“臼蓋形成不全”とは?  − 病気の概要と自身の症状について。 

■はじめに…。
■“臼蓋形成不全”(きゅうがいけいせいふぜん)とは?
■“疾患名”についての補足。
■新名称“寛骨臼形成不全”(かんこつきゅうけいせいふぜん)について。
■原因について。
■“CE角”と“シャープ角”について。
■手術療法の術式について。
■禁止事項・注意事項など。
■“二次障害”について。
■乳幼児期に発覚した場合。
■学童期〜青年期に発覚した場合。
■“障害者手帳”について。

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■はじめに…。

このページは、“臼蓋形成不全”という耳慣れない疾患を解説することを第一に考えて作成しており、この疾患における俗説的な知識や情報なども一通り取り込んでいるため、まだ疾患名を告げられて間もない患者さん達や、検索エンジンで直接このページに辿り着いた患者さん達にとっては、受け入れ難いような怖い情報なども数多く掲載されているかと思います。ただ、どうか嘆き悲しんだりしないでください。このページを設置するのは、この疾患における自身の思いや解釈や考え方などを伝えるためには、まずは具体的な概要の説明から入っていく必要があったからです。ただ、自分が最も伝えたいのはアウトライン的な疾患概要などではなく、もっと別なところにあるのです。情報収集に努め、正しい知識さえ身に付ければ、決して怖い病気ではないのです。どうか、嘆き悲しんだ状態のままで立ち去ることなく、ぜひメニューページを確認されたうえで、他のページへも立ち寄られることを希望します。なお、サイトに即時反映できないような話題や情報など、「お気楽日記」“Twitter”などで取り上げていることもありますので、そちらのほうも時折チェック頂ければ幸いです。

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■“臼蓋形成不全”(きゅうがいけいせいふぜん)とは?

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股関節には、大腿骨を支える“臼蓋”(きゅうがい)と呼ばれる受け皿のような箇所(骨盤側の“くぼみ”である寛骨臼の一部。“お椀”のような形を思い浮かべてください)があります。大腿骨の先端部分(大腿骨頭)は球状になっていて、この臼蓋のなかに納まるような状態で接しています。“臼蓋形成不全”(近年では、“寛骨臼形成不全”とも呼ばれるそうです。→後述)というのは、この大腿骨を支える臼蓋の形状が不完全なため、股関節痛を起こすという病気です。大腿骨と臼蓋がうまく噛み合わず摩擦が生じ、軟骨に負担を掛けることで関節を消耗し、これにより股関節に炎症が起き、鈍痛〜激痛を伴います。

《健康な人の股関節》 《臼蓋形成不全とは?》

※上記イラスト画像は、さいたま市浦和の整体治療院『アゼガミ治療室』さんのサイトより、転載の許可を頂きました。
注意:この画像を、ブログ等に無断で転載することは、ぜったいにやめてください!
    当サイトに転載許可をくださった『アゼガミ治療室』さんにまで、迷惑が及びます。詳細は、こちら。→「画像の転載について」


人間の体重を支える“荷重関節”のうちのひとつである股関節は、上半身の体重のすべてを支え、その動作に伴う衝撃を受け止めており、そのため股関節には、常に膨大な負荷が掛けられています。“進行性”の股関節疾患であり、いちど擦り減ってしまった軟骨は再生することはなく、症状の進行とともに股関節痛は次第に強まり、やがて歩行障害に至るというわけです。

生まれつきの股関節の発育異常による“先天性”の股関節疾患である臼蓋形成不全ですが、この疾患名を告げられた患者さん達のなかには、乳幼児期“先天性股関節脱臼”の診断を受けられた、あるいは脱臼亜脱臼の状態まではいかなくとも乳幼児期に股関節の形状不良が既に確認されていたかたもおられると思います。その当時に適切な治療が施されたとしても、臼蓋形成不全だけは残存してしまう場合もあり、また先天性でありながら早期発見が難しい疾患とされており、乳幼児健診では特に股関節の異常が確認されなかった(あるいは、乳幼児期に股関節検診を受けなかった)場合も、大人になってある程度の年齢に達してから自覚症状が現れて発覚する患者さん達も多く存在します。なお、患者さん達の殆どは“女性”といわれていますが、“男性”の発症例も決して少なくはありません。

