富士見下から荷鞍山



 7月に三ヶ峰の東峰まで行ったとき北西方向に荷鞍山が見えた。荷鞍山も三角点ピークだがあまり人の訪れない静かな山らしい。ネットなどで登られた方の山行記録を拝見すると、春の残雪期に富士見峠から白尾山への登山道途中から荷鞍山に向かったところ、ヤブの斜面を下った鞍部付近で笹が刈り払われた道に出合い、その道は荷鞍山の山頂まで通じていたということだ。

 それから横田昭二 著『私が登った群馬300山』の荷鞍山についての記述箇所にもこの道のことが触れられていて、富士見小屋の人にあまり宣伝しないようにと口止めされたらしい。

 ということは、地図に載っていないこの道のことを地元の人は周知のようだ。何の目的で刈り払いされたのかわからないが、とにかく富士見峠から白尾山へ向かう縦走路の途中から荷鞍山への道が通じているのは確かなようだ。

 そこで、久しぶりに尾瀬周辺の山を歩いてみようと、一時的に尾瀬への登山客が減る9月上旬の平日を狙って片品村の戸倉方面へ出かけてみた。
 戸倉スキー場の駐車場わきで行われている道路工事現場を過ぎ、硫黄沢沿いの舗装林道に進む。20年以上前にここを通ったときは未舗装の悪路だったが、今は走りやすくなっていた。

 沢沿いの道を走って行くとやがてバス停広場のある山荘跡付近を過ぎる。昔はこのあたりの広場に駐車できたのだが、現在はちょっと寂れた感じで、バスのUターン場所になっている。

 そこでさらに林道を進むと、車両通行止め遮断機手前の林道沿いに笹刈りされた駐車スペースがあった。今日は平日の早朝なので1台の車も駐車していない。もともと富士見下コースは富士見小屋までの林道歩きが長いので、歩く人は少ないのだが、やはり拍子抜けするほどひっそりしていた。駐車地付近は広葉樹の樹林帯から小鳥のさえずりのみが聞こえる。
車両通行止め遮断機ゲート  駐車地からすぐに遮断機のゲートを抜け、未舗装の林道を進む。この林道は現在でも富士見小屋専用の道路らしい。路面は砂利が敷かれ補修されているようだが、20年以上前に歩いたときと同じ道幅だ。まぁ、厳しい環境問題に直面している尾瀬ということなので、林道の拡張や舗装はできないのだろう。

 バス停から上がってくるショートカット道の合流地点を過ぎ大木のミズナラなどが生えた樹林帯を進むと、いわゆる「十二曲がり」と呼ばれる林道のカーブの登りになる。傾斜のあるカーブ途中には冬場の除雪用の重機が置かれていた。

「十二曲がり」の坂道沿い  このあたりの斜面は広葉樹の雑木林と笹地になっているが、道沿いにはアザミの仲間やヨツバヒヨドリ・ミヤマアキノキリンソウ・ヤマハハコ・ヒメシャジンなどその他諸々の山野草が咲いている。ねくらハイカーは山野草などの知識が乏しいので、その他の花々の名前はわからない。

 そこからしばらく林道のカーブを登って行くと、左方向に山尾根が見える。大行山の南東側の尾根のようだ。横田氏の著書によると、このあたりの沢沿いから残雪期に大行山へ登られているらしい。

なだらかな平坦部を通る林道 「田代原」の道標地点  「十二曲がり」の坂道を登りきると、やがて林道はなだらかになる。笹地にブナなどの広葉樹が生えていてゆったりした感じだ。地図を見ると、西側の山腹に「田代原」と呼ぶ湿原があるらしい。

 林道を進むとその田代原と書かれた道標地点を通った。このあたりでは左側に山の尾根が見えるが、右側は樹林帯になっていて何も見えない。

「馬洗淵」道標地点から淵方面(ヤブで見えない)  ブナやダケカンバの多い樹林帯を進んで行くと、やがて「馬洗淵*」という道標地点を通る。本来はここから右下に馬洗淵と呼ばれる池が見えるわけだが、夏場は深い笹ヤブと樹林に覆われて全く見えない。

