大天幕ノ頭(雨降山)から社壇ノ頭



 今年は暖冬だったので群馬の山間部の積雪は例年より少ないらしい。3月に入り季節はぐっと春めいてきた。この分だと西上州の山なら軽装でも歩ける感じだ。そこで、いつものように横田氏の『群馬300山』から面白そうな山を探してみると、上武国境付近にある天丸山からずっと北側に延びる尾根上に、「大天幕(だいてんばく)の頭」という何かいわく有りげな名前の三角点ピーク*があった。標高も千メートルちょっとなので、お手軽に登れそうだ。

 登山用語の本を見ると、一般的に「○○ノ頭」という名前の山は○○沢・○○谷の源頭にあるピークに付けられるということだ。ということは、この山の付近の谷沿いに大天幕沢とか呼ばれる沢でもあるのかもしれない。普通の地図には沢の詳細な名前は載っていないので、この「大天幕」という名前の由来はわからない。まぁ、そんなことはどうであれ、面白そうな名前の山なので、野次馬根性のねくらハイカーには興味をそそる。

 横田氏はバス利用ということで、大天幕ノ頭から南へ尾根筋を辿り途中のピークから東側の支尾根に下り不二洞方面へ降りている。ねくらハイカーは車利用なので、この尾根沿いをさらに社壇ノ頭あたりまで登ってみようかと3月はじめ頃出かけてみた。

(*打田氏の昭文社 山と高原地図『西上州』では「雨降山」と表記されている標高1025.9mの三角点ピーク。)
父母トンネル西側出口付近から南方、尾根の奥に三角点ピーク(?)  多野郡上野村の国道299号を西へ走り、父母トンネルの西側出口付近に停車して南方に聳える山尾根を眺める。南方へ延びる尾根上にはコブ状のピークが見えるが、どこが三角点ピークなのかハッキリ確認できない。

 仕方ないので再び299号を西へ進み、乙父(おっち)トンネルの先の橋付近から標識を頼りに左(南)へ降りて乙父沢沿いの舗装林道に入る。すぐ左下に沢沿いの橋へ通じる小道が見えたが、横田氏のいうところの林道かどうかわからないのでそのまま通り過ぎる。

 他に左側に沢を渡る道があるのか確かめながら南へノロノロ走る。しかし、大きな砂防堰があるだけで道はない。やはり先ほどの小道が乙父沢右岸への林道だったようだ。そこで上野村木炭センターの施設付近からUターンして、小道の分岐地点まで戻る。

 そして民家わきの畑沿いの道に入り、小さな橋を通って乙父沢右岸に渡る。そこから1車線幅のコンクリート道を右(南)方向へ進む。さらに左カーブの急勾配の坂道を北へ登り返して行くと、広尾根状の平地になった耕作地に出る。
耕作地東側のかんがい施設付近から南方の主尾根  さて、このあたりが尾根の登り口になるのだが、適当な駐車スペースが見当たらない。林道は道幅が狭いので他車の通行の妨げとなり路上駐車は出来ない。耕作地の東側には作業小屋などの建物などが見えるのでそちらへ進む。

 作業小屋の南側にはかんがい施設のような建物があり、その奥の堆肥置き場付近に1台分くらいのスペースがあった。そこで畑の持ち主の方には悪いが、無断で車を入れさせてもらう。

 建物を囲むフェンスの側には電柵用の装置とソーラーパネルなどが設置されていた。このあたりにも畑を荒らすイノシシなどの害獣が出没しているらしい。今日はここからの山歩きとなる。

手前左に鉄塔(黒部幹線587号塔)、正面尾根上に別の鉄塔(安曇幹線2号線224号塔)  天候は一応晴れているが、うす雲がかかっていて何かどんよりした感じだ。日差しが弱いので気温は4℃ほど、いくらか肌寒い。

 駐車地点から畑の畦伝いを南へ進む。手前の斜面には背の低い送電線の鉄塔が2基あり、その上の尾根筋には別の送電線の鉄塔が1基見える。

尾根の西側に別の鉄塔(黒部幹線586号塔)あり  まずは手前の鉄塔を見物してみる。鉄塔の銘板を見ると、東京電力の「黒部幹線*587号」となっている。ということは、横田氏が通った巡視路の山道は586号鉄塔沿いということなので、西側にある鉄塔付近に巡視路があるようだ。

