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七拾四の部屋
妄想の部屋1 ガンダム(小説)

機動戦士ガンダム  パペット・ゲーム
もくじ  side1  side2  side3  side4 side5 side6 side7
 
時は宇宙世紀0082年。
所は1年戦争により地球連邦が奪取した、未だ修復中であるコンペ
イ島。
人は記憶の存在を消された、アジア人と見られる青年。
 
side1
現在、人手の足りない連邦は、先の大戦で孤児となった18才以上の青
年たちを保護とい
う名のもとに、見返りとしての彼等の労働力にたよるしかない現状であっ
た。
兵役の様なものでもあり、毎日のように、およそ100人前後がシャトルで
ソロモンへと送ら
れてくる。
その中になぜ自分がここにいるのかさえわからずに詰め込まれた青年
が乗っていた。
外見は25,6才といったところで、肩まで伸びたくせっけの強い、黒い長
髪をしている。
アジア系の青年だ。
 
コンペイ島の裏面、下部現場、第36番所の総指揮をとっているのは、若
いながらも経験豊
かで作業員から厚く信頼されているウォン・リーという青年だ。
ブロンドの短髪で、身長は175センチといった、見るからにやさしそうな
管理者だ。
今日も自ら冷たい外(宇宙)に出て指揮をとっている。
「お〜いムチャするなよ。酸素の量を確認しろよ。残量センサーなんかア
テにするなよ。」
「わかってますよ。相変わらずおせっかいなんだからウォンさんは。」
ピピピッ  その時、作業をしているウォンのインコムに内線が入った。
それは管理室で第36番所の副指揮をとっている者からだった。
「ウォンさん。第2番所の所長から連絡がはいってます。来て欲しいとの
ことです。」
「はいよ。とりあえず内線を、こっちにつないでくれるか?」  「了解でー
す。}
ガガッ
「おぉウォンか。いや、今日ココ(第2番所)に派遣されてきた若いやつな
んだがね、どうも
 わかんない奴でよ、まぁおそらくは戦争で心がやられたんだろうがな。
東南アジア系に見
  えんからよ、ちょっとでいいからよ、ちょっと見に来てくれよ。」
"まったく俺は医者じゃないっての..."
  
第2番所は、ソロモンの左部のとんがった地点にあり、主に娯楽等の施設をかねている場
所を修復中の現場である。
第2番所に着くと、部下が忙しそうに働いている中で、所長であるワタリ
がのんびりとコーヒ
ー片手に本を読んでいる。
「おぉわざわざ来てもらって悪ぃな。悪ぃな。左奥の部屋にいるからよ、会
ってくれよ。」
短髪、無精ヒゲが特徴のワタリはウォンの5年先輩で、悪気はないんだ
ろうが、常にマイペ
ースを保っているため、よくイライラさせられている。
ヴィィーン 扉が開くと中から暖房と鉄臭い匂いにつつまれた。
中には膝を抱え丸まっている青年がいる。
一見では、かなり幼くウォンの眼に写り、なぜか懐かしい気持ちになった。
ウォンはその頭髪のクセをどこかで見たことがあった。”どこでだろう?”
とりあえずウォンは話しかけてることにした。
「いろいろここまで大変だっただろう。悪いんだが、少し顔を上げてくれな
いか?」
青年は一瞬ビクッとしたが、ゆっくりと首を持ち上げ、二人は見つめ合っ
た。
ウォンが感じたとうり、その少年は昔、サイド6のアジア人街で、近所に
住んでいたワンとい
う青年だった。その顔はおよそ10年前と変わりわなく、見間違いなかっ
た。
「ワン!ワン・オレラじゃないかっ!?」
ウォンは興奮ぎみに声を荒げ抱きつこうとしたが、その少年はそれを拒
むかの様に後ずさ
りをした。すると後ろから今の騒動をききつけたワタリが、うれしそうにや
ってきた。
「なんだ知り合いだったか、残念だがその兄ちゃんは自分の名前も知ら
ねぇみたいでっよ、
 なんだったら連れてってもいいかんよ。ほら。」
「すいません。じゃあ私の部署の方に連れていかせてもらいます。」
その時、ワタリは周りの者に気ずかれむ様、ウォンに小声でそっとつぶ
やいた。
「例のやつだかんよ...。」
その言葉を聞いたウォンは、一瞬にして青ざめた。
 
