予告編 
おんぷ「お待たせしました!私、瀬川おんぷ主演の新作が始まりま〜す♪ 
    タイトルは…『おジャ魔女おんぷTriple‐S(トリプル・エス)』! 
    みんな、時めくおんぷの応援、宜しくね。てへっ♪」 
さやか「ちょっと待った〜!うちも混ぜてぇ〜な〜! 
    輝きの新人・西郷さやかも宜しゅう頼んます〜!」 
まさみ「あたしだけ何も言わないのも何ですので、ご挨拶だけでも… 
    酒井まさみ、煌めいてみせますので、何とぞ宜しく!」 
さやか「何だかんだ言うて、まさちゃんの台詞が一番(いっちゃん)格好(かっこ)ええ〜!」 
おんぷ「まあまあ…それじゃあ2人共、行ってみよっか!」 
さやか・まさみ「お〜!!」 
 
 
 
 
 
魔女界…女王様に謁見し、今後の進退を話し合う、どれみ達一同… 
どれみ「あたし達…魔女にはなりません!」 
ハナ「どれみ!?」 
どれみ「確かに魔女になれば長生き出来るし、魔法もいっぱい使えて便利だけど… 
    あたしは人間がいい…長生き出来なくても、経験を子孫に伝える事が出来る… 
    それに夢を持ち続けてれば、何でも叶う気がするんです…」
 
これを聞いたハナは、円らな瞳に大粒の涙を湛えていた。 

ハナ「そんな…ハナちゃんのママなのに、何でハナちゃんと一緒にいてくれないの〜!?」 

泣きじゃくる愛娘を諭したのは、おんぷだった。 
おんぷ「ハナちゃん、話は最後まで聞いて…私達には、長い寿命は要らない… 
    だけどね、まだ人間界と魔女界とは、完全に繋がった訳じゃないのも事実… 
    途中で投げ出すような事は出来ないし、まだ魔法を通して学ぶ事だってあると思うの… 
    だから少し前に、私からみんなに提案したんだ…」 

少し間を置いてから、おんぷは最後の結論を口にした。 


おんぷ「私達ずっと…おジャ魔女のままでいられないかなって…ね♪」 

 
『出会いは突然!?どうするおんぷ!』
瀬川おんぷ…言わずと知れた、100万人のファンを抱える芸能人。 脱チャイドル宣言をしたため、敢えてチャイドルとは呼ばないでおく。 しかし、それは表の顔で、裏のおんぷは魔女見習い。 そして現在は、魔女見習いだが魔女にはならない『おジャ魔女』という位置付けになっている。 つまり、おジャ魔女は魔女ではなく、魔女見習いである事には変わりない。 よって魔法を使うには以前と同様に、お着替えが必要である。 ここで、おジャ魔女としての瀬川おんぷの略歴を説明しておこう。 おんぷは小学3年で魔女見習いとなり、とんとん拍子で1級に合格。 そのため、かつて天才魔女見習いと噂されていた事もあった。 初めはマイペースだったおんぷも、どれみ達と共に色々な試練を乗り越える内に、 いつしか大親友と呼べる間柄にまでなっていた。 それぞれの夢や目標のため別れはしたが、友情だけは今でも、しっかりと繋がっている。 そして、おんぷの隣には、常に妖精のロロがいる。 魔女見習いのまま、おジャ魔女でいたいと懇願すると、 女王様は全員の妖精を成長させ、傍につけたのだった。 お陰で妖精達は喋り放題、おジャ魔女達の良きパートナーになっている。 愛娘・ハナとの関係だが、おんぷを始め、どれみ達も進学・転居など何かと忙しい。 それ故に皆、魔女界に行けない日が多く、MAHO堂メンバー全員が会えない日々が続いていた… そんなおんぷは、この春から中学1年生。 通う先は美空から離れた、大空市にある私立遠近(おちこち)学園の中等部。 「おちこち」とは「あちらこちら」の意味を持つ古語で、未来と現在とを指す言葉でもある。 ここは芸能人も多く通っていて、演劇・ダンス等のカリキュラムを組んでいる事で有名である。 今の自分に満足などせず理想を高く持ち、将来は海外に羽ばたける女優になりたいと願うおんぷ。 ここへの進学を決めたのは、当然の理(ことわり)であろう。 そして、ここ大空市は、かつて父・剛の単身赴任先でもあった。 家族3人一緒に暮らしたかったというのも、おんぷがここを選んだ理由の1つである。 おんぷ「今日から中学生か…」 ベージュのブレザーとブラウンチェックのスカートに身を包んだおんぷ。 そこに姿を現した、ロロが声を掛ける。 白みを帯びた紫の衣装、とんがり帽子にスラリとした手足、腰のくびれたスタイリッシュな体。 ヘアスタイルは、正(まさ)におんぷを縮小コピーしたようなもの。 そして髪の毛の内、2本だけが長く伸び、先端で渦巻き状にカールしている。 ロロ「お友達、出来るといいわね」 おんぷ「ええ…ロロ、そろそろ隠れて」 ロロが姿を消してすぐ、校門前で待ち構えていた報道陣の眩しいカメラのフラッシュが放たれる。 芸能人の入学式、それも瀬川おんぷと来れば、これくらいは当たり前である。 おんぷ「おはようございま〜す♪」 お得意の営業スマイルで、おんぷはご挨拶。しかしここで、学校の教職員が割り込んできた。 教職員「はいはい、本校敷地内での取材・撮影等は控えて下さい!     本校は、どんな生徒も特別扱いは致しません!」 