キジムナー
皆さんは「キジムナー」と呼ばれる妖怪の事を御存知であろうか…?
キジムナーとは沖縄諸島周辺で伝承されている妖怪で、一般的にガジュマルの古木の精霊であ
るとされており、また他の妖怪とは異なる点としては、極めて人間的な生活をし、人間と共存す
る種類の妖怪とも言われ身体中が真っ赤な子供…あるいは赤い髪の子供や、赤い顔の子供の姿で
現れると言われている…。
今回のお話は、優衣さん(仮名)がまだ幼い頃に体験したという、そんなガジュマルの古木の
精霊であると言われているキジムナーに関する不思議な体験談である…。
沖縄の中でも、彼女の住んでいた地域では、キジムナーは子供にしか視えず、また大変な子供
好きで、良く遊びたがるのだが、身体の中にまで入られてしまうと、何らかの身体的な疾患を引
き起こす事があると言われていたらしい。
彼女の一家は、皆それぞれに霊的な能力や、不思議な能力を持っているのだが…ある日、幼い
優衣さんがガジュマルの木の下を歩いていると突然、身体中に赤い湿疹が出てきたのだと言う。
…その湿疹は不思議な事に、痛くも痒くもなかったらしいのだが、醜い姿になってしまっている
のは確かな事ではである。
そこで彼女は父親に、その湿疹を見せながら、ガジュマルの木の下を歩いていた事を話したの
だと言う。
「…そりゃあ、キジムナーにやられたんだな」
そう言うと、彼女の父親は吸っていた煙草の煙を、不意に彼女の全身に吹きかけたらしい。
すると、何故か不思議な事に、彼女の身体に出来ていた湿疹は、みるみるうちに消え去ってい
ったのだと言う…。
彼女の幼き日の記憶として残っている、その不思議な出来事は、ひょっとしたら、そのキジム
ナーと呼ばれる妖怪が、身体の中に入り込む事により、その身体に赤い湿疹を浮き上がらせると
言う様な現象を引き起こした結果だった…つまりは、そう言う事であったのかもしれない…。
それはあたかも、キジムナーが自らの身体の様に、彼女の身体をも赤く染める事によって…。