化石標本。
神野さん(仮名)は昔から、博物館で化石を見たり、史跡を巡ったりする事が好きで、
今でも良く出向いているらしいのだが、今回のお話は幼い日の記憶の中に残っているという、
彼女がまだ、幼稚園児の頃に体験したという実に不思議なお話である。。
ある日、彼女の通っていた幼稚園では、
恐竜の骨を復元して展示してあるという博物館への遠足が行われていた。
・・・そんな普通の光景の中で、その異様な光景は姿を現す事になったのだ。
彼女達がみんなで、ぐるぐると館内をまわって見ていた所、
何故だか目の前にあった巨大な化石が彼女を見ていたのだという。
それは、既に骨格しか残されてない只の化石標本の筈なのだが・・・。
彼女の眼に映ったのは、非日常的なものであった。
何故か黒くて大きい眼が、彼女をじっと見ていたのだと言う。
・・・そして、それは頭を傾げ、彼女の方へと向かって来たらしいのだ。
彼女は驚き、「あれ!動いてる!」と叫んだのだという。
他の園児達は「え?どこ?どこ?」と大騒ぎになってしまったらしいのだが、
結局の所、『まだ子供だから見間違えたのだろう』と先生に言われたらしく、
彼女は膨れていたらしいのだ。
「ちゃんと動いてたもん!嘘じゃないもん!」
・・・そんな彼女の訴えを信じる大人はいなかったと言う。
それは、そうだろう。
化石標本に見つめられ、ましてや動き出した等と言う話を、
信じる大人なんていないであろう・・・。
それを自分自身の目で見たと言うならば、ともかく・・・である。
神野さん曰く。
確かに「プテラノドンの骨」は、天井から吊されていたので揺れていたけれど、
それとは明らかに違っているとの事であった。
何故ならば・・・動いていたのは。
そして、眼が見えたのは『それ一匹だけではなかった』のだから・・・。
たくさんの恐竜がこちらを見て、動いていたのだと彼女は語る。
しかし、それは悪意に満ちたものでは無く、
まるで犬の様に優しくて暖かい眼だったのだという。
・・・そして彼女は、何となく。
彼らの大きさが私には頼もしく思えてならなかったのだという・・・。
それは果たして、幼稚園児の見た白昼夢であったのか。
または、遠い記憶の中で作り変えられた偽りの記憶であったのか。
現実的に見れば、そういう事になるであろう。・・・だが、しかし。
それが「彼女にとって事実だった」とすれば、どうであろうか・・・?
霊的な見地から見れば、幾つかの仮説が成り立つ気がするのでは無いだろうかと。
私には、そうも思えるのである・・・。