これは2003年血球貪食症候群治療当初、主治医から聞いた話を元に覚えている範囲で
まとめてみたものなので、内容に多少間違いがあるかもしれません。
また、2005年現在は、空豆の治療に使われたHLH-94プロトコルが改良され、
HLH-2004プロトコルとなっているようですし、症状、病院や先生によっても治療内容は
違ってくると思いますので、あくまでも参考程度にお願いします。
空豆の場合は、血球貪食症候群と診断が確定したときには重症で、フェリチンが42000、
DIC(播種性血管内凝固症候群)を併発し、2,3日が峠で生存率は30%と宣告されました。
そして、一次性かどうかの判断もウィルスの特定もできず、原因不明で、低月齢、
髄液中にも貪食細胞が見られ、意識障害があったため、HLH-94プロトコルに基づいた
2ヶ月の化学治療後、臍帯血移植となりました。
概念
自分自身のマクロファージによって、白血球、赤血球、血小板が食べ続けられる状態になる症候群。
2ヶ月の化学治療により寛解を目指すが、経過が思わしくない場合や、低月齢(一次性)、意識障害あり 等の場合は、骨髄移植の道をとる。
ここ10数年で治療方法が確立されつつある新しい病気で、それ以前は、原因不明、病名がつかずに手遅れになる方が多かったそうです。
しかし、現在においても生存率は高いとは言えず(予後50-60% 2歳未満の発病で移植無しで治癒した人はほんの数パーセント 。造血幹細胞移植の治療成績は3年生存率60%。)、厄介だとのこと。
純粋に血球貪食症候群だけで登録されている患者さんの数は全国でまだ数百人のみ。
1年間に全国でも数十人から百人程度の患者数で、何十万人に一人の確立。
分類
■一次性
・家族性血球貪食リンパ組織球症 FHL
■二次性
・ウイルス関連血球貪食症候群 VAHS
・リンパ腫関連血球貪食症候群 LAHS など
原因
■一次性
・perforinの異常
・Munc13-4の異常
・syntaxin11の異常 など
■二次性
・ウイルス感染
(EBウィルス・サイトメガロウィルス・アデノウィルス・麻疹ウィルス・風疹ウィルス 等)
・悪性腫瘍(リンパ腫など)
・膠原病 等が多い
検査所見
・感冒様症状
・発熱
・皮膚の発疹
・中枢神経症状
・肝機能障害
・汎血球減少
・血清フェリチン増加
・高LDH血症
・高トリグリセリド血症
・尿中β2-ミクログロブリンの上昇
・NK細胞活性低下
治療
ステロイドは毎日連続投与。
抗がん剤は初めの2週間は週2回。その後は週1回。
抗がん剤は一次性やEVウィルス関連の場合に使用される事が多い。
場合によっては髄注もあり。
| 使用する薬 | 副作用 |
| ステロイド(副腎皮質ホルモン) | 血圧上昇・糖尿・胃炎・白内障・低身長・骨粗相症・免疫力の低下・肥満 空豆はデカドロンを使用。 |
| 抗がん剤 | 吐き気・脱毛・骨髄抑制 空豆はVP-16(ベプシド)を使用。VP-16は2次がんの発生率が高いと聞いている。 二次ガンとは、5年から10年後に白血病などの血液のガンになるというもの。総投与量に比例して発症率は高くなるが、総量が少なくても可能性はゼロではない。また総投与量が多いから必ずなるものでもない。ただし二次ガンの発症は2年くらいまで。その後発症することはあまりない。 |
| シクロスポリン(免疫抑制剤) | 血圧上昇・貧血・白血球減少・血小板減少・消化管潰瘍・悪心・嘔吐・腹痛・胃部不快感・食欲不振・下痢・腹部膨満感・多毛・頭痛・しびれ・眠気 |
非血縁者間骨髄移植との違い
・提供細胞が凍結保存されているため、HLAの適合性をスクリーニングした後に、すぐに使用可能
・重症のGVHD(移植片対宿主病)を起こす可能性が低く、HLA抗原が1-2座不一致でも安全に移植を行える
・サイトメガロウィルスやEBウィルスなどのウィルスを伝播する危険性が低い
治療方法
骨髄移植とほぼ同じ。
前処置( 移植の7〜10日前から開始、放射線療法、化学療法、抗胸腺免疫グロブリン・・等を使用)で骨髄、リンパ節の細胞を殺す。前処置で使用する薬の組み合わせは、疾患や他の要素を考慮して決めることとなる。
全身放射線照射(TBI) 通常4日間に分割して行う。(場合によっては1日に2回)。
シクロフォスファミド(エンドキサン, CYA) 点滴。
副作用として出血性膀胱炎がある。
予防のために大量の点滴により尿をうすめる。
また、まれに心臓の障害を引き起こし心不全に至ることがある。
ブスルファン(マブリン, BUS) 飲み薬。
