仮面ライダーフリークス&恐怖!夜伽話

飢えた妖怪

始めに。

これは私の身に降りかかった、
実に5ヶ月に及ぶ出来事であり、予期せぬ災いの話です。
かなり省略させてはいるものの、非常に長文となってしまいました。
その為に、この話に限り段階を追って語っていく形をとらせていただきます。

また、この件に関られた多くの方々に、
この場を借りまして感謝の気持ちをのべさせて頂きます。

その節は本当にありがとうございました。


第一章:傷

私は以前、胃腸に激しい痛みを感じ病院へ行く事になった事がある。
そして胃腸にカメラを通した、その検査結果・・。

胃炎と胃潰瘍の中間の様な状態であったらしい。
・・しかし、医師からはこうも付け加えられたのだった。

その映像を観ながら伝えられたのだが、非常に稀な形であるという。

そう、その胃壁につけられた傷はまるで・・・何かに引っかかれた様な。
動物の爪によって傷つけられた様な状態だったのだ・・。



その話を聞いた私の有人であり、強い霊感の持ち主である彼女。
「高山さん(仮名)」の助言から、この物語は始まる事となった。


「ちょっと待って。それって・・生霊じゃないの?」

彼女は自分自身が以前「生霊」に襲われた際に、
ブレスレットに傷をつけられたという話をしてくれたのだった。

生霊・・・それに憑かれた経験は確かにあった。
そう、生霊には圧倒的な存在感があるのだ。
それはまるで、そこにいるかの様に感じられる時も。


しかし、今回「全く気配」を感じなかった私は、最初は違うだろうとも思っていた。
だが、その一方で気になる事もあった。

そのブレスレットにつけられたという傷が、
私の胃につけられた傷と・・・あまりにも良く似ていたのだった・・・。

・・・もしも「生霊」の仕業であるならば、それを送った人物を特定するしか無い。
その発生時期に誰かと何かが起きたのでは無かったか?
心当たりの無かった私は、そこに注目し考えを巡らせた・・・。

しかし、意外にも早く「その人物」は見つかった。

ご主人と子供がいながら「不倫」をしている女性「吉川さん(仮名)」である。

彼女は独身である30代中盤の上司。
「伊東部長(仮名)」との関係が職場でも噂になっていたのだった。

伊東部長は私の部署とも関連があり、私の上司でもあるのだが、
それ故に、私の部署で働いていた彼女は別の部署へ移動になってしまった。


しかし、どうやら吉川さんにしてみれば、
「私が移動を止めなかった」と逆恨みをしていた様なのだ。

そして、その移動の当日こそが、私が体調を崩した日であったのだ・・。

逢って話をしなければ・・そう思っていた私は、
職場に復帰した後に、彼女に事情を話す機会があった。
そして彼女は、その事に関しては納得をしてくれたのであった。

「仕方ないね・・・。」

・・・そして、私の体調も徐々に回復していったのだ。

しかし、これまでの出来事は、これから始まる出来事の・・。
ほんの序章にしか過ぎなかったのだが・・・。



第二章:霊視

それから3ヶ月。私は彼女の動向を観察していた。

まずは彼女の悪口を言っていた「梶さん(仮名)」という女性は、
私と同じ様な症状で会社を長期休んでしまった。

そして不倫をしている「伊東部長」本人。
休みこそしないものの、傍目から見て体調を崩していることが解かる程であった。

ひどく咳き込み、胃の不調を訴えていた・・。

そう、彼女に関係している人物が、この短期間で私を含め、既に3人・・・。

確かに偶然かもしれない。

・・・しかし、私は既に「普通じゃないもの」を感じていたのだった。

そして私は彼女に接触する事にした。
その漠然とした不安を「確信」に変える為に。

もしも今後、影響を及ぼす事があれば、それを未然に防ぐ為に・・である。

まずは一番最後に体調を崩した「伊東部長」との事である。

私は彼女にメールを送った。
「最近、伊東部長とは、うまくやってるの?」

彼女からの返信はこうだった。
「いや、もう別れたよ!」

そんな筈は無いのだ。既に私には解っていた。
確かに周囲には、そう言っていたらしいが・・・。
それでは私が感じている事との「つじつま」が合わない。

「いや、そんな嘘はどうでもいいから。で?実際どうなの?」

・・・やはり別れてはいなかったらしい。
何故、それを嘘だと断定したのかに戸惑っていた様だ。
しかし、話を聞くと特に喧嘩をした訳でも無い様だった。
むしろ、仲良くやっているとの事だった。
私も少々、見当が外れたので面食らったのだが・・。

