『夏祭りの夜』
今回のお話は、恵理さん(仮名)から寄せられた、知人の泰子さんの身に降りかかったという
何者かによって幽体を引きずり出されてしまったという恐ろしい心霊体験談である…。
それは、蛇を御神体として祀ってあるという神社での夏祭りへと遊びに行き、帰宅した後の出
来事であった…。
泰子さんは、お風呂から上がると、ベッドへともぐりこんだのだが、気が高ぶっていたせいか
なかなか眠りにつけずにいたのだと言う…。
そして、そのうちに足に奇妙な感覚を覚えたのだという。
それは、まるで足をグイグイと引っ張られる様な感覚であったらしい。
…そして、ズルっと強く引っ張られたと思った次の瞬間の事であった。
ふと周りを見渡すと、自分の部屋が下に広がって見えたのだと言う。
そして、その光景の中には、ベッドに寝ている自分の姿までもがあったのである…。
(私は…天井に…浮かんでいる?)
…激しい恐怖心が彼女を襲った次の瞬間の事であった。
彼女を、その肉体から引きずり出したものが、今度は彼女の抜け出した幽体を、天井で振り回
し始めたのであった。
…あまりに激しく振り回されていた彼女は、自身の幽体がバタバタと宙でくねるのを感じたのだ
と言う…。
…そんな極限の恐怖が、しばらく続いたらしいのだが、突然、バンッ!…と冷蔵庫に激しく何か
が当たる様な音がしたと同時に終わりを告げたらしい。
その大きな音と共に、彼女の足をつかんでいたモノは、外へと消えていったらしいのだ…。
…そして、気がつくと、彼女は元通りにベッドに戻っていたらしい。
それが夢では無かった事を証明するかの様に、後から見ると、その激しく音をたてた冷蔵庫は
見事にへこんでいたのだと言う…。
はたして彼女は、あの夏祭りの夜に、蛇を祀るという、あの神社で。
いったい何を拾ってきたと言うのであろうか…?