おんぷ「プ〜ルルンパトレ〜ヌ!」 さやか「プレサ〜パトレ〜ヌ!」 まさみ「ポクセルパトレ〜ヌ!」 おんぷ「私達の新たな力…」 おんぷ・さやか・まさみ「篤(とく)とご覧あれ!!!」『復活?そして新生!ロイヤルパトレーヌ!』 杉浦議員の不審な体調不良について調べ、マジョリーチの存在までを突きとめながらも、 すんでの所で逃げられてしまった、おんぷ・さやか・まさみ。 今日の屋上ミーティングでも、議題は勿論マジョリーチについてである。 特に喜怒哀楽の激しさが特徴のさやかが、悔しさを顕にする。 さやか「あ〜ん!く〜や〜し〜い〜!!あの状況、今でも思い出せるから腹立つ〜! くっそ〜!あの、あばずれマジョリーチめ〜!もう絶対、許さへんで〜!」 まさみ「おてんばが、あばずれって言ったって、説得力に欠けるよ…」 さやか「何やと〜!ほな、まさちゃんは悔しゅうないんか?」 まさみ「悔しくない訳ないしょや!あたしの腹の虫だって収まらないや! それに警官の娘が星(=犯人)に逃げられたとあっちゃ、末代までの名折れだ! でも探索において必要なのは冷静さだって、お爺ちゃんから言われてる… 短気は損気、急がば回れ瀬田の唐橋(からはし)だよ」 まさみは、昔の地理に由来する「急がば回れ」の続きを知っていた。 航海技術が未熟だった当時、危険を冒して琵琶湖を船で横断するより、 回り道して陸路を行き、「瀬田の唐橋」という橋を渡った方が、結局は早いという意味だ。 おんぷ「そうね、まさちゃんの言う通りだわ。 それに私達のすべき事は、マジョリーチを捕まえる事じゃないわ…」 おんぷの発言に少々疑問があったようで、さやか・まさみ共に聞き返す。 さやか「えっ!?捕まえんかったら、どないすんねんな?」 まさみ「おんぷちゃん、どういう事さ?」 おんぷ「杉浦議員を助けるのが先決よ!2人共、そうじゃないの?」 力説するおんぷに、それまで叫び続けていた、さやかも声のトーンを下げた。 さやか「せやな。確かにそうやな… うち熱うなりすぎて、そないな簡単な事も分からんようになっとった…」 まさみ「あたしも、そこまで頭が回らなかったのは未熟だった…でも、おんぷちゃん…」 おんぷ「何?」 まさみ「治癒魔法は、ご法度でしょ?したら、この状況にどうやって対処する?」 その通り、怪我や病気を魔法で治せば反動は免れない。 そこをどうするかは、さやかにとっても疑問であった。 さやか「せやな。うちも、それ聞きたい!」 おんぷ「原則的には、魔法をかけた本人にしか魔法を解く事は出来ないの…」 まさみ「それを覆す方法は無いの?」 おんぷ「マジカルステージなら…って思ったんだけど、効果は一時的にすぎないかも…」 さやか「やっぱ、本元のマジョリーチを叩かなあかんねんな〜…」 まさみ「かと言って追い詰めても、逃げられる可能性大だね…」 ここで、おんぷが1つ提案する。 おんぷ「ねえ…今夜、魔女界に行かない?」 さやか・まさみ「魔女界に?」 おんぷ「ええ。マジョリーチや先々代の女王様の悲しみについて調べてみましょ。 何か、いい方法が見つかるかもしれないでしょ?」 さやか「おっしゃあ!」 まさみ「その話、乗った!」 おんぷ「決まりっ♪」 その夜、魔女界に繰り出した3人が最初に向かった先は、大魔女博物館の書庫。 おんぷ「ここで本を探せば、きっと何かあるはずよ」 音符のような記号が羅列されている、一見すると解読不可能な本。 しかし、おんぷはこの魔法文字を読むのに長けている。それ故に次々と読み漁っていく。 そして何と、さやか・まさみまでもが、おんぷの速読には及ばないが、本に目を通せている。 おんぷ「2人共、だいぶ読めるようになったみたいね?」 さやか「何とかな!うち、何でか知らへんけど語学系は強いねん。お父ちゃん譲りやろか?」 涼吾は外国企業とも取引をするビジネスマン。その娘のさやかも、語学に強いのは当然か。 