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むかし、むかしのはなしなんだに。上郷村の野底の奥の姫宮ちゅうところは人里から離れておって、みやましい杉が生い茂る昼間でも暗いところだもんで、村の衆はめったに行かない寂しい場所だったんな。毎年、年に一度の春祭りの前の日になると、きれいな娘のおる家に白羽の矢が刺さって、その家で娘を人身御供(ひとみごくう)として御供えせんと、神様がごうわかして田畑を荒らして作物ができんようにするっちゅうもんで、しかたなしに娘を姫宮に供えておったんな。
ある年の祭りの時、ちょうど岩見重太郎っちゅう旅の侍が通りがかって、村人の話を聞いて、「これはきっと、なにか悪者の仕業に違いない。神様がそのような事をするはずはない。今夜は私が身代わりに人身御供になってお宮に赴き、その悪者を退治して進ぜましょう。」っちゅう事になったんだに。
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