治療法としては、手術(人工関節による置換手術や、骨の形を整える自骨手術など)か、保存療法による遅延で症状の緩和を試みるしか方法がなく、残念ながら完治は不可で、一生付き合っていかなくてはならない病気なのだそうです。なお、この病気の症状の程度を判断する基準のひとつといわれる“シャープ角”(健康な人の正常値は33〜38度くらい。40度を超えると臼蓋形成不全と診断される)、舞姫は右脚46度、左脚47度でした。

球状の大腿骨頭を支える“屋根”である臼蓋の形状が不完全な場合、大腿骨頭が臼蓋のなかに完全に納まりきれず、ちょっと外側にはみ出している状態となっており(先天的に脱臼しかけているような状態だそうです)、大腿骨が外れてしまわぬよう、内側に集めようとする力が潜在意識として働き、内転筋を常に緊張させている状態を作り出しています。

この病気の症状の大きな特徴のひとつに、股関節の可動域の低下に伴う関節および筋肉の拘縮(縮んで動かなくなること)があり、舞姫の股関節の柔軟性が一般の人よりもはるかに劣るのは、このためだそうです。筋肉が硬直することによって、股関節の炎症が促され、歩行時や運動時の苦痛へとつながっていきます。可動域の制限に伴い、股関節を動かす範囲そのものが次第に減少されていくと、本来なら股関節を衝撃から守り、その動作を助ける役割を果たす筈の、筋力や柔軟性が低下し、さらに筋肉および関節の拘縮を進行させ、症状の悪化を招くという悪循環を繰り返します。この病気が“進行性”といわれる所以は、そこいらへんにあるのかもしれません。

先天性の股関節疾患でありながら、若い時期には自覚症状がそれほど現れず、ある程度の年齢に達してから苦痛や違和感などを憶え始める場合が多いため(舞姫自身も、自覚症状が現れてきたのは近年のことでした)、早期発見が極めて難しい病気といわれており、これには加齢に伴う筋力および柔軟性の衰え、身体の抵抗力・再生能力の低下などが要因としてあげられます。

現時点で、さほど重い症状ではないからといって安易に楽観視してしまうと、あとになって“変形性股関節症”という、もっと怖い病気に発展する危険性も孕んでいるそうです。症状の進行に伴い、苦痛も強まることは勿論、股関節の稼働域も更に狭まり、歩行時にも杖が必要になるなど、日常生活にも多くの弊害をもたらすことになります。
軟骨が擦り減って関節の隙間がなくなり
やがて股関節の骨そのものが変形し、
“変形性股関節症”に至る。

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■“疾患名”についての補足。

明確にいうと、“臼蓋形成不全”というのは病気そのものの名前ではなく、大腿骨頭を支える臼蓋の形状が不完全な状態であるという“先天的な骨格の形状の欠陥”を指す言葉です。“変形性股関節症”の進行の程度は、“前期”“初期”“進行期”“末期”の4段階で評価され、舞姫はこの“前期”に該当します。前期症状は、股関節に臼蓋形成不全は認められるものの、まだ大腿骨頭は変形しておらず、軟骨も充分に残っている状態です。ただ、多くの医療機関では、症状の程度の軽い“前期”“初期”の段階の患者さん達に対しては、本来なら“先天的な骨格の形状の欠陥”を指す言葉である筈の“臼蓋形成不全”という名称を“疾患名”として告げられる場合が多いのが現状です。なので、医師から疾患名として“臼蓋形成不全”を告げられた場合も、広域の意味では既に“変形性股関節症”に含まれるものと解釈されてください。

かくいう舞姫自身も、発覚して1年くらいまでは、この“疾患名”における知識が曖昧で、情報収集を重ねるうちに「あくまで“臼蓋形成不全”というのは“先天的な骨格の形状の欠陥”を指す言葉であり、疾患名として臼蓋形成不全を告げられた場合も、広域の意味では“変形性股関節症”に含まれる」ということを徐々に理解するに至ったわけですが、医療の世界でも患者側に告げる“疾患名”について明確な基準までは定められていない模様で、医師の解釈などによっても微妙に異なる場合もあり、告げられる疾患名の統一性に欠けることが、我々患者側の混乱を招く要因となっているような気もします。