side2
ウォンの気持ちは非常に重たかった。何から話せばいいものかさえも考えられなかった。
だがワンの心情を考えると、いつまでもそうしてはいられないのも心情だった。
「ワン...久しぶりだなと言いたいが、何をどうしていいものやら...。まぁあせ
らずにな。」
としか言いようがなかった。
ウォンはワンを連れ36番所に戻ることにした。
すると、ワンが突然立ち止まり、初めてワンが口を開いた。
「ウォンさん...でしたっけ...。この扉の奥にあるものはなんですか?」
と青い二重構造の扉を指さした。そこはソロモン中央部18番所付近にあ
る場所で、ジオン
軍が使用していた当時は、元モビルスーツ格納庫として使用していた
が、現在は新型モビ
ルスーツ製造所となっている。重油の臭いでも漏れて、それに反応した
のだろう。
「入ってみるか?」
ウォンは少しでも記憶が戻ってくれたらという気持ちでいっぱいだった。
「いや、やめておきます。すいません...。なんか嫌な気分がしてきた...。」
おそらく重油の臭いが嫌な記憶を思い出させてしまったのだろうか。
「大丈夫か?今日はもう寝てもかまわないからな。また明日いろいろ話
そう。」
ワンはうつむいたまま、ウォンに連れられて行った。
 
時は同じくして、地球のアジア地区ある場所。
若い女性2人が一見子供部屋と見れる部屋で言い争っていた。
「くそう、なぜあいつと比較されなくちゃいけないんだ!私のが出来るん
だ!ハァ...。」
「わかって。出来る出来ないの問題じゃないの。今回は彼のが適任だっ
ただけなの!」
「ハァ...。くそう!くそう!くそっ!どいつもこいつも私を子供扱いしやがっ
てっ!私は子供じ
 ゃないっ!来週にはもう24だぞっ!」
「わかってるわ。大丈夫っ、まずは落ち着きましょっ。」
「ハァ... ハァ...。」
 
side3
ウォンの特別配慮で個人部屋をあたえてもらったワンは、部屋に1人閉じこもっていた。
”ウォンと言ったか...。なぜかあの人の声を聞いてから...。何だ...?頭が痛く
てしょうがない。”
ワンはなぜかあせっていた。とても大事な記憶と使命があるはずなのだ
が、色々な記憶が
 混ざり合って、すくい出せないでいた。
「ワン...。ちょっといいか?」
扉の向こうから聞こえたかすれた声は、先日のウォンの声ではなかっ
た。
その言葉に不意に危険感を感じたワンは、子供の様に毛布を頭からか
ぶり、何かに怯え
だした。するとまた他の人の声が聞こえてきた。
「どうしたんです?こんな所までわざわざ?私に相談もなく?」
扉の向こうで聞こえたその声は、間違えなくウォンの声だった。
先程の男の声は分が悪そうに、
「いやいや、なんでもないさ...。それじゃぁ...。それじゃぁ...。」
「おいワン、俺だ。ウォンだ。扉あけるぞっ。大丈夫か?」
ヴィィーン 扉の鈍い開閉音と共にウォンが暗い部屋で眼をこらし、毛布
に包まっている
ワンの顔を、眼さぐりで探した。
”このウォンという人声、やっぱり頭が痛い...。情報..収集...?なんでそん
なこと...?何だった
 っけか...。記憶がつまっているみたいだ...。”
「ワン。どうだ? 少しは思い出せそうか?」
”この声...、ウォン・リー。 アナハイムとの関係を持ち、ソロモンでの新型
モビルスーツ開発
に深く関わっていると見られる人物。俺の使命はウォンの背後関係を明
らかにし、情報を
他に漏らしている可能性があればスパイ容疑で拘束、場合によっては殺
しても構わない..。
そして俺の信頼できるアニキ的存在...?いや、どう...だったか...。”
「ワン...。大丈夫か?動けそうか?眼が...充血して赤いな...。そのうち重力
になれるだろう。
 そうすれば少しは昔のことも思い出せるかもな。」
”赤い...あの赤い彗星と裏でつながりがあるとされている人物。だから何
だ? そんなこと、
 どうだっていいじゃないことじゃないか...?”
「ウォンさん、邪魔はしません。 先日の部屋に連れてってくれません
か?」
「...。先日って...、モビルスーツの部屋にか?」
「はい。お願いします。」
「よし、明日にでもよろこんで案内させてもらおう。」
 
