三川合流地点の砂防ダム付近に一般車通行止めの遮断機が設置されているので、いつものように手前の銅親水公園の駐車場に駐車して、夜明け前(午前5時半前)の暗闇の中ヘッドランプを付けて歩き出す。気温は−4℃で11月中旬にしては冷え込みが厳しい。
付近の山腹にはシカの警戒する鳴き声が頻りにする。やはり足尾のシカは健在だ。夜明け前の薄暗い林道をピッチを上げて進み、午前6時前に奥の遮断機地点を抜け、大ナギ沢を過ぎる。
夜が明けてきたようなので、ヘッドランプを消して荒れた林道を西に進む。林道沿いには荒地の緑化のために人為的に種が蒔かれたと思われるエニシダが見られるが、斜面の崩れがひどくあまり役に立っていないようだ。
松木川の谷にもようやく朝日が当たり出してきた。5号砂防堰を過ぎると林道跡は微かになり、広河原を行く。左岸沿いの林道部分は去年よりも大分削れたようだ。広河原の左正面に特徴的なウメコバ沢が見える。
やがて前方に松木川最奥の6号砂防堰が見えてきた。去年はここで手間取って時間を浪費してしまった。今回はすぐに堰の左岸に渡り、側堤部を登ることにする。
すぐに右手からの三沢を渡り、右側にある小足沢の小さな滝を眺め上流へ向かう。河原の砂地にはシカの足跡が多数見える。多分、シカは夜中にこのあたりの河原に降りているのだろう。
今日は時間との勝負なので、ずぶ濡れ状態でも気にせずに徒渉を続けて行く。
そこから左岸の右斜面がガレた地点を通るのだが、ここが去年より一段と崩れ方が大きく、形が変わってしまった感じだ。
今回は小沢沿いを少し西に進んでみる。もしかして登りやすい尾根状の斜面でもあるかと思い進んでみたが、西の皇海山や鋸山方面が多少見えるくらいで急な斜面が続いていた。やはりここは大ナラキ沢左岸の急斜面を地道に登るしかないようだ。
シカの獣道を探しながら登りやすいところを登って行く。中腹のあたりになると、松木川右岸の山陰から出て日が当たり出し、斜面の霜柱も融け気味でさらに歩きやすくなった。
尾根の肩のような地点で後ろをふり返ると、南にオロ山の稜線が見えてきた。北西にはこれから向かう1828m峰の南東尾根にある岩峰が見える。東には落葉した樹林越しに先ほど歩いた松木渓谷の谷がよく見えた。
今日は気温が低いのであまり汗をかかない。西風が吹いていて肌に冷たいくらいだ。
尾根沿いをさらに登って行くと、落ち葉の斜面にはミヤコザサが見られるようになる。斜面の登りはきつく、ここからがひと苦労だ。ねくらハイカーは最近体力が衰え気味なので、笹の急斜面を休み休みダラダラ登るしかない。
途中の岩がある地点からは北に三俣山の山並みがよく見え、北東に等高線の1970mピークや1928m地点ピークそしてその先の1919m地点ピーク・黒檜岳・大平山の山並みが確認できる。
コメツガ林の急峻な尾根筋を苦労して登って行くと、左前方にあの1828m峰南東尾根の岩峰が近くに見えてきた。もうすぐ南東尾根に取り付くことが出来そうだ。
そこからヤブ尾根を進み、1828m峰のピーク地点と思われる笹地を過ぎると、少し開けた笹原の県境尾根に出た。
1828m峰県境出合の地点で少し休んでいると、県境の登山道を南の方から2、3人の人が上がって来た。最初は山歩きのパーティーが登ってくるのかと思ったが、どうも様子が違う。よく見ると、狩をするハンター達だった。彼らはこの付近の群馬県側でシカ猟をしているらしい。そういえば、11月15日に狩猟の解禁になったばかりだ。ハンター達は県境尾根の西側でシカを追ってこの1828m峰に上がって来たようだ。
10年以上前にねくらハイカーがはじめて国境平を歩いたとき、猟銃の薬莢が落ちているのを見つけた。そのときは、国境平付近は日光国立公園内の境界にあり、動植物が保護されて狩猟禁止のはずなのに薬莢が落ちていたので、もしや密猟でも行われているのかと疑った。
ハンター達と別れ、1828m峰の尾根を北へ向かう。ここからは県境尾根なので、例の赤い菱形プレート*が立木に打ち付けられ目印になっている。この赤いプレートは最近この県境沿いに付けられたものだ。
北面の尾根には前に降った雪が融けずに残っていて、初冬の山尾根のような感じだった。ようやく下の笹尾根の鞍部に降りた。ここが、いわゆる<カマ北*のコル>と呼ばれる鞍部だ。