後に、その本来の意味を知る事となるのだが・・・。

その時点で私は、こう推測をしていたのだ。
「彼女は念を送る力が強いのでは無いだろうか・・?」

私は彼女の霊視をしてもらう事にした。

残念ながら私には自分の意志で霊を見る事は出来ないからである。

その為に、まず彼女の写真を送ってもらう事にした。
彼女の「念」を封じることが出来れば・・・。
また、彼女に憑いてるものが外れれば、その影響も無くなるのでは無いだろうか?
そう考えたのだ。


既に私に「不倫が続いている事」を見破られていた彼女は、
疑う事も無く、素直にその指示に従った。

そして携帯で撮影されたという「その写真」が私の元へ送られてきたのだが・・。
私は、それを見た瞬間に閉じてしまった。

「・・・あの馬鹿!これって心霊写真じゃね〜のかっっ!!」

一人、パソコンの前で毒づくと、私もお世話になっている方・・。
遠隔霊視・除霊を得意とする「深町さん(仮名)」に、その写真を送った。

その2日後。メールの返信が届いた。

「添付写真を加工して返送しました。
 丁度この部分に男性らしい生霊が写ってます。
 心配・・・というか、
 彼女に近づく男性を排除しようとしてますから、ちょっと・・・」

私は、その事を彼女に伝え「なるべく男性に近づかない様に」とお願いしたのだった。
そして、また深町さんに伝えられたパワーストーンや簡易的な除礼法をまとめて、
メールに添えて送り、以後なるべく近づかない様にしていたのだが・・・。


そして数日後、以前「生霊の可能性」を伝えてくれた高山さんに、
「その写真見てみますか?」・・と同様の写真を送った所、
この様なメールが返信されて来たのだ。

「左上の隅のあたりに、おそらく3体はいるでしょうか?
 それと、髪の毛に被さるように1体。
 これは他の方と意見が一致するか否か解りませんが、
 髪の毛にいる人がおそらく生霊でしょう。

 それと、喉元に影のような黒い手があります。

 彼女、かなり間口の広い人ですね。
 しかも、だらしがなく人にそれをべらべらと話してしまう。

 おそらくは、憑くべくして色情霊が憑いたのでしょう。
 それが3体かと思われます。
 実際はもっといるかも。前髪の所とか、浮いてきてませんか?これ?

 逆の言い方をすれば、こういう人と関係を持つと
 生体エネルギーと自分の運気まで吸い取られかねません。」


私は視る方が異なれば、感じる波長や性質から、
同じ写真でも
異なるものが視える事もかもしれないと思っているのだが、
今回「指摘」された生霊の存在は、ここで同一の見解を見せていたのだ。
もはや、疑う余地は無かった。

しかし、この頃、近づかない様に注意した筈の「吉川さん」から、
私の元に頻繁にメールが届く様になっていた。
まだ、この頃までは簡単ではあるがメールの返信も行っていたのだ。

そのメールの中には、「今度、一緒に飲みにいこう。腹を割って話がしたいから。」
・・そんな誘いもあったのだが、危険だと判断した私は丁寧にお断りさせて頂いた。
憑依体質である自分が、彼女と関る事に恐怖を覚えたからである。


しかし、彼女は「男性に近づかない様に」注意したにも関らず、
私の部下である川畑くんと、私の通う整骨院にまで一緒に来る様になっていた。


この女は、どれだけ注意しても解らない・・・。
この頃から私は既に怒りすら覚えていたのだった・・。


第三章:霊障

そんな中、私の体調に異変が怒り始めた。・・・頻繁に起こる耳鳴り。
それは、金属的でいて、突き抜ける様な感じのするものであった。

そして突如、襲い掛かる吐き気・・・。
以前、胃に傷を確認して依頼、
胃壁の修復・胃酸を抑える薬を飲むようになっていたのだが、
その薬すらも、もはや効かなくなってしまっていた。

そして、その吐き気は決まって深夜に襲い掛かってきたのだ。
それも規則的に深夜。・・・午後0時半。

また私の眼には「伊東部長」が映る事まで起こり始めていた。
そして、その事はまた高山さんにもメールとのやり取りで伝えていたのだ・・。

・・・数日後のことである。
私の携帯電話に突然、メールが入ったのだ。
他ならぬ、高山さんからのメールである。
しかし、その日のメールは、いつもの冗談交じりのメールとは、
明らかに異なる「緊急連絡的な内容」のメールであった。

「ひょっとしたら彼女の狙いは貴方かもしれない。
 詳しいことは後でメールするけど、
 彼女からのメールは返信すらしない様に。
 出来るだけ近づかない様にして、肩を叩いたりもしない様に。
 じゃないと、彼女の餌食になりますよ?
 ・・実際、写真を見ると増えてました。とにかく、触らぬ様に。」