-地球、アジア地区-
ヴィピッーッ 「休憩中すいません!所長!ソロモンから電信です。」
働きすぎなのだろう、半分意識がとんだ状態で眼がさめた。
「良しっ、こちらへつなげ。」
ガーッ
「所長、ご無沙汰で。例のワン・オレラの件で、よろしいでしょっか?」
「ワタリか...、どうした?何か不都合でもおこったか?」
「ええ、どうも記憶がごっちゃごちゃに混ざっちゃってるみたいなんです
よ。」
「何故だ...? 理論値上では問題はなかったはず。 おかしいな...。もしか
したら宇宙に出た
 ことが関係しているのか...?重力...か。」
「例のジオンのニュータイプ論説ですか? 私なんかなんともないですけ
どね。」
すると所長は少しこわばった口調になり、
「それを言ったら我々の存在価値なんかないんだぞ! めったなことを言
うな!
「...はぁ...。では原因はあの音声なんとかというのでしょっかねぇ?」
「脳内声門認知システムだっ!!!!もういいっ!!!!」
「そんじゃ、所長、 またぁ何かあったら連絡しますんで。 ”ちっ、地球人
が...”」
「おいっ、そこの通信。博士につなげっ!」  「ハイッ......pipipipi.....つなぎ
ますっ。どうぞっ。」
「いかがなされま...」  博士がしゃべり終わる前に所長の激怒が飛ん
だ。
「どうなっているんだ!ウォンの声を聞いてもワンの記憶がもどらんらし
いぞ!」
「実験ではうまくいってい...」
「実戦でうまくいかなきゃ意味ないだろう!だいたいたかがスパイにそん
なシステムが必要
 だっったのかっ!」
「お言葉ですが、一度ワンの記憶操作をしなくてはスパイ活動をするとは
思えませんし、こ
 れからの実験体にも必要なデータなんです。」
「ムムッ...もう一体のほうはどうなっているっ!」
「はい、実験体2号は順調に進んでいます。」
「良しっ、ことがバレたらウォンには逃げられる可能性がある。手遅れに
なる前にワンを始
 末するぞっ!」
「しかし、まだ失敗と決まったわけで...」
話の途中で、博士の横で聞いていた実験体2号が無理やり話に割り込
んできた。
「私が行きますっ!行かせて下さいっ!お願いしますっ!」
突然の2号体の発言に、博士は慌てて2号体の前に割り込んだ。
「だめよっ、まだあなたには...」
だが2号体の発言を撤回するには遅かった。
「良しっ!行って来いっ!これは所長命令だっ!」
「ハッ、ムリを聞き入れてもらい、有難うございますっ!」
「ほう、博士っ、どうやら実験体2号は成功じゃぁないのか?んっ?名前
が実験体2号じゃ
しょうがないじゃないかっ。良しっ、俺がつけてやろう。......あんちょくだが、
1号の本名がワン
なら、2号はツーでどうだっ?クックックッ。いや、色気がないな...。ならチ
ャイニーズ語でリャ
ンなんてどうだ?」
「リャンですか。とても気に入りました。有難うございます。」
彼女にとってリャンなんて名はどうでもよかった。とにかく比較され続けて
いるワンを抜きた
かった。ただそれだけだった。
その横には崩れ落ち、呆然としている博士がいた...。
 
side4
ワンはウォンの特別配慮で、1週間の休暇をもらっていた。
また、モビルスーツを見れることを楽しみにしていたが、ウォンが言うに
は、新型開発の為
に今は開閉が出来ないらしい。かなり精密なモビルスーツなのだろうと
考えていた。
外へ行く気分もでなく、部屋でうつらうつらしていると、ウォンからの内線
が入った。
「待たせたな!開閉許可が出たぞ!」
 
