真夜中の歌声。
もし、自分が眠る寝室に得体の知れない何かが、
知らない間に潜んでいたと気付いてしまった時の恐怖・・・。
今回の、このお話は愛理さん(仮名)が、
小学校3年生の時に体験したという、興味深くも恐ろしい心霊体験談である。
彼女は当時、姉や弟と同じ子供部屋で寝起きをしていたのだという。
・・・ある夜の事。
幼い彼女にとって、一生涯忘れられない程の恐怖を感じたという、
その『異常なる出来事』は起こってしまったのだった・・・。
彼女の家の三階にある子供部屋には、
二段ベットが一台と、普通のベットが一台置かれており、
その二段ベットの上は彼女の姉が使用し、その下には彼女。
そして残ったベットには弟さんという様に眠る場所が決められていたという。
ちなみに、彼女と姉が使用しているという、
その二段ベットは、部屋の隅の窓際に置かれていたのだが、
就寝時には、その部屋のカーテンは全て閉められているらしい。
彼女の父親は日曜大工が趣味で、本の大好きな彼女の為に、
部屋の中が暗くても本が読める様にと、彼女の眠る二段ベットの下の段に、
照明を付けてくれていたのだ。
そして、そんな中。
彼女は姉弟が寝静まった後も、一人で本を読み耽る毎日であったのだという。
・・・そんなある日の事。
読書をしながらも睡魔に襲われた彼女は、そのまま眠りについたのだそうだ。
そして、彼女が眠りについてから、どれほどの時間が経過したのであろうか・・・。
眠っていた彼女の耳に、どこからともなく女姓の歌声が聞こえてきたのだと言う・・・。
『らーらーらー・・・』
とても機嫌良さそうな、その歌声に彼女は目を覚ましたのだった・・・。
『あー、お母さんってば、寝呆けて歌ってるや』
・・・と半覚醒状態の頭の中で思ったのだそうです。
まず彼女が、それを母親だと思った理由としては、二段ベッドの上にいる姉を除いては、
彼女の家にいる女性と言えば、母親のみだったからなのだ。
・・・そして「その歌声」はベッドの上からのものでは無かったのだ。
『五月蠅いなぁ・・・』
・・・そう思いながらも、しばらくすれば歌いおわるだろうと、
その歌声を無視する事にして、彼女はもう一度眠りにつこうとしたのですが、
歌声は一行に止まなかったらしいのだ。
そして歌声が気になってなかなか眠りにつけなかった彼女が、
もういい加減に止めてほしいと怒りかけた時・・・。
彼女は『ある事』に気がついてしまったのだ。
・・・・声があまりにも近すぎると。
両親の寝室と、彼女達の眠る子供部屋は、部屋をひとつはさんだ先にあり、
とても彼女達の眠る子供部屋にまで、はっきりと声が聞こえてくる筈が無かったのである。
彼女は思わず飛び起き、その歌声の元を探ろうとしたのですが・・・。
探す必要はありませんでした。
何故ならば、それは明らかに。
先程まで彼女が頭を預けていた、その枕の下から声はしていたのだ・・・。
しかし、その二段ベッドの下には玩具や洋服のケース等が詰め込まれており、
お世辞にも片付いているとは言えず、とても人が入る様なスペースも無かったのである。
それに気がつき、急に怖くなった彼女は急いで枕元にあったライトを付けたのでした。
『今思えば明るくなれば声も止むかもしてないなどと思ったのでしょう』
・・・と、その時の事を思い起こして、彼女はそう語っていた。
そして、ライトを付けた次の瞬間。
その歌声は、激しい絶叫に変わったのである。
『起きたぁ〜!起きたぁ〜!嫌だぁぁ!ああああ!』
その叫び声は凄まじく、子供部屋はおろか、家中に響く程の大きな声だったのだが、
不思議な事に、家族のうち誰一人として気付かなかった様で、
同じ部屋に寝ていた筈の、他の姉弟ですら、起きる事すらなかったらしいのだ。
家中に響き渡るほどの激しい叫び声であるにも関らず・・・である。
余りの恐怖感から、すぐさま電気を消した彼女は、
一目散に両親の寝所に駆け込み、母親とともにその日は眠りについたのだそうです・・・。
しかし、その事を子供ながらに必死に両親に訴えても、全く相手にされなかった彼女は、
それから先の人生で、どんな不思議な事が起きたとしても・・・そして何が聞こえようとも。
ご両親に、その手の類の話をする事は無くなったとの事でした・・・。