劇場映画 『ロッキー・ザ・ファイナル』
07年4月20日(金) 〜 配給:20世紀フォックス映画
舞姫の観た日:07年5月3日(木) 舞姫の観た場所:札幌東宝プラザ



NEVER GIVE UP 自分をあきらめない − どうにもそそられるキャッチコピーに導かれるように、舞姫は劇場へと足を運びました。お気に入りの映画評論家・前田有一氏が高く評価する作品に、“はずれ”は、ありません(前田氏によるレヴューは、こちら)。監督・脚本・主演のすべてをシルベスター・スタローン氏が手掛ける、シリーズ6作目にして最後といわれる今回の作品で、舞姫は“ロッキー”シリーズ初体験の洗礼を受けました。
物語は、フィラデルフィアにある小さなイタリアン・レストランから始まる。この店のオーナーであるロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)は、かつて歴戦を勝ち抜いてきたボクシングの世界王者であったが、いまは既に現役を引退し、最愛の妻であるエイドリアンにも先立たれ、有名人である父を敬遠する息子のロバート(マイロ・ヴィンティミリア)は平凡なサラリーマンとして生きる道を選んで自立し、ひとり取り残されたロッキーは、店を訪れる客の希望に応じて現役時代の昔話を語ってきかせる日々を過ごしていたが、彼の心の空白を埋めることはできず、エイドリアンの兄ポーリー(バート・ヤング)と一緒に、命日の墓参りに訪れた際、かつて妻と一緒に過ごした楽しかった日々を思い出し、悲しみに暮れるロッキーは、その喪失感をどうすることもできなかった。かつての馴染みのバーで、30年前に出会った不良少女マリー(ジェラルディン・ヒューズ)と偶然再会したロッキーは、彼女が息子ステップス(ジェームズ・フランシス・ケリー三世)と二人暮しのシングルマザーであることを知って驚くが、この再開をきっかけにロッキーは、マリー&ステップス親子と親睦を深めていく。喪失感による心の空白を埋めるため、失っていたライセンスを取得し直し、再びボクサーとして生きる道を選んだロッキーだったが、折りしも、無敗を誇る若き王者・ディクソン(アントニオ・ターヴァー)のマネージャーがロッキーの店を訪れ、ラスベガスで開催されるエキシビジョン・マッチへの出場を依頼する。現役チャンプからの突然の挑戦に戸惑うロッキーだったが、マリーの助言により試合出場の決意をする。…といったところが、おおまかなあらすじ。
ある意味、この物語の最も見所として舞姫的にお勧めしたいのが、エキシビジョン・マッチへの出場が決まり、ラスベガスでの試合当日に至るまでの、トレーニングの場面。長年ロッキーを補佐し続けてきたベテラン・トレーナーのデューク(トニー・バートン)の指導のもと、本格的なトレーニングが開始されると、ロッキーのボクシング再開を後押ししたマリー親子と、勤務先であった精肉工場を解雇されたポーリーが、さっそく合流します。試合が決まった当初は、既に高齢の域に達する自分の父親がなぜそこまでしてボクシングに打ち込むのかが理解できず、出場に否定的だった息子のロバートも、父親のひたむきな姿に触発され、やがてロッキーの傍でトレーニングをサポートするようになります。
既に高齢の域に達するロッキーの身体能力を考慮しながら、デュークは巧みにトレーニングを指導していき、ロッキーの魅力に引き付けられるようにして集まった彼等も、トレーニングに打ち込むロッキーを懸命に励まし支え続けます。シリーズを象徴する建物というフィラデルフィア美術館の周辺で、愛犬パンチーをお供にジョギングにいそしむ姿や、大きなコップに生卵ぱんぱん割り入れて一気飲みするというお馴染みの描写も、このトレーニングの場面のなかで登場するのですが、“ロッキー”シリーズ初体験の舞姫にとっても、おおいに気持ちが揺さ振られ、わくわくする場面でありました。♪
ロッキーは、若き王者・ディクソンを打ち負かして倒すことを目的に、試合出場の依頼を受けたのではなく、アスリートとして既に高齢の域に達していた自分自身への挑戦として、出場を決意したような気がしてならないんですよ。この物語におけるロッキーの最強の“敵”は、物理的な対戦相手ではなく、ほかならぬ自分自身であったということです。「NEVER GIVE UP 自分をあきらめない」というキャッチコピーや、「どんなに打ちのめされても、前に進み続ける。決してあきらめずに」「挑戦しようとする人間を、止める権利が誰にあるんだ!」などの、劇中の諸々の熱い台詞の数々に、それらが象徴されているかように、舞姫には感じられるのです。
ロッキーの両手にはめるグローブは、ある意味“赤い靴”のような存在だったような気がします。そう、アンデルセンの童話に登場する、いちど履いたら最期、両足を切断する羽目になるまで永遠に踊り続けなければならないという、恐ろしい呪縛をかけられた、あの“赤い靴”の如く、その両手をグローブをはめた状態のまま切断でもしない限りは、ボクシングをこよなく愛する彼の己への挑戦を、きっと誰にも止めることは、できなかったことでしょう。そんなことを、ふと舞姫は思いました。



ご興味のおありのかたは、こちらへ → 映画『ロッキー・ザ・ファイナル』公式サイト



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