ウォンは少し誇らしげにワンを連れ、モビルスーツ格納庫へと向かってい
た。
グゥゴーッ 重たそうに引き扉が開き、中から重油の匂いが流れてきた。
「ワンはモビルスーツに詳しいほうか?」
ワンはなんと答えていいか解らなかった。いろいろな任務があるとしても
それらを実行する
気にはなれなかったし、それ以上にウォンに会えたことが内心かなりうれ
しく思えたからで、
「ある程度なら出来ると思います...。でもなんだかこの場所は懐かしい感
じがする...。」
「ワン、左奥の2体をみてみろ。あの2体が新型だ。」
「左のは、あれはどこかで見たことがあります...。」
「良くわかったな!あれは1年戦争の最後にあの赤い彗星が乗っていた
といわれているモ
 ビルスーツ、MSN02 ジオングの小型化に成功したものだ。小型化と言
ってもまだまだ十
 分大きいがな。おかげで足をつけることが出来た。まぁ宇宙では足なん
て必要ないがな。
 小型化する際のマイナス面は、片腕にしか有線式サイコミュ兵器を内
臓出来なかった点
 と、脱出ポットをつけることが出来なかった点、それと従来の5連装メガ
粒子砲から、威力
 を落とした5連装ビーム砲になった点だな。
 だが替わりに、対ビーム兵器拡散シールドを持てるようになったって所
があるな。
 あとジオンの特徴であるモノアイは印象が悪いということで、眼の部分
は、ジムの眼の
 部分に使用している防護シールドで補っている...。運良く設計図が流れ
てきたもんでな...。
 初めて設計図を見た時は、ジオンの技術力にはかなり驚かされたもん
だ。ニュータイプ専
 用機とはなっているが、少し乗ってみるか?」
「乗ってもいいんですか?」
ワンはなぜ自分でもそう言ってしまったのかわからなかった。
「操縦資格は持っているか?少しだけだぞ。」
すると2人の後ろから、少しニヤついたワタリがやってきた。
「テストパイロットの奴にはよ、俺から話をつけてやんかんよ。な?」
「...悪いですね。ワタリさん。ワン、じゃぁ今はムリだから、楽しみにしとけ
よ。」
「はい。あと実はウォンさんのこと思い出してきたんです。母親がアメリカ
系のチャイニーズ
 の2世で、それで秀才で、僕にとっては理想のアニキだったんです。」
「もう言うな。照れる...。ノーマルスーツはちゃんと着ろよ!」
「それより右のはガンダムですよね。なぜあんなにも大きいのですか...2
倍以上はある。」
「あれもジオンから流れ多出たアイディアをもとに作ったニュータイプ専用
ガンダムの試作
 機だ。どうしてもジェネレーターの小型化が出来ずに、背中のランドセ
ルが巨大化してし
 まった。あれを乗るには精神的にムリな所がある。これから期待される
奴だ。ワンが乗れ
 るとしたら、左のカスタムジオングぐらいだろうな。右腕を動かさなけれ
ば、ムリのかから
 ない構造になっている。」
 
side5
そのモビルスーツ(カスタムジオング)は、全身をグレーとブラックの2色
で塗装され、左腕
にはブラックのシールドを持ち、グリーンのアイシールドでモノアイを覆っ
ている。
ワンは白いノーマルスーツに身を包み、内心うれしそうにコクピットに座
っていた。
Pi.  「ハッチ開きます。」    ズゥィィィィーーン
ハッチが開くと、太陽でてらされ、底まで見渡せそうな宇宙が広がってい
た。
ワンにとって使命など、すでにどうでも良くなっていた。モビルスーツに乗
ると、何かが開放
され、何かが自分の中に入ってくるかのようだった。
気持ち良さと不快な空気が入り混じってくる。
「ワン!ウォンだ、聞こえてるかっ? 無茶するなよっ!」
モニターからウォンのうれしそうな声が聞こえてくる。
「はいっ。 ウォンさん、少々お借りします。」
ワンはゆっくりハッチを出た。周りを囲む闇に覆われそうな圧迫感が襲っ
てくる。
まるで誰かに誘われているかの様だった。
syu...「ワン!ウォンだ。調子はどうだ?さっきも言ったが右腕はニュータ
イプ用に作られた
   やつだからな、テスト済ではあるが、御出来なくなる可能性がある。
動かすなよっ!」
「はい、了解です。  ....出ますっ!」
ジュシュゥゥゥーーーーン
外へ出たジオングは、まるで水を得た魚の様に、ワンの思いどうりに動かされていた。
”うまいな...ワンのやつ、なぜあんな技術を...?”
ウォンは正直、不思議で不可解な気持ちになっていた。
その時だった。
Biiiiiii-!Biiiiiii-!Biiiiiii-!
Biiiiiii-! 突然警報が鳴り響き、同時にウォンの隣にいるオペレーター
が異常をつげた。
Biiiiiii-! 「ウォンさん、大変です!何者かがハッチで、新型のガンダム
を使って暴れてい
      ますっ!」
「何ーっ? 何をやっているっ!? 誰だっ!?」
「無線切られてますっ!」
Biiiiiii-! 「ハッチこじ開けられますっ!」
「なんとかならんのかっ!?」
Biiiiiii-! 「無理ですっ!?外にでますっ!!!」
ズドンッ!
 