対応に慣れている所からして、流石は芸能人を多く受け入れている学校だと、おんぷは思った。 教職員「さ、早く中に入って下さい」 おんぷ「は〜い」 特に滞りも無く入学式は執り行われ、新入生はそれぞれの教室へと入っていく。 クラスはアルファベットで区別されていて、おんぷはC組。 「1−C」の看板を見つけ、おんぷは教室内に入り込んだ。 すると真っ先に、おんぷを黄色い歓声が襲った。まあ、予想はしていた事だったが。 ???「わ〜!やっと来たで〜!ほんまもんの、おんぷちゃんや〜!!」 ツインテールの女子を先頭に、男女共に何人もが駆け寄って来て、おんぷに挨拶する。 小渕「各クラスに1人は芸能人が入るって聞いてたけど、    まさか、おんぷちゃんと一緒のクラスなんてね。凄く嬉しいよ!    あっ、僕、小渕けいいち。宜しく頼むよ」 眼鏡の光る小渕を押しのけて、今度は女子が自己紹介。 阿部ゆきの「私、阿部ゆきの。私も女優を目指してるの!       これから色々と教えてもらえるかしら?」 今度は、何やら格好つけた男子が乱入してきた。 福田「いや〜…受験勉強、頑張った甲斐が会ったぜ!おんぷちゃん、仲良くしよう!    ちなみに俺は、瀬川おんぷファンクラブ会員番号9729番、福田たけし。宜しく!」 想像はしていたが、やはり瀬川おんぷ人気は凄い。そして、おんぷは恒例のご挨拶。 おんぷ「みんなの瀬川おんぷです☆宜しくお願いします♪」 これに、最初に駆け寄ってきた女子のツインテールが、喜びのあまり狂喜乱舞する。 ???「わ〜!!うちも、おんぷちゃんのファンやっとって、今日ほど幸せな日は無いで〜!」 おんぷ「あら、女の子のファンは珍しいわね。あなた、名前は?」 つい嬉しくなって、おんぷは彼女に名を尋ねた。 ???「あっ!そう言えば、うちだけやな。自己紹介してへんの…     あんな、うちな、西に『さと』…あの画数が多くて、     左の部首が糸偏(いとへん)みたいやけど違(ちゃ)うやつ…     あ〜ん、何て言うたらええかな…う〜んと、え〜っと…」 説明に困っているようなので、おんぷは助け舟を出してやった。 おんぷ「故郷の『郷』っていう字ね」 さやか「せや!それやそれ!うち、それで西郷(さいごう)っていう名字やねん!     西郷さやか、大阪から来た浪花っ子や!おんぷちゃんのファンクラブも入ってんで!     とにかく楽しい事が大好きで、バラドル目指しとるんや!宜しゅう頼んます!」 おんぷ「へぇ、浪花っ子…(まるで、あいちゃんみたい…)」 脳裏に大親友の1人・妹尾あいこを思い浮かべ、おんぷは微笑んだ。 さやか「いや〜、この学校入れて良かったわ〜!好きな事仰山できるし、     何しろ憧れの、おんぷちゃんがクラスメイトや!     これで勉強が無かったら、ほんま最高やねんけどな〜…     あっ、うち勉強は、からっきし駄目やねん…」 恥ずかしそうに頬を赤らめて、さやかは舌をペロッと出して頭を掻いた。 おんぷ「ふふっ…(勉強が苦手な所は、どれみちゃんみたいね…)」 今度は、さやかの特徴から最高の大親友・春風どれみを思い返し、思わず吹き出していた。 さやか「あ〜!おんぷちゃん笑(わろ)たな〜!」 おんぷ「あっ、ごめんなさい…」 ここで、先程自己紹介していた内の1人、男子の福田が笑い出す。 福田「いや、おんぷちゃんじゃなくても笑っちゃうぜ!」 さやか「こら〜!言うたな〜!」 これには大多数のクラスメイト達が集まって、腹を抱えて笑っていた… しかし我(われ)関せずといった表情で、黙っている少女が1人。 セミロングヘアが下に行くに連れて、自然に細くなっている。 彼女の瞳は、おんぷを強かに見つめていた。 ???「(瀬川おんぷ…か…)」 その視線を、おんぷも察知した。揺ぎ無い視線を送る彼女に、おんぷも不思議な感じがしていた。 おんぷ「(あの子…)」 今まで長い間、魔女達と接してきた経験のあるおんぷは、彼女が只者ではないと思っていた。 そして、彼女とおんぷとのアイコンタクトに気付いた者が1人…先程の、さやかである。 さやか「(これだけ騒いどるっちゅうのに、何1人で格好(かっこ)つけてんねん…せや!)」 ここで、さやかは席順について考えた。 1年C組は、男女混合の50音順、縦6列の横7列、合計42名のクラスだ。 黒板には席順を示した表が書かれており、各々の名字が羅列している。 窓を左手に、廊下を右手に、黒板を奥手に見てみると、このようになる。                 教卓 芦田(男)大隈(女)加藤(女) 西郷(女)寺内(女) 原(女)  宮沢(男) 阿部(女)大平(男)岸(男)  酒井(女)中曽根(男)東久邇(女)村山(男) 池田(男)小渕(男)清浦(女) 瀬川(女)橋本(男) 福田(男) 森(男)  石橋(男)海部(男)黒田(女) 高橋(女)羽田(男) 細川(男) 山県(女) 犬養(女)片山(男)近衛(女) 竹下(男)鳩山(男) 松方(女) 米内(女) 宇野(男)桂(女) 西園寺(女)田中(男)浜口(女) 三木(男) 若槻(女) 芦田から宮沢にかけての列が、黒板に面している。 