事故れば良かったのに。
今回のお話は玲子さん(仮名)から聞かされた、巷で良く聞かれる様な心霊体験…。
実際に恐怖すら覚える程の心霊経験をしてしまった時のお話である。
玲子さんは元来、霊感が強く、余り乗り気では無かったのだが、当時の職場の同僚に誘われる
がままに、茨城県にあると言う心霊スポットとして有名な、既に廃墟と化していると言う、ある
病院に行く事になったのだという。
そして彼女は同僚と、その息子さんの運転する車に乗って行く事になったらしい。
…しかし、現地に近づくにつれて、車内が異様な重苦しい雰囲気に包まれて行く様に感じられた
らしく、彼女は同僚達に戻ろうと説得をしたのだが、何せ怖いもの知らずで霊的な事柄にも無知
な同僚と息子さんは、その忠告を無視し、そのまま廃病院へと向かって行ったのだと言う…。
そして病院の前で車を止め、彼女が病院内を視ていると、既に数体の霊の姿が確認出来たらしいと言うのだ…。
ここは危険だと言う感覚を覚えた彼女が、立ち去る様にと促した所、流石に同僚達も恐ろしく
なってきたらしく、車のエンジンをかけようとしたのだが…何故かエンジンが、全くかからなく
なってしまっており、その凄まじい恐怖心から、車内はパニック状態になってしまったのだと言
う。
…そこで玲子さんは、自分が持っていた粗塩と御守りを取り出すと、車内に粗塩を撒いて、自分
も一舐めし、影響を及ぼしているであろう霊達に謝罪をしていると、ようやくエンジンをかける
事が出来たのだと言う。
ようやく、この病院を後に出来ると安心したのも束の間、今度は走り出した車のブレーキが利
かなくなってしまった様で、スピードが出たまま、再び車は廃病院へと向かおうとしていたので
ある。
その事に気付いた玲子さんが運転していた同僚の息子さんの顔を見ると、青ざめた顔色をし、
ある種、独特な異様さをも感じさせる様な表情になっていたらしい。
「…憑かれてる!」
そう思った彼女は、運転手のズボンのポケットに自分の持っていた御守りを入れると、粗塩を
振ったのだと言う。…すると、運転手の意識が戻り、ブレーキを踏むと無事に路肩に停車する事
が出来たらしい。
…しかし、その瞬間、舌打ちと共に悪態をつく女性の声が聞こえたのだと言う。
「事故れば良かったのに…邪魔したな!」
運転をしていた同僚の息子に憑いていた「その女性の悪霊」は、玲子さんに攻撃的な言葉を浴
びせたかと思うと、今度は彼女自身に取り憑こうとしたらしい。
…しかし、粗塩や御守り。また守護霊などの力もあって、何とか憑依される事だけは逃れられ、
帰路に着く事が出来たらしいのだが…その時に味わった余りの恐怖心から、帰りの車内にはピリ
ピリとした空気が流れ、口数も少なくなっていたのだと言う。
彼女は帰宅すると、念の為、お風呂に粗塩と清酒を入れて浸かると、身を清めたらしい。
…その翌日、彼女と同僚、その息子さんの三人はお寺に行くと、お祓いをしてもらい、新しい御
守りを頂くと、その後は霊障などの影響を受けずに済んだのだと言う…。
…しかし、わざわざ心霊スポットと呼ばれ、確実に霊がいると言われている場所に赴く事に、い
ったい何の意味があるのであろうか…?
…それは単に遊び心で、恐怖心を体験したいだけなのかもしれないが、霊の眠る場所や、霊が棲
み、徘徊している様な場所に遊び半分で立ち入る事は、霊に対しての配慮や畏敬の念が足りない
様に思う。
今回の一件の様に悪霊に憑かれ、時には霊障や祟りを受ける事もある。…そしてまた、それが
原因によって、時には命を落とす場合もあると言う事を、頭の片隅にでも入れておいて欲しいも
のである…。