仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話
         騒ぎ始めた霊たち。


 愛理さんの勤めている職場には、
私は良く顔を出しているのだが、何故かここに行くと良く「耳鳴り」が始まる。

・・・そして、それは聴こえてくる場所や、大きさにも変化が見られるのだ。

 彼女は、自分の職場では、霊感体質である事を隠しているので、
私も異変を感じた際には注意を払い、それとなく訊ねる様にしているのだが、
そういう時はやはり彼女も私以上に敏感に察知している様なのである。

 彼女曰く、最初のうちは時々、ラップ音の様なものが聞こえる程度であったらしい。
 しかし、それは徐々に具体的な動きを見せていく事になっていった。

 一時期、そこでは所謂『怖い話』が流行っており、
その頃から小さいものが動き始めたのだと言う・・・。


 それが眠っていた何かを呼び覚ます事になってしまったのであろうか・・・?

・・・そんな、ある日の事。

 彼女の職場に顔を出して、すぐの事であった。

 いつもよりも圧力・・・とでも言えばいいのであろうか・・・?
 とにかく大きな音。それが入り口周辺から聞こえており、
それは、かなりの不快感を伴い、頭痛まで引き起こす様な状況下であったのだ。

・・・正直、普段はどうという事も無いのだが、
その日ばかりは余りの五月蠅さに苛立ちを覚えた程である。

・・・それも、その筈。
 何故なら、その日に限っては、
その場から離れても聴こえてくる程に広範囲に渡る程の音であったのだ。

 ここで興味を示した私は、一体どの付近まで「影響」が出ているのかを、
その入り口周辺を歩きながら探ってみたのだった。

・・・音の聴こえる範囲を確かめる為にである。

 それは、半径にすれば2軒先ほどまでの範囲である事を確認した後に帰宅し、
その出来事については、後ほど彼女には、
どんな風に感じられたのかを訊ねてみる事にしたのであった。

 何故ならば、私は「この場所」については耳鳴りと言う形でしか、
「その存在・動き」の確認は出来ないのだが、
彼女には霊の声が聴こえたり、その姿を確認出来るという様な能力もあるのだ・・・。

 その答えが以下の文である。

『いや今日はですね、何か聞こえることはなかったんですよ。
 ただもう耳の奥がズキズキすると言うか、引っ張られてると言うか・・・。
 最高に不快感を感じてたんですよ。仕事が終わった後はですね。
 二階の更衣室で余りの気持ち悪さに10分ほど意識が飛びました。
 ・・・まぁ、正確には商店街を出てから症状は軽くなりました。
 自宅についてからは軽い頭痛だけで、普通にご飯も食べられますよ。』


 さて、お気づきの方はおられるであろうか?
 私達の感じたものに「ある共通点」がある事を・・・?

 それは「その一帯から離れるまで影響を及ぼしていた」と言う点である。
 「商店街を出てから〜」のくだりにあたる部分である。

・・・そして、ここでは時間帯に限らず様々な現象が起こり始めていたのであった。

 これからは愛理さんが体験し、報告があった中より、一部抜粋させて頂く事にする。

『午前中・・・まあ普通の平穏な日常でした。特に何もなく過ごしました。
 それからお昼休みになってですね。
 昼ご飯を食べて、さあ寝るか〜って段階になってですよ。

 一階の天井でピシッパシパシっとか、ドンとか音が始まりましてね。
 まあ二階にもスタッフがいましたし、
 何かしてるのかな〜って位にしか思わなかったんです。

・・・でも変なんですよね。
 どうやら一階の一番奥の真上でしてる様で、なんか耳鳴りまでして来るんです。
 その上って、基本的に誰もいない筈なんですよ。
 でも、まあ気にしなくてもいいやって。そう思って寝ようとしたら・・・。

 何だか・・・親父が唸ってやがってですね。
 何かを言ってたのかもしれませんけど、とりあえず唸ってるのだけは解りまして。
 その時にいたのは、いつものスタッフで、だれも鼾も寝言も言ってない。

・・・しかも、そのうち耳の奥が痛みだしまして、
急いで鎮痛剤を服用したんですが効果も無くってですね。
 結局、一睡も出来ずに午後の仕事が始まっちゃいました。

 後で解ったんですが、皆あのピシパシって音聞いててですね。
 二階にいたスタッフに「暴れてたでしょ〜」と冷やかしたんですが、
 暴れてないと全否定してましたよ・・・。』



・・・そして、これはまた別の日に起きた出来事である。


『まぁ、いつものように仕事をして、いつもの様に色んなものを聞いておりました。
 赤子の泣き声から、女性の叫び声や、男性の唸り声。
 何言ってるのか解らない様なものも色々と耳につきました。
 
 でも・・・。まぁ、今日はさほど耳も痛くないからいっか〜と考えていたんですが・・・。』


 タン…タン…タン 

(・・・・あれ?)

 タン…タン…タン

(キャッチボール?)

『天井からボールを投げ付けるような音が・・・。その時はまた休憩時間で、
 二階にスタッフがいまして、ボールで遊んでるんだろうと思ってたんです。
 まあ、後で聞いたら知らないと・・・案の定ですね。
 すると今度はそれから二時間後くらいにですね・・・』


 ドンドンドンッ!!

