仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話

     トイレの怪談


 水のある所には霊的なものが出やすいのだと言う。
 そして多くの人間が出入りする店舗などにも、それは多く存在するのだとか・・・。

 実際、トイレの怪談などは多く存在するし、私自身も幾度か声を聴いた事もある。
 それは、吐息や鈴の音。はっきりとした声から般若心経まで・・・。

 例えば、そんな声が日常生活の中で普通に聞こえていたとしたら、
はたして気付く事が出来るのであろうか・・・?


 ありえない環境。ありえない場所から聞こえてきたとしたならば、
 それがこの世のものでは無いと理解する事が出来るのであるかもしれない。
・・・しかし、それが聞こえてきても可笑しくない場所で、
聞こえても当たり前だと言う状況も逆にありえるのではないだろうか・・・?

 今回のお話は愛理さん(仮名)が高校3年生の時に体験したと言う、
そんな「日常に紛れた声」に関する心霊体験談である。

 彼女は当時、某有名百貨店内にある洋品店でアルバイトをしていたらしい。

 その当時から、時折、霊と思われる声を聴いていたらしいのだが、
それを話した所で信じては貰えなかったという過去の経験上から、
その事実は周囲には伏せており、ただひたすらに、
「その存在」を無視をする方向で生活していたのだと言う。

 彼女が当時バイトをしていたと言う洋品店のあった場所は、
あまり店員数の多いフロアでは無かったらしく、
閉店時は大概私の店には彼女と、他の店員が二、三人しかいない様な状況であったらしい。

 そう言った理由から、その「締め」の作業の中には、
隣のビルに繋がっているという非常口の施錠も含まれていたのである。

 その非常口の隣にはトイレも隣接されており、
中にお客さんが残っていない事を確かめてから施錠するのが決まりとなっていたのだと言う。

・・・そんな、ある日の事。

 いつもの様に「閉店を告げる音楽」が鳴り始め、
レジの締め業務を終えた後、その非常口の鍵を持ち、トイレの施錠へと向かったのでした。

 彼女はまず男子トイレに向かい、

「どなたかいらっしゃいませんか〜?」

・・・と、彼女は呼び掛けたのでした。

・・・静まり返ったトイレ。

 何も返事が返ってこない事から、誰も残っていないことを確認し、
男子トイレの施錠を終えた彼女は、次に女子トイレの前に立ち、再び呼び掛けたのでした。

「どなたかいらっしゃいませんか〜?」

・・・すると、若い女性の声で

「入ってまーす」

・・・と言う返事が返ってきたのでした。

(もう閉店なのに…)

 彼女は多少立腹しながらも、ここは大切なお客様の為と思い直したのだそうです。

「わかりましたー」

 彼女は、その「声の主」に向かって、そう返事をすると、
たまたまそこに来た別の店員の方に、女子トイレ内に、
まだお客様が残っている旨を伝えると、
そのまま施錠の為に、そのトイレの前でお客様が出てくるのを待っていたのだそうです。

・・・しかし、いくら待っても、そのお客さまは出て来なかったのでした・・・。

(あ、もしかして…)

 嫌な予感を覚えた彼女は、そのトイレに足を踏み入れたのだそうです。
すると、やはり案の定・・・。

 その三つあるトイレの個室は全て・・・無人だったのでした。

(やられた・・・)

 そう、彼女の聞いた、その声の主は「この世のもの」では無かったのです。
 そして、彼女はその日、どうやって店から出たのかは記憶に残って無いのだと言う・・・。

 ちなみに、その百貨店は、今も通常通りに営業を続けているらしい・・・。