”ハァ...、これがサイコガンガムと呼ばれているやつか...。所長が言ってい
たよりはやりやす
 いな...。いや、むしろ気持ちいい...。なにかエネルギーが溢れてくるよう
だ...。ハァ...。そこで
 待ってろよワン!コクピットの中で押しつぶしてやる!”
バグゥォォォォォーーーーーン
 
「ワン聞こえるか?ウォンだっ!そちらに試作ガンダムが向かっている
っ!何か様子がお
 かしいっ。誰乗っているかもわからんっ!大きく迂回して大至急戻って
こいっ!」
「なんだかわからないけれど...、了解です。 ウォンさん。」
だが、ウォンの隣で、オペレーターは深刻な顔つきでこう告げた...。
「ムリです...。とてもじゃないがガンダムの速度には勝てません...。あれは
異常です...。」
「く...なんなんだっ!いったいなんのためにっ! ワン...無事に帰って来て
くれ...。」
 
side6
”ハァ...、気持ちいい...、力が流れ込んでくるみたいだ...。 ワンがいるの
がわかる...。 
 ハァ...。 見える...。 ......。 あそこだ...。 見ぃーつけたっ。 ハァ...。 ハ
ァ...。” 
 
ピィッピィーッ
ジオングのレーダーに警報が出された。
「ハッハァーッ!きてやったぞっ ワン・オレラッ!コクピットごと、ぶっ潰し
てやるっ!!」
「その声は、まさか...おまえっ... 2号体!? どこだっ! 後ろかっ!」
「ハァッ! 遅いっ! 上だっ! こいつは早いぞっ!」
ズィイィーン  その黒い巨体の右腕から、とてつもない大きさのビーム
サーベルが振り落
とされた。一瞬だった。ジオングのシールドが瞬時に上からの斬撃を防
いだつもりだったが
、その威力には勝てず、左肘より下が一瞬のうちに粉砕された。その衝
撃でジオングはか
なり遠くへと吹き飛ばされた。しかし不幸中の幸いだった。もしあそこまで
巨大なサーベル
でなかったら、間違いなく一刀両断だった。あまりにも巨大だった為に、
逆にその衝撃で吹
き飛ばされたからだ。さらにシールドの強固さにも助けられた。
”ハァッ...。なんだこのサーベルは...、対戦艦用なのか...?まぁいいっ。”
「ハァッ!運が良かったなっワンっ!もう次は防げまいっ!」
syu...「ワン!聞こえるかっ?ウォンだっ!とにかく逃げ切るんだっ!もう
少しこちらに近づけ
   っ!援護射撃をしてやるっ!」
「ムリでしょうっ!このままじゃやられるっ!なんとかしますっ!左腕も誘
爆しない程度です
 っ!あの赤い彗星だって本番一発でやれたっていうじゃないですか
っ!なんとかしてみせ
 ますっ!」
ジュゥゥーン  ジオングの右腕に装備されている有線式サイコミュ兵器
である5連ビーム
 砲が冷たそうな音を立て、宇宙空間を右へと伸び進んで行った。
「ハァッ!あきらめたかっ? わたしはこれで貴様を超えるっ!」
「なんなんだっ! いつもいつも眼の上のたんこぶ扱いしてっ! もうや
めろっ!」
「ハァッ!邪魔なんだよっ! それ以外のなんでもないっ! 邪魔だから
死ねっ!」
「そんな理由でやすやすと死ねるかっ!」
超高速で進んで来たサイコガンダムの背後に、ジイオングの5連ビーム
砲が静かに周り込
み、照準をあわせた。
「悪いが、まだ死ぬ訳にはいかないっ! ゆるせっ!」
「ハッ、何っ? しまったっ! グッッッ!!」
5連装ビーム砲がサイコガンダムの背部に命中したが、むなしく拡散され
ていく。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、驚かせやがってっ...。しかしこいつは想像以上だ
な。ただデカイだ
 けじゃないってことか...。クックックッ...。その腕、邪魔だっ!」
ガンダムの左腕に装備されている5連装ビームがジオングのサイコミュ
兵器をめがけて、
放たれた。だがワンもうまくかわし、ジオングの有線式5連ビーム砲が、
ガンダムの脚部、
胸等に命中させたが、いずれもことごとく拡散されてしまった。
「ハアッ、さっきっからちょこまかとっ、本体を叩けばいいのだろう!クック
