稲荷の祟り。
今回のお話は恵理さん(仮名)から寄せられた、稲荷による祟り…とも言えるであろう狐憑き
のお話である。
…何でも恵理さんのご主人は、人が変わったかの様に急に怒り始めたる事があると言う。
ある日、ご主人が作ったという多額の借金の事から口論となった事がきっかけで、またしても
人が変わったかの様に態度が豹変し、首を絞めてきたと言うのだ。
恵理さんは穏やかに、火を消す様に、わかったから…わかったから…と、なだめると、ようや
く恵理さんの首から手を放したらしい。
そして、その時のご主人の様子も恐怖すら覚える程に尋常では無い何かを感じさせられたのだ
と言う。
その時の様子は、まるで獣が唸っている様な声を発しながら、肩を上下させながら、荒い息を
していたのだと言う。…そして、そんな獣の様に豹変したご主人の状態は、しばらく続いたらし
く、恵理さんは激しい恐怖心から、逃げ出したい衝動に駆られたのだが、奥にいる子供の事を考
え、逃げる事が出来なかったのだと言う。
後日、その話を職場の先輩である女性にした所、次の様に言われたのだと言う。
「旦那さんはお稲荷さんに何か頼んでちゃんとお礼してないでしょう…?」
恵理さんが、その事を、ご主人の母親に何気なく訪ねてみた所、次の様な話をされたのだと言
う。
ご主人の兄は、まだ幼い頃に、海で事故の事故で亡くなっていたらしく、ご主人もまた同じ様
に、海に転落はしていたものの、幸いにも頭だけが浮かんでいた事と、偶然に通りがかった、お
爺さんに助けられて、命を失う事だけは免れたらしい。
そして、その際に、今後も残された幼い子供が無事に育つ様にと、稲荷神社に参拝したらしい
のだ。
そして、義母が言うには、その後のお礼は【一度はちゃんとした】との事であったらしい。
私の聞く所によると、狐は、即効性のある願いを叶えてくれると言われているが、祀っている
間は問題は無いのだが、祀り続けないと時には祟ることもあるという。…それも命に関わる事も
あるのだとか。
信仰を持つのは自由だとは言え、それがどの様な性質であるものなのかも、ひょっとしたら考
えなければ、ならないものなのかもしれない…。