電子カルテの導入

 1.電子カルテ使用のお願い

 当院では、ダイナミクスという名称の電子カルテを使用して、すべての診療業務をおこなっています。現在のところ、わが国の診療所における電子カルテの普及率は 10% 程度ですが、将来は 60% まで普及させたいというのが厚生労働省の意向だそうです。以下に、電子カルテ使用に関しての院内掲示を引用して、来院される方々にご理解とご協力をお願いするものです。

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  <電子カルテ使用に関するお知らせとお願い>

 当院では電子カルテを使用して、診療情報の管理、検査、治療の指示、薬剤の処方、レセプト業務などをおこなっています。まだ不慣れな点もあり、受診者各位にはご迷惑をおかけすることもあると思いますが、以下の流れをご理解のうえ何卒ご協力をお願い申し上げます。

 (1) 受診者の来院時、パソコンで 受付をします。LAN接続した診療机のパソコンで受付状況、順番、待ち時間がすぐわかります。パソコンからカルテを開いて、すぐ患者さんをお呼びできるようにしています。

 (2) 診察しながら、指示や所見をパソコン入力します。診療机には画面が 2 台あり、カルテの記載事項が患者さんにもわかるようにしています。カルテ記載内容と、検査や薬剤の入力情報は患者様と確認しながら入力していきます。入力時に遠慮なく希望やご意見を述べていただきたいと思います。

 (3) 薬歴、病歴、検査歴など診療データがすべてパソコンに入力されています。それらをグラフや表などにして説明したり、今後の治療計画の参考にします。

 (4) パソコンに 記載された指示 と手書きの検査・注射指示箋の両方をチェックして、看護師が順番に処置や注射をおこないます。なるべくダブルチェックできるような体制にしています。

 (5) 以前に検査したレントゲン写真とか心電図が必要になれば、電子カルテに保存したものをすぐ参照できます。腹部超音波検査や胃ファイバースコープ(他院)の写真も電子保存されています。

 (6) 他院への紹介状、診断書、検診報告書、なども電子カルテから直ちに作成され、備え付けのプリンターで印刷します。

 (7) 事務・受付では指示された院外薬剤処方箋を印刷し、同時に当日の会計をします。

 (8) 月々のレセプトも電子カルテ内の情報から、ボタンを押すだけですぐ作成できます。画面内で修正後に、同じプリンターで印刷します。

 (9) 電子カルテに入力された情報は、毎日の診療終了時にCD ― Rへ記録していきます。パソコンの故障を想定して、 2 重、 3 重のバックアップ体制をとっています。

 (10) 個人情報の保護にかんしては、院内で作製した「電子カルテ保存システムに関する運用管理規定」に基づいて職員にその趣旨を周知徹底しております。また個人情報の漏洩がおこらないように、セキュリティーにも万全を期しています。

平成 17 年 5 月 20 日

なかむら内科クリニック   中村 東樹


 2.電子カルテの問題点

 開業して 10 ヶ月になり、電子カルテの取り扱いにもある程度慣れることができました。まだまだいろいろな機能を十全に使いこなしているとは言い難いのですが、これまでの経験を総括してさらなる改善のために役立てたいと思います。

 <電子カルテの利点>

•  カルテ探しの労力が全くいらない。

•  検査成績の伝票や注射伝票をカルテに貼る手間がいらない。またカルテの保管場所に大きなスペースを必要とすることがない。

•  心電図、 X 線写真、腹部超音波検査写真、上部・下部消化管写真を取り込むことが出来、画面をつかって患者さんに説明ができる。

•  血液検査データもパソコン画面で説明が可能である。過去のデータとの比較が容易である。

•  注射や検査の指示伝票や薬剤処方箋が、すべてパソコン画面を使っておこなわれる。プリントアウトされた紙伝票と較べることで、ダブルチェックが容易にできる。

•  入力者の責任がはっきりしている。悪筆がなく、文字が読みやすいために、第三者にも理解可能となり間違いが少ない。患者の記録としての価値が高まる。

•  診療情報が一元化されているので、会計などに必要な時間が節約でき、待ち時間が大幅に短縮された。

 <電子カルテの欠点>

•  パソコンが故障したときは、すべての業務がとまってしまう。代替の紙カルテで業務をおこなうが、再度の入力が必要である。

•  複数のパソコン機器および電子カルテソフトの購入費用が必要。ソフトの更新費用、パソコンの維持管理費用が必要となる。

•  全ての記録が消失してしまわないように細心の配慮が必要となる。頻回かつ異なった形式のバックアップをおこなわなければならない。

•  個人情報保護のためのいろいろな対策が常に求められる。

•  電子カルテが各メーカーで仕様が異なるために、情報の互換性は不可能である。

•  各クリニックで、電子カルテを実際に使用している医師しかわからない点が多くあり、代理医師に診療を依頼するときには事前にかなりのレクチャーが必要。


 3.電子カルテに求められるもの

 電子カルテによる業務を始めたら、以前の紙カルテに戻りたいと考える医師はまずいないのではないでしょうか。

 電子カルテを使用してよかったことのなかで第一にあげられるのは、業務全体の簡素化が出来るということです。従来レセプト業務に関わる時間が大変なものだったと聞いています。しかし日常診療に際して、毎回確実に入力しておけば月末には自動的に打ち出されるだけとなっています。レセプトのための時間外労働はほとんど必要なくなったといえます。

 次に電子保存された情報に求められるのは、真正性、見読性、保存性の三要素とされています。この三要素を完全にクリアーできる万全なシステムは存在しないと思います。電子カルテでもこの点は指摘されており、欠陥をいくつかあげることが出来ます。しかしこの三要素が、従来の紙カルテではどうだったかというと非常に心もとないものがあります。細かくは書きませんが、電子カルテのほうがより高いハードルを求められていると考えられます。紙カルテでは、何の記録にも、役にもたたないというのは従来から指摘されていたことです。この三要素の保全に関しては、それを取り扱っているものが慎重に対処すれば全く問題ないと考えられます。

 今後の問題ですが、カルテはただの過去の記録ではなくて、今後の治療の原資料と考えるべきです。それには他の施設に患者が移った場合に、ディスクや CD-R を介しての情報伝達が必要です。そうすると異なった施設間で、それぞれ用いられている電子カルテの記載内容を簡単に互換できるようなシステムが必要となります。それができるようになると、電子カルテの力が格段に向上することはいうまでもありません。

 電子カルテが普及しだしてまだ3,4年程度の期間しかたっていません。これらの課題は10年以内に必ずクリアーされると思います。その間、より使い勝手の良いものにするべく、各ユーザーが大いに努力していくべきだと考えます。

 

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