 冬場の積雪期に入山する場合、この馬洗淵あたりから東側の冬路沢沿いを辿って富士見峠付近に上がるらしい。

(*ネットの記録では、昔戸倉から尾瀬ヶ原の山小屋に馬で物資を運んでいた頃このあたりの池で馬を休ませていたそうだ。また、尾瀬大納言がここで馬を洗ったという伝説もある。)

右方向に1956Pの山尾根(ズーム画像)  そこから道沿いにフキやカニコウモリが生えたところを登って行くと、ようやく右方向の樹間に山尾根が見えてくる。

 デジカメでズームにして見ると、右側の尾根筋に電波塔が見えた。地形図の1956m地点があるピークらしい。

朝日の当たる林道を進む 東方向に荷鞍山の稜線  ということは、荷鞍山はもっと右方向にあるようだ。そこで右方向を見ながら林道をさらに登って行く。

 少し登ると、朝日がまぶしい東側の樹間に荷鞍山の鞍形の稜線が見えてきた。写真を撮ろうとしたが、逆光でよく撮れない。

林道から富士見峠方向  途中の水場地点を過ぎダラダラ歩いて行くと、林道沿いの樹木はシラビソなどの針葉樹が多くなってきた。朝日がもろに当たりはじめたので、シラビソの木陰でちょっと休憩する。

 気温は18℃くらいだが日差しが強い。北方向の稜線を眺めると、アヤメ平付近の南側山腹がよく見える。今日は天気がいいので尾瀬方面の展望も期待できそうだ。

 そこから右方向になだらかな鞍部状の富士見峠方面を見ながら林道を登る。

「アヤメ平下」付近から北側の稜線 林道から南東方向、1956P・荷鞍山・1975P  さらに林道を進むと、「アヤメ平下」の標識地点を通った。このあたりがアヤメ平の真下らしい。上に見える尾根の稜線上に中原山や横田代へ行く登山道が通っているようだ。

 「アヤメ平下」を過ぎてカーブを登って行くと、下からワゴン車が走って来た。路肩に避けて車を見送る。工事関係者の車らしい。登山道を整備する作業者だろうか…。

小屋近くの林道沿いから西方向、奥にアヤメ平・中原山  そこからいくつかカーブを曲がり林道をトロトロ登る。途中の水場で一息つき、日の当たる坂道を上がって行くと、ようやく富士見小屋前の広場に出た。

 先ほどのワゴン車が西側に駐車していて、2人の作業者が電ノコを弄っている。それから広場の前にはヤナギランが植えられ、鮮やかな濃いピンク色の花が咲いていた。昔はこんなものはなかったのだが、今は人寄せのために植えられているのだろうか…。

富士見小屋  富士見小屋は夏休み明けの平日ということで滞在者もいないらしく閑散としていた。やはり尾瀬でもこのあたりは昔から人が少ないので、落ち着いて山歩きができるところだ。

 今日は天気がいいので、このまま尾根沿いを西の横田代あたりまでのんびり歩きたい気分だが、当初の目的地は荷鞍山ということなので東へ行かねばならない。

 そこで道標地点から林道をさらに富士見峠方面へ向かう。

富士見峠分岐、左・尾瀬ヶ原方面、右・尾瀬沼方面  砂利が敷かれた細い林道を進むと、すぐに分岐地点に着く。富士見峠(1883m)だ。

 尾瀬ヶ原の見晴十字路(下田代十字路)へ行くには最短コースだが、一般的にここから北へ下って尾瀬ヶ原へ行く人は少ないだろう。今では、おそらく尾瀬のバリエーションルートとして歩かれているようだ。

白尾山・尾瀬沼方面への林道  峠からは尾根沿いの林道をそのまま東の尾瀬沼方面へ進む。昔このあたりは石畳の道だったのだが、その後の電波塔の工事の際に改修されたようだ。今では草の生い茂る土の路面になっていた。

 林道の通る尾根沿いは深い笹とシラビソなどの針葉樹の樹林に覆われているが、ダケカンバなどの広葉樹もかなり生えている。

アヤメ平・中原山方面、左後方に至仏山 富士見小屋方面、後方に景鶴山、後方奥に平ヶ岳  電波塔へつづく林道をダラダラ登る。やがて右へカーブして登って行くと、林道沿いの樹間から西方向にアヤメ平や富士見小屋方面が見えてくる。

