菊慈童
(きくじどう)
四番目物(略初能)

所・中国

シテ・慈童、ワキ・勅使、ワキツレ・従臣

楽を奏す童子
れっけん山という山より薬の水が流れ出ていると言う噂を聞いた魏の文帝。早速臣下にその水上を見て参れと山に使わす。やがて勅使が山に着くと、庵の中からなんとも異様な童子(少年)が現れる。勅使が問うと童子は、自分は周の穆王に使われた童子だと名乗る。周というと700年も昔の話。そんな人間が今まで生きているはずがないと勅使は怪しむ。すると童子は、昔、穆王より二句の偈(法華経の句)を書いた枕を賜ったとその枕を見せる。その二句の偈の経文を菊の葉に書いておくと、その葉より滴る露は不老不死の薬となるので今まで生きてこられたと話す。そして童子は楽を奏し、菊水の流れを汲んでは勧め、自らも飲む。

枕を戴く慈童
そして枕を戴きあげ、いつしか菊の枕に酔い伏す。そして、700歳の寿命を君に捧げ、菊をかき分け山の仙家に帰って行きます。
この曲は他流では「枕慈童」という曲目です。同じ曲ですが名前が違うのです。しかし観世流のは全く別の内容の曲「枕慈童」という名の曲があります。それは、このお話よりさらに100年後。時代は「漢」の時代になっています。同じ曲が別名で、しかし同じ名前の曲がある。すこしややこしいです。この曲は、もともとは前場後場ある曲目でした。前場をなくしすっきりとした曲にしあげたのです。金剛流のみ替え演出で前場を残しています。魏の文帝とは名を曹丕といいます。魏と言えば「魏」「呉」「蜀」の三国志でお馴染みですね。その三国志の主人公、劉備元徳の敵役に曹操と言う人がいますね。曹丕はその曹操の子です。しかし周と魏の時代、実際には1200年の隔たりがあります。

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