まさみ「それぞれの記号に意味があって、その組み合わせで、さらに複雑な意味を表す… 漢字の部首と一緒だって考えたら、かえって英語よりも簡単だよ」 流石は2人共、おんぷの愛弟子。 魔法文字の解読にかけては、かつてのどれみ達よりも上を行っている。 おんぷ「英語の勉強も、その調子ならいいんだけどね♪」 まさみ「あれは、アルファベットそのものに意味がないっしょ? だからかな?何か納得できないんだよね…」 さやか「駄弁っとらんと、さっさと探そ」 そんな折に、杖を手に3人の元へ近付いてくる人影がある。 ????「あら…誰かと思えば、あなたでしたか」 その、ゆったりした丁寧な口調に、おんぷは聞き覚えがあった。 おんぷ「あっ、お久しぶりです。マジョスローンさん」 まさみ「マジョスローンさん…?」 さやか「…誰?」 現われたのは、小振りな眼鏡を鼻にかけた、ふくよかな顔の老婦。 昔話の瘤取り爺さんのような頬っぺたは、今にも落ちてしまいそうだ。 面識の無い2人は首を傾げる。そんな2人の様子を見たおんぷは、紹介を買って出た。 おんぷ「このマジョスローンさんは元冒険家で、今はここの館長さん。 それに、元老魔女も務めてる、偉い魔女さんなのよ。 あと、パティシエ試験については、前にちょっとだけ話さなかった? その時の、6人の試験官の1人でもあったのよ」 さやか「えっと、お菓子作りの試験やったっけ?」 まさみ「って事は…この人は最初、おんぷちゃん達が魔女になるのに反対してた人なの?」 おんぷ「まあ、そういう事になるわね」 マジョスローン「あの時は、おんぷちゃんを初めとした、 どれみちゃん達みんなの事を、あまり知らなかったのですよ… あなた達のお菓子を食べて、あなた達の人柄に触れて、 女王様が、あなた達を推挙するお気持ちが分かりました…」 おんぷ「マジョスローンさん…」 マジョスローン「そう言えば、その2人は?見ない顔だけど…」 おんぷ「私のお友達で、こっちが西郷さやかちゃん、こっちが酒井まさみちゃんです。 つい最近まで魔女見習い試験を受けてて、今はもうおジャ魔女… まあ言うとしたら、私の弟子って言うか、後輩ですね」 おんぷに紹介され、さやか・まさみは共にペコリと頭を下げる。 さやか「ども、宜しゅう」 まさみ「どうぞ、お見知り置きの程を」 マジョスローン「ああ…そう言えば、そんな噂もあったかしら。 何しろ、ここに篭って研究ばかりしてるものだから、外の事に疎くて…」 さやか「せや!この、お婆ちゃん…やのうてマジョスローンさん、ここの館長さんなんやろ? ほなマジョスローンさんに聞いた方が、手っ取り早いんとちゃう?」 まさみ「もう、自分が楽したいだけじゃないの?」 図星のようで、さやかは頭を掻いた。 さやか「えへへ…それもある…」 マジョスローン「何か調べ物してたみたいだけど…私に分かる事なら」 おんぷ「すみません、お手数掛けます」 マジョスローン「いえいえ…で、何について調べてたの?」 おんぷ・さやか・まさみは、先日のマジョリーチの一件について、事細かにマジョスローンに説明した。 マジョスローン「それは大変な事になりましたね…」 さやか「んな他人事みたいに…大変じゃ済まへんって…」 まさみ「とにかく、対抗する手立ては無いんですか?」 マジョスローン「まあ、無くも無いわ…」 これには3人共、声が自然と大きくなってしまった。 おんぷ・さやか・まさみ「あるんですか!?」 マジョスローン「ええ…先々代の女王様の悲しみを取り除く鍵は、純白の聖なる力…」 まさみ「純白の…」 さやか「聖なる…」 おんぷ「力…」 3人は順々に、キーワードを反芻する。 マジョスローン「あなた達、心当たりはない?」 さやか「心当たりって言われたかて…」 まさみ「う〜ん…パオちゃんの体は白いけど… ハナちゃんがアコーディオン弾かないと、吸い取れないんじゃ…」 だがアコーディオンを弾けというのは、幼子の体に戻ってしまったハナには無理な注文だ。 