共鳴する二人。
序章:聴こえてくるもの
霊感と呼ばれるものを持つ者同士が一緒にいると、
まるで共鳴するかの様に、霊的な出来事が多発する事がある。
みなさんは、そう言う話を聴いた事があるだろうか・・・?
今回は、そんな共鳴にも似た不思議な現象の話であり、私が呼び寄せてしまった災難。
・・・そして、それら一連の出来事が解決されるまでのお話である。
今回は長文であり、また同一時期に起こったとは言え、
それぞれの現象について関連性が無い事から、数章に分けて今回は語らせて頂く事にする。
実は私が彼女と逢っている時には、ほぼ毎回の様に不思議な現象が起こるのである。
以前、彼女と飲みに行った際の出来事と言えば・・・。
それは、窓から響く「窓に小石があたるかの様な音」が聴こえて来たり、
冷蔵庫からは「延々と流れる水の音」などが聴こえてきたものだ・・・。
そして、私自身は察知出来なかったのだが、彼女が指摘した場所。
「・・・女性が二人、何か話をしている」
そう彼女が指摘した場所に近づくと・・・。
そこで私の耳に聴こえて来たのは「見えざる者の含み笑い」であったのだ・・・。
さて、こういう日常の中で、私に憑いてきた者が現れたのだった・・・。
第一章:白い女性。
ある日、私が帰宅すると、自宅の居間に、
白いTシャツにショートパンツの女性が座っていたのであった。
その女性は、私が気付くと共に一瞬にしてその姿を消してしまったのだった。
そして、その数日後には、風呂上りにドアを開けると、
こちらを向いて立っていた、白く長いワンピースの女性と遭遇したのだ。
・・・そう、その姿はまるで、こちらの様子を伺うかの様に・・・。
しかし、それらの者からは、特に実害も感じられなかったので、
一週間ほどすれば、自然に離れて行くだろうと考えていたのだ。
少なくとも、その時の私はそう思っていたのだが・・・。
実は時を同じくして、実は私の右腕には赤い湿疹が出来ていたのだ。
私にとっての右腕とは、「霊の存在」を感知しやすい場所であり、
耳鳴りが始まると共に痺れや緊張を伴うという、
所謂「アンテナの様な役割」をしている場所である。
そして、その事については愛理さんにも伝えていたのだった。
『この腕・・・どうしたんですか・・・!?』
そう訊ねてくる愛理さんに対して、それが霊的なものだとは、
まるで考えていなかった私は、仕事上で扱っている商品に付着している、
薬剤の影響だろうと思っていたので、それをそのまま彼女に伝えたのだった。
・・・しかし、そんな私に対して彼女は次の様に指摘してきたのだ。
『・・・そんな、右腕と左腕で皮膚が違う訳がないじゃないですか』
・・・確かに、その通りであった。
そして改めて右腕の湿疹を見ると、
確かに私がいつも痺れを感じるラインに沿うかの様に、それは現れていたのであった・・・。
ここに至って、始めて私は全ての原因。
・・・そして、相手が何者なのかを考えて行く事にしたのである。
全ての事の始まりは一週間前。
まずは、それが女性であると言う事。
・・・そして、それが自宅に現れたと言う事は、
何処かで拾って来ている可能性があると言う事だと考えた。
また、何故か現れた女性の霊は、二人とも別人であると言う事・・・。
つまり拾ってきたとするならば、「複数人」存在するという事になる。
・・・では、一体「何が起こっている」と言うのであろうか?