(*東電の黒部幹線は昭和初期に建設された154kv送電線で、富山県にある関電の新愛本変電所から神奈川県川崎市にある東電・京南変電所を結んでいた。しかし近年一部が廃線となり、また一部が他の送電線へ建て替えられたため、現在この送電線は長野県の新町開閉所から埼玉県の新秩父開閉所までの部分が使われている。それから、以前ねくらハイカーが白井の関所跡付近から間違ってカイト山の東尾根を歩いたときにも、この黒部幹線沿いの巡視路を通っている。)

尾根の斜面に張られた電柵  そこでヤブが刈り払われた斜面を西側へトラバースして行くと、途中に電柵が設置されていた。下のかんがい施設付近にあった電源装置と繋がっているので、通電はされているようだ。

 ここは電線に触れないように大股で越える。すぐに西側の586号鉄塔に着く。そこから北側を見下ろすと、畑のある広尾根の西側からハッキリとした巡視路の山道がつづいていた。ねくらハイカーは尾根の東側に駐車してしまったので、この巡視路を見つけることができなかったわけだ。

黒部幹線586号鉄塔付近、尾根筋に安曇幹線の鉄塔への巡視路あり  そこからは、東京電力の「安曇幹線*2号線223号**に至る」と表記された黄色の標柱が示す巡視路の山道を南へ辿ることになる。多分先ほど尾根の上に見えた送電線の鉄塔が安曇幹線の鉄塔だろう。

 多少見通しのきく雑木林の尾根筋にはフワフワと落ち葉が溜まっている。少し登ると、立木に青いビニール紐の目印が付いていた。やはり送電線の関係者以外にここを登る人がいるようだ。

(*東電の安曇幹線は長野県にある新信濃変電所と埼玉県にある新秩父開閉所を結ぶ500kv送電線で、この2号線は神流川右岸沿いを通っている。ちなみに安曇幹線1号線はこの付近では北側の神流川左岸沿いの山腹を通っている。)
(**この223号鉄塔は大天幕ノ頭へつづく主尾根の途中から東側に分岐する支尾根に建てられた鉄塔らしい。)

左側にかんがい施設の建物  さらに登って行くと、左側にフェンスのある建物が見える。モルタル塗りの門柱には「調整池」の銘板が付けられていた。

 下の畑へ水を供給するためのかんがい施設ということだ。やはり尾根の丘陵部につくられた耕作地なので、上部にこのような施設がないと水の供給ができないのだろう。

尾根の東側を通る巡視路  そこから広葉樹の雑木林にカラマツが混じる樹林帯を登って行くと、右下の樹間に乙父沢沿いの集落が少し見える。そのあたりから巡視路の踏跡は尾根から外れ左(東)側の斜面を進むようになる。

 道筋には青ビニール紐の目印や巡視路を示す黄色の標柱も立っているので迷うことはない。巡視路ということなので、傾斜の急なところには丸木材で階段状のステップなども付けられている。

 それから、一部落ち葉が溜まっている斜面では踏跡が薄れ、いくらか寂れた感じになっている。左がヒノキ林になっているところをトロトロ南東方向へ登って行くと、小さな枝尾根状の地点に出る。そこで少し休憩する。

北方向に笠丸山(左端)、後方に日影(中央)〜日向〜白髪 北東方向に高反山(中央)、後方左に日向〜白髪・後方右にサス  そこからは枯木の枝が少しうるさい尾根沿いを南へ登る。すぐに灌木類が刈り払われた見晴らしのあるところに出る。

 左(北東)に見える山並みが高反山だろう。後方(北)には笠丸山が見える。そして、その遥か後方には御荷鉾林道が通っている山々の稜線を望むことができる。

尾根の西側に鉄塔(安曇幹線224号)あり  ところでそこから巡視路の踏跡を追って東寄りに進んで行くと、また尾根を外れ山腹を行くヤブ道となってしまった。

 どうもこれはまずいということで少し引き返すと、西側に烏帽子形の鉄塔(バンザイ鉄塔)が見えた。さてはあれが下の駐車地点から見えた鉄塔*だ。ということは、主尾根から大分東側へずれてしまったようだ。

