そのうちに大分明るくなってきた。車に戻り、山歩きの準備をする。今日はヤブ漕ぎがあるということなので、破けて継ぎの当たったトレッキングパンツと破れてボロボロに擦り切れたシャツを着てきた。ねくらハイカーの姿はまさに山野を徘徊する浮浪者だ。平日のヤブ山ということで登山者に遇うことはあるまい…。
雑草が茂る幅広の道を西へ進んで行くと、すぐに「仏岩・吾妻耶山」方面を示す道標があり、右下の東屋付近から上がってくる細道に合流する。これが正式な赤谷越への道らしい。
そこからさらに暗い植林地の斜面を登る。道沿いのスギにはピンクテープの目印も付いている。このあたりのスギ林には下草としてコケやシダ類が繁茂していた。
岩がゴツゴツ出た作業道のような小道を折り返しながら山腹を辿る。支尾根をひとつ越え、ホオノキの落ち葉がワサワサ溜まった道を南西方向へ登って行くと、やがて道標の立つ尾根地点に着く。赤谷越*の峠だ。
そこには三方向を示す道標が3本立っていた。一番新しい道標には北東に「水上町・仏岩ポケットパーク」、西に「赤谷・高原千葉村」、南に「仏岩・吾妻耶山」を示している。残念ながら阿能川岳方面を示す道標はないが、傍らには昔の水上営林署が設置した「阿能川岳歩道」という白塗りのアングル形標柱が見えた。それには「延長 七・二〇一メートル 新設年度 昭和三十六〜三十七年」とある。ということは、昔はここから北側に尾根通しで約7kmの山道があったのかもしれない。まぁ、昔伐採が行われたのなら、あってもおかしくない道だ。
阿能川岳へ向かうということで、さっそく北側の尾根に歩き出すと、道標から5mほど離れた地点に周りをコンクリートで囲われた金属標が見えた。
さて、いつまでも金属標を眺めていてもしょうがないので、少し急な斜面を北へ辿る。
そこで一息ついて紅葉が始まったばかりの雑木類が多い尾根筋をいくらか北西寄りに進む。
それでも少し我慢してピーク地点*を過ぎ、次の小ピーク付近をヤブ漕ぎして行くと、左下に明瞭な登山道が見えた。先ほど見送った巻き道らしい。こりゃー、巻き道の方が断然歩きやすい。
そこからサクサクと巻き道を辿る。そのうちに再び尾根沿いを行くようになり、少し北西寄りに進む。前方に目をやると、落葉した樹木の枝越しにピーク状のものが微かに見えた。ヨシガ沢山だろう。
さらに尾根沿いを登ると、やがて背丈ほどのススキが茂ったカヤト状のピークに出る。ススキや雑木林に覆われているのでほとんど見晴らしがないが、踏跡に沿って北側へ進んで行くと、傍らの立木にビニール袋のような切れ端が付いていた。
ヨシガ沢山の下りから樹林越しに北方向を眺めると、地形図の1230m標高点あたりの山尾根が微かに確認できる。その手前には送電線の鉄塔もある。矢木沢線の鉄塔らしい。
落ち葉が溜まった尾根道をさらに下って行くと、明瞭な山道が通る鞍部に着く。側の立木にはピンクテープの目印があり、白塗りの「19号入口」という看板も付いていた。
日陰の樹林帯を抜けると、右上に送電線の鉄塔が聳える伐採地に出る。伐採地からは南西の山並みが見えた。気温は13℃ほど。10月としては温度が高めで遠方は少し霞んでいる。
伐採地の斜面を折り返して登り、矢木沢線第20号鉄塔の真下で休憩する。
小休後、巡視路に沿って北へ進む。このあたりも落ち葉を敷きつめたプロムナードが紅葉の樹林帯につづいていた。
暫し紅葉狩りの気分で尾根沿いを進んで行くと、巡視路はやがて尾根を右に外れ東側へ向かうようになる。このあたりが地形図の1230m地点付近で、矢木沢線の22号塔は多分ここから東に延びる支尾根上にあるようだ。
