お稲荷さんの導き
これは神野さん(仮名)が数年前に、仕事で訪れたという
「とある小さな町」での体験談だという・・。
彼女の向かう「その取引先の会社」へ行く為に、駅からバスに揺られて数時間・・。
そして付いた場所は田園地帯に、ぽつりぽつりと家や店がある小さな町であったという。
バス停から降りて、地図を便りに歩き出して数分後。
彼女が辿りついた場所は「立ち入り禁止」の札が立てられた、
「焼け焦げた工場」であったのだという・・・。
その「焼け焦げた工場」を見た瞬間に、
彼女の背筋に何とも言えない寒気が走ったのだといいます。
霊的な何か・・・危ない場所。
立ち入ってはならない危険な空間・・・。
そして、そんな彼女の感覚が『ここは危険だ』と警告を発しているのでした・・。
しかし・・・その場所を通り過ぎる以外には、
農家の敷地があるだけで道がありませんでした。
「どうしよう・・・。」
困り果てていた彼女の頭の中に、何処からか声が響いたのだそうです。
「私を通り抜けて行きなさい」・・・と。
彼女は「その声の主」を探す様に周囲を見渡したのです。
・・・そして、彼女の目に映ったもの。
それは、良く見ろと「農家の敷地」の一部に奉られていた「お稲荷さん」でした。
その回りは砂利道になっており、一応「道」の様にはなっていたのだそうです。
・・・しかし、そこには鎖が張られていたのでした。
「人の家の敷地に勝手に入るのはまずいよねぇ・・・。」
彼女が困っている所に、その「お稲荷さん」を奉っているらしい農家から、
一人のおじいさんが出て来たのだそうです。
「ここを通らせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
そう彼女が尋ねると、快く承諾してくれたそうです。
彼女は、その「お稲荷さん」に手を合わせ、その道を通らせていただいたらしいのです。
その道を抜けた先。
それは思いがけない事に、彼女の目指していた取引先のすぐ近くであったのだそうです。
彼女が辿りつく前に立寄った「身の危険を感じた工場」・・。
それが、どんな場所であったのか。
それを先方に尋ねてみた所・・・。
以前、激しい火事が起こり、逃げ遅れた数名の方が、
その犠牲になった場所だったと聴かされたのだそうです。
そして、彼女を導いてくれた、あの「お稲荷さん」のある農家。
それは偶然にも取引先の社長の親戚宅であったのだと言います・・・。