(・・・・は?)

 ドンドンドンッ!!

(太鼓・・・?)


『入り口の上付近から、かなり大きな太鼓の音がしてきましてね。
 それ自体はすぐ止んだんですが、そのすぐ後に今度はですね?』


 ザッザッザッ

(・・・何よ、今度は?)

 ザッザッザッ

(行進してる・・・)

『今度は何かが団体さんでね。
 行進してる音が聴こえてきたんですよね。本日はラップ天国でした』


・・・実はこれらの足音なども、
後日、他のスタッフからも聴かされる様になっていたのだが・・・。


 そして、私は以前から気になっていた人物についても、彼女に調べて貰っていたのだ。
 その人物は女性なのだが、泪さん(仮名)の事であった。

 こういった一連の霊的な動きが感じられた時には、ほぼ重なる様に、
彼女の顔つきは険しくなり、体調不良などをも起こしている事に気がついたのである。


・・・しかしながら、自分だけが感じているだけで、
実際には「そうでは無い可能性」も否定出来ない。

私は、その裏づけを取る為に愛理さんに「その件」に関して、
幾つかの質問を投げかけてみたのだ。・・・以下が、その返事である。

『何とも言いかねますね・・・。ただ・・・。
 ここ二、三日変に目につくというか、気にはなるんですが、
 それが何のせいなのかの判断はつきません。

・・・しかし、空気は、指摘されてる様に・・・物凄く悪いです。
 そして、大抵耳鳴りや声がかなり聴こえてくる時は、
 泪さんは、大概不機嫌か・・・体調が凄く悪いかのどちらかですね。』


・・・これは、憶測になるのだが、
彼女には「悪い影響を及ぼす類のもの」は、
少なくとも「この時点」では憑いている様には感じられなかった。
・・・と、言う事は。

 本人に自覚は無いものの・・・。
彼女は「そのいった類の影響」を受けやすいのでは無いかと思われたのだ。

・・・そして、それは同時に「別の背景」を私に知らしめる事となったのだった。

 実は泪さんは、この少し以前まで「性格が荒れている」様な印象を受けていたのだが、
ある日を境に・・・それこそ「憑き物が落ちた様に」それが消えていたのである。

・・・その変化から私が感じていたキーワード。それは「不倫」であった。

 そして、また彼女に訊ねてみる事にしたのだった。

『彼女は過去に所謂・・・不倫をしていませんでしたか?』

 ほぼ私の直感に近い感覚からの疑問を愛理さんに訊ねてみたのであった。
以下の文は、それに関する回答であった。

『不倫ですね・・・随分前ですけど、してたらしいですよ?
 それで、少し前に別れた彼氏も、女癖が酷く悪くて別れちゃったらしいです』


 実はこういうケースの場合だと、男性側に女性の生霊・・・。
解りやすく言えば「生きている人の想念」が、まとわりついている事も少なくない。
 それも、かなりの恨みを持った怨念に近いものさえ存在する。
 実は私も以前に不倫絡みの心霊写真の影響により倒れてしまった事があった。

 一説では、それは時に「生命の危険」すらもたらす事もあるのだと言う・・・。

・・・そんな中。この場所についての新たな事実が浮上してきたのだった。

 以前より、愛理さんが違和感を感じていたという場所・・。

 そこには数年間も放置されていたらしく、
もはや文字すら判別出来ない程に古びた御札が貼ってあったのだ。

 元来、御札と言うものは、その年「一年間」のものであり、
そのまま放置しておくと、やがてそれは霊的なものを呼び寄せると言う様な、
全くの逆効果をもたらしてしまうと言われている。
 この御札に関しては既に処分し、新しい御札に変えたらしいのだが・・・。

 実はそれ以前より、その場所はどうやら、
「曰く付きの物件」である事が明らかになったのである・・・。


 愛理さんの職場は元は飲食店であったらしい。

 これは、その頃の話らしいのだが、
そこのご主人が奥さんを猟銃で撃ち殺すという凄惨な殺人事件があったらしいのだ。

 そして・・・その場所が飲食店になる前。
 そこはかつて・・・井戸であったのだと言う。
 もっとも、両者ともお祓いは行っているとの事ではあったのだが・・・。

 ここからは余談になるのだが、家相・風水などでは、
『古井猥に塞ぐべからず』と言われており、
井戸は水神様のいる所なので、むやみに埋めると祟りがあるとされていると言う。

 古井戸を埋める場合にはお祓いは元より、
「水神様が息が出来る様に」とパイプや、節抜きの青竹を通すのだと言われているのだ。

 ちなみにその方法とは以下の様な手順を踏むとされている。

 まず、底の土や井戸の中の壁面の石などは、外に出して処分し、
 その後に青竹やパイプを立て、この際にゴミなどが入らない様に先を曲げる。

 埋める際には下から、砂、小さな砂利、中ぐらいの砂利、砂、土の順に入れ、
埋めた井戸には、植物などを植えて、その上を歩けない様にする必要があると言う。

 もっとも、この一連の怪異に関して。・・・その井戸や過去の事件について。

何らかの因果関係があるのかまでは、私には到底解らない事ではあるのだが・・・。