『死者からの電話』
携帯電話に関る霊現象にも様々な形がある。
受話器の向こうにいる相手には聴こえていない何者かの声や、奇妙な音などが聴こえてくると
いう現象も多数、報告されている。
また、一説によると、声帯という器官を持たない霊魂が、時にスピーカーなどの機器を通じて
言葉を発する事もあるという話も存在する。
今回の話は城戸さん(仮名)が神崎さんより聞かせて頂いたという、そんな『携帯電話』にま
つわる怪談である・・・。
城戸さんには、神崎さん(仮名)という女性の知人がおり、彼女自身は所謂、そういう類の話
を頑なに信じようとはしないらしいのだが、城戸さんから言わせてみれば、彼女自身が幾ら否認
していたとしても、第三者としての立場から言わせれば、彼女は間違いなく強い霊感の持ち主で
あるのだという。
・・・ある日の事。
神崎さんの勤務している会社の先代の社長から、神崎さんの元に珍しく携帯電話に連絡があっ
たとの事で、久し振りだと言う事も手伝って、長々と話し込んでいたらしい。
そして、しばらく会話を楽しんだ後に、彼との電話を終えたのであった。
そう。それが彼との最後の会話になるという事も知らないままに・・・。
しばらくすると、また彼女の元に今度は違う方から電話がかかってきたのであった。
それは驚くべき事に、先程まで彼女と話していた筈の、先代の社長が亡くなったという連絡の
電話だったのだ・・・。
彼女と話をしていた筈の、その時間には既に亡くなられていたと言うのである。
つまり神崎さんは、知らぬ間に『死者と携帯電話で会話をしていた』のであった。
また、不思議な事に彼女の携帯電話には、その先代社長からかかってきたという痕跡。
『着信履歴』は、何故か全く残っていなかったのだった・・・。