 よく見ると、西の至仏山や尾瀬ヶ原の北西に聳える景鶴山方面、そして遥か後方の平ヶ岳の山並みまで確認できた。

林道から、前方にパラボラアンテナ 電波塔(富士見中継局)の建物  そこから左へ曲がって行くあたりが地形図の1956m地点付近で、前方に電波塔のパラボラアンテナが間近に見えた。そして林道はまもなく終点になる。

 林道終点からは登山道となるが、右側に電波塔の建つ広場があるので、そちらで休憩する。この電波塔周辺からもいくらか展望がある。南東方向に荷鞍山、北方向に燧岳、南西方向に大行山や多少雲がかかった西山および武尊山方面も見えた。

尾瀬沼方面への登山道入口  電波塔からは尾瀬沼への登山道となる。登山道入口には「富士見峠1.2km・白尾山0.5km」と表示された道標が立ち、そばには東電のマップボックスがある。

 このマップボックスは富士見峠の見晴十字路への入口にもあったので、東電が尾瀬の各入口に設置しているものらしい。中には地図付きのパンフレットが折り畳まれて多数入っていた。

 記念に1部頂戴する。パンフレットは尾瀬入山に関する案内だが、東電が尾瀬の土地の約7割を所有していることが明記されている。いかにも東電がこの山域に巨大な利権を持っていて、尾瀬の環境保全と回復に力を入れていることを宣伝する内容になっていた。

木道が通る登山道、前方が1970P付近 途中の小湿原から北に燧岳  登山道に入ると部分的に木道が通っている。木道沿いにはオヤマリンドウが咲いていた。すぐに小湿原を横切る。湿原からは北に燧岳が見える。

 さらに緩やかな樹林帯を登って行く。途中で西の方をふり返ると、立木越しに至仏山から尾瀬笠ヶ岳あたりまでの稜線を見渡すことができた。

1970P付近から荷鞍山方面 1970P付近から白尾山南側の山尾根  やがてピーク付近に出る。ここは電波塔の東にある小ピーク(等高線でいうと1970m峰)で電波塔地点と同じように多少の展望がある。

 東方向に白尾山の南側の山尾根を見ることができる。その山尾根の山腹から南方向に荷鞍山への尾根がつづいている。果たしてあの尾根筋に道があるのだろうか…。

白尾山南側の登山道から荷鞍山方面、左後方に四郎岳・奥白根方面  1970m峰から東の鞍部に下る。登山道は最近刈り払いされていないようで、深めの笹に覆われている。笹ヤブの鞍部から登り返して行くと、右側が開けたところ*から間近になった荷鞍山とその南峰(1975m峰)が見えた。

 そこから荷鞍山への尾根沿いの斜面を見るが、深い笹と樹林に覆われていてとても道の跡すら発見することはできない。

(*後で確認したところ、その樹林が開けた地点の西側手前から荷鞍山への道の起点があった。)

登山道をやや北東へ進んだ小湿原付近から荷鞍山方面  仕方ないので登山道を白尾山の方へ進んでみる。もしかすると、2003mの白尾山ピーク付近から山腹を通っているのではないかと目を凝らして白尾山南東斜面を見るが、踏跡の気配すらない。

 登山道を北東の白尾山へ向かう途中に2ヶ所ほど小湿原がある。そのあたりでウロチョロしながら山腹を通る道はないかと探したが見つからない。湿原沿いを南東へ10mほど下ってみたが、すぐに猛烈なヤブに阻まれて下降できない。

北東方向に白尾山(2003P)、右側後方に袴腰山や黒岩山 東方向、袴腰山・黒岩山〜燕巣山の稜線  仕方ないので登山道に戻り一息入れる。今日は天候に恵まれ、日光白根山方面の山並みまで見通すことができる。東方向に8月に歩いた群馬・栃木県境の燕巣山から物見山方面も見えた。

 昔この辺を通ったときは、周りの景色を眺める余裕などなく尾瀬沼への道を急いだものだが、登山道から南東や東方向の山並みの展望も素晴らしく捨てたものではない。

 荷鞍山への道が見つからないので、登山道を少し南へ戻ってみる。荷鞍方面を見ながら道沿いをウロウロしていても一向に埒が明かない。

 そこで登山道から南東方向正面に荷鞍山が見える地点から笹ヤブの急斜面を思い切って下ってみる。最初は背丈以上の笹を掴みながら下る。深い笹ヤブになった針葉樹の樹間越しに荷鞍山のピークを確認しながら南東へ下る。

