒沢岳方面も午前中の雲が取れて西の方の巻倉山まで見えた。
林道終点の駐車場には車両はなく2人連れの自転車があるだけで閑散としていた。水場で水筒の水を補給し、一休みする。付近には美しい蝶が飛びまわっていた。気温も20℃位でアブもいないようだ。そして前方正面に荒沢岳方面の山並みを見ながら林道の下りにかかる。
それから滝沢を過ぎ、二岐林道分岐の地点で二岐橋を渡って対岸の林道をのぞいて見る。路面はヤブの雑草が繁茂しているが、廃道にはなっていない感じだ。沢登りの人たちがこの林道を利用して二岐川上流に登って行くらしい。
ところでこの辺りから気温が上がったらしく、アブが周りをうるさく飛び回り出した。早速、虫除けの携帯ミニスプレーを取り出しスプレーするが、アブもしつこく、うるさく付きまとう。すぐにミニスプレーを使い切ってしまった。でも体中たっぷりつけたので刺されずに済んだ。| 日程 | 2005年8月29日 (月) |
| 天候 | 晴れのちうす曇り |
| 行程時刻 | 雨池橋わき駐車地点(右岸)4:05→中ノ岐林道入口遮断機ゲート4:11→二岐川合流地点4:35→二岐橋(二岐林道入口)4:45〜4:50→滝沢4:57→灰ノ又沢橋5:10→下カブレ沢(?)5:34→上カブレ沢(?)5:43→ハコジョウ沢(?)5:50→西ノ沢橋6:10→藤原沢橋6:37→山毛欅沢橋6:58→金山沢7:07→剣ヶ倉沢橋7:17→林道終点駐車場・平ヶ岳登山口7:35→平ヶ岳沢渡渉地点7:41→ゴヨウマツの休憩地点8:12〜8:17→池ノ岳西尾根山頂部10:00→池ノ岳・玉子石分岐10:01→(右)→玉子石10:07〜10:10→(戻り)→中ノ岐林道口・池ノ岳分岐10:15→(直進)→池ノ岳・水場分岐10:32→(右)→水場・テントサイト10:36→池ノ岳(姫ノ池)・平ヶ岳分岐10:41→(右)→「ツガ廊下」10:45→三角点分岐10:59→平ヶ岳山頂三角点11:00→(西の県境へ)→簡易積雪深計ポールの地点11:04→平ヶ岳山頂部北西の県境地点11:06〜11:30→(戻り)→三角点分岐11:45→「ツガ廊下」11:55→水場・池ノ岳(姫ノ池)分岐11:59→(右)→池ノ岳山頂および姫ノ池12:05〜12:10→平ヶ岳・玉子石分岐12:11→(右)→水場・玉子石分岐12:17→(右、途中休憩)→玉子石・中ノ岐林道口分岐12:33→(右、下山)→ゴヨウマツの休憩地点13:35〜13:40→平ヶ岳沢渡渉地点14:03→林道終点駐車場・平ヶ岳登山口14:10〜14:15→剣ヶ倉沢橋14:27→金山沢14:40→山毛欅沢橋14:45→藤原沢橋15:08→西ノ沢橋15:32→ハコジョウ沢(?)15:54→上カブレ沢(?)16:03→下カブレ沢(?)16:10→灰ノ又沢橋16:28→滝沢16:40〜16:42→二岐橋(二岐林道入口)16:47〜16:49→二岐川合流地点17:00→中ノ岐林道入口遮断機ゲート17:25→駐車地点17:28 |
| 備考 | ♦この行程の記録では中ノ岐林道沿いの沢の名前を表記しましたが、正確なものではありません。大体、地形図から判断して目安として表記しました。 ♦湯之谷村は2004年(平16年)11月1日の町村合併により、堀之内町・小出町・広神村・守門村・入広瀬村と合併し「魚沼市」になりました。 |
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