仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話
       赤い服の女の子 3


 夢か現か幻か・・・。

 今回のお話に関しては正直な所、心霊現象であったのかと問われれば単なる夢かもしれない。 寧ろ、その可能性の方が高いのかもしれない・・・。

 確かに、そう思わせる様な内容ではあるし、私自身も答えが見出せない事柄なのである。

 しかしながら、それが単なる夢なのかどうかの判断には、正直迷っている事も確かであり、
この事柄に対して恐怖心を抱いたのも、また確かなのである。

 そして、今回のお話は、そんな曖昧な面を持ち合わせている事を前提にして、その判断は、
読まれる方に委ねたいと思う・・・。


 それは、ある日の夜の事。
 霊的なものに関して敏感な私の腕に【異変】が起きていたのだ。

 静脈が異常に浮き出したかと思えば消え、赤い痣が浮かんだと思えば消えてを繰り返し、
 手の甲に至っては、何故か【深緑色】に変色を始めていたのである・・・。

・・・血行でも悪くなってるんだろうか?

 正直な所、そんな事も思ってはいた。
・・・だがしかし、過去にその様な状態になった経験はまるで無かったのである。

 浮き出る血管。・・・深緑に変色する腕。・・・赤い痣。
 それらが浮かんでは消えて行くのである。

 そして何より・・・【酷く嫌な気配】を感じていた。
 それは、かなり【強いもの】である事を感じさせる気配・・・。

 それに伴い、何故か左耳を塞がれている様な感覚に陥っていた。
 そう、それは【その気配を発する何か】のいる方向でもあった。

・・・しかし、それが何なのかは理解出来ずにいたのだ。

「お香を焚いた方がいいかもしれない・・・」

 ふと、そんな事も頭を過ったのだが、面倒に思った私は、それを行う事は無かった。

 今となっては、それを行なってさえいれば、ひょっとすると【回避できた事柄】なのかも
しれないとも思うのだが・・・【後悔先に立たず】とは、正にこの事である。

・・・しかし、相手が視えていない状況下であったが為に、考えた所で結論など出る訳が無い。

 それが【どの様なもの】であるにせよ、寝れば何か解るだろうと考えた私は、ともかく眠り
に就く事にした。

 朝までに何も起こらなければ、それで何も問題はない事である。

 しかし同時に、もうひとつの可能性も考えてはいたのだ。
・・・その気配の持ち主が姿を現すかもしれないという可能性である。

 そして、【現れる可能性が非常に高い】であろう事も感じていたのだ・・・。

 ・・・なかなか寝付けないなぁ。

 そんな事を考えながらも、私は何時しか眠りに落ちていったのである。

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 そして次に、私の意識が眠りの中より覚醒した時は既に身体が動かない状態であった。
 それは所謂【金縛り】という状態である。私にとっては、実に十数年振りの金縛りであった。

・・・そして、そんな状態の私の横には、一人の少女の姿があったのだ。

 その服装と言えば・・・おそらく昭和30〜40年代頃であろうかと思われる赤いワンピース。
 髪型もまた古く、所謂【オカッパ頭】にしている少女であった。

 その赤い服の女の子は何も言わずに・・・ただ其処に存在していた。

 声さえ出せれば金縛りは解ける。

・・・それはかつて、私がまだ若かった頃の教訓である。

 しかし私の場合、金縛りと言われている状態では、眼球のみが動くのだが、身体も動かず、
声も出せない様な状況に陥ってしまうのだ。
 正直、この状態に陥ってしまうと、声を振り絞るだけでも相当に困難な事なのである。

 声も出せず、身体も動かない状態の中で、その傍らには【この世のものでは無い女の子】
が立っているのだ。・・・その恐怖心は尋常では無かった。

 しかし、その反面、私の中に、もうひとつの感情が湧いていた。

「絶対・・・こいつの顔を見てやる」

・・・自分を金縛りに遭わせているものの正体を突き止めたいという感情。
 それは【自分に金縛りを仕掛けている者に対しての怒りの感情】でもあったのだが、加えて
相手の正体を見抜く事から、解決の糸口を見出すという意図も含まれた上での事であった。