(*後に横田氏の記録を参照したところ、安曇幹線2号線224号鉄塔。)

主尾根出合、青ビニール紐の目印あり  そこからは鉄塔のある西側へ戻るのも面倒なので、途中の雑木林の斜面を右上(南西)へトラバース気味に登る。それから少しジグザグに登り、さらに北側へ折り返して行くと、ほどなく鉄塔から上のあたりに位置する尾根に出る。

 付近の立木には下の巡視路で見かけた青いビニール紐の目印が付いていた。ようやく主尾根に戻れたようだ。ここからは適当にこの尾根筋を登ればいいわけだ。

右前方(南西)に諏訪山方面の山並み  そこから南方向へ登る。ひとつコブ状のピークを過ぎるあたりの斜面には赤茶色の礫が散乱していた。堆積岩のようだが、岩石の知識がないので何なのかわからない。

 このあたりの尾根沿いはミズナラやコナラなどの広葉樹の雑木林にツガやアカマツなどの針葉樹が疎らに生えていて、ハイカーには気分がいい。

 やがて右前方には樹林越しに山の稜線が見えてきた。方向からいうと、乙父沢西沢左岸にある諏訪山らしい。

前方(南)に天丸山や帳付山の稜線  左には相変わらず高反山が見える。そして、主尾根の前方には上武国境付近の天丸山の尖峰や帳付山の特徴的な山容のシルエットがどうにか樹林越しに確認できる。

 それから、この尾根沿いも結構歩かれているような気配がある。青紐以外にも赤テープや他のビニール紐などの目印が樹木に付いている。やはり横田氏が紹介しているので、少なからず登る人がいるようだ。

岩の多い尾根筋  そのうちに岩の多いなだらかな傾斜の尾根となる。横田氏が「露岩の平頂」というところだろうか。そしてアカマツの多い尾根を南東方向へ登り大ツガと岩のある小ピークを越えて少し下ると、右側が杉林になった小鞍部を過ぎる。

 そこからまた雑木林とアカマツやツガの混交した樹林帯の急斜面を休み休み登って行く。このあたりから右方向の樹間に乙父沢対岸の山尾根が見えてきた。オグラの頭*から北東に延びる尾根上にある1236m峰らしい。尾根沿いは右(南西)側がツガやヒノキの針葉樹が多くなる。

(*小倉山から南東側の主尾根に位置する1250m峰)

前衛峰(?)付近、赤ビニール紐あり 尖った岩が多い尾根筋  登りついた小ピーク付近には赤ビニール紐の目印が付いていた。このあたりは横田氏が「前衛峰」と呼ぶ地点らしい。地形図では等高線950m付近にある肩状の尾根地点だ。

 そこから南東へはアセビなどが生えたヤブ尾根っぽくなる。やがてリョウブなどの雑木類やツガが生えた尾根になると、尖った岩が多くなり歩きづらくなる。それから岩の多い尾根筋には窪地が現れ、踏跡も消えてくる。このあたりの立木にかなり古い感じの色褪せた赤布が付いていた。

大天幕ノ頭(雨降山)山頂部  左側の岩が多い尾根筋を適当に登って行くと、やがて東からの朝日がまぶしい尾根状のピーク地点に出る。そこには横田氏の著書で見覚えのある少し古い感じの三等三角点の標石が埋設されていた。ここが大天幕ノ頭(雨降山)の山頂(1026m)のようだ。

 山頂部は樹林に覆われているので見晴らしはよくないが、東側が開けているので北から南東方向にいくらか展望がある。北の笠丸山から北東の高反山あたりが見える。そのずっと後方には御荷鉾林道が通る日影山や日向山から赤久縄山方面が望める。南東には主尾根の樹林越しに県境尾根の山並みが多少見える程度だ。西側は針葉樹に遮られ展望はないが、南西の樹間にわずかに諏訪山が見えた。

立木に付けられていた山名プレートの標識  山頂部をよく見ると、北西側の立木に白と灰色のツートンカラーの小さな山名プレートが付いている。青いビニール紐といっしょにねじ止めされているので、多分この尾根沿いに青紐の目印をつけた方が取り付けたものだろう。

 この山についてはネットに記録が出ていなかったので、もしや標識類が付いていないかもしれないと考え、今日は手書きの小板を用意してきた。すでに立派な標識があるので付けるのが憚られるが、撤去されるのを覚悟で東側の枯木に付けてみる。