そして、芦田から宇野へと至る列が、窓側である。また、宮沢から若槻までの列が、廊下側となる。 おんぷは、何と教室のほぼ中心で、その2つ前の教卓前の席に、先程のさやか。 そして2人の間の席に、あの静かな少女が腰掛けている。 この座席配置から何かを思いついたらしく、さやかはおんぷの手を引っ張って、 黙している少女の元へズカズカと踏み込んだ。 さやか「ここが、うちの席!ほんでもって2つ後ろが、おんぷちゃんの席!」 そしてニヤリと笑って、間の席に座っているセミロングを掠めて肩に手をやった。 さやか「ほら、間に挟まったんも何かの縁や!あんたも仏頂面してへんで、挨拶しぃや!」 すると先程までとは打って変わって、元気なさやかにも負けないくらいの大声が飛び出した。 ???「初対面で仏頂面とは失礼だべさ!それくらいの礼儀は分かるっしょ!!」 大音量で方言丸出し。おんぷは目が点になる。さやかも口が開いたままになっている。 ???「…ま、仏頂面してたのは否めないや」 そう言いつつ彼女は、黒板の自分の名を指した。おんぷ・さやか共に、それに見入る。 まさみ「あたしは酒井(さかい)まさみ。生まれは北海道の札幌。     そっちが浪花っ子っていうなら、こっちも生っ粋の道産子!     お爺ちゃん・お父さんと代々警察官で、さらにご先祖様を辿ってくと、お武家なんだ。     それで元刑事のお爺ちゃんに、小さい頃から剣道や柔道を仕込まれてるよ。     その結果、時代劇俳優を目指す事になって、ここに進学って訳。後は何が聞きたい?」 さっきまでの仏頂面はどこへやら、微笑を浮かべるまさみに、おんぷ・さやかも笑顔になる。 さやか「何や〜、結構、話好きみたいやんか〜…何で黙っとったん?」 まさみ「その辺は、堅物の偏屈だって事で…」 さやか「ほな、他にも特技とか趣味とかある?」 まさみ「武道以外の特技なら、茶道に生け花、お琴に三味線…こっちは、お婆ちゃん仕込み。     趣味は、やっぱり時代劇観たり、そういう日本文化を愛でる事かな?」 さやか「ほぉ〜…いわゆる大和撫子っちゅう奴か〜…」 そして、おんぷは思い切って、先程の視線の理由を尋ねてみる事にした。 おんぷ「ねえ、酒井さん…」 まさみ「あ、名字で呼ばれるのは、ちょっと堅苦しいね。     前の小学校では『まさちゃん』で通(とお)ってたから、そう呼んで」 さやか「ほな、うちら『おんぷちゃん』『さやちゃん』『まさちゃん』で良さそうやな」 おんぷ「さやちゃんの言う通り、その方がいいわね。     じゃ、まさちゃん。さっき、どうして私の事、じっと見てたの?」 まさみ「…何となく、惹かれたから」 おんぷ「そう…」 だが、こんな回答で、おんぷの疑問は解決しなかった。 もしかしたら、自分の魔力に惹かれていたのかもしれない…おんぷは、そんな思いがした。 そこで、おんぷは質問を変えてみた。 これに対する反応で、まさみの真意を確かめようと考えたのだ。 おんぷ「じゃあ…魔法って信じる?」 まさみ「魔法…?」 口元から笑みを消したまさみ。そこに、お気楽なさやかが割り込んだ。 さやか「魔法!?うちは信じる!ってか、魔法使いたい!魔女になってみたい!」 そこに、廊下を歩く足音が近付いてきた。どうやら担任の登場らしい。 まさみ「なるほどね…魔法か…」 周囲がざわついて、一同は席に着く。教壇に担任が上がり、自己紹介を始める。 幣原「え〜、さっきの式でも紹介されたけど、自分は幣原喜重(しではら・のぶしげ)。    今日から君達の担任で、数学の授業も担当する。    で、自己紹介しようにも、ある程度の事は式の中で紹介されちゃったんだよな。    …って事で、これから時間を取って、みんなに自己紹介してもらおうと思うんだけど…」 そして幣原は教室のど真ん中、つまりおんぷに目を向けた。 幣原「都合のいい事に、うちのクラスには、こういうのが大得意な人がいるみたいだな…    瀬川くん…早速だが、お願い出来るかい?」 何と、いきなりのご指名。勿論、断る訳にいかないし、断る理由も無い。 おんぷ「はいっ♪」 それに何といっても、人前に立つのはおんぷの十八番。早速、教壇に上がって自己紹介を開始。 尤も、かつてのように、黒板にサインを馬鹿でかく書くような真似はしないが。 おんぷ「初めまして、皆さんご存知でしょうけど…瀬川おんぷです。     世界に通用する女優になりたくて、この学校に入学しました…」 ここでハナとの約束が、おんぷの脳裏を過った。 回想中… おんぷ「まだまだ魔法を理解してくれない人間は多いわ…     でも私達、みんなが魔法を受け入れられるように頑張るから…     だからハナちゃんも、立派な女王様になれるように頑張って…」 回想終了… そして、おんぷは突如こんな話を、一同に振った。 おんぷ「そして私、最近こんな事を考えてます。