既述の通り、疾患名として“臼蓋形成不全”を告げられる場合、“変形性股関節症”の症状進行の程度が軽い段階である“前期”あるいは“初期”の患者さんが多いのですが、舞姫のようにADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)に大きな弊害のない患者さんもいれば、既に日常動作でも多くの支障をきたし、歩行時にも“杖”が必要など、つらい症状を訴えられる患者さんも存在し、ひとくちに“前期”“初期”といっても、その症状には個人差があります。

ただ、舞姫的に最も伝えたいのは、この段階で決して侮らないこと。情報収集に努め、正しい知識さえ身に付ければ、決して怖い病気ではないので、悲観的になる必要はないですが、たとえ現時点で深刻な自覚症状まではなくとも、進行性の“不治の病”である事実に変わりはなく、すべての患者さん達が“末期”に至る危険性を孕んでいるのです。この段階で楽観視したために、あとになって悪化を招いてしまった患者さん達の姿を、これまで舞姫はたくさん見てきました。“前期”&“初期”の段階であれば、適切なリハビリでかなりの症状改善が可能かと思うので、ぜひ保存療法の分野で優れた整形外科を訪ねられることを、お勧めします。

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■新名称“寛骨臼形成不全”(かんこつきゅうけいせいふぜん)について。

近年、新聞や雑誌・テレビ番組など諸々のメディアで股関節の病気が取り上げられる機会があると、よく目にするようになったのが“寛骨臼形成不全”(かんこつきゅうけいせいふぜん)という疾患名。いえ、これ別に最近になって発見された新しい病気の名前とか、そういうことではなくて、じつは“臼蓋形成不全”のことを指す新名称なんです。

ちなみに、“寛骨臼”(かんこつきゅう)というのは骨盤側の窪んでいる部分のことで、ここへ大腿骨頭がはまり込んで“股関節”を構成しているわけですが、辞書を紐解くと、“臼蓋”(きゅうがい)はこの寛骨臼の上部に沿って張り出した部分と説明されています。これまでは医療の現場でも、“臼蓋形成不全”という言葉が疾患名として多用されてきたのですが、言葉の意味的には“臼蓋”“寛骨臼”もさほど大差はないみたいで、ネットで調べる限りでは「臼蓋=寛骨臼」と説明している解説サイトなどもお見受けするのですが(舞姫自身も、未だ違いをよく判っていない…汗)、近年になって学術的には“寛骨臼形成不全”の名称で疾患名は統一されたのだそうです。

ただ、たとえ医療の世界では“寛骨臼形成不全”の名前で正式に統一されたとしても、旧名称である“臼蓋形成不全”のほうが長年に渡って疾患名として流通してきた経緯もあって、我々患者の間でも脳内変換が捗っていなかったり、医療機関でも患者の身近にある臨床現場では未だ“臼蓋形成不全”という言葉が多用されていたり、ネット上でも新旧双方の名称が入り混じるように抽出されたり等(ちなみに「日本整形外科学会」のサイトでは、現時点では疾患名も“臼蓋形成不全”とされています→こちら)、新名称への変更については混乱を招くような問題点を数多く抱えているのが現状です。

そこで、我々患者として取る対策ですが、とりあえず旧名称である“臼蓋形成不全”と、新名称である“寛骨臼形成不全”の双方を憶えておいて頂き、情報収集や情報交換の際、状況に応じて臨機応変に旧名称&新名称を使い分けていくのが、まずは妥当かと思います。新しい名称が広く普及して一般的に知られるようになるか、あるいは旧名称が一般的な呼び名として根強く残っていくのか、どちらでも構わないのですが、どっちつかずの中途半端な状態が長く続くのは嫌なので、はやくどちらかの名称に定着してほしいですね。(^^;)

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■原因について。

人間の骨格は遺伝する傾向が強く、臼蓋形成不全などの“先天性の股関節疾患”についても、その原因に関しては“遺伝”説を唱える医療者さん達も多く存在します。実際にこれまで舞姫がネットを通じて知り合った患者さん達のなかにも、親も兄弟も揃って股関節疾患持ちという人もとても多いです。ただ、この“遺伝”説も“科学的な根拠”を立証するにまでは至っていないとのことで、ちなみに舞姫には両親も含め近親者のなかに誰ひとり股関節疾患を持つ者はおらず自分ひとりだけの発症でしたし、他の患者さん達のなかにも舞姫と同様に遺伝ではなく“自分ひとりだけ”という人も決して少なくはありません。