 そして、この状況こそが【夢か現か】の判断を狂わせる最大の要因なのだが・・・。
 私はろくに力の入らない手で、その女の子の手首を掴んで離さなかったのである。
 少女の顔を確認する為に・・・。

 しかし、現実的には肉体を持たない筈の【この世のものでは無い存在】である。
 常識的に考えれば【肉体を持たないものを掴む】という事は在りえないのでは無いの
だろうかと考えたのだ。
 そして、これこそが私の判断を鈍らせる最大の要因でもあるのだ。

・・・とは言え、心霊的な見地からすると【在りえなくも無い】と言う微妙な解釈は出来なくも
無いのだが、それは【極めて異例な現象】だと思うのだ。

 ともかく、その少女の手首が【異様な程にやせ細っていた事】が強く印象として残っている。
 そして、逃がさない様に必死に腕を掴んだまま、幾度も顔を見ようとしたのだが、何故か、
その少女も【顔だけは見せない】様にしていた様に感じられた。

 時に顔を背け、時には布団に顔を埋めて。
しかし、もしかすると・・・【顔自体が存在しなかった】のかもしれない。

・・・そんな中で不意に少年の声がした。それは、まだ幼い少年の声であった。

「その子、小学校の低学年だよ?」

 私の頭上に少年が立っていたのだ。
 咄嗟に私は息子が起きてきたと思い、必死に息子の名前を呼び続けていた。

 なかなか発声する事が出来なかったのだが、息子に家内を起こしてもらい、異変に気付いて
貰いたいと言う一心からであった。

・・・幾度も幾度も。それこそ必死に呼び続けたのである。

 必死に振り絞ろうとする声が、声にならない【もどかしさ】と、必死に掴んでいる少女を、
逃がさない様にすると言う、ふたつの感情が私を酷く焦らせていた。

 そして、ようやく息子の名を声に出して呼ぶ事が出来た瞬間に、金縛りは解けたのだが、
既に、そこには少女の姿はおろか、何の気配も感じられなかったのである・・・。

「金縛りか・・・・」

 一人、そう呟いて時計を見ると午前二時四十五分であった。

「こりゃ、早く寝ないと明日の仕事が辛いよな・・・」

 そんな事を考えながら息子の方を見ると、すやすやと眠っている息子の姿があったのである。

 よくよく考えて見ると【この世のものでは無い少女】がいる様な状況で、幼い息子が冷静で
いられる筈も無い。

・・・では、私の頭上に立っていた少年は一体誰だったのであろうか?

 ともかく私は気を落ち着ける為に睡眠薬を飲むと、再び布団へ潜り込んだのであった・・・。

 さて、今回のお話は実際の所、眠る前に感じた異様な気配や腕に起こった異常により、
今回の金縛り中の体験が単なる夢であるのか・・・或いは心霊現象であったのだろうか?

 なればこそ、実話怪談として銘打っている「夜伽話」としては、あえて断定はせずに、医学的な見地から見た【金縛り】と呼ばれる現象の見解を最後に記しておく事にする。

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 金縛りに関して医学的に解釈すると、睡眠麻痺と呼ばれる睡眠時における全身の脱力及び、
意識の覚醒が同時に起こった状態であるとされ、原因としては不規則な生活や寝不足に過労。
 または時差ボケやストレスなどから起こると言われている。

 また、脳が覚醒していない事から、人が上に乗っているように感じたり、また部屋に他人が
入っているのを見たり、耳元で囁かれた、体を触られているといった様な【幻覚を伴う】事も、あるらしく、所謂【夢の一種】であると言われており、故に【心霊現象】と思われる事もまた
多いのだと言う。

 しかし、この医学的な金縛りに関しては、その方の体質もあるとは思われるのだが、必ず前兆
があり、強い圧迫感を伴う独特の不快な前駆症状から数秒後〜数分後に金縛りになるという・・。