茂来山(霧久保沢口)〜四方原山往復



 2004年11月5日(金)久しぶりに西上州方面の山に登ろうと出かけた。今回は県境よりも長野県寄りの南佐久の山・茂来山(1718m)から四方原【よもっぱら】山(1632m)の稜線を歩いてみようと考えた。コースは広い駐車スペースがある霧久保沢口にする。

 家を午前5時前に出る。行きは国道299号(武州街道)を使わず、少し遠回りになるが国道254号(富岡街道)で内山トンネルを抜け、いわゆるコスモス街道を通り佐久に出る。そこから国道141号(佐久甲州街道)を南下し、高野町の交差点を左折して国道299号を十石峠方面に向かう。天気は風もなく穏やかな朝で、秋の行楽には最適な日だった。内山トンネルにむかう254号から見える荒船山の雄大な姿には、いつもながら感動してしまった。141号では朝のラッシュにつかまってしまったが、比較的に渋滞もなく順調に走れた。

 十石峠へ向かう299号では交通量がほとんどなく、茂来山とおもわれる山並みを見て走れた。しかし、国道299号は現在新道建設中らしく、新参者には登山口のある林道入口がわからず少し迷った。新道の広い道から小学校(東小学校)のある旧道へ出て、行き過ぎてしまい、矢沢の集落へ行ってしまった。しかたなく、村道を右折して建設中の通行可能な新道を戻り、小学校のところから新道をちょっと戻ると、左に地味な登山道入口の看板が見つかった。

 細い1車線の林道へ入ると、道はすぐに左折して霧久保沢を渡り、途中採石場のわきを通り過ぎて2、3分で大きな案内板のある駐車場に着いた。今から思えば、新道を走っていて滝平橋を知らずに通り過ぎてしまい、小学校のある旧道に行ってしまったからだと思う。将来、新道が全通すれば、大きな看板が設置されて、迷う事はなくなるだろう。
霧久保沢口 駐車場  さて、駐車場のわきには箱があり、案内板と同じ内容のパンフレットが用意されていたので1枚拝借する。佐久町の観光係と観光協会の制作したものらしく、表は案内板と同じ茂来山ガイド、裏は茂来山についての情報や近辺の観光情報が載っていて、この山域に知識のない自分には面白かった。茂来山の名前については、もとは「貰井山」と書いたそうだ。しかし、八ヶ岳の名前をつけるのに峰の名が七つしかなかったので、東方に聳える貰井山の名をもらって八つにして「八ヶ岳」にしたそうだ。それで貰井山は同音で「茂来山」と表記されるようになったそうだ。真偽はどうであれ面白い話だ。

 また今では、配偶者を「もらい」たいという語呂で縁結びの山として人気があるらしい。そういえば、今の皇太子が1978年に登ったそうだ。それでご利益があったのだろうか。まぁ、どうだろう…。また、霧久保沢コースの登山道の中腹には国の「森の巨人たち百選」のひとつに選ばれた「トチノキ・コブ太郎」やコブ太郎より樹齢が古い「大王トチノキ」があるそうだ。

登山道入口  午前8時すぎに駐車場を後にする。林道の遮断機を抜けて少し歩いて露久保沢を右に橋で渡り、四方原林道を進む。明るい林道を15分ほど歩くと、右に登山道の入口に着く。登山道を少し進むと、人の気配に驚いたシカの親子が横から跳びだし逃げて行った。まぁ、足尾ほどではないと思うけど、この山域にはシカが多いのかもしれない。さらに少し行って、右に沢を渡って進む。しばらく右斜面が黄葉したカラマツ林の沢沿いの道を行く。沢が小さな流れになったあたりで沢を左へ渡り、日陰になったダケカンバやミズナラなどの広葉樹の道を進む。

炭焼き窯跡  登山道入口から30分すこしで「トチノキ・コブ太郎」の分岐点に着く。コブ太郎は右下の沢の方に見える。立派なトチの大木なので一見の価値がある。周囲に見物用の台や案内板も整備されているので、一休みして見物するとよい。パンフレットにも写真つきで載っているので、このコースの目玉のひとつなのだろう。