一息ついてヤブ尾根を北へ辿る。腰丈から胸丈ほどの笹はそれほど密生していないので歩きやすい。尾根沿いの樹木にはピンクや赤や黄色のテープが付いている。やはり、ここを歩く登山者は相当多いようだ。
途中、針葉樹のクロベ(ネズコ)がまとまって生えているコブ地点で小休止。気温は15℃くらい。風がないので、10月下旬にしてはちょっと暖かい。まだ、ハエも数匹纏わり付いてくる。
そこから北へ少し下り気味に進み、また緩く登りつづける。前方の樹間に次の尾根上のピークらしきものが見えるのだが、地図のどのあたりのピークなのかイマイチわからない。
さらに緩い傾斜のヤブ尾根を上り下りしながら進む。このあたりから笹の他に灌木類のヤブが多くなる。しかし、雑木林の紅葉は最盛期ということで、四方一面が錦の彩りを見せていた。
途中、ヤブ林越しにいくらか見通しのあるコブ地点で再び小休止。そこからは前方に上部が針葉樹になっている尖ったピーク*が見えた。昭文社の山と高原地図の「天子山(あまごやま)」という地点だろうか…?
そこから少し北東寄りに登る。尾根沿いには背丈以上の笹やシャクナゲなどの灌木類が茂っている。シャクナゲのヤブは少々歩きづらいが、奥利根藤原あたりのシャクナゲ林と比べるとまだ歩きやすい方だ。しかし、今までとは違ってこのあたりからペースが落ちてくる。
GPSを持った方が残雪期に歩いた記録では、天子山付近には鳥獣保護区の赤い看板があるということだったが、灌木類が茂っているため看板などはまったく確認できない。
そこから針葉樹の古木やシャクナゲなどが混じって生えているヤブ尾根を辿る。
ヤブを漕いだり巻いたりしながら岩の多い尾根筋を登って行くと、そのうちに高木の樹木も少なくなり、いくらか見通しが利くようになる。
さらに灌木類を掻き分けて登って行くと、低木のクロベが茂ったコブ状の地点に出る。下から見て上部が針葉樹になったピークの山頂だ。
左(北西)には紅葉真っ盛りの小出俣山方面の山尾根がバッチリ見えた。それから右の東方向には上州武尊山が見えているのだが、気温が少し高いせいか、霞んでぼんやりとしている。
そこからまた岩の多いヤブ尾根を進む。このあたりでは岩場が多くなるとヤブが少なくなるので、多少歩きやすかった。直登できないところはほとんど左(西)側に巻いて尾根沿いを進む。
やがて見通しの利かない笹と雑木の灌木類が混じるヤブ尾根を登るようになる。登るに従って結構な密ヤブとなってくる。おまけにツタや雑草のツル類が脚に絡んでくる。
このあたりから先人が付けた目印が少なくなってきた。帰りは往路を戻る予定なので、ひとまず自分用にテープを付ける。
そこから暫く我慢してヤブを漕ぎながらスローペースで登って行くと、どうにか見晴らしのある地点に出る。北にはヤブ越しに俎ーの稜線や万太郎山方面が見える。それから西には、相変わらず小出俣山から南に延びる山尾根もバッチリ見える。多分ここが三岩山(1568m)だろう。
三角点ピークということで、倒木類で一段高く盛り上がったところを探したが、標石はない。代わりに、ヨシガ沢山で見たのと同じビニールの切れ端が足元の低木に付いていた。
山頂部のヤブ尾根を北に下る。ところが、この三岩山の北側がこれまた南面以上の密ヤブとなっていた。笹とシャクナゲが密生したところでは前に進めず立ち往生。仕方ないので、少し戻って山頂部西側の笹の斜面に巻いてどうにか通過する。