三等三角点の標石、北東正面に高反山  天候はうす曇りだが先ほどからいくらか雲が取れて日が差してきた。気温も14℃ほどになっている。

 薄日が当たる山頂で暫し休憩していると、シジュウカラが1羽ピーピー囀りながら近くに寄ってきた。<また物好きなヤツが登ってきたな>という様子でハイカーの周りをうろちょろ飛び回り、すぐに飛び去って行った。ねくらハイカーが面白味のない俗物だということを瞬時に見抜いたようだ。

山頂から南東方向、主尾根に間伐跡あり  それから、山頂部の南東側のカラマツ林には間伐作業が行われた跡が見える。伐り残された樹木には番号が付いたピンク色のタグが打たれている。上野村の林業も盛んなようだ。

 また、この山頂から南東方向へつづく主尾根の先には樹林越しに林道の法面が見えた。さては乙父沢東沢から上がってきた延長林道だろうか…。やはりこのあたりを切り開いてつくられていたのだ。

間伐が行われた尾根沿い  ここからは社壇ノ頭をめざし尾根筋を南へ進む。尾根には赤い樹脂杭や赤く塗られた木の枝が打たれている。このあたりはカラマツやヒノキやスギなどの針葉樹が多いので植林地になっているのかも知れない。伐られた木の切り株を見ると生々しい感じなので、間伐作業はつい最近行われたようだ。

 最初はいくらか下り気味に進み、それから緩やかに上り下りしながら尾根沿いを南東寄りに進む。途中、左方向には川和地区の集落も見えた。それから右前方には天丸・帳付・諏訪などの山並みも何とか確認できる。

前方に主尾根の1070P 前方に林道あり、主尾根1092P方面  そのうちに主尾根の1070m峰への登りにかかるが、間伐を行った作業者が通ったような細い踏み跡が右(南西)側の斜面に付いている。ここは尾根を登らずにその細い踏み跡を進む。

 間もなく幅広の林道に出る。付近には林道工事の事務所らしきユニットハウスが設置されていた。この地点は主尾根の1070m峰と標高点のある1092m峰の中間部にあり、南西側から上がってきた延長林道が南東方向へカーブして横切っている。

1092P東側に延びる林道上野大滝線東沢工区  林道の路肩には「群馬県環境・森林局」設置の工事区域を示す銘板が埋め込まれた礎石が見える。それには、この林道は「上野大滝線(東沢開設工区)」で、起工年度が平成18年となっていた*。

 つまり、この地点から南へ延びる区間が去年あたりから開削されているらしい。やはりこの道が現在南東側の天丸橋付近から北側に延びている林道部分と連結されるようだ。

(*横田氏は平成16年3月にこの尾根筋を歩いておられるが、この林道については記載がない。横田氏が歩いたときはこの地点はまだ開削されていなかったのだろう。)

林道から1092Pの尾根(左側)へ ザレ地の斜面から西方向、湯ノ沢ノ頭〜小倉山方面  未舗装の平に整地された林道を横切り、南側の丸木で土留めされた尾根の斜面へ登る。樹木が伐採されてザレ地になった斜面からは見晴らしがいい。

 特に西方のオグラの頭あたりから諏訪山へつづく尾根の稜線が一目瞭然だ。

ミニ二重山稜状の1092P山頂部 主尾根は1092P南側で再び分断、後方に1120P  すぐに1092m峰の山頂部に出る。そこは横田氏がいうところの二重山稜のような窪地のある地形で、落ち葉が膝丈まで溜まっていた。

 この山頂部から南へ少し下ると、東側を通ってきた林道が再び尾根の鞍部付近を横切っているのが見えた。つまり、この延長林道は1092m峰の東側を巻いて通っていることになる。

林道から北東方向、右中段に大平戸山、遠方に赤久〜西・東御荷〜雨降の稜線 西側の路肩から南方向、中央に天丸・P3、右端に帳付  何かがっかりした気分で再び林道に降り立つ。この地点も尾根が広く切り開かれているので見晴らしがある。特に北東方向は展望がいい。近くの大平戸山から遠方の赤久縄山から西・東御荷鉾山、そして旧鬼石町の雨降山までも見える。