 そこから15分ほど登ると、左の登山道わきに昔炭焼きをしていたという石積みの炭焼き窯跡を見ることが出来る。そしてすぐそばには、コブ太郎にひけをとらない立派な「大王トチノキ」が立っている。昔の人は栃とか栗などの食べられる実のなる木は伐らずに大事にしたので、今日まで巨木で残っているらしい。

茂来山頂上  さらに登ると、ダケカンバなどの広葉樹と羊歯の生える原生林になり、登山道は苔むした岩で歩きづらい。ようやく急登の九十九折りの道を登りきったところが槙沢コースからの分岐点だ。雑木であまり展望がないが、南西からの明るい日差しの中でホッと一息できる場所だ。そこから尾根道を数分で茂来山(1718m)頂上に着く。

 頂上には山名板や三角点のほかに、新旧の石の祠と昭和五十七年八月二十日の日付の彫られた皇太子の登山記念碑が建てられている。パンフレットに皇太子の登山は1978年(昭和53年)に行われたと書いてあるので、この石碑が建てられたのは4年後の1982年(昭和57年)ということになる。

北東 遥か遠くに荒船山  細かい事を考えるのはそれくらいにして、さっそく茂来山からの展望を楽しんだ。西に蓼科山から八ヶ岳の雄大な連嶺、北西になだらかにひらけた佐久平、北に紅葉の佐久の山々を越えて遥かかなたに微かな噴煙を上げる浅間山、北東から東にかけて重層に連なる西上州の山々の中に独特な航空母艦の山体をした荒船山も見える。これから行こうとする四方原山はどれなのか確認できない。わずかに南東の雑木の間に、西上州の盟主・御座山が見える。

南西斜面のカラマツ林  後で確認した事だが、茂来山からは標高の関係で四方原山は良く見えない。茂来から見て四方原の方向に見えるのは、四方原から県境の栂峠へつづく郡境尾根の稜線にある1685mのピークだ。四方原はその1685m峰の手前の低い稜線上にあるのだ。それで茂来山からは確認しにくい。

 さて、山頂の南側には来山記念用記帳ノートの入った箱が設置されているので、記帳してみるとよい。そこから四方原へは針葉樹の生える岩尾根を南下していくことになる。途中、八ヶ岳方面が見える南西斜面のカラマツ林は見事で、まだ落葉せずに黄金色に輝いて美しかった。

三角点のあるピーク  しばらくヤブ気味の岩尾根を登り下りして、ようやく南側が伐採されて見晴らしが良くなった所に着く。ここがいわゆる地図上での1662mのピークなのかもしれない。南西に八ヶ岳、南東に御座山がみえる。南方の野辺山方面のかなたに南アルプスらしき山影が見えるはずだが、霞んでいてよく見えない。少し休憩することにする。

赤羽の頭  そこから、やや東寄りに少し笹の生えた雑木の尾根道を登り下りしていく。目標にするものがないので、しばらくダラダラ歩いて行くと三方向の枝尾根をもつピークに着いた。三角点があり、立木に山名板が付いていたので、ここが「赤羽の頭」だとわかった。でも地図上で三角点のあるピークは、二方向の尾根のピークにあるはずだ。自分としてはここが「赤羽の頭」ではないと思うが、実際に三角点が設置されているのでここなのだろう。まぁ、一介のねくらハイカーが地図の記載に文句をつけても致し方ないのでやめておく。

小岩のピークより茂来山  赤羽の頭から南に下ったり登ったりしていくと、南東方向のカラマツ林の間に少し標高の高そうなピークが見えるが、それは後でわかったことだが、この登山道が通る笹ヤブの多いピークから南方にのびる枝尾根にある1715m峰だった。

 やがて尾根道を東へ進むと、北側が見晴らせる小岩のピークに着いた。そこからようやく北西に聳える茂来山を見ることが出来た。また、先ほどの赤羽の頭から北東にのびた枝尾根にある地図上の1663m峰もカラマツで黄金色に染まってきれいだ。

