仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話

        物の怪。


 今回のお話は、私がこれまで体験してきた心霊現象の数々とは、異なるものである。

 その存在は霊とすら呼べない存在・・・正に物の怪と言う呼び名が相応しいもの。

・・・そんな奇怪なものに襲われた際の恐怖の体験談である。

 その日は、深夜遅くまでの勤務だった私が、ようやく眠る頃には既に午前四時を廻っていた。
 なかなか寝付けなかった私は、軽い睡眠薬を飲むと布団に潜り込んだのである。

 私の耳には、多少のラップ音は聞こえていたが、特に気にもせず、すぐに深い眠りに落ちていったのであった・・・。

 しかし、その日に限っては、私の深い眠りは続かなかった。

 ふと目を覚ました私は・・・その存在を視てしまったのだ。

・・・テレビの上にいる何か。

・・・ぐにゃりぐにゃりと、のたうつ何か。


 それは、顔の部分こそ人間に近いのだが、その顔すらもぐにゃりと歪んでおり、その身体はのたうつ様に形を変える為、馬の様にも蜥蜴の様にも視える二体の物の怪の姿であった・・・。


 その姿の余りの奇怪さに酷い恐怖心を覚えた私は、何とか退散させられないかと、色々と試してみたのである。・・・金縛りに近い状態でありながら、不思議と腕だけは動かせていたのだ。

 九字切りから、不動明王火界呪と試してみたのだが・・・その存在は全く動じなかった。

 効き目さえあれば、どんな術も試す。
・・・基本的に、無信仰な私は、そういう思想の持ち主である。

 そして、私は次に十字を切ってみたのであった。
 すると、その存在は僅かに反応を示したのであった。

「これなら、何とか退散させられるかも・・・」

 頭の中に十字架を、描きながら必死に「その存在」が、立ち去る事を願った。


・・・だが、それが逆効果になり、更なる恐怖を私にもたらす結果となったのだ。
・・・反応を示した二体の物の怪が次にとった行動。

 彼らは私の両脇に移動すると、その腕を私の腕に絡め、動けない様にしたのである。

・・・その物の怪の腕の感触は、私の脳裏に焼きついて離れない程におぞましいものであった。

 まるで、酷い皮膚病の様に、腕全体の皮がひび割れ、剥けた様ながさがさとした感触・・・。
 その生理的に嫌悪感を感じさせる様な腕が、私の両脇を捕らえて離さないのである。


 例えようも無い程の凄まじい嫌悪感と恐怖感が私に襲い掛かった。
 ・・・しかも、何時までたっても、その白く醜い腕を離してはくれなかったのだ。

 それだけでも凄まじい恐怖心が私を襲っていたのだが・・・恐怖はそこで終わらなかった。

・・・更に身の毛もよだつ恐怖が私を待ち受けていたのである。


 右腕を掴んでいた雌の物の怪が・・・私の耳元に口を寄せて来たのである。

(やめろ!!・・・やめろ!!)

 心の中で叫ぶ私に構わずに・・・その物の怪は、自分の舌を私の耳元に入れると、何かを流し込んできたのであった・・・。

 それが何かは解らなかった。・・・だが、唾液の様なものであったかの様に感じられた。
 それを二度ほど、私の耳の中に送り込んできたのであった。

・・・そんな気も狂わんばかりの恐怖の中にいた私は・・・不意に解放された。

何故か、二人の物の怪は、突然に姿を消したのである・・・。

 それがどれだけの時間だったのかは解らないが、かなりの長時間であった事は確かである。
 私が解放された時間・・・それは午前六時であった。

 それが、何者であったのかは、今もって不明である。
・・・しかし、おそらくは、人外の魔物だったであろう事は間違い無いであろう。

 そして、あの物の怪が二度と再びに現れない事を、私は切に願わずにはいられないのである。