おんぷ「まさか…!」 こちらは、何か別の心当たりがあるようだ。おんぷの顔を見て、マジョスローンも頷く。 まさみ「おんぷちゃん…?」 さやか「何?何なん?」 興味津々に、さやか・まさみが、おんぷの顔を覗き込んだ。 そして、おんぷの口から出たのは… おんぷ「ロイヤルパトレーヌ…」 ここで毎度の事ながら、さやかの素っ頓狂な声が上がる。 さやか「ロイパトかいなっ!?」 まさみ「さやちゃん、そこで変に略さない…」 マジョスローン「新米のお2人さんも、ロイヤルパトレーヌについては、 多少なりとも知っているようですね?」 まさみ「ええ、おんぷちゃんから話だけは…」 さやか「アホなオヤジから、ハナちゃん守るために貰(もろ)た力やったっけ?」 まさみ「だいぶ話が歪められてる気がするけど…」 確かに前半部分の形容は、どうかと思うが… おんぷ「まあ、間違ってもないかな♪」 面白そうに小さく笑うおんぷに、まさみが困る。 まさみ「そこで否定しないし…」 こういうペースになると、真面目なまさみは巻き込まれていくしかない。 まさみ「…で、ロイヤルパトレーヌが、どうかしたんですか?」 マジョスローン「あの力も、白い象の力と同じ、純白で聖なる力… 何らかの関係があるのではないかと、私は考えています…」 まさみ「つまりロイヤルパトレーヌなら…」 おんぷ「あの悲しみに打ち勝てるかもしれないって事ですか?」 マジョスローン「正確には、白い象の力と、ロイヤルパトレーヌの力… 2つの聖なる力を組み合わせる事が出来れば…ですがね」 さやか「出来ればって、出来へんの?」 まさみ「そう簡単に出来たら、苦労はしないんだよ…ん?」 その時、さらに何者かが近付く足音。 感じ取った魔力から、まさみが人物を特定した。 まさみ「マジョリンさん…ですよね?」 予測は見事に的中。マジョリンが毎度の事ながら硬い表情で立っていた。 マジョリン「ここにいたのですか…女王様がお呼びです」 おんぷ・さやか・まさみ「女王様が!?」 …という訳で女王様に謁見する、おんぷ・さやか・まさみ。 お馴染み、王宮の謁見の間。いつも通り、玉座に女王様がおられる。 さやか・まさみは来るのは初めてではない。 だが、今回は様子が少しだけ違う。同じ間にいる人数が前より多い。 さやかは目をキョロキョロとさせる。まさみは只々、平然とするばかり。 おんぷ「さやちゃん、どうしたの?」 一応は分かっている。でも、とりあえず聞いておいた。 でなければ、さやかのキョロキョロは止まらないだろう。 さやか「この人達…何なん?」 おんぷ「元老魔女の皆さんよ」 まさみ「くれぐれも、ご無礼の無いようにね」 どうやら、まさみが平然としていたのは、 魔力の強さから、元老魔女達の身分の高さに気付いていたためらしい。 女王様「単刀直入に言わせてもらいますが、3人には新たな使命を担ってもらいたいのです」 単刀直入と仰られた通り、話が唐突かもしれない。 おんぷ「新たな使命…ですか?」 女王様「はい。あなた達に、人間界に残った悲しみの始末を、お願い出来ないでしょうか?」 さやか「ほえっ!うちらがですか!?」 まさみ「女王様…おんぷちゃんならともかく、あたしなど力不足でございます!」 謙遜したまさみは自分を全否定するが、おんぷの事はちゃんと別扱いにしていた。 女王様「そんな事はありませんよ。あなた達にも新たな力を授けます」 さやか・まさみ「新たな力!?」 おんぷ「それって…」 女王様「ロイヤルパトレーヌの力です」 おんぷ・さやか・まさみ「やっぱり!!!」 マジョスローンから、ロイヤルパトレーヌの力で悲しみに対抗できるかもしれない、 という話にはなっていたため、やっぱりかという反応になる。 ここで、白衣を羽織ってバンダナの結んだ側が長く棚引く元老魔女が、手を小さく上げた。 ???「女王様、宜しいでしょうか」 女王様「いいでしょう…マジョハート」 さやか・まさみ「!?」 