投与量の100倍くらいの量を使う。粉薬で1日4回内服。
副作用として痙攣があげられる。
このため脳波の検査を行ったり、抗痙攣薬を予防的に内服。
その他の副作用としては肝障害・間質性肺炎などがあるが稀。
エトポシド(ベプシド, VP-16) 点滴。
予防としてステロイドホルモンを使用。
副作用として発熱と肝障害がみられることがある。
メルファラン(L-PAM) 点滴。
副作用は腎障害。
抗リンパ球グロブリン(ALG/ATG) 点滴。
ヒトのリンパ球で免疫したウマまたはウサギの血清。
これを投与することにより、早期の生着不全やGVHDの予防効果がある。
副作用として発熱がみられるのみならずショックに至ることもある。
その後移植。臍帯血単核球を解凍して、投与。
約2週間から1ヶ月で臍帯血の幹細胞が回復してきて、自分で血液を作れるようになる。
効果および副作用
生着されないことは稀(空豆はこれにあたる)。
GVHDの生じる確立は10%以下とされる。
従来の骨髄移植と同様、未知の感染症および血液により伝播する疾患に罹患する可能性はゼロではない。
| 副作用 | |
| 前処置 | 吐き気、脱毛、骨髄抑制、けいれん、出血性膀胱炎、不整脈、粘膜障害 (移植後数日で現れ、10日程度続く)、下痢、ホルモン産生不全 |
| 急性GVHD |
移植後60日頃までにおきるものをいうが、ほとんどが移植後6日から30日までの間に発症。 主症状は皮膚の発疹、黄疸、下痢。
以下の病期に基づいて重症度が決められる。 |
| 慢性GVHD |
影響のある臓器・・ ほとんど全ての臓器におこる。が、肺、皮膚、肝臓、骨髄、ホルモン産生臓器が一般的。 重症GVHDをおこした場合はGVHD自体の臓器障害による生命の危険がある。 |
| 感染症 |
1. 早期(移植後0日から30日)
細菌性・真菌性の敗血症、単純ヘルペスによる口内炎
サイトメガロウイルスによる肺炎・肝炎、アデノウイルスによる出血性膀胱炎 水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹、慢性GVHD合併例では中耳炎・肺炎等の反復性細菌感染症 |
| その他合併症 |
肝中心静脈閉塞症 (VOD) 最も致命的な合併症。VODは抗腫瘍剤や放射線により肝臓の細い血管が障害され静脈が血栓などで詰まってしまうために起こると考えられている。 移植後1〜14日に突然発症する黄疸、肝腫大、右上腹部痛、腹水、原因不明の体重増加が主症状。 発症率は小児では10〜15%前後。
Bリンパ球増殖性疾患 (BLPD) 急性GVHDの予防や治療には、T細胞の数や機能を減少させ免疫抑制を高める方法を用いることがあり、これによりB細胞のみが異常に増殖してしまい、数々の傷害を及ぼす。 症状は発熱、腹痛、嘔吐下痢、消化管出血、黄疸、肝臓の腫大などがありしばしば重症になる。 発症は骨髄移植直後から1年以上経過した後に起こるものまで様々で、最も多いのは移植後80日までに発症するタイプで急激に重症化することの多いもの。
間質性肺炎 |
| 晩期障害 |
小児に移植をおこなった場合には長期的な問題点がある。 1. 身長の伸びが悪くなる 2. 知能に障害がでる 3. 癌の発病率が高まる 4. 子供ができるかどうかわからない
特に移植の前処置に放射線を使用した場合には、身長や知能の面の心配が強くなる。 子供ができるかどうかは、小児で骨髄移植を行った場合にはどうなるかというはっきりしたデータは今のところない。 二次性癌は、骨髄移植そのものというよりも移植前処置に使用した放射線や抗癌剤が悪影響を及ぼす可能性がある。 |
空豆の場合は、血球貪食症候群の他に、この播種性血管内凝固症候群(DIC)も併発していました。
概念
さまざまな病気(悪性腫瘍、感染症、大動脈瘤、産科の疾患、ショックなど)をきっかけとして、
血管に血液のかたまりができてつまり(血栓)が生じる症候群。
血栓が頻繁に出現することによって血小板などの血液を固める成分が不足することで出血もしやすくなり、ときには臓器でも出血することがあり非常に危険。
重篤な病気に続発している場合、DICがあることにより死亡率が高くなるので背景の病気に焦点を合わせる必要がある。
検査所見
・血清フィブリン分解産物(FDP)値の上昇
・血小板数の減少 等
治療
| 使用する薬 | 副作用 |
| ヘパリンナトリウム | 脱毛、白斑、出血性壊死 |
| アンチトロンビンV | 発疹、蕁麻疹、GOT・GPTの上昇、嘔気・嘔吐.悪寒、発熱 |