実は高山さんが「この様なメール」を送ってくるという時は、
私の身に非常に危険が迫っていると感じた時だけなのだ。

慌てて帰宅した私に届けられていたメール。
それは高山さんの師匠とも言える人物。
「大下さん(仮名)」よりの霊視結果の報告であった・・。

 
大下さん曰く、顔全体に動物霊が覆ってるそうです。
 見た瞬間から
「うわっ、これは駄目!動物が憑いてる!駄目駄目!!相手にしたら駄目!」

「頬から向かって右側に何かあるとは私も思ってたんですが、
 どうやらそこには彼女の母親か、その生霊が憑いてるそうです。

 はっきりと言いますが、彼女の今の狙いは君でしょう。

 絶対に彼女には接触しないようにしてください。
 指一本触れるだけでも、大げさな言い方をすれば生気をとられます。
 男性は彼女の「餌」です。現在の不倫相手も単なる餌です。
 喰ったら次へ行こうと言う事なのです。メールも一切返さないようにしましょう。

 生霊も彼女が自分で作り上げてるらしいです。
 その吐き気も部長さんの念も彼女の飛ばしてきてるもの。
 写真の目つき・・特に右目が完全に被さっていて、
 完全に獲物を狙う目になってるとの事です。」

生霊。色情霊。動物霊。・・・そして人工造霊。
彼女には一体、どれだけのものが憑いているんだろう・・・。

現在、吉川さんは伊東部長と不倫してる筈なのに。
私を狙っているとは一体どういう事なんだろう・・・?
・・・その真偽はともかく、私はこれ以降。
彼女とのメール返信をも全て止めて、出来るだけ避けて通ることにしたのだった・・・。


第四章:獲物

更に数日が過ぎた頃。この心霊写真を巡り、
複数の方による合同鑑定が、行われたとの事でした。

吉川さんにより送られてきた一枚の心霊写真は、その後も変化を続けていました。
私も意見を求められたのですが、私には鑑定能力もありませんし・・・何より。
吉川さん本人を知っている事も関係しているのでしょうが・・。
その写真自体が恐ろしくて、ずっと視ている事自体が無理だったのです。

さてここからは、その合同鑑定の話をさせて頂きます。
これまでの一連の流れと、吉川さんに対して語るものでもあったのです・・。
その中から一部を抜粋し、その報告が私に届けられたのでした。

 「しかし、あの写真の御仁の人相は、色欲系…ほんとに本能のままですね。」

 
「写真の人、頭透けてない?
  透けると言うより、居る…
  ひたいに、モヤっとしたものがあるから、
  透けてるせいかなぁ・・・と思ったんだけど
  そう、この人以外の女性も右側に・・。」


 
「やっぱり居るんですね。」

 
「顔のパーツがばらばらと言うか、
  上と下で違う人みたいに見えたのは、そのせい?
  目は左右違う人格を感じられるなんだか、ちぐはぐな・・・と。
  何だか、まるで寄せ集めの様な・・・。
  そして右目がね・・・ちょっと、怖い・・・。
  幼そうに見えたり、男の子のように見えたり・・・落ち着かないよ。」

 「彼女、人格がいくつかあるんじゃないかな・・・右目、左目、口元、全て違う
  実際に話をしてみないと、分からないけどね。口元は、ふたつが重なり合ってる。」


 
「そう、右目から来る思念は、かなり攻撃的・・・。獲物を狙う目だね。
  この娘は、ハイエナ的な、嗜好があると思う。あるのは、獲物だけ・・・。」


 
「ここらへんが完全に動物的だといわれる所以なんでしょう。」

 
「窓にも・・・うん、窓は良く解る。」

 
「やっぱり窓にもいるんですね。
  
・・・で?増えてるよね?」

 
「喉の所は男だね。」
 
 
「私は、それ子供だと思ったんだけど・・。
  しかし、飢えた妖怪だなぁ・・・。顔の上にも、いろいろいるねぇ。」


 
「うん、右なんてなかなかなものだね…滅多にお目にかかれない。
  こんな魂を食い散らかす奴は久々に見た。
  その上、右側の妖怪は頭も良い…こんなのに魅入られたくないな。欲深そうだし。」

  
 
「それ、時間が経って浮いてきたんですよ。いろいろ動いてますね。」

 
「今時珍しい原始的な霊ですよね。
  まぁ、欲だけで動いてるんだから、そうでしょうね。色欲…。」


 
「本当に、この娘は男と関係してる時は、歳を取らないよ。・・聞いてごらん?
  生気を奪うとは、そういうことなのか・・・。
  男を喰ってないと急に老ける。・・・旦那は心の栄養にはならないと思うよ?