ックッ。」
高速で迫ってきたガンダムになすすべはなく、あっさりとガンダムの左腕
でジオングの顔部
を覆いつかまれた。
「ハァッ、どうした、ワンよ? こいつも邪魔だなっ。 叩ききってやるっ!」
ズュギイィィーン
ジオングの有線式サイコミュのワイヤーが、無残にもガンダムのサーベ
ルにより切断され
てしまった。
「ハァッ、どうするっ? まだ何かあるかっ?」
ワンにもう策はなかった。あくまでも試作機の為に、多くの兵器は搭載し
ていなかった。
「なんなんだっ! 俺を殺してこの後どうする気なんだっ? やすやすと
あそこに帰れると思
 っているのかっ?」
「ハァッ、そんなの知るかっ! こいつに乗った瞬間にそんなことどうでも
よくなってしまった
 わっ!」 ヴィッヴィッ 「ハァッ、エネルギー切れかっ。でかすぎるんだ
っ...。 だが貴様を
 殺すには十分な時間だな...。予告どうりコクピットごとぶっ潰してやる
っ。」
ワンはジオングの出力を最大にし、体を左右に激しく揺さぶったが、ガンダムのパワーの
前にはどうしようもなかった。
ガンダムはエネルギー切れのサーベルのさやを投げ捨て、右腕を大きく
振りかざした。
「ハァッ、長かったがこれで終わりにしようっ。 これで新しい私が生まれ
るっ!」
「ふざけるなっ!昔から俺にあたりやがってっ!俺がなにをしたって言う
んだっ!」
「ハッ、ガキかっ! 死ねっ!」
ガンダムの左腕で頭部をつかまれ、身動きの取れないジオングのコクピ
ットめがけ、ガン
ダムの右腕が振り落とされ始めた。 ワンは絶対絶命だった。
「おまえだってガキじゃないかぁーっ!」
その時だった。ガンダム後方で静かに流れていた、動くはずのない、切
断されたジオング
の右腕有線式サイコミュ兵器が反応し、5連装砲がガンダムの背部めが
け発射された。
パオオオォォォォォォーォン
「ハァッ、何っ! くっ!」
ヂュドォォォーン
ジオングの切断された右腕から放たれた5連装ビーム砲が、ガンダムの
巨大なランドセル
に直撃した。 その衝撃でガンダムにつかまれていた左腕から離れるこ
とが出来た。
”やったッ、今のうちに離れればっ”
「ハァッ...、ハァッ...、くっ...、そんな...バカ...な...。 くっ...ダメか...誘...爆する
っ...。ちっきしょうぅ、
 ちっきしょうぅぅぅぅぅぅ...、だが一人で死ぬもんかっ...、ワンっ...、
      キサマモイッショダァーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」
その奇声に包まれた波動の声に、ワンは呼吸さえ、身動きひとつ出来な
かった。ワンの脳
内に仕組まれた脳内声門認知システムが働いたものか、また2号体の
持つニュータイプと
しての素質によるものかはわからない。
一瞬だった。 
まるでガンダムとジオングが引き寄せられるかの様だった。
とてつもなく巨大な光と衝撃波にあたりは包まれた。
いつもは暗黒の空間に包まれているソロモンだが、この時だけは、とても
綺麗に光輝いて
いた。
 
side7
管制室で全てを見ていたウォンは、あまりの出来事にいたたまれなくな
り、廊下へと飛び出
し、その場で崩れ落ちた。
「なんてことだっ、なんてことなんだっ、うぅっ...。 あまかった.....。」
そこへ長い廊下の先から内心うれしそうなワタリが近寄ってきた。
「よぉっ、なに悲しんでるんだっ?いいじゃねぇか、いいじゃねぇか。強化
人間のサンプルデ
ータも取れたことだしよっ。」
ウォンは激怒し、ワタリの胸ぐらをつかんだ。
「何がいいんだっ!サイコガンダムはおまえの指しがねかぁっ!?殺し
合いなんて聞いてな
いぞっ!ただ極秘にデータをとるだけだったはずだっ!」
「しょうがねぇだろう?殺し合いさせるなんて言ったら、おまえ逃がしちま
うだろう...?なっ?」
「ふざけるなぁっ!!!!!」
 
それから幾日か経ったころ、ウォンとワタリ、2人の姿が消えた...。
  
機動戦士ガンダム  パペット・ゲーム