死を招く曲。
私の仕事中に入ってきた一本のメール。
・・・それは水城さん(仮名)からの報告であった。
「今、電車に乗ってるんだけど、目の前にいる女子高生に、
べったり男がついてるよ。何かあるね・・・この娘」
最初は正直、変質者でもいるんだろうか?
・・・そう思わせる文ではあったのだが、よくよく考えてみると、
わざわざ彼女からそんな連絡が来るとは思えなかったのだ。
・・・そう。それは「この世のものでは無い男」が張り付いているという実況であったのだ・・・。
そのメールが届いた際。
私は仕事をしている最中であったので、その際にすぐに返信は出来なかったのだが、
水城さんは「それ」に興味を持ったのであろう。
実に注意深く、その女子高生を観察していたのであった・・・。
「戦地から男は疲れ果て帰還した。古びたアパートメントに待つ女を真っ先に訪ねたが・・・。
彼女はもう旅立ってしまった後だった・・・。」
1930年代にベトナム帰還兵の心情に寄り添った曲として、「その曲」は作られた。
電車の向かいに座った三人の女子高生が、この曲名・・・。
それは、なかば都市伝説と化している曲・・・。
自殺に導かれる曲として知られ、逆再生したものを聴くと発狂するとも言われる
「忌まわしき伝説」を持つと言う「その曲」についての話をしていたのだと言う・・・。
それからまた話は変わり、 彼女達の話は10年近く前に打ち切りになった、
「某怪奇番組」の話に移り・・・。
そして聞いただけで呪いに関わるといった類いの話になっていったのだと言う。
そして、そんな中で中心に座っている一人の女子高生の顔色が急に変わったのだと言う。
急激に襲われたであろう、その恐怖心から、この話は止めようと言い出したらしいのだが、
両隣りの友人達は「ただの話じゃない」と、彼女をなだめていたらしい。
・・・しかし、そんな中、水城さんの眼は「ある者」の存在を捉えていたのだと言う。
それは顔を引きつらせた彼女の背後に存在する、
薄く不気味な笑いを浮かべた「この世のものでは無い複数の男性」の姿であったのだ・・・。
その女子高生の感じていた恐怖心は、どうもそれが原因らしいとの事であった。
そして、結局最後まで、彼女から恐怖の色が消える事は無く、
動くことすら儘ならなくなったであろう彼女は、友人二人に手を引かれ、
俯いたまま電車を降りていったのだと言う・・・。
霊的な類の話をしていると、霊が寄って来るとも言われているが、
彼女もまた、感受性が強かったのかもしれない。
そして自分が「そういうもの」に取り囲まれている事に、
感覚的に気がついてしまったのでは無いであろうか・・・?
私にはそう思えてならないのである・・・。