仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話
         過去に閉ざされた館


 今回のお話は、水城さん(仮名)が、とある画家の個展に訪ねて行った所から始まる。

 水城さんにはとても好きな画家がいた。小さな個展をやっている女性の画家で、その絵はまる
で、ひとつの物語を思わせる程に深いタッチの絵であると言う。

 水城さんは、ある日彼女の個展を観る為に、その小さなギャラリーを訪ねて行った。…そして
偶然にも、その画家である和枝さん(仮名)が来ていたらしく、ギャラリーの女性オーナーと話
をしていた。その時の客は水城さんひとりであったらしく、絵を観にきましたと和枝さんに話し
かけると、彼女は笑顔で色々と絵に関する話をしてくれたのだと言う。

 その個展にある【一枚の西洋風の館の絵】に関するエピソードが、今回のお話である。

 和枝さんは絵のモチーフを見つけると、必ず許可を得てから撮影する事にしており、そして、
そこから得た印象を組み合わせて絵を描いていくのだと言う。

…ある日、和枝さんは知人の紹介で、とある史跡になっている西洋館を訪ねる事になっていた。

 撮影と見学の許可を得る為に、苦労に苦労を重ねて、係員の立ち会いの下で、一時間だけの見
学と撮影の許可を得て、やっと訪れた館は、広い自衛隊演習地の側にあった。

…周囲を森に囲まれた、その閉ざされた館に、和枝さんは言いようのない何かを感じ取ったらし
く、思うがままにカメラを向けたのであった。…演習地に近いからであろう。時折、自衛隊員が
通り過ぎる姿も見えたらしい。

 だが…その光景に、和枝さんは一瞬目を疑ったのだと言う。

 演習地の一面に並ぶ零式艦上戦闘機…通称:ゼロ戦と、そして行進を続けている大日本帝国時
代の兵隊が鮮やかに視えたからである。…そのまま窓から館に視線を戻すと、今度は突き刺さる
ような視線を感じたのだと言う…。

それは、今は使われていない筈の階段から、階級章を付けた位の高い軍人が数名、まるで彼女を
警戒しているかの様に送られていた視線であったらしいのだ。

…そして、和枝さんの頭に直接送り込まれるように警告のメッセージが入ってきたのだと言う。

「我らに近寄るなかれ」

 やがて見学時間も過ぎて、和枝さんは、その館を後にした。…しかし、撮った筈の写真は、う
まく現像が出来なかったらしく、覚えているままの風景をキャンバスに描いたのだと言う…。

「おかしな話かもしれないけど、あそこには別の過去につながる扉があって、戦争の時代のまま
に、誰かが住んでるのよ」


 そんな風に和枝さんは、不思議そうな表情で語ってくれたのだと言う…。