もしも魔法があったらって…     魔法があったら、何でも夢が叶うかもしれない…     だけど、魔法で叶うような夢は、本当の夢じゃないのかも…     じゃあ、本当の魔法って一体、何なんだろう…     こういう事って、本当に魔法が使えないと分からないんじゃないかなって…」 ざわついていた教室が、いつの間にか静かになっていた… おんぷ「…あっ、ちょっと白けちゃった。てへっ♪失敗、失敗…     こんな事、考えてる私ですけど、どうぞ仲良くして下さいねっ♪」 場の雰囲気を一気に明るく戻したおんぷ。一同からは、大きな歓声と拍手が湧き起こった。 特にさやかは、さっきにも増して大興奮。 さやか「おんぷちゃんやったら、魔女になっても絶対やってけんで〜!」 さらに調子に乗って、さやかは手を上げて幣原にアピールする。 さやか「せんせ〜!次、うちに自己紹介させて下さ〜い!」 幣原「おっ、西郷くんか。積極的で宜しい!じゃ、頼んだ」 あっさりOKが出て、おんぷと入れ替わりに、さやかは壇上に踊り出た。 さやか「ほな初めまして!うち、西郷さやかっていいます!     趣味は、とにかく楽しい事、面白(おもろ)い事!     体動かすんも大好きで、バラドルになりたくて大阪から受験しました!     大好物は、お好み焼きです!逆に嫌いなんは、勉強と泣ける話と、むかつく事!     うち、喜怒哀楽が激しゅうて、泣いたり笑ったりで忙しいんや…」 話す事柄が山ほどあるようで、まだまだ終わる気配を見せない。 さやか「ついでに、さっきのおんぷちゃんみたいな魔法の話やけど、     うちは魔法が使えたら、うちの幸せをみんなに分けたいって思てます!     うち1人だけ笑うとっても、つまらへんやろ?とにかく楽しいのが一番や!     こない騒がしい奴でええんやったら、どうぞ宜しゅうに!」 頭をペコリと下げたさやかに、おんぷも笑顔で拍手を送った。 すぐさま魔法について返してくれるとは、思っていなかったからだ。 そこで、席に戻ってきたさやかに、おんぷは声をかけた。 おんぷ「さやちゃんも十分、魔女としてやっていけるんじゃないかしら?     きっと、さやちゃんなら優しい魔女になれると思う」 さやか「おおきに。どうせやったら、おんぷちゃんと一緒になりたいわ〜」 そして、さやかは前の席の、まさみの肩を肘で小突いた。 さやか「ほれ、瀬川、西郷と来たんやから、順番的に次は、間の酒井しかないやろ?」 まさみ「なっ…勝手に決めないでよ!」 しかし事態は、まさみにとって都合の悪い方向へと向かっていく。 幣原「それなら先生が決めてあげよう。次は酒井くんに確定。    実を言うと先生、こういうノリが好きなもんでな」 まさみ「先生!」 ドッと笑いが湧き起こる。さらに男子数人が調子に乗って、酒井コールまでし始める始末。 男子達「さ〜か〜い!さ〜か〜い!」 拳を握って、まさみは顔を真っ赤にする。そして先程のような大声が再び飛び出した。 まさみ「うるさいね!!分かったよ!やればいいんでしょ!やれば!     どうせ、その内やんなきゃなんないし!」 ガタッと大きな音を立てて、まさみは少々乱暴に席を立ち、 駄洒落ではないが、ダンッと壇に飛び乗った。 そんな威勢の良いままで、教室の隅々まで声を響き渡らせた。 まさみ「初めまして。酒井まさみと申します!     時代劇俳優目指して、北海道から上京してきました。     特技は剣道と柔道、でも体だけでなく頭を働かせるのも大好きです。     曲がった事が大嫌いで、古臭い上に頑固、おまけに融通が利かない田舎者ですが、     どうぞ宜しく、お付き合い下さい!」 まさみも活発さなら、さやかに負けていない。 また、怒りに任せて自己紹介した割には、長くも短くもなく纏まっていた。 先程のさやかが長々と続けたため、短く感じるのかもしれないが。 そして、さやか・まさみ共に、緊張の欠片すら見受けられなかった。 おんぷ「(2人共、案外大物かもね…)」 そして下校時間。おんぷには、さやかがベッタリ付きっきり。 さやか「え〜!今日オフなん?」 おんぷ「ええ。入学式の疲れを取っておかないと、お仕事に響くから…」 まさみ「そいつは、いい事を聞いた」 横から、まさみが口を挟んできた。そして意味深な話を切り出した。 まさみ「暇があるなら、ちょっとそこまで、ご足労願えるかな?     おんぷちゃんと『差し』で話がしたいもんでさ」 さやか「うちも混ぜて〜!」 まさみ「言うと思った。まあ、別にいいよ」 おんぷ「ちょっと、『差し』って2人きりでって意味よね?さやちゃんがいてもいいの?」 まさみ「正確に言うと、おんぷちゃんとさやちゃん、2人共に用があるんだよね…」 そんな、まさみに連れられて来たのは、人気(ひとけ)の無い校舎裏。 木立が生い茂り、3人の存在を隠している。 まさみ「さてと…」 おんぷ「ねえ、こんな所に連れてきて、一体どういうつもり?」 さやか「せやせや!さっさと話してぇな!」 すると、まさみは右手の人差し指と中指だけを真っ直ぐに立て、 まるでVサインを閉じたような形にした。 それを胸の前に持ってきて、瞳を閉じて、そして大きく深呼吸した。 