また、“遺伝”説以外では、“逆子”説“おむつ”の当て方、あるいは“抱っこ”や“おんぶ”の際の体勢の問題など、さまざまな説が飛び交っているのが現状で、これまで多くの医療者や研究者により、その原因を突き止めて“科学的な根拠”を立証するための研究が続けられてきたそうですが、残念ながら現在に至るまで未だ結論は出ていないとのことです。

ただ、科学的な立証までは至っていないものの、“遺伝”説も有力であることは間違いないと思うので、ご両親や兄弟姉妹、ご親戚などに先天性の股関節疾患を持つ人がいる場合は、充分に注意されてください。勿論、舞姫のように、たとえ近親者に股関節疾患を持つ者がいなくても発症する可能性もあります。幼いお子さんを持つ人は、ぜひ“股関節検診”を受けられることを、お勧めします。乳幼児の股関節疾患については、これの後の項目でも記していますので、併せてお読み頂ければ幸いです。

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■“CE角”と“シャープ角”について。

この病気における症状の程度を判断する基準として知られる数値に、“CE角”(Center-Edge Angle)並びに、“シャープ角”(Acetabular angle)と呼ばれる角度があり、双方ともに股関節部分のレントゲン写真を用いて計測されます。

※イラストは、3wmさんのサイト『コカンセツバトル』より、転載の許可を頂きました
 (2013年5月12日:追記 残念ながら、閉鎖されました)


“CE角”(Center-Edge Angle)は、大腿骨頭の中心から垂直に引いた線と、骨頭の中心と臼蓋外上縁とを結ぶ線との間でなされる角度で計測が行われ、健康な人の正常値は25度以上。それを下回ると臼蓋形成不全と診断されます。
“シャープ角”(Acetabular angle)は、骨盤の左右にある涙痕(tear drop)と呼ばれる箇所を通過するように引いた水平線と、涙痕と臼蓋外上縁とを結ぶ線との間でなされる角度で計測が行われ、健康な人の正常値は33〜38度くらい。40度を超えると臼蓋形成不全と診断されます。

ただ、CE角にしてもシャープ角にしても、患者それぞれで症状もさまざまな臼蓋形成不全においては、診断基準のひとつである物理的な数値でしか過ぎず、これらの角度から判断して舞姫よりも症状が軽度であっても手術の決断をされる患者さんもいれば、これらの角度が明らかに深刻な症状を示していても手術をせずに保存療法オンリーで頑張っておられる患者さんも存在し、CE角やシャープ角の数値のみで症状のすべて把握が可能とは、一概には言い切れないかと思われます。

CE角(Center-Edge Angle)

シャープ角(Acetabular angle)

なお、CE角およびシャープ角による診断については、医療機関によっても対応が若干異なり、双方ともに計測を行う病院もあれば、どちらか片方が判れば良いという解釈のもとでCE角かシャープ角のいずれかの計測になる病院もあります。ちなみに、舞姫の通院する整形外科ではシャープ角のみの計測なので、舞姫は自分のCE角を知りません。

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■手術療法の術式について。

臼蓋形成不全や変形性股関節症などの股関節疾患に対応する手術療法としては、“人工股関節による置換手術”と、人工関節に頼らず患者自身の骨の形を整えることで症状改善を導く“自骨手術”に、おおよそ分類されます。

“自骨手術”の具体的な術式としては、RAO(寛骨臼回転骨切り術:かんこつきゅうかいてんこつきりじゅつ)をはじめとし、CPO(低侵襲臼蓋回転骨切り術:ていしんしゅうきゅうがいかいてんこつきりじゅつ)TAO(寛骨臼移動術:かんこつきゅういどうじゅつ)AAO(臼蓋内転骨切り術:きゅうがいないてんこつきりじゅつ)臼蓋棚形成術(スピッツィー)キアリ骨盤骨切り術など、さまざまな自骨手術の術式が存在します。

また、ダウンタウンの松本人志さんが患われたことで知られる股関節唇損傷に対応する術式のひとつである股関節鏡視下手術も、軽度であれば臼蓋形成不全や変形性股関節症にも適応可能だそうです。難易度が高い術式といわれており、まだ日本ではこの股関節鏡の技術を有する執刀医は少ないとのことですが、身体に小さな穴を開けて検査や治療を行うため、従来の切開手術よりも、術痕も小さく済み、筋肉組織の損傷も少なく、術後の安静期間も他の術式よりも比較的に短く、早期でのリハビリ開始が可能など、利点も多い術式と聞いています。ただ、変股症で既に深刻な症状のあるかたには、あまりお勧めできる術式ではないそうです。