そこから鞍部の深い笹原を抜け、1847m峰への登りにかかる。腰丈以上の深い笹ヤブの急斜面を登って行くと、途中に岩場のようなところから西の遥かかなたに上州武尊山や上越の雪山が見えた。
それからなおもコメツガやダケカンバが生えた笹ヤブの急斜面をダラダラ登って行く。急斜面をほとんど直登気味に笹を掴みながら一歩一歩登る。笹ヤブの中には倒木もあるので歩きづらい。非常に体力が要る登りだ。
ここが三俣山の頂上(1980m)だ。標高が高いためか山頂付近の笹地には5cmくらいの雪が融けずに残っている。以前は樹林の中の展望のない山だったが、今では西側がいくらか刈り払われていて、そこからは錫ヶ岳から南西にのびる稜線にある三ヶ峰や峰山が見え、その向こうに上州武尊山の山並みが見えた。
三俣山といえば、ねくらハイカーがここでビバークしたことがあった。今から7、8年前の9月頃、日光側から廃道同然の柳沢林道を辿り、県境の2077m地点ピークに登った。そこから県境尾根を南東に向かい宿堂坊山を経由してこの三俣山に着いた。
想い出の山を跡にして北へ向かう。右側の樹間にこれから向かう稜線と男体山方面が見えたが、手前の稜線がどのあたりなのかよくわからない。三俣山の北側は残雪が薄く残っていて、シカの足跡の他に最近歩いた人の足跡が見えた。どうも県境を歩いた人の足跡らしい。
分岐からは薄い積雪の尾根沿いを東へ辿る。少し進むと、樹間から前方右に次の、地図の等高線でいうと1970mのピークが見えた。
この道は比較的笹の繁るところが少なく、人の手が入らなくても昔の道が明瞭に残っている感じだ。
右斜め前方に、遥か遠くの大平山の南西尾根を覗き見ながら尾根道を進むと、やがてシャクナゲが繁る笹地のピーク地点に着いた。
1970m峰の山頂からは東の急斜面を下る。少し下って後ろをふり返ると、1970m峰のわきに皇海山が見える。いくらか遠くになったようだ。
そして、南西側から次の1928m峰*に登りついた。ここも笹が深めに繁る展望のない無名峰のひとつだ。
1928m峰からは南に下る。そこからツガやコメツガの樹林帯の比較的笹の少ない尾根を進む。尾根沿いの落葉したナナカマドには赤い実だけが見える。前方には、これから向かうシゲト山方面の特徴のない山尾根とその先の1919m地点ピークや大平山方面の稜線が折り重なって見える。
そこから少し進むと、左側が開けた地点から北東方向に戦場ヶ原方面の太郎山や山王帽子山の山並みが見えた。
やがて笹の小ピークに着くと、石の祠の屋根部分が置いてある。昔ここを通ったときはこういう人工物には気づかなかったが、最近置かれたものでもないようだ。屋根部分しかないが、何かあの金田峠の西側にあった祠に似ている感じがする。ここは等高線でいうと1800mくらいの南へ曲がっていく笹尾根のピークで、西ノ湖の南沢を上がってきた地点だが、別に峠のようなところではない。この石材の屋根も、いわゆる日光の修験道の遺物に関係するものなのだろうか…。
そこから尾根沿いを南東へ辿り、針葉樹が深くて薄暗い感じの尾根をカーブして北東へ向かう。
休憩後、尾根沿いを東に向かう。途中、笹尾根の南側から次の1919m峰の稜線が見えた。あの稜線の左(北)側の山が1919m地点ピークのようだ。そこからまたコツコツと針葉樹の尾根を登り、1919m峰の南側の尾根に上がる。
ようやく樹林の中の1919m峰ピーク地点*に着いた。ネットの記録ではこのあたりにシゲト山の標石があるということだが、雪に埋もれてしまったためか、ねくらハイカーが疲れていたためか標石を見つけることは出来なかった。
1919m峰から東へ下り緩い登りにかかると、尾根道には残雪が多くなってきた。標高が高くなったためか、日陰の部分が多いためかわからないが雪が目立つ。雪面にはシカの足跡が沢山見える。この付近にもシカが相当数生息しているのに違いない。
約10分ほど休憩後、再び黒檜岳への尾根を歩き出す。ネットの山行記録では黒檜の西側の尾根に雨量観測計が設置されているとのことだが、今回は急いでいたためか気づかずに通り過ぎてしまったようだ。
そのピーク状地点から右(南東)に直角気味に曲がって、平坦な針葉樹の樹林帯を進む。少し行くとシゲト山手前で見たのと同じ境界を示す標石があった。
その分岐地点からツガやコメツガなどの針葉樹の薄暗い森を南方へ社山方面に向かう。ここからは、あの赤と黄の菱形プレートや赤布・テープを目印にして進む。西日が深い樹林に遮られた暗い森を抜けると、まだ明るい笹原の地点に出た。