まさみ「やっぱり…間違い無いね…」 おんぷ「えっ!?」 さやか「何が?」 まさみ「あたしが、自己紹介で言わなかった事が1つ…あたし、霊感が強いんだよね。     歳爺(としや)お爺ちゃん…あたしの曾(ひい)お爺ちゃんの話だと、     うちの家系、3代に1人、物凄く勘の強い人間が生まれるんだって…」 回想中… まさみ「霊感…それ本当?歳爺お爺ちゃん…」 歳爺「ああ…わしは感じるぞ、まさみ…そなたは、わしをも凌駕する程の力を持っておる…    やはり、この家系に3代毎に霊感を持つ者が生まれるというのは本当だったようじゃな…」 まさみ「3代毎…そっか、歳爺お爺ちゃんの3代後は、あたしになるのか…」 回想終了… そして、まさみはその力の詳細について話し始めた。 まさみ「…それも、ただ霊力を感じ取るだけじゃない。     相手の霊力の強さや、善悪の区別だって出来ちゃうんだ」 さやか「お〜!それ、ごっつ凄いやん!」 おんぷ「確かに凄いわね…そんな力があるなんて…    (まさちゃんの言ってる霊力ってのは、私達で言う魔力の事ね…)」 また、おんぷは同時に、先々代女王の血を引くロビー・ベネックス少年の事も思い出していた。 おんぷ「(そう言えば、前にロビー君も言ってたわね…     ベネックス家でも50から60年に1人、不思議な力を持つ人が生まれるって…     まさちゃんの家系は3代に1人…ご先祖に魔女か魔法使いがいたのかしら…?)」 そして、まさみは目付きを鋭くして、おんぷに向けて突きつけた。 まさみ「そんな力?あたしの霊力なんて目じゃないしょや…おんぷちゃんの霊力に比べたらね」 まるで推理物ドラマで主人公が犯人を名指しするかのように、ビシッとおんぷを指差した。 おんぷ「!!(嘘っ!?気付かれた!?)」 さやか「ちょっ、ちょい待って!どういう意味やねん!?」 まさみ「言ったしょ?あたしは霊力の持ち主が分かるの。強い霊力なら尚更にね。     さやちゃんの霊力は普通の人よりちょっと強いけど、まだ目覚めてない。だけど…」 さやか「せやけど…?」 まさみ「おんぷちゃん、あなたの霊力は桁外れ。それも、しっかり意識して使ってるね。     その子細が聞きたいな…って思って呼び出したんだ」 さやか「そうなんか〜…おんぷちゃん、うちも気になる!教えてぇな!」 おんぷが強い霊力を持っていて、その上使っているという、まさみの予想は当たっていた。 おジャ魔女なのだから魔力を持ち、それを使っていて当然なのである。 ここで、おんぷは考える。ここまで問い詰められては、まさみ相手に隠し通すのは到底無理だ。 それならば、どうするか…正体を明かした所で、かつてのように魔女ガエルになる心配は無い。 しかし、芸能人の正体が魔女などと世間が知ったら、騒動になるのは言うまでも無いのだ。 最終的に、おんぷが考えついた案は1つだけ… 今までに正体を知られた魔女がしてきたように、さやか・まさみを共に、魔女見習いにしてしまうしか 方法は無さそうだ。 都合の良い事に、さやかは魔法を使いたいと言っていたし、 まさみも、非科学的な事柄を受け入れる器はありそうだ。 おんぷ「ねえ2人共…何度も聞くようだけど、魔法ってあると思う?」 さやか「そりゃあ、あったらええとは思うけど、実際あるかって言われたら…」 まさみ「魔法の『魔』の字には『鬼』の字が含まれる…いい印象は無いけどね…」 おんぷ「そう…じゃ、まずこの子から見てもらえるかしら?ロロ、出てきて」 言われてロロは、フワリと宙に踊り出た。そして驚いた様子で聞き返した。 ロロ「ちょっと、おんぷちゃん!本当にいいの!?」 おんぷ「もう隠しても無駄みたいよ」 そして勿論、さやか・まさみ共に目を丸くしていた。 何しろ、いきなり目の前に、お人形さんのような小人のような… とにかく説明しがたいもの(物?者?)が現れたのだから、驚く他に無い。 さやか「ほえっ!?何やねんな、これ!?」 そう言いながら、さやかは力を込めれば手折れそうなロロの手を摘まんで、 クルクル回したりして、とりあえず弄くってみる。 ロロ「ちょっと!離して!いきなり何するのよ!」 まさみ「これ、言うなれば霊力の固まりだね…」 ロロ「ねえ、あなたもあなたで何よ!いくら何でも、固まりって言い方ないじゃない!」 おんぷ「まあまあ、落ち着いて…この子はロロ。私の妖精よ」 さやか「妖精…いや〜、初めて見たで…」 普通の人間なら、妖精を見た事などある筈が無い。 少しボケてみたさやかだったが、まさみは何と真(ま)に受けてしまった。 まさみ「あたしも、精霊の類いは初めて…」 さやか「はぁ!?妖精やなかったら、見た事あるんかい!?」 まさみ「ちょっとね。夜のお墓とかでは何度か…」 これ以上まさみに話させると、季節外れの怪談話になりそうだ。 冷や汗タラタラのさやかは、話を途中で分断した。 さやか「あっ、その先は聞かんとこ…で、おんぷちゃん何でこんな妖精飼っとるん?」 ロロ「私、飼われてる訳じゃないわ!」 まさみ「したっけ、主従関係?」 