 南方は相変わらず上武国境付近の稜線が見える。このあたりからは天丸山とP3*が少し重なって見えるのが面白い。
(*天丸山から北側にある等高線1400m圏の峰。実際の高さは1400mを優に越えている。)

1120P山頂  ここからまた左側の斜面に取り付き、尾根沿いを辿る。微かな踏跡のある急斜面をハァハァいわせながら登って行くと、すぐにピーク地点に出る。

 ここが横田氏が不二洞方面へ分岐した等高線1120mのピークだ。なるほど、ここから北東へ下ればコンパクトにこのあたりの山尾根を周遊できるわけだ。尾根筋には微かな踏跡もあるので、少なからず歩かれているようだ。

 それから、このピークから南へ向かう主尾根にも多少ヤブっぽいが明瞭な踏跡が付いていた。

伐採地の小鞍部、右下に林道終点(2007年3月現在)  小休後、南へ下る。すぐに右側の斜面が伐採されている小鞍部を過ぎる。右下に延長林道の終点が見えた。

 つまり、この右側の伐採された斜面に現在林道が切り開かれているらしい。林道には工事関係者の車両が1台駐車している。付近で作業をしているようだ。

 伐採地の小鞍部からさらに南へ登る。音を立てずに静かに登って行くと、右下の斜面から人の声が聞こえてくる。何か伐採のための作業らしい。ここは仕事の邪魔にならないように静々と尾根沿いを進む。

354標石地点  このあたりからスズタケが疎らに生えた尾根となる。すぐにブナの木のあるコブ状の地点(地形図の等高線で1120mほどの小ピーク)に着く。そこには赤ペンキが塗られた御影石の標石が埋設されていた。標石には「三五四」と番号が刻字されている。境界を示す標石のようだ。

 そこからはやや左方向へ曲がって南東へ進む。笹が疎らに生えた尾根を行くと、また御影石の「三五三」標石があった。今まで尾根沿いに標石などは見えなかったので、多分このあたりから森林の境界があるらしい。

 さらにのどかな感じの雑木林の尾根を登り気味に進むと、ミズナラなどの雑木に赤ペンキマークが付けられるようになった。どうも山歩きの人が付けたのではなく、林業関係者が付けたような目印だ。それから岩などにも下方向を示す矢印が書かれている。矢印が何を意味するものかわからない。

1170P(346標石地点)付近、前方に1221P  やがて「三四六」標石が打たれているなだらかな小ピークを過ぎる。地形図でいうと、1221m地点ピークの北側にある等高線1170m圏の尾根だ。そのあたりの樹木には赤ペンキで標石の番号や下向きの矢印が落書きのように書かれていた*。

 そこからは南方向へ登る。右には相変わらず諏訪山や帳付山の稜線が見える。このあたりの尾根には古い感じの境界を示す木杭が打たれている。それから立木にも昔の前橋営林局の境界見出標の赤プレートが付けられていた。やはりこの尾根筋が森林の境界になっていたわけだ。

(*この1170m峰から北西の尾根筋は先ほどの林道終点から真正面に位置しているので、もしかすると樹木にペンキマークが付けられた尾根沿いに林道開削工事が予定されているのかもしれない。)

1221P山頂 1221P南面から南方向、天丸山・P3・帳付山  ほどなくアセビなどが疎らに生えたピーク地点に着く。1221mの標高点がある山頂だ。樹林に覆われて見晴らしはないが、南から南東方向に天丸山・P3・帳付山などが見える。

 このあたりの山の斜面をよく見ると、薄っすら雪が残っていた。小休後、アセビとミズナラなどが混生する尾根筋を南へ進む。

社壇ノ頭(328標石地点)、不二洞への案内板あり  尾根沿いには大きな倒木や尖った岩などもあるが、すぐに「三二八」標石が埋設された南側のピーク地点に着く。そこには天丸山方面を示す朽ちた道標や「川和(不二洞)」方面を示す案内板が置かれていた。ここが「社壇ノ頭*」と呼ばれるピークだ。

(*ここも変わった名前のピークだが、大天幕ノ頭と同じように名前の由来はわからない。南側にある峠状の地点「社壇乗越(しゃだんのっこし)」から来ているのかもしれない。標高はネットの記録では1307mと出ていたが、地形図では1210m圏の等高線で表記されている。多分北側の標高点のピークとほとんど同じくらいだと思われるが、実際の標高はわからない。)

