
これは高校生の頃に「霊能者である」美弥子さんから、
私へと届けられた一通の手紙に書かれていた「死神の話」より始まる話である。
実はこの話を「文章にする事自体が非常にためらわれる」のだ。
‥その理由は本題に入れば分かるのだが、以下の注意事項を守って頂きたい。
‥それは「決して声に出して読まないで下さい」と言う事である。
数々の体験談を友人に対して話している私でも「この話だけ」は決して話す事はせず、
自分の中に「封印」してあるのだ。
‥さて、本題に入ろう。
ある日、私は「死神の話」について電話で友人と話をしていた。
そして美弥子さんより届けられた手紙を「話のタネ」に読み上げ始めたのだ。
・・それ自体は抽象的、また断片的であり、怖い内容では無いのだが次の様な文章である。
「その娘の好きだった人って言うのが死神で、
彼女の父親もその人に事故死させられてたんだけど、
それでもその人の事が好きだったみたい。
..それで除霊の時に、彼女に水晶玉を死神に向かって投げる様に言ったんだけど、
‥その娘は水晶玉を落として、その人の所に走って行ってしまったのね。
‥そして、そのまま二人は光の中に消えて行ったの‥それが彼女にとって、本当に幸せだったのかは分からないんだけど‥」
私はこの手紙を読み上げながら、「悲しくも無い」のに何故か涙が溢れでてきたのだ。
..そして同時に「まわりの空気が変わってしまった事」にも気がついてしまった。
・・しかも不幸な事に、私はその日、自宅に一人だったのだ。
‥ただ、必ず何かが起きるに違いない「その空気の中」で、
私はとても一人ではいられなくなってしまったのだ。
‥それから私は片っ端から友人に電話をして、
「誰か今晩、泊まりに来てくれる様」に頼んでまわったのだった。
・・しかし、既に午後九時を過ぎていて‥しかも「今から」‥という事では、
なかなか「泊まりに来てくれる人」は居なかったのである。
・・それでも必死に私は電話をかけ続けたのだ。
この「不穏」な空気の中で「一人でいる」事が耐えられなかった。
・・というよりも「必ず何かが起きるに違いない」との確信があったからだ。
‥そして努力がみのり、幸いにも友人が二人、
同級生の男の友人「伸司さん」(仮名)と
後輩にあたる女性の友人(加奈さん)が泊まりに来てくれたのだ。
そしてやはり、不思議な事が起きてしまったのだ。
‥加奈さんは午後十一時頃に眠りにつき
、まだ私と伸司さんは雑談を楽しんでいたのだが
(ちなみにこの時は先程の恐怖心は、すっかり忘れていた)
眠っていた加奈さんが突然「うなされ始めた」のだ。
..身体を震わせ、泣きながら身体を震わせ「うなされていた」のだ。
私は「やっぱり‥何かが起こっているのだ」と、思いながらも
伸司さんと二人で彼女を揺さぶり起こしたのだ。
すると彼女は起きるや否や「怖い〜怖いよ〜!」
‥と泣きじゃくり始めたのだ。
そして間も無く、落ち着いた彼女はスグにまた眠りに落ちたのだ‥。
私達がホッとしたのもつかの間「また彼女がうなされ始めてしまった」のだ。
そして、また起こすと泣き始め‥そして「スッ」と眠る。
‥そんな事が3回位、繰り返されただろうか・・。
私は伸司さんに正直に「先程の不穏な空気」の事、
何故「急に泊まりに来て貰った」のかを話した。
‥そして、また揺り起こした彼女に「一体、何が起こったのか」を尋ねると、
「眠る度に包丁を持った男の人が追いかけて来る‥眠る度に追いかけて来る‥!」
そして「怖い!怖いよぉぉ〜!」
‥と繰り返し、泣きながら語るのだった・・。
それも、なかば狂乱気味に‥。
そして、そんな事を繰り返す内に朝を向かえ、二人は帰宅していった。
・・幸いな事に以降、彼女の身にも、伸司さんや私の身にも何も起こらなかったのだが‥。
私は「その出来事」が起きて以来、この話を「封印」し、語る事は絶対にしなかったのだ‥。
‥霊の中には「あまりに強い怨念」から「魔物化」してしまう者もいるらしい。
死神と言えば「鎌を持った黒いマントの骸骨」の姿を思い浮かべる方も多いと思うが‥。
中には「あまりに強い怨念から魔物化し、関った者を死に至らしめる様な悪霊」
‥そんな存在の者も「死神として」含まれるのかもしれない。
・・話が変わるが良く「実話怪談」として語られる話の中に「死神」として現れるものといえば
「黒い影」の様なものがある。
病院で「この黒い影」が憑いていた人が急死してしまったり、
また「家の中に黒い影」が入っていく所を目撃したら、
その家の住人が急死したという話が、多く報告されている様だ。
・・それが「死神」と呼ばれるものかどうかは別としてだが・・。