おんぷ「まあ、そんな所ね」 さやか「ほな、おんぷちゃんは妖精のご主人っちゅう事やから…何なん?早(はよ)教えて!」 おんぷ「あのね、実は私…」 そう言って、おんぷはコロンタップを取り出し、お着替えを始めた。 シュッシュ♪ 虹色の光が環になって、紫色の閃光でおんぷの胴体部を包み、さらに両手へと光が広がる。 そのまま、おんぷは両腕を広げて、踵(かかと)を中心にターンを決める。 すると胴体部の紫の光は弾け飛び、魔女見習い服が現れる。 肩には短めのマント、腹部にはボタンが2×3で6つ。 パラソルのようなスカート部は、燕尾服のように後ろの2条が長い。 さらに足元、白のハイソックスと黒の靴に光の環が及び、紫に発光してブーツになる。 腹部に似通ったレイアウトでボタンが片側10個、両足合計20個も付く。 靴先はとんがって踵は高め。まだまだ終わらず、おんぷは頭部に光を浴びる。 今度は鍔(つば)広の、とんがり帽子が出現。ここで問題は、おんぷの髪型。 おんぷは髪を片側だけ結っているのだが、そこだけが都合良く帽子から飛び出した状態になる。 最後にジャンプ・ターン・ウインクを組み合わせてから、 両手を後頭部にやって首を傾けて、セクシーに気取ったポーズを取る。 おんぷ「プリティ〜ウィッチ〜おんぷっち〜♪」 見る見るうちに、装いを新たにしたおんぷ。 そんな光景を目の当たりにして、さやか・まさみ共に驚く他に無かった。 さやか「ほえ〜…」 まさみ「こいつは…」 おんぷ「改めまして、魔女見習いの瀬川おんぷです♪」 まさみ「魔女…そっか、だから自己紹介の時、あんな話を…」 さやか「おんぷちゃん、ほんまに魔女やったんか〜!?」 おんぷ「魔女じゃないの。魔女見習い。正確には、おジャ魔女。     まあ、説明すると長いんだけどね…」 まさみ「…で、正体明かしちゃったけど、あたし達をどうするの?     天下の瀬川おんぷが魔女…だなんて世間様に知られたら、大変でしょや」 さやか「まさか…うちらの記憶消したりするんか?それとも、猫か何かにされてまうんか?     お願いや!そないな事せんといて!絶対バラさへんから!」 顔を真っ青にするさやか。一方のまさみは大して慌てもしなかった。 まさみ「さやちゃん、そこまで喚く必要は無さそうだよ。     おんぷちゃんの力からは、邪気が感じられないから」 おんぷ「ええ、そんな事する気は更々無いわ」 この言葉に、さやかはホッと胸を撫で下ろした。 さやか「ほ〜…」 まさみ「まあ、変な真似しようとしたら、あたしが腕の一本くらい貰っちゃうから」 幼い頃から武道を仕込まれているまさみは、万一の時には、おんぷの腕をへし折る事を宣言。 おんぷ「あら、怖い♪」 さやか「こら!おんぷちゃんの腕って…そないな事、うちがさせへん!」 まさみ「そうならないために、おんぷちゃんはどうするかな?」 向きになるさやかと、不敵な笑みを見せるまさみ。おんぷも、不敵に笑って返す。 おんぷ「そうね…2人にも私みたいに、おジャ魔女になってもらおうかな?」 さやか・まさみ「…ええっ!?」 これには2人共、吃驚して顔を見合わせた。 おんぷ「だって2人共、魔力あるし…それに魔女のセンスもありそうだし…     私、人を見る目は、それなりにあると思ってるんだけどな〜♪」 学校からの帰り道…おんぷが途中で別れる。 おんぷ「じゃ、楽しみにしててね♪」 さやか「分かった〜!ほなな〜!」 まさみ「じゃ、また明日…」 おんぷが去って、さやか・まさみは2人並んで、ゆっくりと家路を辿る。 まさみ「さやちゃん…どう思う?」 さやか「どう思うって…うちは魔女にしてもらうで」 まさみ「その理由は?」 さやか「面白(おもろ)そうやし…何より、おんぷちゃんと一緒やで♪」 まさみ「全く、お気楽もいい所だね…」 呆れるまさみに、さやかは不思議そうに聞き返す。 さやか「えっ?まさちゃん、魔女になりとうないん?」 まさみ「まだ決めかねてる。今、目の前にある道が、正しい道とは限らないから…」 そう言いながら、まさみは自分の手の平を、じっと見つめた… まさみ「歳爺お爺ちゃんは、あたしにこう言った…『その大いなる力を正しく使え』って…     おんぷちゃんの示してくれた道は、この言いつけに背かないかどうか、     ずっと考えてるんだけど、あたしには分からない…」 さやか「何や、難しゅう考えとんねんな〜…せやけど、おんぷちゃんの霊力…     おんぷちゃんは魔力言うとったけど、悪い感じはせぇへんかったんやろ?」 まさみ「だからなんだよ…さっきも言ったけど『魔』っていう字には悪い意味がある。     でも、おんぷちゃんに邪気は無かった…邪気が無いのに魔女なの?     したらさ、おんぷちゃんの言う『魔法』って、いいもの?悪いもの?     一体全体、何なのさ?あたし、それが分からないんだよ…」 ここでさやかは、まさみに先入観と誤解がある事に気付いた。 そして、幼い頃に読んだ本に書かれていた事を述べてみた。 さやか「なあ、まさちゃん…白魔法と黒魔法があるん知っとる?     