人工股関節については、MIS-THA(低侵襲人工股関節置換術)と呼ばれる最新の術式が、近年では広く行われているようです。また、日本ではまだ症例は少ないですが、英国バーミンガムで開発されたBHR(表面置換型人工股関節置換術)も、にわかに注目を集めているようで、欧米諸国では従来のMIS-THAに変わる勢いで、このBHRが普及しつつあるとのことです。耐久性の問題(人工股関節の耐用年数は約10〜15年程度といわれており、劣化が進めば当然、関節を交換するための再手術が必要)が弱点といわれる人工関節ですが、近年の医療技術の進歩により、20年以上耐えうる(無論、患者それぞれの症状や身体能力など、諸々の条件により差は生じますが)人工股関節も開発されてきているようではあります。

なお、あいにく現在のところ保存療法オンリーで手術経験のない舞姫には詳しい知識はないので、ご興味のおありのかたは検索エンジンに術式名を入れて調べてみられると、参考になるページが多く見つかるのではないかと思います。適応の術式については、患者それぞれの症状や身体能力、医師の解釈などによっても異なり、お気に入りのお店でメニューを選ぶが如く、自分の希望する術式を簡単に選択できるというわけではないのですが、患者さん側でも情報収集に努め、さまざまな種類の術式の存在を知っておくことは、大切だと思います。

ただ、臼蓋形成不全や変形性股関節症などの、進行性の“不治の病”といわれる股関節疾患の場合、あくまで手術療法というのは、骨の条件を良くすることで症状の緩和や進行の遅延を図ることを目的として行われるものであり、“完治”させることを目指すものでは、ありません。また、ネットで情報を探ってみると、リハビリを渋って「手術をすれば、リハビリしなくて済む」ものと誤解し、安易に手術を決断される患者さんも時折お見受けするのですが、“保存療法”のページでも触れております通り、手術の有無を問わず、どのみちこの病気にリハビリテーションは必要不可欠であり、リハビリ不要な“魔法の術式”などは、存在しません。手術を視野に入れておられる患者さんは、それらのことをよく考慮のうえで検討されてください。

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■禁止事項・注意事項など。


幸い、舞姫の症状も現時点ではさほど重いものではなく、いまのところは日常生活にもダンスのレッスンにも、それほど悪い影響は出ていません。症状が重くなると手術の選択を迫られるような難病ですが、比較的に症状が軽く、手術などはせず様子を伺いながら普通に生活されているかたもおられることは確かなわけで、おそらく舞姫の症状の程度も、この類に属するかとは思います。

ただ、それってたぶんスポーツ等をたしなまれる習慣がなくて、あくまで日常での動作の範囲を超えない生活を過ごされているかたが殆どかと思われるわけで、舞姫もダンスさえしていなければ、それほど思い悩むことも、きっとなかったでしょう。けど、厄介なことにダンスの世界というのは、日常生活では有り得ないような動作を、いっぱいするわけです。

ここで、この病気でダンスと関わりの深そうな禁止事項を拾い集めて整理してみると…

・股関節を無理に開こうとしない。
・脚を高く蹴り上げたり、ジャンプや寝技・床技系の技法など、関節に負担の掛かる動作は不可。
・低く屈むような姿勢も不可。
・平衡感覚を鍛えるような運動も要注意。
 (この病気がもとで平衡感覚に障害が出ることも…
  無理に平衡感覚を養おうとすると、却って症状を悪化させ、目眩や立ち眩みを起こしやすくなる場合も有)
・翌日に筋肉痛の生じるような激しい運動は不可。
・水泳&自転車以外のスポーツは全般的にドクターストップ。
 (マシンジム系も、エアロバイク以外はすべて禁止という医師も)
・ストレッチも、フロアで開脚前屈など股関節に負担をかけるものは不可。
 (ヨガやピラティスも要注意とする医師も)

…と、まぁ、こんなところですか。 無茶苦茶です。(-_-メ)

うんなもん逐一守ってたら、ダンスなんか正直やってらんないわけですよ。(爆)

