仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話

        清明


 今回のお話は沙恵さん(仮名)がまだ中学の一年生の頃に体験したという心霊体験談である。

 彼女は、昔から親の仕事の関係で中国に住んでいたらしく、その理由は分からないのだが、中
国では、四月四日には幽霊が現れると言われていたのだと言う。

 当日は、何も起きる事は無かったのだが・・・次の日の夜。
 今ではあまり時間を覚えていないらしいのだが、おそらく深夜の午後十二時頃だったと言う。

 その時、彼女は風呂から上がり、鏡台の前で髪を乾かしていたらしい。
 彼女の傍らには、母がベットの上で、横になっており、鏡に映っているのは、彼女自身の姿
と、その後ろにあるバスルームの閉まったドアだけであったと言う。

 幽霊が現れると聞かされていた四月四日は昨日だった筈なのだが・・・。
 何故か、鏡を見ていると彼女の中に何とも言えない恐怖心が湧き上がってきたのだと言う。


 そんな中、ベッドで横になっていた彼女の母が急にベットから立ち上がり、水を飲みにいくと
言い残して、部屋を出て行ったらしい。

 彼女がいた部屋のドアは開け放たれ、そこからはリビングの様子が見える様になっていたのだ
が、照明が消えたままのリビングは真っ暗で、その様子までは見え辛かったのだと言う。

・・・そんな中、彼女は理由も解らずに、何故か湧き上がる恐怖心に苛まれていたらしいのだ。

 そんな得体の知れない感情を抱きながらも、開け放たれたドアの方からリビングを、しばらく
覗き込んでいたらしい。

・・・すると、急に白く縦に長く、大きさにすれば丁度、人間と同じ位の長さの白い光の様なもの
がスッと横切って行く所を目にしたのだと言う。


 彼女が、その姿を目にしたのは一瞬であったのだが、それが俗に言う幽霊と言う存在であり、
確信はもてないものの、なんとなく女性であると言う感じがしたらしい。
 その後、水を飲み終えた彼女の母親は、何事も無かったかの様に、部屋に戻って来たと言う。

(お母さんが、何も見ていないのなら、あの白い光はどこいったのだろう・・・?)

 彼女のいた部屋は、母親の部屋であったらしく、そのすぐ横の部屋には、彼女の祖母が寝てい
たのだが、もし本当に女の人が通っていったのであれば、その通っていった方向からして、必ず
祖母のいる部屋に入っていった事になるのである。

・・・しかし、そんな様子はまるで無く、恐怖心が頂点に達した彼女は慌てて自分の部屋へと戻っ
ていったのだと言う・・・。

 そんな事が起きた次の日はまるで、昨日の夜に起こった出来事が嘘であるかの様に、何事もな
い一日であったらしい。

 後日、彼女が、その日に起こった出来事を友人に話すと、その友人の祖母はどうやら霊感が強
い方だったらしく、その方から聴いた話によると、幽霊が現れるのは四月四日と言われているが
実際は、四日から十二日位まで現れる事があるらしいとの事であったと言う。

 紗恵さん曰く、中国は、その文化や意識の違いからか、日本の様に幽霊などが現れると言う事
は滅多には無いのだと言うのだが・・・。

 彼女自身に関して言えば、今回の出来事が起こる以前にも、やはり中国で、夜中に家族のもの
では無い【聞こえる筈の無い妙な足音】が聞こえてきたりした事はあったらしい。

 しかし、直に幽霊を目撃した事はその時が初めてであったらしく、随分と年月が経った今となっては、あの夜の出来事自体が、はたして本当に現実だったのだろうかという気もすると言う。

・・・これは余談だが、彼女が実際に心霊体験をしたと言う四月五日頃は、中国では【清明】と呼
ばれる時期であり、お墓参りに行って、草むしりなどをする風習があるらしい。