人を助けるんが白魔法で、反対に呪うんが黒魔法や。     簡単に言うとな、ええ魔法が白魔法、悪い魔法が黒魔法や。     多分まさちゃんが言うとるのって、黒魔法の事とちゃうか?     うちが思うに、おんぷちゃんは白魔女やで?     黒魔女やったら、お供につくんは大抵、蝙蝠か黒猫と相場が決まっとるもんや。     あのロロちゃんは、どっからどう見たって妖精やろ?     おんぷちゃん、やっぱ白魔女としか思えへんけどな〜…」 傍(はた)から聞けば、あまり説得力の無い話。 しかしこの話が、どうやら初耳だったようで、まさみは目を丸くした。 まさみ「そっか…あたし、西洋の考えには疎いからね。今の今まで、そんな事知らなかった…     もう一度、考え直してみようかな…まだ猶予は、あるみたいだし…」 さやか「せやせや。うちには分かんで〜。まさちゃんは絶対、魔女になる!」 まさみ「なしてさ?」 さやか「何となく!」 笑って言い切ったさやかに、まさみも口元から笑みをこぼした。 まさみ「ふふっ…だろうと思った!」 その夜、西郷家… さやか「We can do anything if we do it together みんな一緒なら can do!     何でも出来る気がする 奇跡になるよ♪」 大好きなおんぷの歌「We can do!」を口ずさむさやか。 そこに、母親の静香(しずか)が笑って話し掛ける。 静香「ほんま、今日はご機嫌やな〜」 さやか「当たり前やん!おんぷちゃんと同じクラスやで?」 ここで、西郷家の家族構成を説明しておく。 西郷家には、さやか・静香、それに父親の涼吾(りょうご)が住んでいる。 涼吾は、とある商社の海外事業部に所属。 英語や弁舌、勿論ながら商才にも長けた、やり手の商社マンだ。 ちなみに涼吾は、仕事で日本だけでなく海外まで飛び回っており、 まともに西郷家にいられる事は少ない。 よって、さやかと一緒に住んでいる…と、はっきり言えるのは静香だけだ。 だが、あまり涼吾と顔を合わせられなくとも、さやかは落ち込むような玉ではない。 普段、静香と2人きりでも明るく、涼吾が帰ればさらに明るくなるのであった… さやかと静香に、再びアングルを戻す。 静香「お受験、頑張った甲斐があったってもんやな〜…落第したら承知せぇへんで?」 ニヤリと笑った静香に向かって、さやかは握り拳で胸を叩いて言った。 さやか「大丈夫やって!見とってや。おんぷちゃんみたいに有名になったるから!」 静香「せやな。その意気や!」 さやか「(We can do anything if we do it together…一緒やったら何でも出来る…     おんぷちゃんと一緒なら、うちは魔女やろうと何やろうと、絶対にやってけるっ!)」 一方、酒井家… 台所で、まさみが祖母の七恵(ななえ)から、お茶を乗せたお盆を受け取る。 七恵「お爺さんに持ってってあげてちょうだいね」 まさみ「はい、了解」 先程と同様、酒井家の家族構成についても述べておく。 酒井家の住人は、まさみ・七恵、そして祖父の洞爺(とうや)の3人。 元は道警本部の刑事部捜査課にいた洞爺は、現在は犯罪研究家として余生を送っている。 それと同時に、著書の執筆やテレビ出演などで、酒井家の家計を支えてもいる。 まさみの両親は…実を言うと、既に札幌に住んでいた頃に他界している。 父・正爺(まさや)は、洞爺と同様に警察手帳を持つ身だったが、刑事ではなく警護官。 道警本部の警備部警備課に所属していたが、若くして殉職している。 札幌に来ていた国務大臣に向かってきた暴漢のナイフを、腹部に喰らったのだった。 暴漢はすぐさま取り押さえられ、正爺は病院に搬送されたが、とうとう助からなかった… 母・真浪(まなみ)は銀行員で、こちらも夫と同じく殉職という形になる。 押し入ってきた強盗から客を庇い、弾丸に胸板を貫かれての即死だった… そんな辛(つら)い過去を物ともせず、まさみは日々を強く逞しく生きていた… では視点を、まさみに戻そう。 まさみ「お爺ちゃん、お婆ちゃんがお茶にしないかって」 お茶を載せたお盆を手に、まさみは書斎に赴き、 文机に向かって、何やら執筆に勤しむ洞爺を呼んだ。 洞爺「おお、ありがたく貰おうかのぉ」 筆を休めた洞爺。そんな彼の書斎には本棚が林立し、言うなれば汗牛充棟… 本の多さで運ぶ牛が汗をかき、積めば屋根に達する…という蔵書の多さを示す漢語の通りだ。 さらに色々な情報を得るために、インターネットも接続しているパソコンも置いてある。 そのパソコンに、まさみは目をやって、洞爺に1つ頼んだ。 まさみ「お爺ちゃん、ちょっとパソコンで調べてもらってもいい?」 洞爺「構わんが、何を調べる?事と次第によっては、昔の仲間から情報を集めてやるぞ?」 まさみ「あのねぇ…そんな警察の裏情報は要らないの。     瀬川おんぷちゃんについて調べるんだから」 洞爺「ほう、瀬川おんぷ…?」 そんなやり取りの間に、洞爺は手早くキーボードに打ち込み、検索結果を弾き出す。 