地形図の1954m地点ピークを越えて西へ進むと、笹尾根の見通しのよい地点に着いた。このあたりは日当たりがよさそうなところで、雪はすっかり融けている。笹尾根の向こうに大平山へ続く西の山並みが見えた。
尾根沿いを行くと、間もなく山名板と三角点のある大平山頂上(1960m)に着いた。ここは西側が針葉樹の繁る尾根上にあり、北西側の展望はないが、南東側の松木川の谷はよく見える。
山頂からさらに笹尾根を南西へ下り、前方に南東へ下る尾根筋を探す。南東へ向かう尾根はひとつしかないので、すぐに1805m地点へ下る尾根を確認できた。
そして、南東尾根の笹地につけられたシカ道を下りながら西方向を見ると、皇海山と鋸山の間の雲間に夕日が静かに沈んで行くのが見えた。また、南方には沢入山から中倉山へかけての荒々しい山肌も眺めることが出来る。それから東には社山から半月山にかけての稜線も見ることが出来た。
地形図の1805m地点で枝尾根の分岐になる。やや南寄りになった尾根筋をそのまま右の南方向へ下れば、大ナギ沢右岸の尾根に下っていくらしい。
笹が深くなったり浅くなったりする尾根沿いを方向を微妙に変えながら下って行く。やがて夕日が沈み少し薄暗くなる頃、笹尾根はカラマツの樹林帯になった。よく見ると、カラマツの幹には1本1本にシカ除けの防蝕ネットが巻かれてある。このような対策がなされているのは、やはりこの一帯にシカが多数生息しているからだろう。
多少暗いが、まだ何とか尾根沿いが見えるので走るように下る。ようやく人工物のある地点に着いた。ソーラーパネルが付いているので何かの観測計か監視装置のようなものだろうか。その付近には植栽された斜面があり、その下には林道が通っていた。
やがて安蘇沢のせせらぎの音を左に聞いて林道を南に下り、橋を渡って東に向かい、さらに久蔵沢の橋を渡って行くと阿世潟峠方面からの林道と合流した。それから久蔵沢左岸の林道を南方向に坦々と進んで行く。| 日程 | 2005年11月18日 (金) |
| 天候 | 晴れ 北西の風 |
| 行程時刻 | 銅親水公園駐車場5:20→一般車通行止め遮断機ゲート5:22→松木渓谷林道分岐・久蔵沢の橋5:24→仁田元沢林道分岐5:29→(直進)→松木集落跡地5:43→奥の遮断機ゲート5:59→大ナギ沢出合6:02→ウメコバ沢出合6:52→6号砂防堰7:05〜7:15→三沢出合7:18→小足沢出合7:20→石垣の地点7:55〜8:00→小沢8:05→(沢沿い)→(斜面に取り付く)→尾根の肩状の地点8:50〜8:55→平地のピーク状地点(1390P)8:58〜9:04→(北東尾根)→1828P南東尾根10:25→1828P県境登山道出合10:43〜10:50→1828P北峰付近10:55〜11:03→<カマ北のコル>11:07〜11:15→1847P 11:29→三俣山頂上12:03〜12:15→三俣山北側分岐12:20〜12:23→(東北東方向)→1970P 12:57→1928P 13:24〜13:26→シゲト山(1835P)頂上14:02〜14:07→1919P 14:32→(途中10分弱休憩)→雨量観測計地点 ?:?→黒檜岳(1970P)頂上15:14〜15:17→(南東方向)→黒檜岳(1976P付近)頂上、千手ヶ浜・社山分岐15:24〜15:27→(南方向)→社山・大平山分岐手前15:38〜15:40→(南西方向)→1954P付近15:42→大平山頂上15:58〜16:00→(南西方向)→南東尾根手前付近16:05→(南東尾根)→1805P付近16:25→(南東方向)→安蘇沢林道出合17:00→(下り)→遮断機地点(安蘇沢林道起点)18:00→安蘇沢の橋18:12→久蔵沢の橋18:23→久蔵沢林道出合18:25→(南方向)→松木渓谷林道分岐18:33→一般車通行止め遮断機ゲート18:35→銅親水公園駐車場18:38 |
| 備考 | ♦この記録では「高原山探訪」、「日光稜線紀行」、「栃木の山283+」等の方々のホームページを拝見し、参考にさせていただきました。改めて感謝いたします。また、県境(県界)尾根についてはヤマケイのアルペンガイド旧版(1992年発行)を参照しました。 |
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