この名前には聞き覚えがあった。おんぷからの話で、幾度となく聞いた名だ。 その元老魔女はツカツカと2人に歩み寄ると、2人に鋭い目付きを向けた。 マジョハート「さやかに、まさみと言ったな?」 さやか・まさみ「は、はい…」 マジョハート「おんぷから名前くらいは聞いているだろう。私がマジョハートだ」 さやか「マジョハートせんせ…」 ポカンとするさやか。一方で、畏まるまさみ。 まさみ「王宮専属医師にして、元老魔女の筆頭格…お名前はかねがね…」 マジョハート「私も、お前達の事は、女王様から聞いている。 魔力を見切り、そして感じ取る、前代未聞の能力… まさか、そんな力をもったおジャ魔女がいようとはな」 さやか「えへへ…」 嬉しそうに、さやかは頬を赤らめた。まさみの方も、少し誇らしげな表情だ。 だが、そんな2人にマジョハートの雷が落ちた。 マジョハート「だが!」 さやか・まさみ共に、ビクッと引き攣った。 マジョハート「そんな大変な力を、人間の小娘が持っているだけでも大問題なのに、 その上ロイヤルパトレーヌになるだと!?許せる訳が無かろう!」 さやか「ほえっ…な、何でやねんな!」 大声に驚いた後、さやかは疑問と不満とを一緒にぶつけた。 マジョハート「いいか、ロイヤルパトレーヌともなれば、魔力は何倍にも跳ね上がる… お前達の力と、ロイヤルパトレーヌの力と、掛け合わせたらどうなるか… それこそ手の付けられない、とんでもない力になるだろう… 私は、元老魔女としても、そして1人の医者としても、 そんな危険極まりない事は、断じて認められん!」 痛い所を突かれた。2人の顔には心痛の色が見て取れる。 さやか・まさみ共に、人並み外れた感知能力が売りだったのに、逆にそこが弱点でもあった。 まさみ「そ、それは…」 言い返す事も出来ず、まさみは唇を噛みしめた。 さやかに至っては、既に涙目の状態だ。いつ堰を切ったように涙が流れ出すか分からない。 いくら何でも言い過ぎ…おんぷも内心では思っていたが、やはり相手が悪い。 口を噤む代わりに、不満そうな目線だけを向けた。 マジョハート「…と、本来なら言いたい所だがな」 口調が少しだけ柔らかくなった気がして、3人はマジョハートの顔を見上げた。 マジョハート「お前達をロイヤルパトレーヌにお認めになるのは、他でもない女王様だ。 私には意見する事は出来ても、止める権限まではない…それに…」 さやか・まさみ「それに…??」 マジョハート「お前達の後見人の顔も、立ててやらねばならんからな」 そう言いつつ、おんぷの方を見て、マジョハートはニヤリと笑った。 おんぷ「マジョハート先生…」 そして優しげだった顔が、再び厳しくなる。 マジョハート「今言った通り、お前達をロイヤルパトレーヌにするには危険性も伴う。 よって今後、お前達の特殊な力は、私が徹底的に調べさせてもらう。 文句は一切言わせないぞ。分かったな!」 さやか・まさみ「はっ、はいっ!!」 マジョハート「宜しい。では女王様、後は『あれ』ですが…」 女王様「そうですね…」 こう言われると、気になってしまうのが人の性(さが)… まさみ「『あれ』って…?」 さやか「何やろな?何やろな?ワクワク…」 そこに駆け込んできたのは、魔法研究所のマジョトロン。 さらにはパオも続いてきた。これは、かなり異色の取り合わせだ。 マジョトロン「女王様!遂に、遂に出来ましたぞ!」 パオ「パオーン♪」 おんぷ「あら、マジョトロンさんにパオちゃんじゃない」 パオ「あ、おんぷたんだパオ」 おんぷ「久しぶりね、パオちゃん」 二人共、初めて目にするパオに興味津々。 さやか「これがパオちゃんかいな…」 まさみ「へぇ…めんこいかも…」 だが、おんぷは見知っていても、さやか・まさみには初対面のパオ。 パオ「パオ?この子達、誰パオ?」 おんぷ「私の新しい大親友の、さやちゃんとまさちゃんよ」 さやか「うち、西郷さやか。