早朝の国道120号を走り丸沼温泉の駐車場に着いたが、駐車場北側奥には先客のRV車が1台駐車していた。仕方ないので1台分スペースを空けて隣に駐車してみる。
まもなく朝日に輝く四郎岳を見ながら駐車場を出発する。先客の車のわきを通り北側の湯沢峠へつづく林道の方へ向かう。
沢沿いは以前来たときよりも針葉樹の幼木が多く生え夏草の雑草も繁っている。秋の七草のフジバカマに似たヒヨドリバナが道沿いに沢山咲いていた。
沢沿いをさらに進んで行くと前方に新しい感じの砂防堰が見える。これが四郎沢最奥の堰らしい。
青テープなどの目印がある沢沿いの道を右岸や左岸に渉りながら上流へ向かう。途中には石積みのケルンやペンキ表示の目印もチラホラ見える。
やがて沢の二俣地点*に着く。ここは左俣の小沢を遡行して行けばよいのだが、右俣をちょっと登った左斜面に昔の峠道の一部が通っている。
コメツガやシラビソが多い尾根筋には「丸沼〜四郎峠」の道標や「十條製紙*社有林」の銘の入った火の用心のホーロー看板などが見える。この古い看板は昔の丸沼と大清水を結んだ峠道がこの尾根筋を通っていたことを示すものだろう。
尾根沿いの道で左俣の沢を見ながら登るようになると、やがて踏跡は笹ヤブに消えてしまう。仕方ないので左下の沢沿いに降りる。
この沢沿いを登って行くと、すぐに左から滝状の流れがある上流部の二俣地点*に着く。ここは左俣と右俣を分ける尾根に登ればいいのだが、右俣側の左斜面にまたハッキリとした踏跡が見える。ここから再び尾根沿いの道に取り付く。
まもなく立木に道標が付けられた峠状の地点に出る。四郎峠(1820m)だ。樹林に覆われ展望はないが、北側は大薙沢源流部の急斜面になっている。大薙沢は沢登りの愛好家によって根羽沢の鉱山跡付近から登られているらしい。
峠からは東方の燕巣山をめざして尾根道を進む。尾根道には東電のコンクリート標石が打たれていて、笹の刈り払いなども定期的に行われている感じだ。やはり東電がこのあたりに発電用の水利権を持っているので、管理用にこのような道が切り開かれたのだろう。
今日はまさに梅雨明けの空で空気が乾いていて、雲ひとつなくくっきりと山々の稜線を見通すことができた。尾根を登り出してすぐに右側の樹間に日光白根山や錫ヶ岳から笠ヶ岳へつづく稜線が目に入る。
以前、四郎沢の東側の沢から密林をトラバースして登ったときは、この登りにかかる地点に出た。昔は苦労して登った山も今では四郎峠から容易に登られているようだ。
またその上の笹尾根付近では南側が開けていて、そこから白根山・錫ヶ岳・笠ヶ岳の稜線が一望の下に見渡せた。下の方には丸沼の深い青色をした湖面も見える。
白根方面の山並みを眺めながら急斜面の道を休み休み登って行くと、中年男性の単独者が降りてきた。
登るにつれて登山道の傾斜はきつくなる。コメツガやシラビソそしてアスナロなどの針葉樹が生えた斜面は日陰になっているので、多少暑さを凌ぐことができる。山腹を吹く微風も乾いているので気持ちがいい。
いくらか朝日で明るくなってきた尾根沿いを東へ進んで行くと、また傾斜のある登りになった。
山頂からは相変わらず日光白根山や錫ヶ岳方面がよく見える。南東方向に目をやると、金精峠の鞍部越しに男体山もチラッと顔を出しているのが見えた。北側は樹林で見えないが、北東方向には鬼怒川上流の谷が見える。谷の左には鬼怒沼のあるなだらかな山尾根、右には大嵐山や根名草山へつづく尾根の稜線が見える。
燕巣山からは群馬栃木県境を北東方向へ進む。北東尾根も南東尾根同様深い笹ヤブの斜面になっている。ネマガリダケの笹ヤブは登るのは大変だが、下るだけなら何とか下れる。
北東尾根を下る途中、左側の樹間から北方向にこれから向かう物見山(毘沙門山)が見えた。
さらに倒木のある笹ヤブやシャクナゲのヤブを抜けて下って行く。途中、南東方向をふり返ると温泉ヶ岳から根名草山や大嵐山への稜線を見渡すことができる。