そして素早くクリックして、瀬川おんぷの公式ホームページを開いていた。 まさみ「クラスメイトになったからには、よく知っておかなきゃね」 そこに映る、おんぷの画像を見て、洞爺が声を上げた。 洞爺「ほお…やはり、この子じゃったか…    この間、ニュース特番の収録でテレビ局に行った時、チラッと見かけたんじゃよ」 まさみ「ふうん…じゃ、今度会った時にでも、挨拶しといたら?」 洞爺「そうじゃな。うちのおてんば娘がお世話になっておる、とな」 まさみ「もう!」 洞爺「はっはっは…」 声高に笑って、洞爺は湯飲みを掴み取ると、お茶を一気にグイッと飲み干した。 まさみ「(なしてかな…他人について、ここまで知りたいなんて思ったのは初めて…     もしかしたら、おんぷちゃんは…今のあたしに必要な存在なのかも…)」 さやか・まさみ…それぞれの思いを乗せて、夜は更けていく… そんな夜空を一線に翔け抜ける、箒に腰掛けたおんぷ…行先は魔女界、女王様の所… 次回予告 おんぷ「こうして、2人に私の正体がバレちゃいました…てへっ♪」 まさみ「お〜い…で、あたし達これから、どうなっちゃうの?」 さやか「まさちゃん、完璧に無視されとんな…アウト・オブ・眼中やな〜…     まあ次回も結構、面白(おもろ)そうな展開やし…ええか♪」 まさみ「全然、良くないって…本当に、どうなっちゃうのさ?」 おんぷ「それじゃ次回、おジャ魔女おんぷTriple‐S(トリプル・エス)    『誕生!おジャ魔女さやか&まさみ』…プ〜ルルンプルンすずやかに〜」 1話端書き(書くに当たっての無駄知識…w) 遂に始動いたしました「おジャ魔女おんぷTriple‐S(トリプル・エス)」。 トリプル…つまり3つの「S」…意味は分かりますよね? Segawa(瀬川)・Saigo(西郷)・Sakai(酒井)と、3人のイニシャルです。 プロローグには、ドッカ〜ン50話「さよなら、おジャ魔女」の雰囲気を持ってきました。 そして新たな舞台となります大空市の遠近学園… ドッカ〜ン47話「たとえ遠くはなれても」で出ております。 あの時、TVに映ってたのが校門だけだったので、 校内では撮影禁止という設定を考え…正直、でっち上げました(笑) 制服についての記述は、ドッカ〜ンのDVDボックスから、ネタを頂きました。 今回のクラスメイト及び担任の名字…ネタは歴代首相の名字です。 しかも、女子が戦前、男子と担任が戦後という、変なこだわりが… でも、初代から現職まで全員じゃないんですよ。 おんぷ・さやか・まさみの席を繋げる関係上、及び人数の都合上、 以下の例に当て嵌まる名字を抜きました。 @西郷〜瀬川間に挟まる名字(幣原は担任として使用) A美空小クラスメイトと同じ名字 B東京裁判で判決の下った首相の名字 まず@に当て嵌まったのは就任順に、斎藤・鈴木・幣原・佐藤の4つです。 同じくAで、伊藤・山本・岡田・林・吉田・佐藤・小泉が、 Bで、広田・平沼・東条・小磯の4つが当て嵌まりました。 佐藤だけが唯一、2項目に当て嵌まりましたね。 で、これらを抜きますと、男女の数が合った上にクラスとして妥当な数になりまして… Bは毎度お世話になってますeuphoriaさんが、よくご存知のネタかとw ちなみに戦前・戦後の両方に存在する、田中・あべ(阿部・安陪)ですが、 現職の方の使用を避けて、戦前の阿部を持ってきて女子の名字になり、 田中は男女比の関係で男子、つまり戦後の方を使用する事に… 今回、台詞のあったクラスメイト3名の、名前の付け方も少し紹介… 阿部ゆきの…信行(のぶゆき)から「ぶ」を取って、残りを入れ替え。 小渕けいいち…恵三の「三」を「一」にしただけ。 福田たけし…赳夫の「赳」一文字で「たけし」と読めます。 なお、おんぷ・さやか・まさみ以外の女子は、区別のためフルネーム表記と致します。 男子の表記は名字だけですので、ご了承を…(つまり男子を、あまり使わない腹だったりw) さて、ロビー・ベネックス少年と聞いて、思い出せましたか? ドッカ〜ン44話で登場、先々代女王様の子孫で、動物と話せる男の子… 本編での彼の台詞から、彼の家系では50から60年に1人の割合で、 特殊能力者が生まれるという話…(随分な所からネタ持ってきたなw) んで、まさみの家系は何なのかというと…まだナイショで…(汗) さやか・まさみ両方の家族にも、少し設定変更点が… 西郷涼吾さんは、前作の単身赴任から出張の連続という形に。 同じく酒井正爺さんは、警備員から警護官になりました。結局は殉職ですが… あと酒井七恵さん…「ななえ」は変わりませんが、「え」が重から恵になっております。 ちなみに、酒井家の男性には「爺(や)」の字が続きます。 まさみから見て、曾お爺ちゃんが「歳爺」、お爺ちゃんが「洞爺」、お父さんが「正爺」… 「爺」には老人の意味があり、長寿を願って、この字を当てる…という設定です。 蛇足ですが、見習い服お着替えシーン書くの、超しんどかったです…(汗) あれでドッカ〜ンver見習い服だっての、分かりますよね…?