死神
死神の姿。
 今回のお話は、めぐみさん(仮名)が体験したと言う、異様な雰囲気の中で姿を現した、所謂
死神と呼ばれるものの姿を視てしまった際に起こった、死亡事故にまでつながる体験談である。

 めぐみさんによると、死神と言うものは本当に本やテレビに出てくる様な、あのままの姿をし
ているらしい…。

 それは、黒いローブを被り、骸骨の様な顔をして、その手には鎌を持っているのだと言う…。

…ある日の事。

 めぐみさんは、友人である奈々子さんから、近隣の図書館で、館長をしている知人に用事があ
るから、お願いだから一緒に着いてきて欲しいと頼まれたらしく、早速二人で、その図書館へと
向かったのだと言う…。

…しかし、いざ図書館の前に着くと、めぐみさんは、何とも言えない様な、異様で嫌な気分に襲
われたらしく、友人の奈々子さんに次の様に告げたのであった。

「ごめんね。私、表で待ってるからね…」

…だが、奈々子さんは、強引に彼女の手を引っ張ると、その異様で嫌な雰囲気に包まれた図書館
の中に連れて行ったのだと言う…。

…ひょっとすると奈々子さんは、既にこの時点で…いや、最初に誘いをかけた時点で。
 その図書館にいる、この世のものでは無い何者かの存在に感づいていたのかもしれない…。

 奈々子さんは受付に行くと、その図書館にいる職員に、館長を呼び出してもらう様にと頼んで
いたらしい。

(お願いだから早く出てきて…)

 そんな風に祈りつつ、待っていると、やっと奈々子さんの知人であると言う、その館長さんが
姿を現したのだと言う…。

 そして、奈々子さんと館長さんが、何やら話を始めた様子を漠然と見ていためぐみさんの眼に
は、全く思いもよらなかった…ある不気味な存在の姿が視えたのであった…。

 館長さんの背中に、のしかかる様にしているもの…。

 その片手には鎌を持ち、頭からは黒いローブを被った異様なる存在…。
 所謂、死神と呼ばれているものの姿、そのものであったと言う。

 めぐみさんが、その存在に気付いた事を察したのか、彼女と死神の眼が一瞬…あったのだ。
 そして、その死神は彼女に向かって、にやりと不気味な笑みをこぼしたらしい…。


 瞬間的に、彼女は凍りつく程の恐怖心を感じると共に、自分が感じていた異様で嫌な気分にさ
せていたものの正体は、これだったのかと察したのだと言う…。

 そして、その出来事が起こったのは、その後日の事であった…。

 彼女と奈々子さん。…そして、死神が憑いていたと言う、あの館長さんと会う機会があり、三
人で会話を弾ませながら歩道を歩いていると…突然、車道から車が飛び出して来たのである。

 彼女がようやく気がつくと、例の館長さんだけが血まみれになって倒れていたのであった。

…即死であったと言う。

 一般的に死神は、その手に巨大な大鎌や小ぶりな鎌を持ち、黒を基調にしたローブを身に纏っ
た白骨の姿で描かれ、時にミイラ化していたり、白骨化した馬に乗っている事もあるとされてお
り、あるいは足が存在せず浮遊している状態のものも多く描かれている。

 その手の鎌を一度振り上げると、振り下ろされた鎌は必ず何者かの魂を奪うと言われており、
それから逃れる為には他者の魂を捧げなければならないとされる。

 また鎌を持った死神が心霊写真として写った場合は、命に関わる危険の前兆とされており、例
え鎌を持っていなくとも、何らかの危機が起きるとも言われている。


 今回の一件は、死神に魅入られてしまった者が、あの世に連れて行かれた結果であるのかもし
れないし…あるいは、その死神は、彼の死を未然に知らせる様な存在であったのかもしれない。

…しかしながら、その真偽については、知る由も無いのである…。