無論、“ダンス”(Dance)という分野自体、この病気に関する禁止事項ばかりを寄せ集めたようなものなので、あまりにも股関節に掛かる負担が大きく、疲労骨折などを招いて関節の機能を失う恐れもあるとして、ダンスをされているかたの場合、そのジャンルを問わず、辞めるよう促す医師が多いのも事実です。舞姫も実際、この病気について調べたり情報を集めたりしていくなかで、病気の発覚のためにクラシックバレエやヒップホップを断腸の思いで諦めたというかたの話を、多く耳にしました。


ほかに、日常生活においても関わりの深そうな注意事項を挙げてみると…

・正座・あぐらなど、股関節に負担のかかる座り方はご法度。椅子式の生活を推奨する医師も。
・椅子に座っているときも、脚を組む姿勢は股関節に負担が掛かるので、あまり好ましくない。
・立ったり座ったりを頻繁に繰り返したり、長時間立ちっ放しなのもダメ。
・長時間&長距離歩き廻ったり、重たい荷物を持ったりするのも不可。
・ヒールの高い靴を履くのは厳禁。
・体重を増やさない。ダイエットも大切なリハビリのうちのひとつと解釈すること。

…などなど、こんな感じで、日常生活のなかにありがちな、些細な動作においても、制限を受ける項目は意外と多いので、手術をするにしても、保存療法の道を選択するにしても、なにかと不便の伴う厄介な病気であることは確かなようです。

《お願い。禁止事項&注意事項にばかり目先を奪われないで!》
この項目をお読みくださった患者さん達から、驚き嘆き悲しまれる声を多く聞きます。ただ、どうか凹まれたり落ち込まれたりはしないでください。不安を煽るような表現をしてしまった舞姫も悪いのですが(汗)、この項目で取り上げる禁止事項注意事項は、あくまでこの疾患における“一般論”に過ぎません。患者さん達それぞれの症状や身体能力、ライフスタイル等に伴い個人差は生じますが、適切なリハビリテーションに努められることで、これらの禁止事項注意事項も、ある程度は克服可能な場合もあります。また、これらの禁止事項や注意事項にばかり目先を奪われて過度な動作制限に依存したり、無茶なダイエットなどを試みれば、本来であれば症状改善に必要な筈の身体能力までもが衰えてしまう危険性もあります。素人判断などは絶対にせず、まずは保存療法の分野で優れた医療機関で相談されることを、お勧めします。

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■“二次障害”について。


“臼蓋形成不全”のような股関節の病気の場合、その痛みは股関節だけでなく太腿・腰などにおよぶことも多々あります。舞姫も、数年前から膝や太腿に痛みを憶え、寒い季節のレッスンになると防寒対策に膝痛の緩和を兼ねたサポーターが手放せない状態となっており、またダンスを始めるずっと以前の若い頃から腰痛の傾向もありましたが、どのみち腰痛など勤労女性の持病みたいなものだから…と、当時の自分はあまり深く考えてはいませんでした。ただ、舞姫の場合は膝や太腿・腰などの痛みも、この股関節疾患から派生した“二次障害”と呼ばれるものでした。

肝心な股関節も、疾患発覚前から苦痛や違和感があったことは確かですし、周囲と比べて柔軟性が異常に劣ることも自覚していました。ただ、若い頃から生粋の運動音痴なうえに、大人になってから始めた晩学ダンサーだったというのもあり、これも自分の身体能力の限界なのだろうと解釈していました。この世界に入って20年が過ぎ、無理せず少しずつストレッチを続けていくことで、さすがに始めたばかりの駆け出し時代よりは身体は柔らかくはなりましたが、それにしても未だ半端でないくらい硬い己の股関節に、不審な思いを抱き続けてきたことも確かです。ただ舞姫の場合も、以前からあった膝痛や腰痛などの症状に惑わされてしまったというのもあって、まさか自分が股関節に“病気”を患っているなどとは、思ってもいなかったわけでした。