鞍部から左の群馬側の斜面は笹が少なめで多少歩きやすい。なるべく尾根をはずさないようにして県境の群馬側を登る。
県境の尾根沿いも深い樹林に覆われているので、次のピーク(地図の等高線でいうと2100m峰)は見えない。しかし、2130m峰の下りにかかるあたりから前方左にピークが見えた。方向の角度からすると、この県境では唯一の三角点があるピークらしい。斜面をよく見ると、南西側にガレ場の崩壊地があるようだ。
また鞍部に降りた。2130m峰と2100m峰の中間付近だ。樹間から右の南東方向をふり返ると、奥白根の特徴的な頭部が燕巣山南東尾根の2083m峰付近の上に出ているのが見える。
尾根沿いを登って行くと、ようやく前方に次のピークの2100m峰が見えた。このあたりからシャクナゲが足に絡み出してきたので急にピッチが落ちてくる。笹は漕いで行けば何とか進めるが、シャクナゲは足に絡んでくるので枝をはずすのに手間取り時間がかかる。
やがて岩の多い急斜面になった。傾斜が急なので斜面を巻いて行けない。ここは尾根を直登して行くしかないようだ。
そこからまた密ヤブの尾根沿いを北へ進む。少し行くと前方の樹間越しにピークが見えた。方向からすると、次の三角点ピークではなく、その先の2091m峰らしい。
どうにか小鞍部を過ぎて行くと、シラビソとシャクナゲの密ヤブの急斜面になった。この斜面を登ったピークに三角点があるはずなので、西側斜面を巻いて行くわけにはいかない。
シャクナゲとコケモモの密ヤブをどうにか押し分け進んで行くと、南側の山頂付近に出た。
山頂から南西をふり返ると、朝方下ってきた燕巣山の頂をここではじめて眺めることができた。
山頂部を北へ進む。右側が開けたところから鬼怒沼方面も確認できる。尾根沿いのシャクナゲはやや少なくなるが倒木が多い。前方に間近になった次の2091m峰が見えた。そこからまたシャクナゲの多い歩きづらい尾根になる。
それから鞍部に下り、小ピークを越え再び鞍部を過ぎる。日陰の斜面にはギンリョウソウが見えた。それから急斜面の登りになる。ヤブが比較的少ないので歩きやすかった。
山頂尾根を北方向へ進む。前方の樹間越しに次のピーク・物見山が見える。このあたりから再び笹ヤブが多くなってきた。
やがて広尾根の下りになる。笹は胸丈から背丈ほどになってきた。小さな鞍部を過ぎてまた少し登る。それから再び下り気味にダラダラとヤブ尾根を進むと最低鞍部になる。
なるべく笹が疎らなところを歩く。しかし尾根沿いもやたら倒木が多く、ヤブも深くて歩きづらい。途中、笹ヤブの中で小休止する。
そこからまた背丈上の深い笹を漕ぎながら倒木の多い尾根沿いを遅々たる歩みで進む。途中で休み休みしながら登って行くと、徐々に北西方向への登りになる。
少し登ると笹地が開けたところから物見山の山頂部が近くに見えた。目標にしてきた峰が間近に見えたので、いくらか元気が出てきた。
ハリブキなどが生えた笹ヤブを進んで行くと、ついに登山道が通る物見山(毘沙門山)の山頂(2113m)付近に出た。登りついた地点から右(東)へ2、3m行ったところが山頂らしく、周りの立木に山名板の標識が付いていた。
登山道の下りから右下に鬼怒沼の湿原が一瞬見える。さらに下って傾斜の緩やかな道沿いから北側の樹間に燧ヶ岳方面が見えた。燧の右には袴腰山や赤安山を確認できる。午後からいくらか雲が出てきたようだ。気温も25℃になっていた。
鬼怒沼の湿原にはタテヤマリンドウやキンコウカなどその他諸々の高山植物の花々が咲いていた。今年は梅雨明けがいくらか遅かったので、開花が遅れて今が見ごろのようだ。
湿原から東方向には先ほど降りてきた物見山、北西方向には遠く燧ヶ岳や袴腰山、南東から南方向には大嵐山・根名草山そして日光連山の盟主・奥白根が見える。
