森の小人。
既に自然界の一部となってしまっている古い霊体・・・。
それは一般的に『自然霊』とも呼ばれており、
向こう側から、その存在を訴えてこない限りは、特に何も感じさせる事は無い様な存在である。
あえて言い方を変えるとするならば『精霊』と言った所であろうか・・・?
今回のお話は水城さん(仮名)から届けられた、そんな精霊の目撃談である。
それは、彼女の家から見て『隣町の外れ』にあると言う、
森の様な雰囲気を感じさせる緑の多い散歩道であったと言う・・・。
そこは初夏の時期になると、周りを囲む緑の木々も美しく、
吹き抜ける風も、とても気持ちが良いらしく、
彼女は晴れた日などは大抵、この道を抜けて歩いていく事も多かったらしい。
・・・そんなある日の出来事であった。
彼女はいつも通り、散歩がてらに、その場所へと足を踏み入れたらしいのだが、
その日に限っては彼女の周囲で、何故か草を踏みしめる様な音がしていたのだと言う。
そして、その音が何であるのかが気になった彼女は、
周囲を見渡してみたのだが、特に人の気配などは感じなかったらしいのだ。
・・・そうそこは、人気の無い森の散歩道。
そこで彼女は自身の感覚を研ぎ澄ませてみたらしい。
すると、小さな子供のような影が木々の合間を、
素早く駆け抜けて行く様子が感じられたのだと言う・・・。
何だか、それが微笑ましく思えてきた彼女は、
楽しくなってきたらしく、それを追いかけてみる事にしたらしいのだ。
・・・そして、ようやく彼女の視線が『その姿』を捉えたのだと言う。
それは木陰から悪戯っぽい笑顔で、彼女を覗き見ていたらしく、
かなり大きめのフード付のついた上着を羽織り、
茶色っぽい肌をした、二歳児くらいの小さな背丈の小人であったらしい・・・。
そして、その小人は最後に彼女に向って、
ニッコリと微笑みを投げかけると、そのまま姿を消したのだと言う。
こんな所で、こんなにも可愛らしい自然霊に遇えるとは、
思いもよらなかったと、嬉しそうに彼女は語ってくれたのであった・・・。