この“臼蓋形成不全”で意外と厄介なのが、これら“二次障害”の類だそうです。早期発見が比較的に難しく、舞姫のように30代〜40代になってから、この病気の診断を受けられるかたも多いですが、状況によっては自覚症状として、それら股関節以外の箇所の痛みのほうを強く感じてしまい、その元凶が股関節にあることに患者本人が気付かない場合も多いそうです。また、本当に優秀な医師であれば、腰痛や膝痛などの場合も股関節疾患の可能性を疑って慎重に診察や検査をしてくださいますが、そうでないお医者さんは患者が苦痛や違和感を訴える箇所にしか注目しないので、股関節に潜む病巣の発見までに至らず「異常なし」と診断されたり、あるいはまったく別な疾患と誤診されてしまうことも少なくないと聞いており、これらの二次障害が、この病気の早期発見を遅らせる要因のひとつといわれているそうです。

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■乳幼児期に発覚した場合。

乳幼児期“股関節検診”にて、臼蓋形成不全あるいは先天性股関節脱臼(近年では、“発育性股関節形成不全”とも呼ばれるそうです。→日本整形外科学会より「発育性股関節形成不全」)が発覚する場合があります。耳慣れない疾患名を告げられ、ご両親は不安を抱かれることと察します。ただ本来、先天性の股関節疾患は早期発見が極めて難しく、大人になってある程度の年齢に達してから発覚し、苦心して闘病生活を過ごされる患者さん達も多く存在するのが現状です。お子様が幼い時期に病巣を発見できたことを、むしろラッキーと思ってください。

あいにく舞姫は40歳を過ぎてからの発覚だったので、乳幼児の股関節疾患については、あまり詳しい知識がないのですが(汗)、成長盛んな乳幼児期のうちに発見し、適切な処置(“リーメンビューゲル”と呼ばれる装具を身に着けたり等の方法があるそうです)が施されれば、かなりの改善が可能と聞いていますし、健康な普通のお子さん達と変わらない生活を過ごされることも充分可能かと思います。なので、どうか不安を抑えて、主治医の先生とよく相談されたうえで、お子様の今後の改善策を講じられてください。

なお、これは予防の意味も含めた改善策になりますが、成長過程にある子供の骨は、とてもデリケート。特に“赤ちゃん”の場合は、膝を伸ばして両脚を閉じた状態にしてしまうと、先天性の股関節疾患を誘発しやすいという危険性もあり、“おむつ”の当て方や、“抱っこ”“おんぶ”の際の工夫などで、脚の開きを妨げない生活の配慮が必要です。近年では、両脚が自然なM字型に開かれる形の“コアラ抱っこ”(←「あなたの健康百科」より)が推奨されています。

また、一時期流行した“スリング”のような、赤ちゃんの身体をすっぽり包んで脚の開きを妨げてしまうような形の抱っこ紐は、乳児期の股関節疾患を誘発する危険性が高いとして、近年では警鐘を鳴らす声も多く聞きますので、抱っこ紐を選ぶ際は、赤ちゃんの両脚が自然に開かれるタイプにされることを勧めます。乳児健診で股関節疾患が発覚した場合は勿論、股関節の異常を特に指摘されなかった場合も、日常生活の配慮などで、お子様の健全な股関節を守ってください。詳細は、子供の整形外科疾患に詳しい医師とよく相談されることを、お勧めしたいと思います。

ただし、乳幼児期に適切な処置を行い、その後“完治”と言っても過言ではないレベルにまで改善されても、やがて成長して大人になり、忘れた頃になって再び悪化の兆しが現れる患者さん達も決して少なくはないことも事実です。情報収集に努め、正しい知識さえ身に付ければ、決して怖い病気ではないので、悲観的になる必要はありませんが、たとえお子様が順調に回復されても決して油断することなく、定期的に検診を受けられるなど経過観察を怠らずに継続され、お子様の股関節を気遣ってあげてください。

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■学童期〜青年期に発覚した場合。

乳幼児健診で股関節の異常が確認されるまでに至らなかったお子様でも、学童期〜青年期(6歳〜20歳くらいまで)になって臼蓋形成不全が発覚する場合があります。やはりご両親は不安を抱かれることと思いますが、身体能力に優れた若い時期に発見できたのであれば、大人になってから発覚した患者さん達よりも状況的には遙かに恵まれていると思います。どうか落ち着いて、お子様が将来この股関節疾患でつらい思いをされることのないよう、適切な改善策を講じられてください。

