姿の見えない同居人
私の昔の知人にあたる西原くん(仮名)は当時、山口県にある大学に通っていたのだが、
彼はその頃「一人暮らし」をしていた。
ただ‥それが果たして本当に「一人暮らし」と言えるのかは疑問に思うのだが‥。
それと言うのも彼の大学の友人達が「彼が自宅にいる時に限って」彼の携帯に電話をすると、受話器から「女性」の声が聞こえてくると言われるらしいのだ。
・・当時、彼には恋人がいたのだが、もちろん「その恋人」では無いし、
他の女性といた訳でも無い。
部屋には自分しかいないにも関らず「今、誰か来てるの?」
‥と訊かれる事が度々、あったのだという。
彼自身は「そんな声を聴いたことは無い」らしいのだが、
彼の友人達の間では「その声」を聴いた事があると言う人は割合と多かったのだという。
・・ちなみにこの話は私が彼の友人の家に遊びにいっていた時に聞いた話で
「実際に、その声を聞いた」という人からの証言もあるので信憑性は高いと思われる。
・・しかし、姿はおろか「噂の声」ですら、彼には聴こえないのだから、
とりたてて実害は無い訳で(‥少々、気味は悪いらしいが)
住むにあたっては特に問題が無く(当時、恋人とは別れてしまったらしいのだが・・)
結局「卒業」するまで住んでいた。
彼自身が陽気な性格で「霊感」とやらも微塵も無かった様なので
住むことが出来たのかも知れないが、もし「霊感」のある人が住んでしまったならば、
どんな体験をするのであろうか?
‥ましてや友人にまで「声が聴かせられる程のモノ」がいる部屋なのだ。
‥その後、彼は無事に大学を卒業して、地元に帰っていったのだが、
それによって当然「新しい入居者」がいる筈だ。
‥そして、きっと今も「その部屋」には、そんな出来事が起きたとは知らずに入居して、住んでいる人がいる事だけは確かなのだが‥。