大空を馳せる将軍
それは美穂さん(仮名)が水城さん(仮名)とメールをしていた夜の事であったと言う。
水城さんの元に身を寄せている霊団の中に、将軍と呼ばれる長がいるのだが、水城さんを通じ
て、色々な言葉を伝えてきてくれたのだと言う。
その言葉は、メールを送っている水城さん自身には、おそらく意味の解らない様な言葉だった
のかもしれないが、少なくとも美穂さんにとっては、今まで抱えてきた心の迷いを全て払拭する
様な、的確で温かい言葉であったらしい。
ちなみに将軍だが、水城さんも美穂さんもクリスチャンだと言う共通点がある。
その水城さんとのメールの最中も彼女は後ろから抱きしめられている様な、心地よい温かさを
感じていたらしい。
・・・すると、突然、水城さんより次の様な予告が伝えられたのだと言う。
「将軍様が美穂さんの夢に出ますよ。・・・ちなみに、こんな感じの方ですよ」
・・・と、一枚の写真が添付されていたと言う。
それを見て、彼女は大層、慌てふためいたらしい。
何せ相手は中世の貴族。そんな時代の礼儀など知らないし、英語も全く話せない。
「そうだ。晩餐会か乗馬との事だから・・・ワインを飲もう!いつものじゃなくって、ちょっと高
い方のワインを飲もう。・・・そうだ!クロワッサンも食べよう!・・・そうだ!賛美歌でも捧げてみ
よう」
などと歌ってみたり・・・とにかく、そんな風に慌てふためきながら緊張の中、眠りについたらし
い。
そして彼女は水城さんの予告通りに夢の中で将軍と対面する事になったのだ。
その前後のやり取りははっきりと覚えていないらしいが、美穂さんはセスナの後部座席に座っ
ていたらしい。操縦席に座り、彼女の方を振り向き「どうだ?いいだろう?」と、それは自慢げ
に空を飛んでくださっていたのだと言う。
その振り向いた顔は、水城さんが彼女に見せたという画像そのままの顔であったという・・・。
夢の中で、将軍は自らが運転するセスナに彼女を乗せてくださっていたらしいのだ。
そして朝、起きてすぐに水城さんに事情を説明するメールを送った所・・・「将軍様は大空に想
いを馳せたのでしょうかね」と、笑っていたらしい。
美穂さん曰く、自分の慌てぶりと緊張してる姿を見て、将軍様が現代風にアレンジをして、姿
を見せてくださったのかもしれないね・・・との事であった。
そして、将軍に対するイメージとしては、決して威圧感のあるものでは無く、まるで社長が社
員に自慢の品を見せびらかす様な・・・自分が素敵だと思っているものを、彼女にも素敵だと共感
して欲しいという様なフレンドリーな雰囲気であったと言う。
しかし、困った事に余りにもワインが飲みたくなるものだから、心の中で語りかけたと言う。
「ワインの懸賞には目に付いたもの全部、応募しますから飲みたければ自力で当ててください」
それを聞いた将軍は大笑いをしながら次の様に言ったらしい。
「何とも愉快な姫君じゃ」・・・と。
・・・さて、一連の事柄は、確かに単なる夢にしか思えないかもしれない。
だがしかし、私が長きに渡って水城から聞かされてきた将軍のイメージと、彼女の語る内容が
実はほぼ完璧なまでに一致している事は不思議ではあるのだ。
・・・それを、どう捕らえるかは読まれている方の判断次第になるのだが。