なお、もしお子様がスポーツを愛好されていたり、あるいは将来スポーツをしたい希望を抱かれている場合、お子様からそのスポーツを奪ってしまうことは、絶対にしないでください。保存療法に消極的な医療機関の場合、「運動厳禁!スポーツなどと、以ての外!」「悪化すれば人工股関節」などと半ば脅すような言葉を平然と放つ医師も存在しますが、疾患発覚以降も症状改善に努めながら、スポーツやダンスなどを継続されている患者さん達も決して少なくはないので(舞姫自身も、そのうちの一人です)、どうかお子様の希望を断たないでください!そして、スポーツを諦めずに続けることができるよう、お子様の力になってあげてください。差し当たって舞姫的には、“スポーツ整形外科”を受診されることを、お勧めしたいと思います。

《ご両親にお願い。この疾患を侮らないで!》
ネットを彷徨いながら情報収集していると、ご両親がお子様の股関節疾患に無理解なことが症状改善の妨げとなっている例を時折お見受けします。お子様が成長盛んな学童期〜青年期の場合、お子様自身が股関節に異常を訴えられても、ご両親が“成長痛”と勘違いして楽観視し見過ごされてしまうケースも決して少なくはない模様ですし、また特に未成年者の場合、ご自身の一存だけでは医療機関にかかれないお子様も多く、症状を軽視するご両親から「医者は金儲けが目的で、手術や通院を勧める。股関節が痛いくらい、市販の湿布でも貼って寝ていれば治る」と言われて理解を得られず、整形外科を訪ねることすら許してもらえない子供も存在します。

この疾患の症状改善において最も重要なのは、“周囲の理解”です。本来であれば、お子様の心の支えとなってサポートしなければならない筈のご両親の“無理解”が、お子様の症状改善の妨げとなってしまうのは、本当に哀しいことです。情報収集に努め、正しい知識さえ身に付ければ、決して怖い病気ではないので、悲観的になる必要はありませんが、かと言ってこの疾患を侮らないでください。進行性の“不治の病”である事実に変わりはなく、すべての患者さん達が“末期”に至る危険性を孕んでいます。殊に、ご自身の一存だけでは改善策を講じることのできない“未成年者”の場合、ご両親の理解必要不可欠です。もし、お子様が股関節に異常を訴えたら、決して症状を軽視することなく、お子様の声に耳を傾けて、信頼できる医療機関のもとで適切な改善策を講じられてください。

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■“障害者手帳”について。


なお、この臼蓋形成不全、症状の程度を問わず、じつは“障害者手帳”の取得が可能なのだそうです。まず、各都道府県の知事が指定した専門医に診断書を作って頂き、それを持参のうえ、ご自分の居住する地域の市福祉事務所か町村役場にて(札幌市の場合は、各区役所の保健福祉課。参考:札幌市『よくある質問検索サービス』より「身体障害者手帳の交付について知りたい」)、しかるべき手続きを取ると、交付を受けることができます。

無論、患者それぞれの症状や、それに伴う医師の解釈により、障害者手帳交付の対象までに至らないと判断される場合もあり、未手術の場合は障害者の認定は受けられないという話も小耳に挟みますし、また自骨手術で順調に改善された患者さんの場合は障害者手帳交付の対象外とされる場合が多いとも聞くのですが、ネットで情報収集する限りでは、臼蓋形成不全や変形性股関節症などの股関節系の病気で、未手術の場合や自骨手術を経験された場合でも、状況によっては障害者手帳の交付を受けられている患者さん達もおられる模様です。

おうおうにして医師のほうからは、障害者手帳の話題については触れてくれない場合が多いのですが、障害者手帳を取得すると更正医療の適用により、手術に掛かる費用が補助されたりもするそうなので、既に日常生活においても激しい弊害が出ており、手術を検討するほどの深刻な症状がおありのかたは、いちど障害者手帳についても医師に相談されてみると、よろしいかと思います。

幸い、現時点ではそれほど重い症状に至らず、手術という選択はせず保存療法の道を選んだ舞姫は、障害者手帳の取得までは現在のところ考えておりませんが、障害者手帳があれば、公共の交通機関も安く利用できたり、映画館などさまざまな施設が割引料金で利用できたりなど、いろいろと利点も多いようです。無論、利点ばかりではないわけで、決して「ぜひ取得なさい!」などと大きな声でお勧めできるようなことではないのですが、障害者手帳を得ることでのメリット&デメリットを慎重に考慮のうえ、ご興味のおありのかたは各都道府県か市町村の保健福祉の部署へ、詳細をお問い合わせください。

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