
愛理さん(仮名)の職場では、実に様々な現象が起きているらしい。
誰もいない筈の場所で突然、ドアが閉まったり、シャッターを開ける音がしたり・・・。
彼女がまだ、その職場に勤め始める前。
・・・かなり以前から、私はそこの常連であり、彼女とはそこで知り合ったのだ。
そんな経緯で私に所謂『霊感』という感覚が備わっている事は、
彼女の知る所となり、それが故に彼女もまた私に、
自分にも『霊感』があると言う事を伝えてきたのであった・・・。
・・・しかしながら実は。彼女に打ち明けられる以前から薄々感じてはいたのだが。
今回のお話は、その職場にて彼女の身を襲ったと言う心霊体験談である・・・。
彼女の職場では、比較的に休憩の時間が長く取られており、
ほとんどの方が昼寝をして過ごしているらしい。
・・・そんな、ある日の事。
彼女の職場に訪れた私は、玄関先で妙に心地よい香りを感じたのであった。
お香の香りの様な、花の香りの様な・・・。
それが気になった私は、彼女に何か特別な事をしたのかと訊ねてみたのだ。
すると、次の様な怪異が起こっていたのだと言う報告がなされたのである。
いつもの様に昼寝をしていた彼女は、突然。何者かに頭を鷲づかみにされたらしい。
それは明らかに『この世のもの』では無かったのだと言う・・・。
その後、彼女は酷い吐き気と頭痛に襲われたらしいのだ。
霊の存在に敏感な方の中には、消化器系統に影響を及ぼす場合や、
また、薬ではひかない様な頭痛を伴う場合も、かなり多いのである。
・・・そして、体調が悪くなってしまった彼女の頭の中では、
何故か、「南無阿弥陀仏」と言う言葉が、
繰り返し、繰り返し聞こえ出したのだと言う。
それは、先程の者とは異なる別の存在の仕業だと感じられたのだそうだ。
そして、いつの間にか、彼女自身も気付かない間に唱え始め、
その職場の玄関に置かれている『水晶の塊』に触っていたのだと言うのだ・・・。
すると不思議な事に、彼女を襲っていた吐き気や頭痛も、すっかり治まったのだと言う。
・・・その後に聞いた話によると、その際に彼女の頭に響いたという『南無阿弥陀仏』は、
彼女の田舎の宗旨である浄土宗のものであると言う事が判明し、
また、彼女が触ったという水晶の塊は、実はその数日前。
霊感体質である彼女の身を案じた私が『浄化』を行った方が良いと伝えたものであり、
その後、彼女は指示の通りに『流水浄化』を行っていたと言う事であった。
ここからは、あくまで私の推測になるのであるが・・・。
彼女を襲ったという霊の影響から彼女を護るべく、
彼女の直系の先祖である守護霊が彼女に働きかける事で、「南無阿弥陀仏』を唱えさせ、
浄化作用を持った水晶に向わせたのではないであろうかと思われるのだ。
そして、私が感じた「心地よい香り」に対しては、
何らかの形で、その水晶が関っているのでは無いかと。
実は内心。感じていたのであったのだが果たして・・・?