  
左の頬に居るのは女性っぽいですね。女性の多い会社なのでは?」

 
「・・・彼女、幸せでは無いんだな・・・。
  幸せなら、あんな目はしていないよね
  ご主人も、不倫相手の部長も、幸せではないね。」


 
「気のせいかなぁ・・・写真が、だんだん暗くなってきてるんだけど。」

そして、この下がかなり重要なのでは無いかと、そう私に伝えられました・・・。

「吉川さんと彼(私)に、共鳴するものがあって嫌がっても、引き寄せるのよ。
 引き込まれたら、泥沼だと思うよ?彼女のほうが強いみたいだし・・・。」

それを踏まえた上で、高山さんが出した結論が、最終的に以下の様なものであった。

 「彼女の写真から貴方を連想すると、SEXの匂いを感じるのよ。
  いやらしい気を感じるのよね。
  私はね。彼女、完全に狙ってるなって思ってたよ。それが酷く、破壊的に感じるの。
  
 
「まぁ、寝たら終わるよ!あのタイプは!で、良いのでは?」

共鳴するもの・・・それが私には何を表すのかは解らなかった。
強いて言うならば、確かに私は不倫に対しては、
少なくとも他の方よりは「たいして抵抗」も無いとは思う。
それは本人の自由意志だと思っているからであるのだが・・・。
しかし、私自身は吉川さんに特別、惹かれてはいないのだ。

彼女は職場では確かに、何かと私に親切にしてくれてはいた。
・・しかし、私は彼女と親密になる気は、まるで起きなかったのだ。
何故なら彼女には当初から「腹黒さ」を感じ取っており、
それ故に、彼女とは親しくなろうという気すら起きなかったのだった。

そして高山さんによれば「彼女の念を封じる事は出来ない」という事であったので、
私は彼女から逃げるしか手は残されていなかったのだ・・。

魂を食い散らかす・・・頭のいい妖怪・・・。
そして嫌がっても引き寄せられると。
私はこの時点で既に、人に語る事すら恐ろしくなっていった・・・。


第五章:終焉


「嫌われた方がいいでしょ?こんな変な女に関っちゃ駄目。家族を大切にしなさい。」
高山さんは、私にそう忠告してくれていた。

この頃、私の身には突如、背中に錐で刺された様な痛みが襲う事も起き始めていた。

そう、私の中にはもう既に躊躇いは無かった。
「嫌われた方が確かにマシだ。」・・・そう思える様になっていた。
同情も何も全て捨てて、離れる事に、まずは重点を置くことにしたのだ。

「俺にはオマエに何の用も無い!出て行けっっ!」

彼女の念を感じた際には、必ず追い返すように叫ぶ様にしていた。
それは時に口に出すこともあれば、心の中で叫ぶ時もあった。


そして私は高山さんの薦めにより、ある晴れた日の午前中。
私は近くの神社に「縁切り」の願いを込めて参拝させて頂いた。

・・・そして、その翌日の事であった。
確かに仕事の話であったのだが、
私に言う必要性が感じられない事で、吉川さんが話しかけてきたのだった。
最初は「ああ。他の人に伝えておいて」と素っ気無く繰り返し言っていたのだが、
なかなか私に話しかける事を止めてくれない・・・。

徐々に私の中で怒りが込み上げてきた。

私に近づくなと幾度と無く言っても近づいてくる。
また、注意した筈なのに川畑くんと一緒に出歩いている。
そして今、また私にこうして近づいてきているでは無いか・・・。

こいつは・・・・もう無理だ。
私は彼女に引導を渡した。

「あのさ。この際だから言っておくけどさ。
 いい加減にして貰えないか?
 オマエの所から散々飛んできてるんだよッッ!!
 話しかけないで、メールもしないでくれ。
 何かあったら他の人を通して伝えてくれッッ!!解った!?」

随分ときつい言い方になってしまったのだが、
この位の事を言わなければ彼女は解らなかっただろう。
今までも散々としてきた注意を守らなかったのだから。
彼女は、次の様に言い残し、去っていった。

「ああ。やっぱりね・・。」


そして、それを最後に私は吉川さんとの接触を全て断つ事になりました。
私を襲っていた吐き気も嘘の様に引いていき、
彼女に近づきさえしなければ、体調も安定する様になったのでした。


・・・しかし、その写真は未だに変化を続けているとの事です。


「左目に更なる違和感が出てきたね。この写真もよく動くね。
 流石にガッツリ言われたことで、かなりがっかりというか
 我がモノにできなくて悔しいとか、そういうものが左目に出てるのかもしれない。
 左目の下、シミの上に赤い何かも浮いてきたし。
 唇の上に小さく唇が重なってるのもはっきりしてきた。

 大下さんも原始的な霊が憑いてるコだね・・とは言ってたけど。
 ・・・でも、憑くも憑かないも本人の資質によるところが大きいからね。
 本当にやばくなったら、生命をとられるんじゃないかな・・・?」

この一連の出来事は一応の終結を見る事になりました。

しかし、これが本当の終焉になるのかは不明です。

何故ならば彼女はまだ。
私と同じ職場に存在しているのですから・・・・。