略して、さやちゃんやで」 まさみ「同じく、酒井まさみ。通称まさちゃん」 パオ「あたち、パオちゃんだパオ。宜しくパオ」 さやか・まさみ「こちらこそ」 さて、そろそろマジョトロンの方にアングルを移してみよう。 おんぷ「そう言えばマジョトロンさん、出来たって何が出来たんですか?」 マジョトロン「おお、それなんだがな…」 パオ「これだパオ」 そう言うとパオは、それまで巻いていた長い鼻を広げて、何かを中に放り投げた。 キラリと光る物が3つ落ちてくる。それを、3人がそれぞれキャッチした。 掴んだ手を開いてみると、王冠と2つの♪を組み合わせた形の魔法玉が。 おんぷ「ロイヤルシード…」 さやか「あ、ロイパト専用の魔法玉やったな」 まさみ「この言い回し何度も使うようだけど、魔力の塊だね」 マジョトロン「それは、ただのロイヤルシードではないのだよ」 パオ「それ作るのに、あたちもいっぱい食べて協力したパオ」 この言葉から想像がついたようで、さやか・まさみの顔に驚愕の色が… まさみ「もしかして、これの原料って…」 さやか「パオちゃんの、ウン…ウン…」 おんぷ「恥ずかしくて言えない…☆」 なぜか乙女チックになっているおんぷ… さやか「おんぷちゃん、かなり背景にキラキラ入ってへん…?」 こちらとしても、この原料の話から逃れたいのだが… まさみ「要は、排泄物だね」 言ってしまった…堅物のまさみが、曖昧なまま話を流す訳がなかった。 おんぷ「いやん☆」 さやか「まさちゃん、そないはっきり言うてもうたら身も蓋も…」 とりあえず解説…パオの排泄物は、通常の魔法玉を遙かに凌ぐ魔力を秘める。 悲しみを吸い取った後の物の方が魔力の含有量は多いのだが、普通の物でも十分強力だ。 それを今回マジョトロンの技術力で、ロイヤルシードに加工するのに成功したようだ。 流石マジョトロン、各種ポロンの開発を手掛けてきただけはある。 実験の失敗による爆発が無ければ、もっと良いのだが… マジョトロン「説明しよう!このロイヤルシードで魔法を使えば、 人間界に残ってしまった、先々代の女王様の悲しみも処理できるのだ! しかも、滅多に実らない普通のロイヤルシードと違って、 このロイヤルシードなら、パオがいる限り、幾らでも量産できるのだ!」 自信満々に胸を張るマジョトロン。確かにこの発明なら、かなり高い評価を与えられる。 おんぷ「これなら、いけるわね!ありがと、パオちゃん」 パオ「えっへんパオ♪」 おんぷに頭を撫でてもらい、パオは上機嫌。 マジョトロン「あの、儂は…?」 褒めてもらえないマジョトロン…悲しきかな、どんどん話から流されていく… まさみ「白い象の力と、ロイヤルパトレーヌの力… 2つの聖なる力を組み合わせるって、こういう事だったのか…」 おんぷ「後は、私達がロイヤルパトレーヌになるだけね」 さやか「おっしゃあ!一丁やったろうやないか!」 まさみ「ようし…あたしも調子に乗っちゃおうかな!」 意気揚々な3人に、女王様が後押しするようにお声を掛ける。 女王様「では3人共、マジカルステージの用意を」 おんぷ・さやか・まさみ「はいっ!!!」 3人は円陣を組み、ジュエリーポロンを構える。 おんぷ「プ〜ルルンプルンすずやかに〜」 さやか「プレサ〜リラティ〜なめらかに〜」 まさみ「ポクセル〜カソペ〜きよらかに〜」 おんぷ・さやか・まさみ「マジカルステージ!!!」 女王様「3人に新たな力を…」 静かに言いながら、女王様は手の平を開き、そこから目映い光が放たれる。 そして、おんぷ・さやか・まさみの体が、大きな花の蕾に包まれる。 それぞれの花には、紫・緑・灰の3色が配され、煌めきながら回転する。 さらに花開くと、新たな見習い服に身を包んだ3人が現れた。 まるで日の光をいっぱいに浴びた、干したての布団のように、 ふっくらとして、さぞかし心地のよさそうな、白無垢のドレス。 基調となるのは白。しかしながら部分部分に、それぞれ違う色が配される。 