しかも二人目の女性に関しては、私の「風呂上り」に姿を見せたのである。
実は私は通常、「清めと防御」の意味を持って、
必ず「日本酒を少々に粗塩を一掴み」を浴槽に入れて入浴している。
そして、この時期は異変を感じていた事もあり、
一種のショック療法の様なものなのだが、冷水を三度浴びてから、あがる様にしていたのだ。
・・・しかし、その通常の清めの後に「その女性」は現れたのである。
つまりは別の方法を、とらなければならないのだが、
まずは相手が「どういったモノであるのか」を認識する必要性を感じたのだ。
そして、何か対策を考えなければならないと思った私は、
愛理さんに、今度の休日に逢ってもらえないだろうかと連絡をしたのであった。
・・・しかし、その逢う約束をした前日に、私は全ての「事の発端」を思い出したのである。
そして、それを思い出す事により、全ての話が奇麗につながったのだった・・・。
第二章:事の発端。
そう。それは、丁度、一週間前の事であった・・・。
愛理さんの職場に立寄った私は、かなり強い耳鳴りを感じていた。
それは、同時に、私よりも感受性の強い愛理さんにとって、
かなり辛い状況である事を意味している事が解っていたのだ。
何とかして彼女の負担を、
少しでも軽くしてあげたいと思った私は、ふと「ある事」を思いついたのであった。
自分の右手は霊と呼ばれる存在に対して「敏感なアンテナ」と化している。
・・・ならば、ひょっとしたら「右腕」に吸引が出来るのでは無いかと考えたのだ。
そして私は右手を開き、意識を集中し始めたのであった。
・・・が、しかし。一向に治まる気配を感じられなかった私は、
私には無理だったかと思い、それっきり忘れてしまっていたのだった。
その場所は奇しくも、最も霊の存在を指摘されると言われている一角であり、
愛理さん曰く、最近は女性の声が良く聴こえると言う場所であったのだ・・・。
・・・それも一人や二人では無く、色々な女性の声が聴こえてくると言う場所なのであった。
そう。ここで全ての話がつながったのである・・・。
女性の霊が頻繁に現れると言う場所で、右腕に吸引を試みたものの対処は出来なかった。
・・・しかし、実際には、その時点で数人連れ帰ってしまっていたのだ。
そして、その代償として右腕に酷い湿疹が現れたのであろうと。
ならば方法は・・・ひょっとしたら。
『右腕に直接、日本酒を塗ってみては、どうだろうか・・・?』
そんな事をふと、思ってみたりもしたのだが・・・。
・・・ともあれ、翌日。
私は仕事帰りの愛理さんと待ち合わせて合流したのであった・・・。
第三章:アクシデント
愛理さんの仕事が終わり、無事に合流した私達は、車で移動しながら、
雑談をしていたのだが、その車中でも予想外のアクシデントが起こったのである。
他愛も無い雑談の中で、以下の様な会話をしていた時の事だった。
「そういえば動物霊の声って聴いた事無いんだよね。」
「え?そうなんですか〜?」
・・・その直後の事であった。
突然、彼女の座る助手席の窓から、甲高い「鳥のさえずり声」が響いてきたのであった。
「・・・鳥の声だったね?」
「・・・鳥の声でしたね。・・・動物霊って、あんなものですよ。」
「・・・いや、初めて聴いたなぁ。本当に君といると色々あるよなぁ・・・」
しかし、その声の余りの可愛らしさに、恐怖心などは微塵も感じられず、
二人で大笑いした位であったので、それは全く害の無いものである事だけは確かであった。
・・・そんなアクシデントはあったのだが、
何処かで今回の一件を話す為にと、私達はファミリーレストランへ趣いたのであった。
まず私は、右腕に吸引を試みた事から始まったのでは無いだろうかときり出した。
それに関しては、彼女も全く同意見であったのだが、
それに加えて、彼女が感じている事も教えて貰ったのだった・・・。
「いや、前に今日はいつもと違うなぁって言ってたじゃないですか?
生霊の類じゃ〜無いと思うんですよね?右腕にも赤い斑点が出来てるし・・・。
・・・実は以前ですね。私も顔に同じ様なものが出来たんですよ。
皮膚科の薬を使っても治らなかったんですけどね。
それで・・・日本酒を塗ってみると治ったんですよ。試してみてください。」
・・・そう。私が彼女に逢う前日に、ふと思いついた方法と同じであったのだ。
もはや間違いなく、この方法で右腕の異常は解消されると確信した瞬間であった・・・。
第四章:幽界へ続くトンネル。
とりあえず「相手と対策」が決まった私達は帰宅する事にしたのであった。
彼女の自宅に向かう道路には、2つのトンネルを抜けて行かなければならないのだが、
実は愛理さんは、トンネルが大の苦手なのである・・・。
以前、彼女と飲みに行った帰り道。・・・夜道を共に歩いていた際の事だった。
トンネルに入ったあたりから、お互いに無口になってしまった事があり、
そのトンネル内には一部、破損している箇所があったのだが、そこからは、
一種の恐怖感を覚えさせる何かを感じており、視線をそむける様にして歩いていたのだった。
(・・・・あそこ何だか怖いなぁ)
そう思っていた際に、彼女は私に、自分が感じるものを伝えてきたのだった。
『何だか・・・あそこ怖くないですか・・・?
