飛んでくる線香。
今回のお話は智子さん(仮名)が体験したという不思議な体験談である。
それは智子さんが鬱病を患い、何もできなくなってしまった時期の事であったらしい。
彼女には離婚歴があるのだが、その頃はまだ結婚生活をおくっていたと言う。
鬱病により、何も出来なくなった自分を責めながらも、一周忌の際、仏壇に線香をあげた時の
事である。
その線香が普通では考えられない様な動きを見せたのであった。
それはまるで、弾かれたかの様に、線香が自分に向って飛んできたのだと言う。
そして、彼女は手に火傷を負ってしまったらしい。
そしてまた、彼女が実家の仏壇に線香を上げようとした所、またしても同じ現象が起こったの
だと言う。一度ならず二度までも、普通に落した訳でも無く、まるで彼女に向って投げつけるか
の様に線香が飛んできたと言うのだ。
彼女は、先祖が怒っているのだと恐怖を覚えたらしく、また火事になる事も恐れ、それ以来、
あまり仏壇に線香をあげる事も出来なくなってしまったらしい。
それ以来、交通事故や、身内の自殺未遂など数えていたらキリが無い程の不幸が続き、それは
まるで自身に降りかかった祟りなのでは無いかと思わせる程であったと言う。
そして丁度その頃に、彼女は家族に連れられて、鬱病の事や線香の事。続けざまに起こる不幸
な出来事について、ある霊能者の方に視ていただいたらしいのだが、その返事は「先祖がわざと
乗り越えられるだけの試練を与えている」といった内容であったらしい。
…また、彼女は次の様な体験もしていると言う。
それは、家族が入院して、夜中にお見舞いに行った時の事であった。
何気なく見た病室から、白く細長い光の玉が飛んでいく所を目撃したのだと言う。
その病室は「緩和ケア終末医療室」であったらしく、最初は、その光の玉が何かと言う事に気
付かなかったらしいのだが、徐々に彼女の中に恐怖心が湧いてきたのだと言う…。
それが人魂と呼ばれるものであると言う事に気がついて、誰かが亡くなったのだ…と。
そして、それ以来、彼女は夜の病院に行く事が怖くなってしまったのだと言う…。