取り残された魂
美穂さん(仮名)の嫁いでいった土地には、その戦いの歴史が背景にあるからなのか、成仏したくとも出来ずにいる霊が結構、多いのだと言う。
そんな霊の存在に気がついていながらも、自分では何もしてあげられないと言う想いから、それまでは、極力無視をしていたらしい。
・・・そんな美穂さんが、特に気になる場所があった。
そこは現在、ちょっとした観光名所の公園になっている場所らしいのだが、そこには祠や碑があり、本来ならば、ちゃんと奉られている筈なのだが、どうも彼女の感じる所では、その奉られてる碑の中に洩れているものがいる様な・・・本来ならば奉られるべきものが奉られていない様な・・・もしくは本来、奉られていた場所から移動されてしまったが故に、その魂だけがポツンと残された様な混沌としたイメージが感じられ、そこに取り残された魂のせいかどうかは解らないらしいのだが、どうも霊の吹き溜まりの様な場所になってしまっていたのだと言う。
そして、彼女はどうしても、その場所が気になったらしく、その土地の過去を調べてみたらしいのだ。
すると、やはり彼女の感じた通り、祠と碑のある場所は、昔は現在よりも、もう少し奉られている場所が広かったか、もしくは少し移転があったと言う事実が判明したらしいのだ。
そして彼女は、霊的な感覚に優れ、古代の霊団との接触を頻繁に行っている水城さん(仮名)に、どうすれば良いものかと次の様に相談を持ちかけたのだと言う。
「あつかましいし、差し出がましいお願いがあるんだけど、救いたい魂があるんで、どうすれば 救えるかを教えて貰えませんか?」
そんな彼女に対して、水城さんは次の様に返事をしてきたらしい。
「霊団の方々に祈りを捧げてみて下さい。そして、美穂さんが祈りを捧げたら後は、あちらの世 界にはあちらの世界の事情があるのだから、その後の事は霊団の方々に任せましょう」
・・・正直な所、彼女はどう祈れば良いのかも解らなかったらしいのだが、とりあえず香を焚きあげながら、次の様に祈ったのだと言う。
「あの場所に縛られた方を救いたいのです。もう充分に苦しんだ筈です。・・・どうか・・・どうか光 を差し伸べてあげて下さい・・・」
・・・すると不思議な事に祈りを捧げている最中、悲しくも無いのに、何故か滝の様に涙が溢れてきて止まらなかったのだと言う。
そして、その一連の出来事を、改めて水城さんに伝えると「祈りは通じたと思いますよ・・・」と、柔らかな言葉が返ってきたらしい。
祈りを捧げた後、未だ再びその場所を訪れてはいないらしいのだが、その場所にイメージを合わせると、それまでは混沌としたイメージが流れてきていたものが、今では神々しいまでに清清しいイメージに変わっていたのだと言う・・・。
・・・美穂さん曰く。
それは自分で祈りを捧げ、そうなって欲しいと望んだから、そう感じるだけの事なのかもしれないが、その場所に対するイメージが変わった事だけは紛れも無い事実なのだと言う・・・。