仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話
       訴える老婆。


 今回のお話は美鈴さん(仮名)が、かつて訪れたという響子さん(仮名)と言うヒーラーの方の霊視によって指摘された事から始まる先祖供養にまつわる心霊体験談である。

 「ヒーラー」とは、生命の活性化をはかり、生体内のエネルギーやバランスを調整するといった霊氣療法を行なう者の事である。

 年に数回、バリ島に修行に行くと言う、その響子さんは元来、特殊な能力を持っていたらしく今では、相談者の守護霊との会話が出来る程になっているのだと言う。

 当時、精神的に疲れていた美鈴さんが、響子さんの元を訪れた際、次の様な指摘を受けたらし
い。

「・・・あなたの後にいるお婆ちゃんが悲しそうな顔をしています。・・・灰色の着物に帯止めをした
小さなお婆さんですね」

 美鈴さんは、その容姿からすぐに母方の曾祖母だと解ったのだと言う。
・・・しかし何故、悲しんでいるのかは、その時にはまだ解らなかったらしい。

(私が精神的に不安定になっているから心配してるのかなぁ・・・?)

 美鈴さんには、思い当たる節が他には無かったらしく、また響子さんの目に映っていると言うその曾祖母に問いかけても、その時には何も語ってはくれなかったらしいのだ。

・・・それから、数週間が経過し、美鈴さんは偶然、母の実家に行く用事が出来たのだという。

 美鈴さんの母の実家には、彼女の叔父とタイ出身の奥さん。そして子供の三人が住んでいたらしい。

・・・しかし、そこで見た光景は目を疑うほどのものであったという。

 そのタイの出身であるという奥さんが、仏壇を必死に仰ぎながら、見えない誰かと話をしていたと言うのである。

「お婆さん!怖いから私の前に現れないで!」

 かたことの日本語しか話せない筈の彼女が、不思議な事に必死に懇願する際には流暢な日本語を話していたのだという。

「私をどうするの!あっちへ行って!」

 そんな【彼女にしか視えないお婆さん】との会話は、ずっと続いていたらしく、彼女は精神的
にも体力的にも疲弊しきっていた様であったと言う。

 元来、信仰心も薄く、また霊の存在なども信じない美鈴さんの叔父は、そんな自分の妻の状態を見て、精神分裂症じゃないかと疑っていたらしい。

・・・しかし、彼女のその姿は憑依されているとしか思えない程の状態であったと言う。

 以前、響子さんに指摘された【悲しんでいるお婆さん】と、この世の存在ではないお婆さんに脅える彼女の姿・・・。

 そこには奇妙な一致点が確かにあった・・・。

 ふと仏壇へ目を移した美鈴さんは・・・我が目を疑ったと言う。

・・・そこには全ての先祖の位牌が並べられていたのであった。
 それは、四男にあたる叔父が先祖を守る為に持っていった筈のものなのだ・・・。

 信仰心の薄い、この叔父の下では誰一人として手を合わせる者もいない。

 全く、供養のされる事の無い、ただ置かれただけの仏壇に、全ての先祖の位牌がひっそりと置
かれているだけの状況であったのだと言う・・・。

 そして、母方の曾祖母の位牌も、そこに並べられていたのであった。

・・・そして美鈴さんは理解したのだ。

 曾祖母は、誰も供養してくれなかった事を悲しみ、この家でたまたま波長のあった奥さんに、
訴えかけていたのだ・・・と。


 
美鈴さんは位牌を持ち出す事は出来なかったので、法名だけを書き写すと自宅で曾祖母の供養をしたのだと言う・・・。