![]() ![]() 8月26日の土曜日にイングランド軍はクレーシー村とワディクール村の間、約1800メートルにわたる低い山の背に沿って戦闘隊形をしきました。前方はゆるやかな下り坂で開けた平地につづいており、後方にはクレーシー・グランジュの森がありました。エドワードはイングランド軍の歩兵部隊(馬を降りた騎士を含む)を2つの密集隊に分け、それぞれの両脇に千名近い弓兵を外側に突出する形で配置しました。弓兵隊はVの字を作るような形になり、敵騎兵の襲撃を防ぐため地面に木の杭を並べました。 2つの歩兵部隊の後ろには、第2線の装甲騎兵(一部は下馬しています)が両翼を2千名の弓兵に守られて中央寄りに配備されており、エドワードはここで指揮を取りました。 ![]() 1. 夕方ちかくになって、フィリップ率いるフランス軍が隊列を乱して現われました。 フィリップは明朝戦うつもりでいたのですが、血気にはやる彼の部隊は敵軍を見つけると勝手に進み始めます。しかし、イングランド軍が有利な場所に布陣していることに気づくと、すぐに後退したため、後から押しかける味方とぶっかってしまいました。これを見たフィリップは、決戦は今日しかないと悟り、いしゆみを使うジェノア人傭兵を前面に出すことにします。 ![]() 2. 戦闘は、フランス軍ジェノア人傭兵のいしゆみの一斉射撃で始まりました。それに応えてイングランド軍の自由農民からなる弓兵が、長弓を引いて大量の矢をジェノア人傭兵の頭上に浴びせかけます。この攻撃によって、士気の低いジェノア人傭兵隊はたちまち混乱してしまいました。 イングランド軍の弓兵隊は、次に照準をフランス軍の装甲騎兵に変えて矢を放ち続けます。逃げ回る兵士と飛び跳ねる馬でフランス軍の前線は大混乱となり、死傷者が続出しますが、戦いに夢中のフランス軍騎士達は、ひるむことなく後方から前線に飛び出していきました。 フランス軍装甲騎兵隊は、行く手の邪魔になるジェノア人傭兵を剣ではらいながら、混乱の中を突進していきます。そしてイングランド軍前方の斜面を駆け登り、エドワードの予想していた通りの突撃をかけました。これを待っていたイングランド軍の数千名からなる弓兵隊は、至近距離からフランス軍の騎士達に激しい矢の雨を浴びせかけます。フランス軍の装甲騎兵は、大変な損害を出しながらも突撃を繰り返しますが、 15回目の突撃に失敗すると、ついに諦めて撤退していきました。 この戦いで、フランス軍は千5百名以上の騎士と従者を失い、ボヘミア王、ロレーヌ公の他10名の伯爵が戦死しました。それに対してイングランド軍の戦死者は約百名ですみました。これは、戦闘時間と参加した兵の数から考えると非常に少ない損害でした。 |