 もしこのまま道が見つからなかったら、荷鞍山の山頂まで相当時間がかかるだろう…。多少の不安が脳裏をよぎる。とにかく、尾根沿いにあるという道に出なければならない。
刈り払い道出合い  日陰になった密ヤブの斜面をそのまま下って行くと、尾根筋からいくらか東寄りにズレてきた。そこで西寄りの右上に斜面を登り返して行く。

 するとまもなく、日の当たる笹地に刈り払い跡のある踏跡に出た。踏跡は尾根沿いのいくらか西側を通っていた。これが荷鞍山へつづく刈り払い道だろうか。

 道は最近刈り払いされていないようで、小笹が生えている。しかし、踏跡はしっかりしていて登山道と呼べるものだ。

刈り払いされた道 1926P付近南側から荷鞍山  そこから踏跡を南東へ辿り、シラビソなどの針葉樹が多い樹林帯を下って小鞍部を過ぎる。

 途中樹木が3、4本いっしょに折れて道を塞いでいるところを通り、1926m地点の小ピークを越えると中間地点の鞍部を過ぎる。

明瞭な登山道  さらに小ピークを越えて針葉樹の生えた笹ヤブの斜面を登って行くと、尾根沿いに大岩のあるところを通る。そこは右に巻き、急斜面を登る。

 やがて笹が薄いところになると、斜面にはハッキリした登山道が見える。やはり何かしらの目的で歩かれている道のようだ。

 針葉樹の森にはシラビソやコメツガの他にトウヒなども生えている。登山道沿いにはすでにナナカマドの実が赤く色付いていた。このあたりは標高が2000m弱なので、9月も下旬頃になれば紅葉も始まることだろう。

荷鞍山山頂、西側の山名板 南方向、右手前に南峰(1975P)、左後方に錫ヶ岳・笠ヶ岳・三ヶ峰の稜線  急斜面を休みながら登って行くと、灌木に山名板の標識が付いた山頂付近に出た。荷鞍山の頂上(2024m)だ。西側の松の木にもう1枚山名板が付いていた。

 荷鞍山の山頂部は狭く南東側が崖状に切れ落ちている。そのため展望は素晴らしく、日光白根山方面や四郎岳・燕巣山はもとより金精峠の遥か後方には男体山も確認できる。

南東方向、燕巣山〜四郎岳の後方に金精〜白根〜錫〜笠の稜線 北西方向、中原山・アヤメ平方面、左後方に至仏山  また、南西方向には西山や上州武尊山方面も見渡せた。そして北西には中原山・アヤメ平のなだらかな稜線と至仏山の秀麗な姿を望むことができた。

 山頂は日差しが強いので気温は25℃くらいになっていた。南側から吹き上がってくる風がいくらか涼しい。頂上に着いたときには山頂付近で猛禽類が1羽飛んでいたが、ねくらハイカーの姿を認めるとたちまちどこかへ飛び去って行った。

荷鞍山と南峰との中間の鞍部付近  白尾山南側の斜面からつづいている道は荷鞍山からさらに南峰(1975m峰)の尾根筋に付いている。そこで、今日はまだ時間があるので、山頂の西側から急斜面になった南面を下って南峰に向かう。

 山頂直下は草地の滑りやすい斜面になっていた。樹木の枝などを掴みながら慎重に下ると、やがて膝丈ほどの笹が生えた道になる。尾根沿いは依然として明瞭な踏跡が付いている。

 それからシラビソの樹林帯の鞍部を過ぎる。ここはまさに鞍形をした荷鞍山の稜線の鞍部分だ。西側は深い樹林帯で見えないが、東側は樹林越しにいくらか東方の山並みが見える。そこからまた急な登りになる。このあたりでは尾根筋にハッキリとした登山道が付いていた。

南峰(1975P)山頂付近  やがて南峰(1975m峰)の頂上付近に着く。山頂部は樹林に覆われいるので展望はよくないが、左(南東)側が開けたところから正面に四郎岳方面が見える。