また、北東方向に2141m峰のなだらかな山並みを背景にした池塘の眺めも素晴らしい。それから目を凝らして南西方向を見ると、先ほど辿ってきた県境尾根の一部が見えた。やはり、鬼怒沼からは誰にも気づかれない誠に地味な山尾根だ。
このあたりの登山道沿いの木々には所々に昔の今市営林署が付けた樹木の名前の板が見える。針葉樹はスギやヒノキくらいしか明瞭な判別ができないねくらハイカーには参考になった。シラビソやコメツガの他にトウヒが多いようだ。またウラジロモミやネズコ(クロベ)なども生えていた。
登山道をさらに下って行くと、オロオソロシノ滝展望台に着く。展望台からは南方の根名草山の山腹を流れる沢にかかる滝が見られる。
それからどうにか鬼怒川沿いに下り、丸沼方面への分岐から新しく架けられた木製の吊橋で対岸に渡る。
九十九折の道を登りきるとなだらかな斜面の登りになる。ヒナタオソロシノ滝展望台への道らしい。
そこから少し登ると、滝の展望台に着く。ヒナタオソロシノ滝も対岸の急斜面を勢いよく落下していて見事だ。
道はやがてオロオソロシノ滝上部でオロオソロシ沢を渡渉し、再び山腹の斜面をダラダラつづく。途中、小沢を2ヶ所ほど横切りアスナロ主体の樹林帯を行く。このあたりでは相当バテバテで何度も休みながらチンタラチンタラ歩くのが精一杯だった。
そこからはちょっと傾斜のある登りになる。重い足取りで何とか斜面を登って行く。樹林帯を登り、道沿いにカニコウモリの群落を見るようになると、やがて笹ヤブが繁る尾根状の地点に着く。県境の通る湯沢峠(1960m)だ。
峠から群馬側へ下ると、登山道の様相は一転して深い笹ヤブの斜面になる。西方向に四郎岳のシルエットが夕映えの中に見えた。今日は夕立はないようだ。
それからどうにか湯沢沿いの砂防堰のあるところまで下る。そこからは沢沿いの道になる。沢沿いには四郎沢と同じようにヒヨドリバナが咲いていた。| 日程 | 2006年8月5日 (土) |
| 天候 | 晴れ |
| 行程時刻 | 丸沼温泉駐車場5:25→湯沢・四郎沢渡渉地点5:26→(四郎沢右岸の道路)→(沢沿いの道、途中ルートミス)→四郎沢最奥の砂防堰5:57→下の二俣6:10→(右俣から中尾根へ)→(尾根道、途中消失)→(左俣の沢沿いへ)→上の二俣6:30→(右俣側から尾根道へ)→四郎峠6:56〜7:05→(北東へ)→1891P付近7:14→燕巣山8:08〜8:23→(北東尾根へ)→鞍部8:45→2130P付近8:58→鞍部9:10〜9:12→2100P 9:43〜9:47→小鞍部の西側斜面付近10:05→2099P(三角点P)10:21〜10:27→(途中、10分休憩)→鞍部11:10→2091P 11:25〜11:30→最低鞍部付近12:01〜12:10→(途中、5分×2回休憩)→物見山(毘沙門山)13:07〜13:14→(登山道を東へ)→鬼怒沼分岐13:39→(南方の木道へ)→鬼怒沼周辺13:40〜14:02→(登山道を南東へ)→オロオソロシノ滝展望台14:48〜14:53→丸沼分岐・吊橋付近15:10〜15:15→(登山道を西へ)→ヒナタオソロシノ滝展望台15:30〜15:32→(南西へ)→オロオソロシ沢渡渉地点15:45→(途中、数回休憩)→根名草沢渡渉地点16:43〜16:48→(左岸で迷いルートミス)→湯沢峠17:32〜17:39→湯沢最奥の砂防堰付近18:20→(途中、休憩)→遮断機ゲート18:45→駐車場18:46 |
| 備考 | ♦この記録では「常吉 山のページ」等のHPの記録を拝見し、参考にさせていただきました。また、四郎沢のルートについては横田昭二 著『私が登った群馬300山』(上毛新聞社刊)を参照しました。 |
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