まぁ、ビジュアル的なものもあるんでしょうけど』
・・・そう。その場所とは、先に私が感じていた場所と全く同じであった・・・。
さて、それはともかく、彼女を自宅へ送り届ける際の出来事に話を戻す事にしよう。
それは、「とあるトンネル」を抜け出た際の事であった。
・・・実は私の右腕が、また微かな耳鳴りと共にビリビリと痺れてきていたのである。
(・・・あれ?また拾っちゃったか?)
そんな思いを抱えながらも、私は黙っていたのであった・・・。
それから彼女の自宅に着くまでは、今思い起こせば、
やはり二人とも無言になっていたのだが・・・。
そう・・・彼女の口から発せられた「ひとつの言葉」以外には。
「また、あのトンネルを抜けて帰っていくんですよね?」
幸いな事に、この際に拾ってしまったものに関しては、
玄関先で粗塩を身体にふり掛けるだけで外す事が出来たのであった。
しかし、後になって聴いた話なのだが、
実はそのトンネルに入った際に、彼女は「ある恐怖感」に囚われたのだと言う。
それは、二度と出られなくなるんじゃないかと言う様な恐怖感であり、
出来る事ならば、そのまま引き返して欲しいと思える程であったのだと言うのだ。
私をはるかに上回る感受性を持つ彼女が、
そこで感じたものが一体何であったのかは不明なままではあるのだが・・・。
さて、ここからは、普段の清めだけでは、
祓いきれなかったものを祓う術に移らなければならないのだ・・・。
第五章:霊術・霊法。
家屋内の陰気を祓う方法として、
『線香を九本焚き、窓を一寸程開け放っておく』という術がある。
そしてまた、屋内の霊を追い出す方法としては、以下の様なものがある。
これは特に一定の場所から悪臭が漂ってくるという場合に効果が現れるのだが・・・。
一説では「酢」を使うらしいのだが、私自身は日本酒を使用している。
該当箇所。・・・今回に関しては悪臭などは感じなかったので、
あえて家の中心である箇所に念の為に行った方法である。
日本酒と白檀のアロマオイルを焚き、それよりしばらくして、
玄関より家の宗旨か、または般若心経を唱えながら十字路に、その酒を撒き、
その上から水で流す。そして帰宅する際には別の道を通って帰宅するというものである。
尚、この際には知人に逢っても決して言葉を交わしてはならないとされている。
以上の術式を試した後に先程、愛理さんにより伝えられた、
「湿疹の出来ている場所に日本酒を塗る」という事を試したのである。
『一週間ほど、続けてくださいね』
・・・という事だったので、実際に試してみたのであった。
実際には、最初の二日間には顕著な変化は見られなかった。
・・・強いて言うならば、少し腕の皮膚が黒くなったという点であろうか・・・?
だが、3日目から急速に湿疹は無くなっていき、
そして確かに一週間後には、私の腕に出来ていた湿疹は完全に完治していたのであった・・・。
少し穿った見方をすれば、それは単なる気休めであり、
日本酒の持つ消毒作用によるものであったのかも知れないし、
また思い込みによるプラシーボ効果の産物なのかもしれない。
・・・しかし、ここで特筆し、注目するべき点は、
皮膚科で処方された薬で完治出来なかったものが、
僅か一週間で完治したという紛れも無い事実なのでは無いだろうか?
そして、それが私の身にも同様の効果を及ぼしたという事実には変わりは無いのである・・・。