社に住みつくもの
「やられたかな?神社のでかい顔・・・目茶苦茶やばい」
そんな一本のメールが私の元に届けられた所から今回のお話は始まる。
実は既にこの時点で彼女の精神状態が既に混乱を来たしている事を、
文面から感じ取った私は、まずは彼女の心を落ち着かせる事から始めなければならなかった。
・・・しばらくの後に平静を取り戻した彼女から、改めて今回の報告がなされたのであった。
かつて水城さん(仮名)が、豪族の霊団との強烈な接触があったと言う「とある神社」。
はじめて自分の身体を媒体にされるという経験をした神社があるのだが、
その隣りはかなり大きなショッピングセンターになっているのだと言う。
今でも、そのショッピングセンターへ買い物に訪れた際には、
必ず、その神社に立ち寄り参拝していたらしく、
その日もまた立ち寄ろうと思っていたらしいのだが・・・。
彼女が、ふと「その神社」に意識を近付けてみると、
何やら社全体から「重苦しい雰囲気」が出ている事を感じたのだと言う。
するとそこには、かなり古い霊体・・・。
武士らしき男性の巨大な顔が見え、何やら彼は苦痛をこらえているようだったのだと言う。
その神社からは以前の清々しい雰囲気は消えており、
妙に緊迫した感じに多い尽くされて、参拝者を一切拒絶していた様に感じられたらしい。
それはまるで、触れられたくない程の「重い傷」を抱えた者が傷を癒しに来て、
まるで参拝者を拒絶している様な念を感じられたらしく、
彼女は現時点での立ち入りは危険だと判断し、即その場を離れたのだと言う・・・。
その神社には以前、存在を感じられていたという、
「神々しいものたち」の気配は既に消え失せ・・・ただ傷ついた武士が一人。
ざわついた街を眺めながら、時の止まった箇所で眠り続けている・・・。
彼女は、そんな印象を受けたのだと言う。
・・・そして彼女は次の様に語っている。
「彼の傷が癒えて、また旅にでも出ない限り、かつての社には戻らない様な気がする」
そう、それはまるで。
街の開発の雑念で壊された静寂・・・。
その安らかな静寂を奪われた者たちの警戒の念も宿っている様に・・・。