社壇ノ頭から南方向、左上に天丸・P3  昔ねくらハイカーが天丸山へ登ったときは不二洞の駐車場から滝ノ沢の寂れた登山道を登り、このピークに出た。その頃は道標などはなく、このあたりはヤブめいていて秘境のような雰囲気が漂っていた。ねくらハイカーは未知なる天丸山へのコースに多少の不安な気持ちと秘峰を登るという高揚した気分に満たされて、幾分興奮気味に歩いたものだ。

 今では天丸山へはヤブ林が伐採され、登山道も整備されて林道わきから気軽に登れるようになった。林道が延長されて交通の便がよくなったといえばそれまでだが、何かワクワクしながら秘境っぽいルートを辿る山歩きの楽しみがなくなってしまったのがちょっと残念だ。

社壇ノ頭東尾根から焼岩〜大山・門倉山〜天丸山、左下に林道  ここも樹林に覆われているので展望はよくないが、南方向に天丸山・P3・帳付山の山並みが樹間越しに見える。また、不二洞への踏跡がある東側の尾根沿いからは南東寄りの方向に門倉山・大山・焼岩の山並みも見えた。そして南東方向には大ナゲシへつづく上武国境の山尾根の稜線もわずかに見える。

 それから、左下には天丸橋付近から上がってくる林道上野大滝線の残雪の路面が見えた。さすがに車で通行する人はまだいないようだ。気温はまた雲が出てきたので13℃ほどだ。今日はまだ時間があるので、南側にある「社壇乗越」まで足をのばしてみる。

社壇乗越、右に馬道コース、左上に尾根コース  尾根沿いを南へ下ると、すぐに大岩の岩稜がある。岩には直登のペンキマークが付いているが、左(東)側のヒノキ林の斜面に巻いて下る。この尾根沿いにも番号標石が設置されていた。やがて木の根元に祀られた小さな石の祠を過ぎると、道標の案内板がある社壇乗越に着く。

 ここも昔の峠道の地点らしく、南の上武国境にある「馬道のコル(広河原越)」とセットで上州と武州を結んでいたようだ。現在ここは天丸山登山の尾根コース*と馬道コースの分岐地点になっている。ねくらハイカーは今日はここまでとして、再び社壇ノ頭へ引き返す。

(*最近では尾根コースは入山禁止になっているらしい。)

1170P北西側、雑木林の尾根沿い  大岩の岩稜を右の植林地に巻き、北へ辿る。尾根筋をトロトロ登って行くと、社壇ノ頭の南東側斜面がゴツゴツした崖状になっているのが見えた。このあたりは尾根からちょっと外れるとかなり険しい斜面になっているようだ。社壇ノ頭標石地点で一息つき、いくらかヤブめいた主尾根を北へ進む。倒木を越えて再び1221m地点ピークに着く。

 予定としては、帰りはこのあたりから西へ支尾根を下って乙父林道東沢線に降りてみようかと考えていたのだが、今日はまだ時間があるので、主尾根を分断している上野大滝線の延長林道(東沢工区)を歩いた方がよさそうだ。

左下に林道の終点あり(2007年3月現在) 再び1120P山頂  そこで暫し往路を北へ辿る。例のペンキマークがある尾根付近を通り北西へ下って行くと、ほどなく左下に林道終点がある伐採地の鞍部を過ぎる。作業者は昼休みらしく車中で休憩中だ。そこは気づかれずにゆるりゆるりと尾根沿いを進む。

 再び1120m峰の山頂に出る。ここでまたちょっと一息つき、東側の尾根筋を眺める。改めて横田氏が面白そうな雑木林の尾根筋を歩いておられるのに感心した。

1120P北西側、下に延長林道、後方に主尾根1092P 林道から西方、諏訪・下ヤツ〜湯ノ〜1275P・1256P・1236P、奥中央に御座  山頂から北西へ下る。真下に幅広の林道が横切っている。ささっと林道に降り立ち、左側の整地された広い路肩へ進む。そしてゆっくり西方の山並みに目をやる。