おんぷには紫、さやかには緑、まさみには灰色が含まれている。 最後に上から綿毛が降ってきて、その中から円形のリースポロンが出てくる。 おんぷが慣れた様子で難なくキャッチするのに倣って、さやか・まさみも続けてキャッチする。 お着替えが終わると、過去に何度も着た覚えのあるドレスに、おんぷは声を上げる。 おんぷ「久しぶりね…このパトレーヌドレス」 さやか・まさみ「これが…ロイヤルパトレーヌ…」 新たな服の感触に夢中の2人。ここで、再びマジョハート。 マジョハート「お前達、具合はどうだ?」 さやか「具合って?」 首を傾げるさやかを横目に、まさみが申し出る。 まさみ「衣替えしてから、何だか魔力が無尽蔵に湧いてくるみたいです… 多分この服、術者の魔力を最大限まで引き出す効果があるのかと…」 説明された訳でもないのに、まさみは勝手が分かっていた。 どうやら、自分の魔力を感じ取る事で、情報を得ていたようだ。 マジョハート「感知能力の精度は、上がっているみたいだな」 まさみ「ご尤もで…さやちゃんも、見抜く力は段違いになってるかと」 さやか「ほえ!?そうなん?」 逆に、こちらは気づいていない様子。 マジョハート「そうか、さやかの方は意識した時だけ、力が現れるんだったな… よし分かった。また何かあったら報告しろ」 さやか「ラジャー」 まさみ「了解」 女王様「それとマジョリン、例の物を」 この台詞、さらなるアイテム登場の予感… マジョリン「はっ」 段を降りてきたマジョリンは、何やら携帯電話らしき物を3つ、3人に差し出した。 二つ折りタイプで、全長は20pといった所か。 これにも見覚えがあって、おんぷは即座にアイテムの名称を口にした。 おんぷ「パトレーヌコール…」 さやか・まさみ「…って何?」 これは今まで話題に上らなかった物…2人は揃って聞き返す。 おんぷ「このパトレーヌコールはね、ただの携帯じゃないのよ。 まず、3人以上でも同時に通話できるの。 それに、どんなに遠くでも魔法を飛ばせるの。 だから離れていてもマジカルステージが使えるの。便利でしょ」 さやか「ほえ〜…超ハイテクやな〜…」 まさみ「ちなみに、これって電話局、介さないよね?」 口調から分かるように、おんぷに対して聞いたつもりだったが、 そのまさみの質問に答えて下さったのは、畏れ多くも女王様であった。 女王様「ええ、魔法で直接通話できるようになっているので、その心配はありません」 まさみ「そうですか…」 なぜか、まさみは安堵の表情を浮かべる。その理由が気になって、さやかが尋ねる。 さやか「まさちゃん…どういう事(こっ)ちゃねんな?」 まさみ「遠隔地から魔法を飛ばせるのも、確かに便利かもしれないけど、 電話局を介さないっていう方が、凄くありがたいからだよ。 通信の秘密が憲法の条文にあるとは言え、警察のお偉方が『うん』と言えば、 どんな電話の内容も捜査が可能…全部筒抜けになっちゃうんだからね」 実際、電話線上で誰がいつ、どんな通話・メールをやり取りしたかが、 全て暴露される手続きの踏み方があるのだ。 そして、それを行使するのは、時に警察権力であったり政治権力であったりもする。 魔法がまだ人間には受け入れられていない今、電話一本で手錠を掛けられるのは御免だ… まさみは、そういう思いでいた。 おんぷ「そうなの…私も知らなかったわ…まさちゃん、物知りね」 さやか「プライバシーもへったくれも、あらへんな〜… うちも魔法の事、電話で話すの、やめとこか」 おんぷ「その方がいいわね…そういう話の時こそ、このパトレーヌコール使って」 さやか「せやな」 パトレーヌコールの話が済んだ所で、女王様がおんぷに言付けをしておく。 女王様「おんぷちゃん、使える力は以前のロイヤルパトレーヌと同様ですから、 2人に詳しい説明をお願いします」 おんぷ「はいっ」 さやか「ほな、おんぷちゃん…」 まさみ「ご教授願えますか?」 