お御霊。
今回のお話は、霊の見せる夢…霊夢とでも言うべきであろうか?
そんな内容の不思議なお話である。
ある夜、眠っている私の右側から、赤ん坊の泣き叫ぶ声が聴こえてきた。
火のついたかのように、ほぎゃあ ほぎゃあと泣き叫んでいる。
当然、うちには私以外、誰にもいない…。
すると、しばらくして、頭上に男性らしき霊体の存在を認識したのである。
低い唸り声の様なものをあげていたのだ。
そうこうしている間にも霊は増えていき、私の腰に二体の餓鬼の様な霊が布団越しにしがみつ
いてきたのだ…。
余りの恐怖から、私は枕元にある筈の携帯で、誰かに助けを求めたくなったのだ。
相手なんか誰でも良かった。ただ、この状況を聴いてさえくれれば…と。
金縛りに遭い、頭の上にいる男性らしき霊の姿も、右側から聴こえてくる赤ん坊の姿も、視認
する事は出来なかった私だったが、幸いにも両手だけは自由…の筈だった。
両手を胸元まで上げた私は、自分の手が視えない事を悟った。
腕だけの幽体離脱だったのかもしれない。
そこで、枕元にあった携帯電話を取ると、なかなか自由の利かない手で、ひたすらリダイヤル
のボタンを探りながら、押し続けた…。
相手が寝ぼけながらも出てくれた…友人の亜季さん(仮名)である。
そこで自分の身に起こっている事を話すと同時に、その悪夢から目が覚めた。
携帯は、私が取った形跡もなく、そこに鎮座していたし、通話履歴にも彼女の名前は無かった
のである…が。
翌日、気になった私は彼女に電話を入れてみたのだが、残念ながら出る事は無かった。
…その数日後、彼女からの電話があり、何か心霊現象は無かったかと訊ねてみると、あったと答
えたのだ。
何でも、夢で「あなたのお御霊と話がしたい」と女性に語りかけられ夢を見たらしい。
やはり、ただの夢だったのか…と安堵しかけた私に、彼女はこう告げた。
「でも、その夢を見た次の日に、あなたから着信が入ってたのよ?」…と。
そして、それ以来、そんな夢は見ていないと言う…。
とりあえず、迷惑をかけたかもしれないと彼女に謝罪し、電話を切った。
この不思議な夢でつながっていた二人の間柄に関して、私は説明する言葉を持たない。
単なる偶然の一致だったのか…それとも…。