 樹林などの遮るものがないので、諏訪山から小倉山方面に延びる尾根の稜線が相変わらずよく見えた。その稜線の遥か後方には御座山の山影もハッキリ確認できる。今日は午後になってきれいに晴れ上がってきたので、遠方の見通しも大分よくなった。

1092P東側の林道、前方に主尾根1070P  そこからは主尾根の1092m峰へは登らずに2車線幅の林道を下る。1092m峰の東側を巻いていく道は新しい感じで、まだ法面にコンクリートが吹き付けられていない。土砂が剥き出しの斜面には丸木材などで土留めが施されている。

 もしかすると、これらの丸木材は大天幕ノ頭の南東側で間伐されたものが使われているのかもしれない。

1092P西側の林道、前方に諏訪山方面  すぐに1092m峰北側の主尾根分断地点に着く。仮設事務所の建物付近から北側へ微かな尾根道がつづいているが、今日はまだ時間があるということで、この延長林道をさらに東沢方面へ下る。

 林道は事務所の建物付近から南西へカーブして下っている。少し下ると、山側の法面にはコンクリートが吹き付けられていた。午前中に大天幕付近から見えたのはこのあたりの法面のようだ。

谷側の台地から北方向、中段中央に大天幕ノ頭、後方にシラケ〜笠丸〜日影  1092m峰の西尾根をまわり込むカーブの西側に、林道工事などで削られた山の土砂が捨てられて残土置き場のようになった台地があった。樹木が生えていないので展望がよさそうだ。

 寄り道して土砂の台地に上がり西側へ進むと、北方向に午前中歩いた主尾根の稜線が見えた。正面に見える針葉樹のコブ状のピークが大天幕ノ頭らしい。やはり尾根上に位置するピークなので、三角点ピークといえどもかなり地味な感じだ。

谷側の台地から南方向、中央に大山・門倉・天丸、左側に林道開削中の主尾根  それとは対照的に、南側の県境尾根付近の山々は特徴的な山容なので人目を引く。

 左上方向に先ほど歩いた主尾根の稜線を眺めながら林道を南東へ下る。少し下ると、道の真ん中に「行止まり」と表示された工事用バリケードが置かれていた。標高は大体1000mくらいの地点で、一般の人がここまでマイカーで来られるらしい。

 さらに下って行くと、林道の路肩には上野大滝線東沢工区の林道工事を表示する銘板がいくつも置かれていた。それを見ると、平成9年や平成7年などと起工年度が記載されているので、この林道が徐々に延長されてきたかがわかる。

 それからやや南方向へ下る。南方には天丸の北側にあるP3が目立つようになる。南西方向には帳付から北へ延びる山尾根が見えるが、これも稜線がゴツゴツしていて特徴的だ。

天気はさらによくなり、日差しが強く気温も18℃から20℃近くになっていた。さらに下ると、右下に東沢の谷筋が見えるようになる。
乙父沢東沢の橋付近から南方、左上にP3(?)  それから林道をどんどん下り、東沢を渡ると林道の分岐地点に着く。そのあたりから南方に目をやると、P3らしきピークが沢上部に聳えていた。県境尾根もかなり近い感じだ。この地点からさらに東沢左岸の上流部へも林道が延長している。

 林道分岐のT字路を右に曲がって東沢の沢沿いを下る。林道はここからは完全に乙父林道東沢線となるので、道幅は狭くなり、大体1.5車線幅となる。前方には遠く御荷鉾林道が通っている山尾根の稜線、後ろにはP3方面の山並みを眺めながら下る。

 途中の林道沿いには昔の高崎営林署が設置した「乙父沢山国有林」という銘板が付いた記念の礎石や今は使われていない遮断機などもあった。また、沢沿いは岩が苔むしていてかなり寂れたような感じになっていた。

 東沢沿いの橋をいくつか渡って林道をダラダラ下って行くと、突然、赤土が崩れた山側の斜面でガサガサと音がした。四足の動物かなと一瞬ドキッとしたが、草むらからキジバトが2羽慌てふためいて飛び出して行った。思わずホッと胸をなでおろす。ねくらハイカーは小心者なので、ちょっとの物音でもこの体たらくだ。

 やがて林道沿いに墓のあるところを過ぎると、前方に民家のある集落が見えてきた。乙父沢集落だ。小橋で乙父沢西沢を渡ると、乙父林道西沢線のT字路に突き当たる。そこからは舗装道となる。