おんぷ「勿論よ。このまま人間界に行って、実践しながら教えたっていいわよ」 まさみ「そいつは心強いや。流石おんぷ大先生だ」 そして最後を飾るのも、やはり女王様のお言葉のようだ。 女王様「おんぷちゃん…」 おんぷ「はい…?」 女王様「今までに何度も、不可能を可能にしてきた魔女見習い達がいましたよね?」 おんぷ「女王様…」 不可能を可能にしてきた魔女見習い達…どれみ達の事を指しているのは分かりきっている。 女王様「おんぷちゃん、あなたなら…」 その時、女王様はさやか・まさみを御覧じ、そして言葉を付け足された。 女王様「いえ…あなたと、あなたを信じ、あなたを助けようとする2人が一緒なら、 きっと不可能は無いはずですよ」 この言葉に、おんぷは勇気が沸々と湧いてくるようだった。 おんぷ「…はいっ!さ、2人共、行くわよ!」 さやか・まさみ「うんっ!!」 真夜中の人間界、杉浦議員の入院している病院… その上空には、先刻ロイヤルパトレーヌとなったばかりの、おんぷ・さやか・まさみ。 純白の出で立ちの3人が、箒に乗って浮いている。 おんぷ「説明しとくわね。いつもの呪文の、最初の部分に『パトレーヌ』をつけて、 あとは、魔法でやりたい事を思い浮かべるだけ。 たったこれだけで、マジカルステージ並みの魔法が1人で使えるのよ。 手早くて便利でしょ?ちなみに私は『プールルンパトレーヌ』よ」 さやか「ほな、うちは『プレサーパトレーヌ』で、まさちゃんが『ポクセルパトレーヌ』やな?」 まさみ「全く便利の一言に尽きるね、ロイヤルパトレーヌは…」 おんぷ「まだまだ、それだけじゃないのよ。パトレーヌドレスは悪い魔法も撥ね返せるの」 まさみ「へえ、帯びてる魔力で結界が出来るのか…」 さやか「流石まさちゃんやな〜…もうメカニズムが解明出来とんねんな〜…」 だが、いつまでも、こうしている分にもいかないのだ。 さやか「ほな…ぼちぼち行こか!」 まさみ「あたし達の初陣、飾りましょっかね!」 おんぷ「それじゃ、2人共…」 無言で頷き合う3人。そして… おんぷ「瀬川のS!」 さやか「西郷のS!」 まさみ「酒井のS!」 おんぷ・さやか・まさみ「3人合わせて…Triple-S!」 手を重ね合わせ、心も重ね合わせ、掛け声も勇ましく、3人は威勢よくリースポロンを構えた。 おんぷ「プ〜ルルンパトレ〜ヌ!」 さやか「プレサ〜パトレ〜ヌ!」 まさみ「ポクセルパトレ〜ヌ!」 紫・緑・灰色の閃光が発せられ、3人のロイヤルパトレーヌの魔力が炸裂…すると… さやか「ほえ〜!!」 おんぷ「なっ、何あれ!」 赤黒い「〜」が出るわ出るわ、杉浦議員の病室の窓から出血サービスの大放出。 まさみ「とりあえず掻き出してはみたけど、やっぱり増殖してたか…」 さやか「しすぎやっ!!」 ここで、さやかのツッコミ。流石は浪速っ子、ここだけは外さない。 おんぷ「それより、早くしないと!」 まさみ「だけど、どうやってさ? あんなの、いくらロイヤルパトレーヌだからって、一括りには無理っしょ?」 さやか「ほんなら細切れにしてくっきゃないやろ!」 そう言って、さやかはリースポロンに力を込めて… さやか「プレサ〜パトレ〜ヌ!」 新緑の光はさやかの右手に纏わりつくように輝き、次第に形を形成していく。 棒状になった光を、さやかは新体操のバトンのようにトワリング。 光は弾け、さやかの手元には約60pの長十手が全容を現した。 おんぷ「十手…でも長くなってる…」 普段のさやかの十手は、全長約30p。それが倍近い長さになっている。 まさみ「なるほど、十手は十手でも、武器としての機能の方が強い長十手か…」 さやか「ほな、おっ先〜!」 箒を駆り立てて、さやかは高速で「〜」の大群に突っ込んでいくと… さやか「おりゃ〜!」 ヒュン!と空(くう)を切る軽い音…さやかが長十手を振るったのだ。 そして、その範囲内にいた「〜」の姿が消えていた。 