東山線分岐  さて、そこから落葉した雑木の尾根道を進んでいく。途中で迷いやすいピークの尾根道があるので、赤テープやリボンなどで確認しながら行く。やや笹が深くなったピーク(ここが南方に見える1715m峰のある枝尾根の分岐らしい)を東方向に行くと、「東山線」の看板のある分岐点に着く。ここから南に下れば白岩からの林道東山線に出るらしい。白岩からの沢沿いのコースを四方原山に登って、帰りはここを下れば周遊コースになるのだろう。

「地蔵の頭」のお地蔵様  そこから東へ少し行くと、針葉樹の間にひっそりと地蔵の石像が立っていた。ここが「地蔵の頭」というところだろう。いわゆる昔の道の峠だったところだと思う。

 そのお地蔵様のあたりから南の方を眺めると、落葉の始まったカラマツの樹々の間から御座山が見えた。もし夏場に樹々の葉が繁っていたら、何も見えない寂しいところだろう。

カラマツの木立(四方原山頂部)  そろそろ四方原の山頂が見えるだろうと期待しながら緩やかな尾根を東に歩いていくと、美しく黄葉したカラマツの木立が見えたので思わず写真を撮った。そして登山道を歩いていくと、あに図らんやその木立の前が四方原山(1632m)の頂上だった。

四方原山頂上  頂上は登山道の北側のヤブの中にあって、夏場にヤブが繁茂しているとうっかり通り過ぎてしまうかもしれない。

 まったく展望のきかない頂上なので、眺望を目的にするハイカーは失望するだろう。時刻は午後1時を過ぎていたので、茂来山から約2時間半かかったことになる。しかたないので、少し休んで東の栂峠につづく道を眺めて引き返すことにする。

小岩のピークより1663m峰  帰りの行程は見覚えがあるので、少し早めに歩いた。やはり途中に尾根道をまっすぐ北に行ってしまいそうな、迷いやすい地点がある。テープやリボンを確認して行けば難なく西へカーブしていくところだ。急いでいたりすると迷ってしまうかもしれない。再び茂来山が見られる小岩のピークに着いて小休止。相変わらず、赤羽の頭から北東にのびる枝尾根に位置する1663m峰はカラマツの黄金色に染まって美しい。

樹間から茂来山  秋の日の午後はあっという間に過ぎてしまうので、思わず歩みも速くなる。わずかに茂来の頭を樹間に見ながら、右へ左へ分岐しながら尾根道をたどり、茂来山山頂に戻ったのが午後3時半すぎだった。山頂からは午前中と同じで景色がよく、佐久平が午後の西日でまぶしく見えた。今歩いてきた南東方向の山並みもよく見えるのだが、やはりどれが四方原山なのか確認できない。一休みしてすぐに霧久保沢への道を下る。

 登山道から林道に出て駐車場に着いたのが午後5時前で、まだ明るかった。急いで帰る支度をして国道299号に出たのが5時すぎ、まだ暗くなっていなかったので十石峠へ車を走らせた。峠に着くころはもう暗くなっていた。

 久しぶりの十石峠越えだ。以前、群馬県側は舗装されていなかったが、今では完全舗装され、道幅は狭いが快適に走れた。この道も299号の新道が開通すれば寂れた林道になるのだろう。そう思いながら帰りの道を急いだ。

日程2004年11月5日(金)
天候晴れ
行程時刻(往路)霧久保沢口駐車場8:10→林道わき登山道入口8:25→コブ太郎分岐9:00→槙沢口分岐10:10→茂来山頂上10:15〜10:35→三角点1662mのピーク11:20→赤羽の頭11:50→小岩のピーク12:05→東山線分岐12:40→地蔵の頭12:45→四方原山頂上13:05
行程時刻(復路)四方原山頂上13:15→地蔵の頭13:30→東山線分岐13:35→小岩のピーク14:05→赤羽の頭14:35→三角点1662mのピーク15:00→茂来山頂上15:40→槙沢口分岐15:45→林道わき登山道入口16:30→駐車場16:45

◇ T N H C ◇

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