 T字路を右へ曲がり、静かな佇まいの乙父沢集落を通り抜けて乙父沢左岸の道を北へ進む。平日の午後なのでほとんど車の通行もない。のどかな沢沿いを歩いて行くと、河原で渓流釣りをしている人がいた。朝方、299号を走行していたときにも神流川沿いで釣り人を見かけたので、早春といえども釣れるようだ。まぁ、釣りをやらない凡人のねくらハイカーにはどうでもいいことだが…。
 それから、前方左上にオグラの頭から北東へ延びる岩尾根を眺めながら林道をてくてく行くと、右岸の山尾根に送電線の鉄塔が見えた。安曇幹線の224号鉄塔のようだ。その南東方向の尾根筋にはコブ状のピークも見えているが、三角点ピークなのか定かではない。

 そして朝方車をUターンさせた木炭センター付近を過ぎ、大きな砂防堰のあるところを通る。左側の待避スペースに2台ほど車が駐車している。釣り人の車のようだ。このあたりに駐車しておけば、尾根ルートから乙父林道を周回するのに便利だったのだが…。まぁ、今回は仕方ない。

 そこから少し行くと、右岸へ渡る道の分岐地点に出る。近くで民家の方が畑作業をしていた。ねくらハイカーはいつも不審者に間違えられやすいので、そこは目立たぬようにこそこそと小道に入り橋を渡る。それから傾斜のきついコンクリート道をえっちらおっちら北側へ登り返す。ようやく息も絶え絶えで駐車地の畑に辿り着いた。

 今回も山歩きとは関係のない遠回りの林道歩きをやってしまったが、まだ開通していない上野大滝線東沢工区の一部が歩けたのでヨシとしよう。

日程2007年3月2日 (金)
天候うす曇りのち晴れ
行程時刻乙父沢右岸尾根の耕作地東側7:54→黒部幹線587号鉄塔7:56→(西へ)→586号鉄塔(巡視路出合)7:59〜8:03→(巡視路を南へ)→かんがい施設付近8:05〜8:07→(東側斜面へ)→(枝尾根を南へ、休憩5分)→(南東へ進みルートミス)→(南西へ)→(北側へ登り返す)→主尾根出合(824m地点南東付近)8:40〜8:43→(南へ)→(南東へ)→前衛峰(?)付近9:01〜9:04→大天幕ノ頭(雨降山)9:15〜9:37→(南へ)→(やや南東へ)→林道分断地点9:58〜10:00→1092P 10:04→林道分断地点10:08〜10:09→1120P 10:12〜10:20→(南へ)→小鞍部(林道終点付近)10:21〜10:23→小ピーク(354地点)10:25→(南東へ)→1170P(346地点)付近10:40→(南へ)→1221P 10:52〜11:03→社壇ノ頭(328地点)11:07〜11:20→社壇乗越11:26〜11:28→(戻り)→社壇ノ頭11:36〜11:38→(北へ)→1221P 11:43〜11:53→1170P付近12:02〜12:04→354地点12:17→小鞍部(林道終点付近)12:19→1120P 12:23〜12:26→林道分断地点12:28〜12:30→(林道上野大滝線を北へ)→林道分断地点(1092P北側)12:32→(林道を南西へ)→1092P西尾根カーブ付近展望地12:34〜12:38→(南東へ)→(南へ)→東沢出合付近T字路13:08〜13:15→(乙父林道東沢線を北へ)→(北西へ)→T字路(乙父林道西沢線合流地点) ?:? →(乙父沢集落を抜け乙父沢左岸の舗装林道を北へ)→林道分岐14:12→(乙父沢右岸へ)→(コンクリート道)→右岸尾根耕作地の駐車地点14:25
備考♦この記録は横田昭二 著『私が登った群馬300山』(上毛新聞社刊)を参考にしていますが、「大天幕の頭」という山名を「大天幕ノ頭」としました。これは、すでに山頂に取り付けられていた先人の標識に倣ったもので、別に深い意味はありません。
♦記録中に林道上野大滝線東沢工区の開削地点を適当に推測していますが、現在工事中の林道が実際にどのようなルートでつくられるのかはわかりません。

◇ T N H C ◇

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