おんぷ「さやちゃん、凄い!」 まさみ「長十手が魔力を帯びてる。それを振るえば、蛆虫共は簡単に片付くって事か…」 そして、まさみもリースポロンを掲げた。 まさみ「そのアイデア、あたしも真似しちゃおっかな…ポクセルパトレ〜ヌ!」 先程と同様、まさみの右手元に灰色の光が煌めき、こちらも棒状になる。 そして姿を見せたのは…まさみと来たら、これしかない。お馴染みの日本刀のお出ましだ。 まさみ「さてと…!」 さやかに続いて夜空に躍り出たまさみは、寄ってきた「〜」に躊躇う事無く斬り付けた。 2人がそれぞれ長十手・太刀を振るった後は、「〜」が霞のように立ち消える。 まさみ「さやちゃん、ナイスアイデア。これなら効率いいね。 いちいち呪文唱えなくてもいいし、何よりロイヤルシードの節約になる!」 さやか「せやろ?それにうちら、体動かす方が性に合っとるしな!」 そうこうしている間に、「〜」の数が減ってきた…留めはやっぱり、この人にお頼みしよう。 おんぷ「プ〜ルルンパトレ〜ヌ!」 星空のど真ん中に、CDの裏面を思わせる虹色の大穴が、ぽっかりと口を開けた。 そして、掃除機を思わせるような空気が吸い込まれる音。 残っていた「〜」は一気に吸引され、跡形もなくなった。 おんぷ「…これでよし、っと」 まさみ「流石おんぷちゃん…大容量吸引力…」 さやか「ブラックホールかいな…恐れ入ったわ…」 同刻、杉浦議員の病室… 杉浦「う…」 ベッドの上で、どうやらお目覚めのご様子。 杉浦「う〜ん…よく寝たな〜…あれ?そう言えば何で、こんな所に?」 再びアングルを、おんぷ・さやか・まさみに戻す。 おんぷ「これで大丈夫ね」 それを見て、おんぷがニンマリと満足そうに微笑む。 まさみ「そうだね…まずは任務完了かな?」 さやか「せやな!出だしは上々や!」 まさみ「このまま順風満帆ならいいけどね」 おんぷ「何言ってるのよ。私達なら…きっと大丈夫よ♪」 さやか「せやせや!」 まさみ「…そうだね」 笑顔で手を取り合う3人… おんぷ・さやか・まさみの悲しみとの戦いが、ここから始まったのだった… 次回予告 おんぷ「さやちゃんもまさちゃんも、もう立派なロイヤルパトレーヌね」 さやか「ロイパトは魔法使うの簡単で、ほんまええわ〜♪」 まさみ「でも、さやちゃん、面白半分でやられちゃ困るよ」 おんぷ「さて…今度の舞台は何と、豪華寝台特急♪ …でも何だか、楽しいだけの旅じゃなさそうね…」 さやか「そんなん構へん!どんと来いや〜!」 まさみ「上等だよ!掛かって来なさい!」 おんぷ「うふっ…2人共、ロイヤルパトレーヌになって、随分と頼もしくなったわね。 次回、おジャ魔女おんぷTriple‐S(トリプル・エス)『夢と不安と…夜汽車は西へ』 さあ次回も…プ〜ルルンパトレ〜ヌ!」 9話端書き さて、大変な事になってますね。ロイパトですよ、ロイパト♪ …はい、完全に筆者の好みです。どの見習い服よりもパティシエ服よりも好きです(ぇ) まあ、初めてじゃないんですけどね。さやか・まさみのロイパトは。 それにパスキーさんに描いていただいた、4000hitのリクイラも見てもらえば… そして、まさみの刀と共に、さやかの十手の設定が活用できました。 この2人の性格上、やっぱり派手に暴れさせた方が話が考えやすいです。 さらに今回、本編キャラが結構出せました。 元老魔女からは、マジョスローンさんとマジョハート先生のご登場。 でもって、マジョトロンさんにパオちゃんが。 また、パトレーヌコールなんてグッズまで登場してきたり… 今回出ましたとんでもないアイデアが、パオちゃんの排泄物wから出来たロイヤルシード… 理屈は本編で説明した通りです。我ながら、こんな突拍子もない事、よく考え出したな… まあ、これで3人は気兼ねする事無く、ロイパトとして活躍できる訳です。 で、次回は…またしても、とんでもなく変な企画を考えてます。 とりあえず今はナイショですが…