 ところでこの登山道はこの先どうなっているのだろうか。そこで山頂部を少し南側へ進んでみると、踏跡は南峰からさらに南西へ下る主稜の尾根筋に付いていた。

南峰南側から南西方向、右後方に西山・武尊山方面、左下方奥にスキー場  ネットの記録では山ランのメンバーの方がこの道は下の戸倉スキー場からつづいているのではないかと推測している。しかし、この登山道が実際にスキー場付近から来ているのかは不明だ*。

(*帰宅後、昔尾瀬の山歩きでお世話になったヤマケイのアルペンガイド旧版(1983年2月発行)を引っ張り出して読んでいたら、「…荷鞍山から片品川フノウシロ沢におりる東電巡視道を右下に見送ると、すぐその先が白尾山である。」という記述があった。また、昭文社のエアリアマップ「尾瀬」の登山コースガイドにも東電巡視道のことが書かれていた。ということは、白尾山への登山道途中に荷鞍山を経由してフノウシロ沢へ下る東電の巡視路がすでに1980年代以前から通っていたわけだ。でも、ねくらハイカーが80年代にここを歩いたときはこの分岐道に全く気づかなかった。巡視路ということで、一般のハイカーに踏み荒らされてはマズイので分岐地点は上手く隠されていたのかもしれない。とにかく、昔のガイドブックによるとこの刈り払いの道は東電の巡視路らしい。)

東方向、物見〜2091P〜三角点P〜燕巣、右後方に大嵐・根名草〜温泉の稜線  今日は南峰からさらに南西へ下る予定はないので、ここから再び荷鞍山へ戻る。北側へ明瞭な道を下り、鞍部を過ぎて急斜面の登りにかかる。

 途中、東側の見晴らしがよい尾根筋で休憩して8月に歩いた燕巣山から物見山にかけての稜線を観察する。北側の物見山から南側の燕巣山までの2000m圏のなだらかな感じの県境尾根をゆっくり眺めることができた。

荷鞍山南面の急斜面 荷鞍山山頂の三等三角点  そこから草地と笹の急斜面を登り返し、荷鞍山の山頂に戻る。先ほどは三角点の標石を確認するのを忘れていたので、改めて標石を探してみる。

 狭い山頂部の東側のヤブに山名板が掛けられたあたりの笹を払ってみると、すぐに三等三角点の標石が見つかった。やはり最近は刈り払い作業が行われていないようで、笹が繁って標石を隠していた。

登山道から北西方向、左に1956P・電波塔、中央に1970P(ズーム画像) 登山道から北方向、白尾山の右に燧  山頂部から北東へ下る。前方の樹間越しに左方向に至仏山・アヤメ平、右方向に白尾山・燧岳方面を見ながら下る。

 傾斜が緩やかになってくると登山道にはゴゼンタチバナの群落があり、小さな赤い実を付けているのが見える。

白尾山南側の斜面に付いた刈り払い道  そこからいくつか小鞍部や小ピークを過ぎ1926m地点付近を越えて斜面を登り返して行くと、午前中東側のヤブからこの道に出た地点を通る。そしてさらに刈り払いの道を北へ進むと、急斜面の登りになる。

 道は笹ヤブの斜面を一旦右に曲がり、それから左へ折り返して斜面を上がって行く。途中の開けたところから南方向に荷鞍山方面が見えた。展望からすると、このあたりは白尾山へつづく登山道に近いようだ。

刈り払い道終点  刈り払いの道はまもなく笹ヤブに消えてしまった。きっとこの近くを登山道が通っているに違いない。

 そこで木の枝にテープの目印を付け、そこから笹ヤブを漕いで登ってみる。すると驚いたことに、1mも進まぬうちに白尾山への登山道に出た。まさに刈り払いは登山道手前で故意に止められていたのだ。

登山道側から刈り払い道終点(起点) 刈り払い道分岐地点から登山道西方向  登山道側からこの刈り払い道の入口を見ると、シラビソの立木の枝に鉈目の跡が見える。やはり密かに道の入口を示している感じだ。

 ねくらハイカーも一応目印のテープを付けてみたが、そのうち関係者に取られてしまうだろう。

 そこからは登山道を西へ戻る。北西方向へ鞍部を下り、1970m峰の台地を過ぎて木道を進んで再び電波塔の広場に着く。午後の早い時間帯に荷鞍山を往復できたので、ここでゆっくり休憩をとる。今日は日差しが強く、9月とはいえ気温は25℃を超えてまだ夏山の感じだ。