どうにかこうにか三岩山北尾根のピーク地点に辿り着き、ひと休み。そこからはいくらか展望があった。前方になだらかな丘のようなピークが横たわっている。あれが多分阿能川岳の山頂部らしい。
そこからまた密ヤブ帯に下ってなだらかな鞍部を過ぎる。このあたりは背の高い雑木類が生えていた。尾根沿いは笹が密生しているので、一時的に笹が薄めの西側の斜面を辿る。
ヤブ尾根の小ピークを越えて、笹が少し薄い感じの尾根筋の左側を登る。そのうちに傾斜も少し緩くなり胸丈ほどの笹ヤブ帯になると、珍しく先人が付けた赤テープの目印が見えた。そこから笹と灌木類の密ヤブとなっている尾根沿いに赤テープを追って行くと、やがてダケカンバの幹に赤テープが3本巻かれた地点に着く。
そこで三角点がある山頂部東側へ進む。なだらかなヤブ尾根を少し下り気味に進み、さらに笹や灌木が茂る密ヤブ帯を登る。このあたりも雑草のツルが絡んで歩きづらい。
ここが阿能川岳の山頂(1611m)ということで、北側の立木には文字の消えた木製標識が付いていた。それから、赤テープが巻かれた幹の表面には赤錆色のネジ穴が見えた。かつて達筆標識が付いていたネジ穴らしい。ということは、標識はすでに消失してしまったようだ。
気温は17℃ほど。晴れている割には上がらない。ねくらハイカーはここまで来て標石見物だけでは面白味がない。北側の斜面にちょっと下ってみる。
三角点付近は見晴らしがよくないので、小休後、往路のヤブ尾根を西へ戻る。同じルートを通っても面白くないので、尾根から少し北側に外れた笹ヤブ帯を辿る。そこからは北に俎ー*から川棚ノ頭あたりのゴツゴツした派手な岩山の稜線が見えた。
それから、北西には「ぐんま百名山」に選ばれている万太郎山や仙ノ倉山などの上越国境の名峰が望める。
そこからまたヤブの尾根筋に戻り南西方向へ進む。3本テープの目印地点から少し南寄りにヤブを漕ぐ。
小鞍部から自分で付けたテープを確認しながら胸丈ほどの笹を掻き分けて進む。灌木類が混じったヤブ尾根はすでに経験済みなので、時間をかけてゆっくり登る。
雑木とシャクナゲが密生したヤブ尾根を登り、三岩山北側の小ピークで休む。そこから三岩山の山頂部を改めて眺める。
休憩後、三岩山北面のヤブ尾根にかかる。このあたりはかなりの密ヤブ帯となっていて、手強い。そこを何とか登りきると、ビニールの手書き標識がある三岩山山頂に出る。
標石も確認できたということで、あとはポケットパークへ戻るだけ。三岩山南面も密ヤブになっているが、下りということで往路のときより負担が少ない。
途中、左下に関越道谷川岳パーキングエリアが見える尾根の展望地で休憩する。上空は雲が多くなってきた。尾根沿いは冷たい西風が吹いている。気温は12℃くらい。
さらに南へ下って岩稜を右(西)に巻き、岩にクロベが絡んだ尾根筋を進む。このあたりも先人のテープを追って行く。
さらに雑木林が茂るヤブ尾根を下る。鮮やかに紅葉した雑木類の樹林帯はまことに見事だ。このあたりに昭文社の地図で「鍋クウシ山」と呼ぶ1314m標高点があるようだが、標識類がないので、どこがその地点なのかまったく見当がつかない。
のんびりとした気分で尾根道を下って行くと、左前方の樹間に先ほど上の尾根筋から確認した三峰山(上州三峰山)が見えた。
そのうちに矢木沢線第20号鉄塔が建つ伐採地に出る。そこからは、南方にミニ富士形の吾妻耶山が西日に照らされているのが見えた。