 小休後、林道を北西へ下る。日陰の林道では気温が23℃ほどになっていた。富士見峠の分岐を過ぎて西へ下って行くと、男性の単独者とすれ違った。今日は他の登山者に遇うのは初めてだ。これから尾瀬へ向かうのだろう。それにしても平日とはいえ、富士見峠経由で尾瀬へ行く人は少ない。
富士見小屋から南へ下る林道沿い  やがて富士見小屋の前を通って行くと、広場には2、3人のハイカーらしき人たちが休憩していた。しかし、午前中と同じように小屋周辺は至って静かで閑散としている。

 そこから林道を左へ曲がり富士見下方面へ向かう。水場で水筒の水を補給してテクテク林道を南へ下る。途中の「アヤメ平下」手前あたりで富士見小屋のワゴン車が下って来た。午後の早い時間なので、登山者の送り迎えに下るのだろうか。ねくらハイカーは別に急ぐ必要はないのでのんびり下る。

 昔、尾瀬ヶ原からの帰りにこの林道沿いで夕立の雷雨に遭い、横に走る稲光に恐怖しながら中腰の姿勢で林道を駆け下りたことがあった。今日は天候が崩れる心配がないので、自由気ままにダラダラ下る。

 途中の林道沿いから荷鞍山方面を見ると、午前中とは打って変わって荷鞍山の鞍形の稜線がくっきり見えた。

 林道沿いをさらに下って行くと、道端には蝶々が数頭飛び回っている。よく見ると、長距離の渡りをするというアサギマダラだ。最近は夏場の山へ行くと、よくこの蝶を見かける。ヨツバヒヨドリの花の蜜がご満悦らしくチューチュー旨そうに吸っていた。蝶にとっては、この林道沿いはヨツバヒヨドリが沢山咲いているので饗宴場のようなものだ。まるでわが世の春を謳歌しているかのように林道沿いをひらひら飛び回っていた。

 そこから「十二曲がり」の坂道をトロトロ下って行くと、ようやく駐車地点手前の遮断機ゲートが見えた。時刻は午後3時をまわったくらいなので、富士見小屋から約1時間半ということだ。今日は刈り払い道を通って簡単に荷鞍山へ行ってしまったので少し物足りないが、予定通りの尾根歩きができたのでヨシとしよう。

日程2006年9月4日 (月)
天候晴れ
行程時刻富士見下遮断機ゲート手前の駐車地6:15→(「十二曲がり」)→「田代原」付近6:52→「馬洗淵」7:06→(水場)→(途中、休憩5分ほど)→「アヤメ平下」7:54→(水場)→富士見小屋8:20→(東へ)→富士見峠8:23〜8:25→(南東へ)→1956m地点付近8:43〜8:45→電波塔付近(登山道入口)8:48〜8:58→(登山道)→1970P付近9:05〜9:10→(白尾山南側の尾根沿い)→小湿原9:15〜9:20→(登山道を南へ戻る)→(下降地点を探し10分ほどタイムロス)→登山道途中9:40→(斜面を南東へ下る)→(やや西へ)→刈り払い道出合9:42→(南東へ)→1926m地点付近9:52→中間付近の鞍部9:57→荷鞍山10:21〜10:37→(南へ)→中間の鞍部10:50→南峰(1975P)11:00〜11:15→(戻り)→中間の鞍部11:22→(途中、10分ほど休憩)→荷鞍山11:42〜11:53→(北東へ)→中間付近の鞍部12:18→1926m地点付近12:22→(往路の道出合地点通過)→(笹の斜面登り)→登山道出合(分岐地点)12:40〜12:43→(西へ)→1970P付近12:50→電波塔付近12:56〜13:06→(林道)→富士見峠13:24→富士見小屋13:28→「アヤメ平下」13:50→「馬洗淵」14:20→「田代原」付近14:32→「十二曲がり」道標地点14:46→富士見下遮断機ゲート15:03
備考♦この記録では「群馬山岳移動通信」・「「山頂渉猟」を追って」等のHPを参照し参考にさせていただきました。また、横田昭二 著『私が登った群馬300山』(上毛新聞社刊)やヤマケイのアルペンガイド旧版なども参照しました。

◇ T N H C ◇

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