そこから山腹を通り、尾根の鞍部で19号へつづく巡視路と別れ、ヨシガ沢山への山道に進む。さらにヨシガ沢山山頂部のカヤトを抜け、落ち葉が溜まった尾根沿いを南東へ辿る。
さらに山腹の巻き道を経由して再び尾根筋を下り、土木事務所の水準点が設置された赤谷越に降りる。
シーンと静まり返った日陰の植林地をトボトボ下って行くと、やがて駐車地点の仏岩ポケットパークに出る。ポケットパークにはライトバンが2台停まっていて、5、6人の作業者が帰り支度をしていた。駐車場の工事関係者らしい。彼らは、山道から突然現れた小汚い格好のねくらハイカーに少し驚いているようで、ジロジロ見出した。何か山から相当ヤバいヤツが下りてきたと思っているようだ…。
帰りがけに、県道270号の本谷沢に架かる橋付近から北西方向に山尾根が見えた。どうも、奥の左側にあるピークが阿能川岳らしい。麓付近から見ても幾分地味な感じだ。阿能川岳を下から眺める場合も、やはり積雪期がいいようだ。| 日程 | 2008年10月21日 (火) |
| 天候 | 曇りのち晴れ、午後から西寄りの風(稜線上)時々曇り |
| 行程時刻 | 仏岩ポケットパーク5:42→(山道・登山道)→赤谷越6:05〜6:17→(北へ)→(尾根の肩地点で小休5分)→(標高点付近のヤブ尾根を通ってルートミス)→(山腹の巻き道へ)→ヨシガ沢山6:56〜7:00→鞍部(矢木沢線巡視路合流地点)7:02〜7:04→(巡視路)→矢木沢線第20号鉄塔7:13〜7:20→21号塔分岐地点7:22→ヤブ尾根取り付き地点(1230P付近)7:32〜7:35→(ヤブ尾根)→(途中5分休憩)→鍋クウシ山(1314P)?:? →(途中5分休憩)→天子山(?)付近8:47〜8:50→(途中5分休憩)→展望地[天子山と三岩山の中間付近]9:27〜9:32→(途中5分休憩)→三岩山(三角点P)10:16〜10:25→(途中のヤブでタイムロス)→小ピーク(三岩山北側)10:35〜10:43→(途中5分休憩)→阿能川岳西側ピーク付近11:18〜11:23→(北東へ)→阿能川岳(三角点P)11:38〜12:06→(南西へ戻り)→西側ピーク付近12:21〜12:23→(南へ)→小ピーク(三岩山北側)12:50〜12:58→三岩山(三角点P)13:05〜13:15→展望地13:45〜13:55→天子山(?)付近14:20〜14:22→(途中休憩5分以上)→鍋クウシ山(1314P)?:? →(途中5分休憩)→矢木沢線巡視路合流地点15:10→(巡視路)→21号塔分岐地点15:18→矢木沢線第20号鉄塔15:20〜15:22→鞍部15:27→(山道・登山道)→ヨシガ沢山15:29〜15:30→(巻き道経由)→赤谷越15:50〜15:51→仏岩ポケットパーク16:06 |
| 備考 | ♦この記録は、主にHP「7K1CVP WEB」・「我が登頂の山々」・「新潟からの山旅」およびブログ「サイクリング&ハイキング」等の記録を拝見し参考にしました。それからHP「あおちゅうと山歩き群馬百名山」・「群馬山岳移動通信」・「Tomoの奥利根山歩き」・「あきこの徒然日記」等の群馬在住の方々の記録も拝見し参考にさせていただきました。 ♦画像の説明で示した途中の尾根地点の標高は、正確なGPSで確認したものではありません。多少の誤差や錯誤等があるようなので、悪しからずお願いします。 ♦記録中に三岩山の山名について述べていますが、これは素人ハイカーの勝手な推測です。何の根拠もありません。 |
◇ T N H C ◇